7 / 100

第7話 蠢く闇 ②

ドアがノックされ、迎えの人間が部屋へと入ってきた 「お時間になりました 一緒にお願い致します」 康太は榊原に抱き着いていた 男は顔色一つ変えずに入ってきて、深々と頭を下げた 康太は榊原の上から下りた 「待たされたからな伴侶の胸の中で眠りそうになっちまったぜ!」 「準備に(時間を)取られておりました どうかお許しを。」 男は深々と頭を下げた そして康太と榊原を促して、部屋を出た 部屋を出ると廊下に安曇勝也と堂嶋正義と兵藤貴史が立っていた 兵藤は榊原を見て「やっぱり呼ばれたか」と笑った 「妻の傍にいたいのです僕は……」 「傍でそのじゃじゃ馬を止めとけよ!」 兵藤はそう言い笑って………歩き出した 康太は………儚げな顔をして……… 榊原の服を掴んで……歩き出した 榊原の陰に隠れて歩く姿は……別人だった 榊原は康太を引き寄せると、肩を抱いて歩き出した 俯き顔を隠して……歩く姿を見ても誰も飛鳥井康太だとは想わないだろうな……と兵藤は想った 会場までそのままで逝く 気配を消して…… 榊原の陰に隠れていると……ぱっと見……飛鳥井康太だとも、炎帝だとも解らないだろう 康太はそれを狙って榊原の陰に隠れたのだ 康太は連れて行く男に 「オレの自己紹介は一切するんじゃねぇぞ! 伴侶の自己紹介もだ!良いな!」 と命令した 男は深々と頭を下げ「御意!」と答えた 会場は広くて世界各国の政府要人が集まっていた 国の威信を託されて参加して来た政府要人達はテレビに良く写し出されている国のポストを担う顔ぶれだった 席に座ると通訳のイヤホンを耳にはめるように謂われた イヤホンを耳にはめて俯いた 日本の代表として安曇勝也が座っていた そしてその後ろに……裏の治安を管理する閣下が座り その横に康太は榊原と共に座った 堂嶋正義と兵藤は安曇勝也の横に座った 裏と表 座る場所は違った 大臣レベルの官僚と…… その国を守護する契約した神……との参加となった 増殖続ける闇を如何するか? やはり問題はそこへと行った 各国の要人が会議を始める前に自己紹介された 閣下は康太と榊原の事には一切触れずに、安曇勝也と堂嶋正義の紹介をして終わった アメリカの代表が『貴方の国の神は如何したのですか?』と尋ねた 「毘沙門天は時間になっても来てません 仕方のない奴ですな……」 閣下は嗤っていたが……それには一切触れるな……と鋭い眼光を向けた 神々の瞳が……ただ者ではない榊原に注がれた 榊原は知らん顔して座っていた 自己紹介が終わると、今回の問題に着手した 各国も今回の闇に対する防衛策は手立てがなく 神頼みとなった 各国の要人は閣下に 「日本の対策をお聞かせ下さい」と迫った 閣下は何も言わなかった ノルウェーはわざわざ国王が参列していた その横に……ノルウェーの守護神 オーディンが座っていた オーディンは康太を見ていた 康太もオーディンを見た 「そろそろ姿を現されてはどうじゃ?」 オーディンは問い掛けた 各国の要人は一斉にオーディンの方を向いた 「それはオレに謂ってるのか?」 康太は榊原の陰に隠れて言った 「………貴方にしか申しません」 「そうか、ならそろそろ姿を現すか で、お前が所望するのは冥府の姿か?それとも魔界の姿か?どっちだ?」 「本来の姿は力を消耗します故に魔界のお姿を……」 「そうか、ならこのままんでいいやんか!」 康太は俯いた顔を上げた そして天を仰いで「ガブリエル!」と、大天使の名を呼んだ すると康太の前に真っ白な九枚羽根の大天使が姿を現した 「天界はこの地球(ほし)に加護の光を差し込まして闇を弱めると約束してくれた!」 康太が言うと会場はざわついた ガブリエルは会場の神々に深々と一礼すると 「我が名はガブリエル 天界では熾天使をやっております」 熾天使 ガブリエル…… 会場はざわめいた 「閣下!説明をお願い致します!」 各国の要人は閣下に説明を求めた 閣下は「これは我に説明を得るよりも……そちらの神に説明を願った方が良いのではないですか?」と康太を指さした 「貴方は………誰なのですか?」 大天使を呼び出し……オーディンと知り合いだと言う 「オレか?オレの名は飛鳥井康太!」 「貴方は………人間なのですか?」 「今は、人だ」 会場はざわついた 各国の神々は康太の存在に気付くと立ち上がり、深々と頭を下げた 神々を代表してオーディンが 「何故お主が出て来ておるのじゃ? 日本が契りし神は十二天……」 「目的は同じだからじゃねぇのか?」 康太はそう言い皮肉に鼻でフンッと嗤った 「じゃ、ここでキメておかねぇとな!」と言い康太は立ち上がった 「我が名は炎帝!」と名乗った 炎帝………と聞き…… 会場にいる人間は唖然として 神々は炎帝に深々と頭を下げた 「隣にいるのは我が伴侶 青龍 そして貴史立ち上がれ!」 康太に言われて兵藤は立ち上がった 「彼が朱雀! そして素戔嗚尊、健御雷神、転輪聖王 この三神も闇を静める為に魔界から来ている!」 康太が言うと素戔嗚尊 健御雷神 転輪聖王が姿を現した オーディンが「魔界の介入か?」と炎帝に問い掛けた 「違う!魔界の影が濃くなり闇が深くなった 増殖し続ける闇は魔界にとっても脅威 天界も然り! 人の世だけ闇に手を焼いている訳ではない 光と闇のバランスがある そのバランスが崩壊すれば……闇の中に棲む者が力を持つ事となるだろう 闇は人の心にも影を落とす 無差別殺人が世界で多発しているのは、そのせいだ! ダンピールがヴァンパイアを一匹残らず殲滅を始めた…… それが許されれば……闇のバランスも狂う 闇に生きるのはヴァンパイアだけに非ず! その者達の生命をも脅かす事態は避けねばならぬからな! 魔界もこの事態に静観は出来ぬと言う事です」 炎帝が言う言葉を…… 神々も要人も……黙って聞いていた 大天使ガブリエルも口を開いた 「闇がこのまま増殖を続ければ天界だとて……… 無傷でいられる訳では御座いません 天界はつい最近……悪魔貴族と謂われる者達に侵略を許して……炎帝に是正して貰ったばかり…… これ以上の闇に侵略は……阻止せねばならぬのです」 天界も立場は同じだと表明した 「皆、目的は同じだと謂ったろ?」 炎帝が言うとオーディンは 「なれば炎帝、貴殿の戦略を聞こうと想う」 と炎帝の答えを聞き出そうとした 「闇が邪魔なのは天界も魔界も人間界も同じ 皆、力を合わせて一致団結する必要がある」 「何をすれば……良いのだ?」 「闇の力を天界の加護の光で弱める その間に……闇に生きる者の粛清を図る ダンピール協会はヴァンパイアだけではなく狼男も殲滅しているそうだ このままでは闇と光の供給のバランスが崩壊する そうすれば……強い国が核爆弾のスイッチを押しちまうかもな…… そうなれば……この地球(ほし)のダメージは考えるだけで怖い…… だから我等は動かねばならない! 闇を弱めている間に……ダンピール協会へ乗り込む 改める気がないのなら……総て殲滅するつもりだ そして闇に生きる者の棲み分け配分をする 闇の影響は……どの程度浸透しているかで後遺症の度合いも違う 予測着かない程に深くなる前に手を打たねばならない! その為に布石を打つ その布石は魔界だけでは出来ねぇ 天界だけでも出来ねぇんだよ 目的は同じなら手を結ぶしかねぇだろ?」 炎帝は言い捨てた そしてアメリカの要人を見て 「特にアメリカ、全面の協力をお願いしたい」と言葉を連ねた アメリカの要人は「何をしたら宜しいのですか?」と尋ねた 「ニューヨークにダンピール協会がある 今も事務所は変わる事なくマンハッタンのど真ん中に在るはずだ ダンピール協会は議員を仲間にして拡大を図っている…… オレ達が踏み込ませない為に動いてる 底辺の議員が何と言おうと押さえろ! 上院議員でもだ! 何があっても……動かせるな! 探れば裏で利益が絡んでいるからな 別件で引っ張ってでも止めろ!」 「………奇遇ですな 私はアメリカ合衆国国務長官のハワードです アメリカの考えも炎帝、貴方と同じです 議員は押さえましょう! 貴方にご協力出来るのは光栄 大統領からも『よしなに…』と申し使っております 総ては貴方がアメリカの地を踏みました時に発動出来る準備を整えておきます!」 アメリカ側の意向は示された それを皮切りに各国の要人達も賛同して協定を組む事となった 連日 調整を重ねた スケジュールと各国同時に闇と闘うと言う前代未聞の出来事に、各国は真剣に取り組み それを実行する事に決定した 各国要人が日本に滞在する間に、詳細を詰めて その詳細なスケジュールを実行する日を決めた 時差を計算して毎分ゼロ秒のズレもなく決行される事となった 朝早くから夜遅くまで連日話し合いはされた 微調整に手間取り、難航する事もしばしばあった それでも目的は皆同じ 協力し合う姿勢は見せながらも…… 苦戦したのは言うまでもないが…… 世界が協力し合うと言う事は、歴史の一ページに書き込まれるであろう凄い出来事だった 総ては闇の世界を支配させない為に…… 世界は手を結んだ事となる 総ての行程が決まり、詳細も詰めて万端となって 解散となるまで皆が煮詰まっていた ずっと缶詰状態だった関係者も煮詰まっていた 当然、榊原も別の意味で煮詰まっていた 監視されてる以上……下手なことは出来なかった 榊原も……自分の理性との闘いをしていた 毎夜 抱き合って大人しく寝ていた 榊原にとっては康太の……達しそうな時の顔を誰かに見せる気は皆無なのだ そんな監視カメラのある場所で始める気はなかった だが……隣に寝ている康太の匂いにムラムラ……となる…… エッチに発展させる訳にはいかなくて…… でもムラムラ……康太の匂いに股間はギンギンになって…… 榊原は……理性を試される事となった現実に…… 「……康太……僕の理性は風前の灯火です……」 と弱音を吐いた 「なら……合わせて擦ってイクか?」 「君のイク顔を……誰かに見せるのは嫌です!」 「ならお前が抱き締めて見れなくすれば良いもんよー」 榊原の顔を見上げる顔に…理性はブチ切れた 「なら康太……君が扱いて下さい 僕は君の顔を見えないように抱き締めてます」 榊原は康太を胸に抱き、康太に性器を擦らせた 康太は自分の性器と榊原の性器を合わせて扱き始めた 時折亀頭の先っぽを引っ掛かれて…… 「……康太……康太……イキそうです……」 「ならイケよ……オレもイクッ……ぁ……ぁぁっ……」 康太と榊原は同時に射精した 布団の中に濃厚な精液の匂いが充満する…… 榊原は康太を俯せにすると股の間に肉棒を挟んだ そして康太の性器を握った 「康太……枕に顔を埋めてて……」 「………解った……でも伊織が欲しくて……疼いてる…」 「康太……シャワー室には監視カメラ有るのですか?」 「ないと思う……」 榊原はシーツで康太を包むと浴室へと入って行った シャワーのコックを捻り湯を出すとシャワーの下に康太を立たせた 「無理はさせないから……少しだけ……」 榊原は康太を抱き締めて……囁いた 「オレも欲しい……欲しくて……ヒクヒク止まんねぇ…」 康太に言われて榊原は、康太の秘孔に指を挿れた 康太の腸壁は榊原の指に歓喜して纏わり付いていた 「……君の中……僕を欲しがってます……」 指を増やして掻き回す 禁欲していた体躯は呆気なく熱を持ち、榊原を欲しがった 「……伊織……欲しい……あぁっ……もう止まれねぇっ……」 「……僕も……僕も君が欲しくて……止まれません!」 榊原は康太を抱き上げると、康太の秘孔に挿入を始めた 壁に押しやられ……榊原に串刺しにされ…… 康太は榊原の首に必死に縋り付いた 支えられてるのは……榊原の肉棒のみ ベッドの上の安定した場所ではない繋がりだけど…… 怖さより……欲しさが強い 口吻けは深くなり……貪り合う接吻になり…… 康太は夢中で榊原の舌を追い掛けて吸った 榊原に下唇を甘噛みされ……嚥下出来ない唾液を榊原は舐めた 「あぁっ……あぁん……そこ……イイッ……もっと……」 「ここ……君の好きな場所でしょ? 僕もイイです……君の中……凄くイイ……」 榊原は康太に無理をさせられないとラストスパートを掛けた 欲しい気持ちなら誰よりも強い だが康太が今どんな立場にあるか 考えたら……無茶はさせられなかった 「康太……ここから解放されたら……」 強く抽挿を早めて康太に言う 「……伊織の好きにしていい……あぁっ……イッちまうっ……」 康太は榊原の腹に白濁を撒き散らした 少し遅れて榊原も、康太の奥深くに……熱い飛沫を撒き散らした 榊原は康太の中から抜くと…… 康太を床に座らせて体躯を洗ってやった 「疲れましたか?」 「少し……でも……あそこで止められた方が体躯に悪い…… 座ってても伊織が欲しくなって体躯が火照りだしたら……その方がヤバいかんな……」 「君の感じる顔は誰にも見せません!」 独占欲を見せられて康太は嬉しそうに榊原の胸に擦り寄った 「康太……会議が終わったら……」 榊原は康太の体躯を洗いながら口にした 「伊織の好きにしていい……」 「なら……ホテルをとって……そこで一日過ごしましょう」 「ん……オレもそうしてぇ…… 何も考えずに伊織と愛し合いたい」 「康太、愛してます」 「オレも愛してるかんな!」 体躯を洗いイチャイチャして浴室から出ると……… 部屋は整えられていて朝食が置かれていた この部屋に閉じこめられて数日 監視カメラがあるのが良く解る 部屋の住人が快適に暮らせる様に、その住人の嗜好を熟しているかの様に…… こうしてシャワーから戻ると、乱れで汚れだベッドが直されて 下着や服、食事が用意されていた 情事を残す痕跡など何処にもなかった…… また着替えはクリーニングして下着の一枚さえも包装されソファーに置かれていた 康太はソファーに座り、朝食を取りながら 「……何か……恥ずかしいな……」と呟いた 榊原は理性を保てなかった自分に落ち込む 「………ごめんね康太……」 「違う伊織、オレも欲しかったから……仕方ねぇけど……こうして部屋を整えられてると…… 何してたのかなんて一目瞭然だよな?」 「………ですね……気恥ずかしい思いはありますね」 「あの……シーツを……片付けられるのは流石に……」 康太は顔を赤くして言った 榊原は康太を引き寄せ頬にキスを落とした 「………康太、僕が洗濯出来ない現状が……焦れったいです……」 「仕方ねぇよ……オレらは来賓キャストだかんな 飯食ったら支度して、伊織に抱き着いていてぇ…」 「良いですよ ずっと僕に抱き着いてて下さい」 榊原はニコッと笑った 康太は朝食を取った そして榊原の膝の上で迎えに来るまで過ごした 不自由な拘束された時間の間 康太と榊原はこんな風に過ごした その会議もやっと纏まり閉会となった 拘束されていたのは3日間だった 朝から晩まで話し合いで、もっと拘束されている気がしたが…… 実質3日間だった 解放され、康太と榊原はホテルニューグランドまで向かった 愛し合う続きをしたのは言うまでもない 動き出した歯車は……      もう止まらなかった      もう誰にも止められない

ともだちにシェアしよう!