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第9話 NYの地で

康太は状況が整い次第、日本を発った 同行したのは伴侶の榊原伊織だけ 表向きは二人の旅行だった 康太は榊原と共にニューヨークで一番人気のマンダリン オリエンタル ニューヨークに部屋を取った タイム ワーナー センターの上層階にあるマンダリン オリエンタル ニューヨークは 主な名所のどこにもアクセスしやすい恵まれた場所にあった セントラル パークが一望できるうえ 5番街やブロードウェイ、リンカーン センターは徒歩圏内 ニューヨークの史跡やショップ、観光スポットへのアクセスも便利だった 黙っていても人が集まる場所は、身を隠すのに案外持って来いの場所でもあった 秘密裏に日本を旅立った兵藤貴史、緑川一生もバラバラに寄り道をして巻きまくり そろそろニューヨークに向かってる筈だった 別便で弥勒高徳もニューヨークへと旅立った 四方八方から人が集まり、本陣に攻め入る日まで待機している訳だ 康太は部屋のベッドに寝っ転がり 「射程範囲内にやっとこさ来たな」と呟いた 「皆……順調に向かってますか?」 「あぁ向かってきてる 途中、妨害にあってるけどな 魔使魔が闇を操って足取りを消してくれた 後、弥勒は正攻法でNew Yorkまで来たからな…… 目を弥勒に惹き付けさせて、その間に潜り込んで来ると想う」 榊原は鉄の塊が飛ぶか!と飛行機に乗るのを頑なに拒んでた弥勒を飛行機に乗せた どんな心境で耐えてニューヨークまで来るのか‥‥と弥勒を想った 「………何時……動きますか?」 「目(さがん)が今……円城寺貴正の援助で…… 砦を崩壊させてるからな 陥落した本陣に押し入れる そうしたら目は迎えに来るだろ?」 「………そうしたら本陣に乗り込むのですね……」 「まぁ……容易にはいかねぇよ 今、ダンピール協会の頭をやってる奴が、かなり影響力の強い存在で、議員であろうが高名な著名人であろうが意のままに動かしているらしいからな…… 妨害があるに決まってる……」 「……妨害ですか?アウエーなので動きようがないのに……妨害されるのはかなりキツいですね」 「そうなんだよな……」 康太はそう言い思案した 「それよりさ伊織、買い物に行かねぇか?」 「……何を買うのですか?」 「伊織の服」 「……僕の……服……ですか?」 榊原は不思議そうな顔をした 「サングラス買ってさ、ラフな服着て歩こう! セントラルパークとかで寝そべっても良い服を買いに行こうぜ!」 「それ良いですね」 「後さTバック……履いてみねぇ?」 「………そう来ますか?」 「豹柄のTバックとか黒のTバックどうよ?」 「君が履いてくれるなら」 榊原はそう言い康太に口吻けた 「………ふんどし……みてぇだかんな‥」 「それを僕に履かせるつもりだったのですか?」 「そう!ちょい悪な格好してさサングラス掛けてセントラルパークの芝生の上で寝そべる」 「………普通に寝そべれば良いでしょう?」 「それだと刺激が足らねぇ」 どう言う刺激ですか……と榊原は笑った 「では、君のコーディネートで良いです その代わり……サービスして下さいね」 「頑張るかんな!」 康太はそう言い榊原に口吻けた そうと決まると善は急げ 康太と榊原はショッピングに出向いた 今流行の黒い帽子と派手な服とズボンとサングラスを買って 下着売り場へと、レッツらゴー 下着売り場はかなりセクシーな下着を着けたマネキンが並べられていた ボクサーパンツ愛用の榊原は…… 戦々恐々だった 康太は本当にセクシーな下着を数枚選んだ その中に………Tバックも入っていた 買い物が終わると康太は部屋へと戻った ベッドに腰掛けると康太は 「ささっ伊織、着替えろよ!」 とニコニコ言った 21年間生きてきて初めてのTバックだった 榊原は着ている服を全部脱ぐと、Tバックを着けた 「どうよ?着け心地は?」 「………慣れないと……気持ち悪いです」 「写真撮って良い?」 はいぃぃぃ?何を………? 榊原はキラキラ瞳を輝かした康太に……… ダメだとは言えなかった 「伊織のケツって綺麗だよな?」 パシャパシャ写真を撮りながら、康太は榊原のケツを撫でた 「………康太……ズボン履いて良いですか?」 「おー!ちょい悪な伊織だな!」 黒い帽子に色物のシャツ 黒い縦縞のズボンに派手な靴 それにサングラスを掛けて ちょい悪榊原伊織の出来上がり 康太はパシャパシャ写真を撮った 「格好いいなぁ……モテたらどうしょう?」 康太は真剣に心配していた 着替が終わり、撮影を心ゆくまでして 取り敢えず散歩に出かけた 手を繋いでセントラルパークの中を歩く 康太は榊原を見上げた うっとりとした瞳を榊原に向けて……笑った 「何か伊織ってどんな格好も似合いすぎ……」 「そうですか?」 康太は榊原に抱き着いた 日本では絶対に無理な事でもゲイに寛容な国では…… 目立ちもせずに出来る 芝生に座って康太は榊原の耳元で 「伊織、向こうにあるビルを見てみろよ」と囁いた 榊原は公園からでも見える大きなビルの事だと想い、ビルを見た そのビルは………闇が蠢いて……ビルを覆っていた 「………なっ………何ですか……あれは?」 ビルを包み込むような大きな闇に…… 榊原は言葉がなかった 肉眼では……何もみえなかったのに…… 康太がサングラスを掛けさせた意味が解った 「………闇に取り込まれてるんだよ……」 「………まるで……ブラックホールですね……」 「だろ?タチの悪いのを相手にしねぇとダメみてぇだな………奴等の黒幕の存在が……結構強大らしいぜ」 「………黒幕の存在? ダンピールだけに非ず……って感じなのですか?」 「だろ?たかがダンピールが扱える闇じゃねぇ」 それで納得した 「一度には潰せねぇわな……」 「………ならどうするのです?」 「黒幕の方は……絶対に……仕掛けて来るからな その時に返り討ちにするにして、まずは目的のダンピール協会をやらねぇとな! 目的はダンピール協会! それに絞って……軌道修正を図るしかねぇ」 「………黒幕の目星は……着いてるのですか?」 「それは、その時が来れば解る……」 榊原は後は何も言わなかった 総ては決められし理(ことわり)なのだ 時期を見定めて動かねば…… 二兎を追う者は一兎をも得ず にしかならない! それが解っていても中々、それを実践出来る者は少ない…… 「伊織、空を見てみろよ」 康太に言われて榊原は空を見上げた 「あの闇を打ち砕くには強靭過ぎて無理だからな ガブリエルが闇を少しずつ弱らせてくれてるんだ」 闇の上に加護の光が降り注いでいると言われて、榊原は上を見上げた 目映い加護の光が、闇の上に降り注いでいるのを、榊原は目にした 「さてとホテルに帰るか? きっとホテルに泥棒が入り込んで大変な騒ぎになってるからな……」 「………え?……大変って……」 「大丈夫だ!パスポートや金には手を着けさせないから!」 「………何の目的で入ったのですか?」 「オレらが邪魔だからな逮捕してぇんだよ でも『何か』なきゃ逮捕できねぇからな 『何か』を荷物に紛れ込ませる必要があったんだろ?」 「………じゃ……『何か』を紛れ込まされ逮捕ですか?」 「それは嫌だかんな……『何か』は弥勒が処分してくれてるだろ? 今夜は……その下着履いてる伊織にサービスしねぇとな だから逮捕なんてされたくねぇんだよ!」 「……康太……」 「向こうの言いなりになって堪るかよ! サングラスは取るなよ!絶対にな! でねぇと闇はお前を取り込もうとするかんな! そうさせねぇ為のサングラスだ!」 「解りました でも本当にちょい悪なこんな格好のままで…… 警察は納得しますかね?」 「仕方ねぇやん ちょい悪伊織を見てみたかったんだからよぉ」 「……で、どうでした?」 康太は榊原の耳元で 「……先っぽ濡れる位男前で困る……」と囁いた 「………濡れてるんですか?」 「触ってみる?」 誘われて………榊原は康太のズボンの中に手を入れた そして下着の中に手を入れて触った すると……そこは……ヌルヌルのカウパーで濡れていた 「本当に……ヌルヌルですね……」 「こんなにオレを惚れさせてどうするんだよ?」 「もっともっと惚れて下さい 僕も‥もっともっと惚れますから……」 「離せ伊織……先っぽ擦るとイッちまう……」 榊原は下着の中から手を抜いた そして濡れた手を舐めた 「……舐めるな……」 康太は榊原の手を取ってハンカチで拭いた 榊原は笑って 「君のなら僕は舐めていたいです」 と口説いた 康太はその言葉で……… 「……………ぁ………やべぇ……」 ブルツも身を震わせた 「………もしかして……イッちゃいましたか?」 「もしかしなくても……イッちまった…… どうするんだよ……精液臭いまま……帰らねぇとダメじゃねぇか……」 「……トイレで脱ぎますか?」 「………その個室に入ると脱ぐだけじゃ済まねぇだろ?」 「ですね……」 個室に入った瞬間、狼に変身するのは目に見えていた 「ホテルに帰ろうぜ!」 「………ホテルには警察がいるのでしょ?」 精液臭いこの状態じゃ……嫌だった 「やはりトイレに行きましょう 約束します……手は出しません 下着を脱いで拭けば、匂いはなくなります ノーパンで帰るしかないですが……マシでしょ?」 「………ノーパンかぁ……」 ファスナーに大事な所食い込ませそうで怖いが…… 背に腹はかえられないから……受け入れた 榊原は立ち上がると康太の手を引いてトイレへ向かった 「………伊織……チビったみてぇに気持ち悪い……」 「少し我慢して……」 トイレに入ると、鍵を掛けた そして康太のズボンを脱がして、下着も脱がした 康太の下着は精液でベトベトだった 榊原は下着を脱がして、ハンカチで綺麗に拭いてやった 綺麗に身を整えて、榊原は康太にズボンを履かせてやった そして濡れた下着とハンカチをエチケット袋の中に入れた ニューヨークは塵をポイ捨て出来ないからエチケット袋は必需品だった 下着とハンカチを綺麗に畳んでエチケット袋の中に入れてポケットの中へしまった 身なりを整えてやると、トイレから出た そしてホテルへ向かう やはりホテルの部屋へ向かうと……… 部屋の中は荒らされて、中に警察がいた 榊原が英語でどんな状況なのか話していた そこへ、ニューヨークで一番と謂われる弁護士 チャーリー・ベンソンが姿を現した そして榊原と康太の身分を明かしていく 弁護士は康太は飛鳥井家真贋と謂う特別な力を持つ存在だと教え、赤蠍商事の社長と仲が良いと教えた 赤蠍商事と聞き警官は顔色を変えた ニューヨークで赤蠍商事に睨まれて仕事は出来ないからだ! 赤蠍商事の円成寺貴正はニューヨーク市長より権力を持っていた 警官はチャーリーに平謝りした 「I'm sorry! Please permit impoliteness.」 チャーリーは毅然とした態度で警官に 「Clear a room!」と命令した 警官は総動員して部屋を片付けて、撤退した チャーリーは康太の方へ向くと日本語で 「脅しはしておきました このホテルに滞在している間に狙われる事はもうないでしょう!」と笑って言った 「チャーリー、悪かったな」 「ホテルにガサが入ったと連絡を貰ったのでサーが頼むと仰られました」 「貴正には後で礼を言っておく 助かった……本当に悪かったな」 「貴方がニューヨークに滞在されてる間は、全面的なバックアップ致します それがサーの願いですから……我らは貴方に指一本触れさせは致しません!」 サーと言うのは円成寺貴正の称号だった 貴族の称号を持つ円成寺貴正の呼び方だった チャーリーは「では私はこの辺で!」と言い 康太の手に口吻けて、帰って行った 榊原は部屋に鍵を掛けた 「康太、僕を好きにして良いですよ?」 榊原はそう言い笑った 康太は榊原の手を掴むとベッドルームに移動した 「好きにして良いのか?」 「良いですよ? 僕の総ては君のモノです 君の総ては僕のモノです」 「ん……オレの総ては青龍のモノだ」 「嬉しいです」 康太は榊原をベッドに座らせた 身長差に立ったままだと何も出来ないから…… 康太は榊原に口吻けた 口腔を楽しむ様に、舌を搦め……唾液を飲んだ 唇を離すと、咽を舐めて…… シャツのボタンを外した 鍛え上げられた榊原の体躯が露わになると、康太は榊原の胸を舐めた 味わう様にペロペロと舐めて確かめる お揃いのヘソのピアスを舐めて…… ズボンの前を寛げた すると豹柄の生地が盛り上がって…… その姿はかなりセクシーだった 康太はその盛り上がった生地を舐めた もどかしい感覚に、榊原は息が上がるのを隠せなかった 「……康太……中身は?」 催促したくなる程に焦れったい…… 「中身はまだ…」 康太はそう言い榊原のズボンを下着ごと脱がした そして内股を舐めながら、陰嚢を揉んだ 舌は内股から陰嚢に移り…… 陰嚢を持ち上げると裏筋を舐めた 榊原の性器はビクビクと震えていた 裏筋を舐めながら、玉袋を吸った 「………康太……君の中に挿れたい……」 「まだ、好きにさせてくれるんだろ?」 「………そうでしたね……堪えてみせます……」 康太の唇は榊原の内股に移り…… 足へと下りていく 足の指を舐められて…… ついつい「汚いです……」と抵抗した 「伊織の体躯に汚い所なんてねぇよ!」 と返されて……抵抗すら封じられた 指を一本ずつ舐められ…… 指は……陰嚢を揉まれた 這う指の感覚に……榊原は声を上げた 「……康太……あぁっ……挿れたい……」 「イッていいぞ?」 「君の中じゃなきゃ……あぁっ……嫌です」 「なら少し我慢な」 榊原は握り拳を握って堪えた 榊原の先っぽは止め処なく先走りが流れ出ていた 我慢汁……なるもので濡らして堪える姿にそそられる 自分がその快感を与えているのだと想うと堪らない 康太は榊原の脚を離すと、榊原を跨いで乗った そして榊原に見せ付ける様に服を脱いだ ツンッと尖った乳首が、榊原の肌と触れた 榊原の尖った乳首と、康太の尖った乳首が擦れて…… 榊原は達しそうになった 「………くっ………っぅ……危なかったです」 「肌と肌とが合わさるのは気持ちいいな……」 尖った乳首で擦られる感覚に…… 榊原は康太を抱き締めた 「………触らせて……ねぇ……君が欲しい……」 「……舐めてやるからイケよ」 そう言い康太は榊原の性器に口吻けた 先っぽに口吻けされ……歓喜する肉棒が恨めしかった お口に咥えられ、先っぽを吸われただけで…… 榊原は……達してしまった…… 良くぞ……此処まで我慢した…… 自分を叱咤激励して榊原は意識を留めていた 榊原は康太の体躯をヒョイッと持ち上げると俯せにした そしてお尻を赤く持ち上げると、双丘を開いた 双丘の奥深くに慎み深くしていた蕾は…… 淫靡に蠢き……ヒクヒク煽動していた 榊原は秘孔をペロッと舐めた イッちゃわない様に康太の性器の根元を握り締めて 秘孔を解す 皺を伸ばす様に舌を挿し込むと、パクパクとそれを咀嚼しようと蠢いていた 「………伊織……あぁっ……挿れてぇ……」 「まだ駄目です 怪我したくないでしょ?」 そう言い榊原は康太の秘孔を舐めた とろとろに蕩ける切った蕾が物足りなさを訴えて……舌を飲み込もうとする 「……僕の舌……食べちゃうつもりですか?」 榊原はそう言い指を入れた 中を掻き回されて……… 康太はイッた 射精はしてないが、感覚がイッた 「……君……イキましたね?」 ドライで感覚だけでイッた 「……ごめん伊織……お願い…挿れてぇ……」 康太は泣いて訴えた 榊原は康太を抱き上げるとベッドの背もたれに凭れた 「好きなだけ食べて良いです」 そう言い秘孔に亀頭を擦り付けた 康太は榊原の肉棒を握り締めると、腰を下ろした 少しずつ……少しずつ……挿入を始められて…… 榊原は……イッた 「………途中で締めるのは……反則ですよ?」 榊原はそう言い康太の腰を掴むと…… グイッと深くまで挿入した 深くまで挿入されて康太は仰け反った その鎖骨に榊原は噛み付いた 「………っ……痛ぇよ伊織……」 「………噛み殺して……食べてしまいたいです」 愛する人の総てを自分に取り込みたい…… そんな想いに囚われる 「しろよオレはお前がするなら……… どんな事でも受け入れられる」 「………僕のモノです…… 誰にもあげません!」 榊原は魘された様に康太を掻き抱き……言った 「お前のモノだ……お前だけのモノだ」 康太も魘された様に言い続けた 榊原は康太の奥深くに押し入った そして腸壁を掻き回しながら、康太の良い所を執拗に擦りあげた 「………伊織………伊織…あぁっ……青龍愛してるっ……」 榊原の背中を掻き抱き……言い続ける 互いにとって大切な確認の時間 何度も何度も確認し合って抱き合う それでも足らなくて…… もっと求め合う…… この世で一番愛した男と一つになれる時間 至福の時間を噛み締めて確かめ合う 「愛してます康太…… 未来永劫愛してます炎帝!」 遙か昔から愛していたのは唯一人 その人しか欲しくなかった この先も……互いしか愛せない 何度確かめても足らない 康太は愛する男の熱を体内で感じて…… 締め付けた 「……オレのだ……この熱はオレだけのだ…」 榊原の背中を掻き抱き訴えと 「そう君だけのモノです」榊原は答えて言葉にしてやった 熱が尽きるまで互いを貪り合った 榊原は意識を手放した康太を体の上に乗せて抱き締めた 汗で濡れた康太の髪を撫でて…… 意識が戻るのを待つ その強い瞳で僕を見て…… そして僕を愛しているって言って…… 榊原はそう思い愛する康太を抱き締めた 康太は優しく撫でられる感触に目を醒ました 「………伊織?……」 康太は愛する男の名を呼んだ 「気が付きましたか?」 「愛してる……青龍しか愛せない」 康太は顔を上げて榊原を見ていた 榊原の好きなキツい瞳だった まるで榊原の想いが解るみたいに、康太は榊原の望んでる事をしてくれる 「疲れましたか?」 「少し疲れた……でも凄かったな」 康太はクスッと笑った 「………君が……焦らすから止まらなくなりました」 「たまには良いよな?」 「そうですね……でも君の愛撫は……拷問です」 「長年お前の体躯を触って来たからな」 康太はそう言い笑った 長年青龍の体躯を触って来たからこそ解るのだと言った 榊原は愛しくて康太を抱き締めた 榊原は「体躯、洗いますか?」と問い掛けた 「ん、そして寝よう……多分動きあるかんな」 榊原は起き上がると康太を抱き上げバスルームに向かった 中も外も綺麗に洗い上げ、自分の体躯も洗うとバスルームから出て髪を乾かして眠った 康太は榊原の胸に顔を埋め眠りに落ちた ひと眠りして目が醒めると、まだ辺りは暗かった 康太は「そろそろか?」と声を掛けた 『いいえ。かなり手こずって時間を費やしております このままでは……貴方の出る幕はなくなります』 「……それは困ったな…… オレは我が子に淋しい思いをさせて来てんだせ? 手ぶらで帰れる訳ねぇだろ?」 『………なれば……強行突破………されますか?』 「それしかねぇなら……やるしかねぇだろ?」 『………命の保証は……出来かねませんよ?』 「それがどうした! 保身に走るなら最初からニューヨークくんだりまで出て来るかよ!」 康太は言い捨てた 覚悟もなしに動いた事は一度ない 逃げ道を用意せずに常に動いてきた康太にとって、保身的な考えなどないに等しかった 何時も……正面からぶち当たり……容赦もなく闘ってきた 『………でしたら……私も……死なば諸共……逝かせて下さい! 貴方の盾に位はなれます!』 「………サガン……日の一番強い正午に出向くとする! 闇より陽の光が勝る時、祝福された光もまた闇を貫き通す力となる」 康太は笑っていた その顔は自信に満ちていた その時、闇の奥から声が聞こえて来た 『光が強くなれば影は濃くなる それこそが我等の本領発揮となる! 康太、貴方の身は何としてでも守り通す!』 と言う声が響いた 目は辺りを見渡し…… 「魔使魔…ですか?」と口にして続けた 「しかも……魔使魔は代替えしましたか? かなり強い力を感じます」 「日本に帰ったら逢わせてやる お前達、闇に生きるモノ達は互いを知っておいた方が良いと想う 牙狼の王の牙王にも逢わせてやる! ドラキュラの血を継ぐ正当なヴァンパイアにも逢わせてやる」 「………その意図は?」 「闇に生きるモノ達の秩序と共存だ! ここいら辺で線引きと共存の確認は必要だろ?」 まさに……そうだった 目は康太に深々と頭を下げた 「なら正午、ダンピール協会の前でな」 『御意!』 そう言い目は気配を消した 康太は榊原に抱き着いた 榊原は康太を抱き締めた 暫しの休息 榊原は康太を休ませてやりたかった そして時間が許すまで微睡んで眠った そして目を醒ますと起き上がった 朝日はとうに上りきっていた 榊原は康太をバスルームに連れて行くと、綺麗に体躯を洗って…… 水で体躯を清めた 榊原も体躯を清めると、バスルームを出た 康太の体躯を拭いて、髪を乾かして 自分の体躯も拭いて、髪を乾かした そして真っ白な肌着を身に着けた 今日は覚悟の日だから…… 何者にも染まらぬ……白を身に着けた そしてスーツを着せて、自分の身支度もした 支度が終わると榊原は康太に口吻けた 「愛してます」 「オレも……愛してる」 その瞳は覚悟を決めていた 榊原は康太の手を強く握り締めた 「………死しても共に……離れたりはしません」 「未来永劫、共に………」 康太は榊原の手を強く握り返した そして手を離すと、姿勢を正した ルームキーを手にすると財布を胸ポケットに入れて 榊原は康太に手を差し出した 「お待たせ!」 康太は榊原の手を握り 「なら逝くか?」と問い掛けた 「下のレストランで腹拵えして、時間を潰しましょう」 「だな!」 手を繋いだまま二人は歩いた 此処は日本じゃない だから………せめてひとときを…… 互いの熱を感じていたかった 人の世の闇を正さねば、影響は悪循環して続いていくのだ 人の世の闇は蔓延して犯罪が蔓延り…… 人は引き金さえあれば…… 間違った道へと走り出すだろう…… それを阻止せねばならなかった 地球が滅ぶ道は辿ってはならぬ 愚かな人が滅びの道を逝くのを…… 阻止せねばならぬ たかだか宇宙の一つにしかならぬ世界だが…… 宇宙の理や……秩序に……逆らって滅んでも良い道なんてないのだ 人は愚かな道を辿る 闇や魔の影響を受けて…… 滅びの道を辿る それで幾つかの星は消滅した この地球と同等の星が消滅すると言う事は少なからずある 愚かな道を辿り…… 破滅に向かう星を………創ってはいけない それが……(創造)神の想いだった 愚かな生命を護る…… それさえも無益な理想でしかないのならば…… “無”になってしまえば良い…… そう思わなかった事はない だが……辿るべき道を誤らねば…… 人は逝けるのだと……信じたい だから……曲がった道へは逝かさない それこそが自分の死命だと炎帝は想っていた その為だけに生かされているのだと想っている なれば、自分がやる事は一つ この世界の存続 決して闇に囚われてはならない その覚悟だった 我が子に………乱世の世を引き継がせるのならば…… せめて……少しでも……平和な世の中を…… それこそが康太の想いだった だから絶対に! 絶対に……曲がらせない 闇に染めない世界を、我が子に渡す! その為に康太は日々闘っていた 果ては我が子の為に…… 我が子に渡す明日のために…… それしか考えてはいなかった

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