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第20話 果て‥‥
天照大神は炎帝の腕からフェイを取り上げると
「よい子は寝る時間じゃ!」と言いお腹の中へと入れた
「炎帝 お主が還ったら返してやろう
それまでは我が育ててやろう!
子閻魔もな雷帝が生まれ、次代の閻魔が出来る今、補佐として生きる術を叩き込まねばと想っておる
お主が天界から堕とした次代の炎帝と共に教育してやろうと想うのじゃ!
だからな我はまだまだ手の掛かる子がいる故
忙しい………解ったな炎帝」
「………母者が育てているのか?」
炎帝は不思議そうな瞳で母 天照大神を見た
「閻魔が張り倒してもよいと申したからな
子閻魔共々、教育中じゃ
やはり張り合う者がいると違うのじゃな
閻魔の補佐になるのはどちらでも構わぬと我が申すと、俄然競い合うのだからな」
天照大神はホーッホホと笑った
「この前、子閻魔の尻を蹴り上げてやったわ
痛みの解らぬ奴は人の痛みにも鈍感じゃ!」
一層逞しくなった天照大神が笑う
母は強い
この魔界で一番の強者
………なのかも知れない
「高みの見物は止めたのじゃ炎帝
見てても変わらぬのなら、変わるように動こうと想う
そしたら後で悔いる度合いも違うであろうからな
何も出来ずに……見ている行為は……悔しさしさ残らぬ……」
「………母者……」
「お前達が還る魔界を護ろうと想うのじゃ
誰にも邪魔などさせはせぬ!
邪魔するなら………諸共……異界へ飛ばしてやるわ」
その力……計り知れない妖炎を立ち込めて
天照大神は気高く嗤った
健御雷神はそんな妻を誇りに想う瞳で見ていた
妻は美しい
そして強い
人の世で言うジャンヌ・ダルクとでも言おうか……
魔界の者の支持も厚い
そんな妻が健御雷神の誇りだった
「あぁ、そうであった
今度 我は人の世に下りるぞ!炎帝」
天照大神はサラッと言ってのけた
炎帝は飛び上がる程に驚き………
「………ええええ!!!母者……何故に??」と問い掛けた
「人の世を一度は見て来ぬとな
お主も……次の転生はない
ならばお主達がいるうちに……見たいのじゃ
そして飛鳥井玲香……彼奴と酒を酌み交わそうと想うのじゃ」
「……ええええ!母ちゃんと、飲むって言うのかよ?」
「よいではないか
健御雷神は清隆や清四朗と飲めると、今から楽しみにしておる」
「…………え……父者も来るのか?」
炎帝が言うと健御雷神は柔やかに
「現し身の世に生きる十二支天にも逢いたいからな………」
「呼べば……良いやん」
「それではつまらぬ
人の世を知らねば、我等は何を護っているか解らぬからな……
この地球(ほし)に生きるモノを識るべきだと想うのじゃ
違う人種が共存する人の世を見て来るのも一興
我等は色んな事を識らねばならぬ」
「………父者……魔界を変えるか?」
「変えるのではない炎帝よ
変わるのだ根底から………
世界が変われば中のモノも変わるしかなかろうて……そのヒントを探す為に人の世に見に行く
と、言う……大義名分ならある」
「………父者と母者だけ?」
「初めはな、その次に逝く時は金龍や銀龍も共に視察に逝くつもりじゃ」
「………それ、誰かに言った?」
「閻魔が評議委員会に掛けた」
「………評議委員会の採決は?」
「視察と言う形で採決は通った」
健御雷神はそう言った
だが炎帝は納得がいかずに考え込んだ
青龍は「炎帝……?」と心配して声を掛けた
「渾沌は……幕を開けていたのか……」
「…………渾沌?………」
炎帝の言葉に青龍達の顔色が変わっていた
闇に蔓延る渾沌が手ぐすね引いて待ち受けているという訳だ
根回しはされていた
後は魔族を操り
自分の望む結末へと走らせて逝けば……
自ずと暴動が始まり
コロコロと堕ちて来るのを待てば良い
少しの綻びが徒となる
少しの綻びを大きく切り裂き………
不安を植え付け
煽れば出来上がり
人も魔族も噂で動き
疑心暗鬼を抱かせるには十分だった
朱雀は「………何か仕掛けられるのか?」と心配そうな顔を向けた
「もう始まってるなら……全部出し切るまで動けねぇな……」
「………それはどう言う……事だ?」
「賽は投げられた……投げられる前には戻れねぇと言う事だ……」
「………なら……どうするよ?」
朱雀は不安そうに問い掛けた
炎帝は「此より人の世で急展開があるという事だ……その後は魔界……そして天界……
要は……平安の日々はまだ遠いって事だ……」と何でもない風に言った
閻魔は「この後……どうされるのですか?」と問い掛けた
「………取り敢えず……総て保留にするしかねぇか……下手に動く方が……向こうの思惑に乗っている事になるからな…」
「……なれば……人の世に……還られますか?」
「まぁな……その前に取り敢えず飲もうぜ!」
炎帝はそう言い、盃を高く上げて「乾杯」と宴会の合図をした
夜通し飲み始めた
………が、炎帝は始終……浮かない顔をしていた
黒龍は「シケたツラしてんじゃねぇよ!」と炎帝の頬を摘まみ上げた
「痛ぇよ……黒龍」
「んなツラして飲むな!
酒が不味くなるじゃねぇかよ」
炎帝は黒龍に抱き着いた
「………何で……こぉも次から次へと……厄介事はおこるのかなぁ……」
ついついボヤく
「それは仕方がねぇよ
問題のねぇ世界なんて存在しねぇんだからよぉ!
何処の世界にだって揉め事や厄介事はあるもんさ
それを乗り切れる団結力と統率力……そして信頼と絶対に揺るぎない明日を逝くと言う決意さえあれば……大抵は乗り切れるもんだ」
「……黒龍……それが欠落したら……乗り切れねぇじゃねぇかよ……」
「人も魔族もそこまで腐っちゃいねぇ!
自分達の危機位解るし、立ち上がる力は前の魔界よりはある筈だ
何度お前が魔界に変革を与えたよ?
魔界だって少しずつ変わってるさ
俺達は揺るぎねぇ!
信じる力は誰よりも強い!
踊らされたって、気付ける筈だ!
本当の真実をちゃんと見据えれる筈だ!
だから心配するな
賽は投げられたのなら、それが見えて来るまで何もしなきゃ良いんだよ
お前は気に病みすぎなんだよ!」
「………黒龍……」
「青龍と新婚してろ!」
黒龍は炎帝の頭を撫でて、そう言った
「オレは何時でも青龍とラブラブだ!」
そう言い炎帝は黒龍から離れると、青龍に抱き着いた
青龍は炎帝の脇に手をやると、抱き上げて膝の上に乗せた
「奥さん 君が愛すのは僕だけでしょ?」
「あたりめぇじゃねぇか!
オレは青龍しか愛せねぇんだからよぉ!」
青龍は炎帝の唇に口吻けを落とした
朱雀は「始めるなよ!」と釘を刺した
青龍は「朱雀、焼き鳥になるのが嫌なら黙ってなさい」と一蹴した
焼き鳥……の言葉に朱雀は何か言うのを辞めた
赤龍はそんな朱雀の肩を抱いた
「………赤いの……お前の弟はタチが悪すぎる……」
「言ってやるな……この前親父殿の夢に出て、婚姻自体をなかったモノにしてください!とサラッと言ってのけた奴だからな……」
「………それって……赤いの……」
「言ってやるな……青龍の愛って事だ
愛したのは未来永劫……炎帝だけって事だろ?」
「………赤いの……飲もうぜ!」
「だな!やってやれるかよ!なぁ朱雀」
二人は盃を酌み交わし、笑った
「それでも、我等は共に在ろう!」
朱雀が言うと赤龍も
「だな、未来永劫……共に在ろう!」
と分かち合い飲んでいた
そして朱雀は「……あ!……白虎に怒られるな……」と呟いた
「どうしたのよ?」と赤龍は問い掛けた
「酒を飲むなら白虎と玄武も呼べと謂われてた…」
「彼奴等は……酔いどれだからな……またで良いやんか」
「だな!飲もうぜ赤龍!」
「おー!飲もうぜ朱雀!」
二人は結構早いスペースで飲んでいた
それを見た黒龍が「………明日は二日酔いだな……」と呟いた
炎帝は黒龍に「最近恋してねぇのかよ?」と問い掛けた
「最近は恋より、崑崙山に行き我が子と一緒にいる機会の方が多いな」
「恋は………もう良いのかよ?」
「あぁ……もう逃げるのは止めたんだ
俺はこの魔界を背負って生きて逝く我が子と絆を築く事を優先して、日々生きている
虹龍……俺の子にしたから!
赤龍を抜いた三兄弟と虹龍と、俺の息子と過ごす方が楽しい」
「……虹龍はそれを受け入れたか?」
「………まぁ色々とあった……最初から受け入れる気は皆無だったしな……
だけど父として子に向き合わねば……と想い、色々と教育に逝ったんだよ
お前が還ったからと言って、いきなり龍族に入るのは無理があるからな……
しかも‥‥アイツ等は蛇からの成長した訳じゃねぇ龍だからな異質に映る事もあるだろう
魔界の危機だったから、あの姿で成長段階をすっ飛ばすしかなかったってのもあるけどな‥‥
そう言うのを教えてやらねぇと龍族に入った時に歪みになるだろう
だから矯正して教えて逝こうと決めたんだ
俺は時間があると息子に逢いに行って教えている
龍族の歴史や作法、そして龍族での生き方
そしてアイツ等……四人の置かれるべき立場
色々と教えた
そしてそんな時間はとても大切な時間として、親子の絆を強くして逝った
俺の子だ……あの子達は確かに俺の子だ
俺は息子達といると嬉しくてな
風を切って飛ぶアイツ等は俺の誇りだと想うんだ」
「すっかり父ちゃんだな」
炎帝が謂うと黒龍は笑って
「お前はすっかり母ちゃんじゃねぇか!」と返した
黒龍は炎帝の胸を拳でポンッと叩き
「俺等の子が受け継ぐ魔界を………護らねぇとな」と言葉にした
「あぁ……そのうち次代の赤龍も還って来るかんな
還って来た魔界が……幻滅する世界じゃ……哀しすぎるもんな」
「そうだ炎帝!だから弱音は良いけど、匙は投げるなよ!」
「解ってんよ!黒龍
でもよぉ黒龍、オレが一番手の掛かるおめぇの子供じゃねぇかよ?」
長い間子供の姿をしていた炎帝の傍にいたのは健御雷神と天照大神、そして閻魔と黒龍だけだった
「だな!炎帝、お前は俺の誇りだ!
だから何時までも……先頭を走っていけ
後ろは俺が護ってやる
だから振り返ることなく走っていけ!」
遥か昔から………贈ってくれた言葉だった
忌み嫌われ
誰も寄り付かない存在の傍に……
黒龍は変わらずにいてくれた
ずっと……ずっと……変わらずにいてくれた
炎帝の辛い片思いを……支えてくれたのは黒龍だった
何があっても……
どんな事があっても……
変わらぬ存在
それが黒龍だった
炎帝は黒龍と拳を合わせた
「何があっても変わらぬ我が友よ……」
炎帝はそう言い……涙を流した
黒龍はタオルで炎帝の顔をゴシゴシ擦ると
「ずっと変わらぬ我が友よ!」と言葉を贈った
「魔界は……これからもっと強くなる」
だから何も心配するな
黒龍の想いだった
「ならば……転がって逝くか?」
炎帝は赤龍の背中に飛び付いて、そう言った
赤龍は背中に炎帝を貼り付けたまま、気にするでもなく飲んでいた
赤龍は手にしているインカ芋のチップスを、炎帝の口に放り投げた
「ほれ、食べなはれ」
そして天空を泳いでいる巨大ゲソクラゲの足の唐揚げを、炎帝の口に放り入れた
「………オレさ……魔界に還って来て……魔界の食い物食えるか……心配だな」
「………お前は元々、コウモリスープやコウモリの羽の唐揚げなんて食ってないやん」
「………コウモリ系は苦手だかんな……」
「ドラゴン系も食ってないやん」
「………あれ……臭いんだもんよー!」
「ならトカゲ系は?」
「肉が硬いかんな」
「………ならクラゲ系食ってれば?」
「……それだと何か侘しい……」
「………なら鳥系だな……手始めに鶏の唐揚げなんてどうよ?」
赤龍が謂うと朱雀がポコンッと赤龍を殴った
「………お前の言う鶏って俺じゃねぇよな?」
「………お前はあんまし食うところがなさそうだな」
「………赤いの……てめぇ……」
朱雀が唸ると………赤龍をポコンッと黒龍が殴り付けた
「朱雀……許せ……赤いのは本当に……お馬鹿だわ…」
酷い謂われように赤龍は唇を尖らせ拗ねた
「……なにそれ……ひでぇ言いようじゃねぇかよ?」
黒龍は赤龍の首に手を回しホールドして
「こらこら、あんましやんちゃやると木に縛って吊すぞ!」
子供の頃 やんちゃな事をやると黒龍に木に縛って吊された
『反省するまで下ろさねぇからな!』と謂われて……泣きながら謝った……
赤龍はそんな昔のことを思い出していた
「………兄貴……それだけは止めてくれ……」
「そうか?」
黒龍はそう言い赤龍を離して笑った
閻魔は「お前が一番の悪ガキだな……」とため息まじりに呟いた
「違ぇよ!失礼な奴だな」
笑い声が響く
程よく酒も入り
気分も良い
青龍は赤龍の背中にへばりつく炎帝を手にすると
赤龍から引き剝がして抱き上げた
そして「夫婦の営みをして参ります」と言いその場を後にしようとした
黒龍は「………今からか?」とボヤいた
「僕は何処でも構わないのですが、妻は嫌がりますからね……」
黒龍は青龍の言いぐさにため息を着いた
そして手をヒラヒラ振って
「新婚め!」と見送った
青龍は炎帝を抱き上げたまま寝室へと戻った
ベッドに炎帝をそっと下ろすと、服を脱がせに掛かった
「………青龍……」
「疲れた顔、してますよ?」
「ん……少し疲れたな」
「だから寝ましょう!」
「え?犯るんじゃねぇのか?」
「それだけじゃないでしょ?
セックスは愛の確認には必要ですが、それだけじゃない筈です
気持ちの先にセックスがあって、離れたくないから体躯を結ぶ
今はセックスよりも睡眠と休養が必要でしょ?」
「………青龍には隠せねぇな……」
「僕は君の伴侶ですからね
さぁ、抱き締めていてあげるので眠りなさい」
青龍はそう言い服を脱いだ
ベッドに入ると炎帝は青龍に抱き着いた
「…………何もかも後手後手だ……」
「それが定めなら……仕方がない事なのです」
「………そんな定めなど……要らねぇよ……」
「順風満帆……行ける事が稀なのです
人も魔族も天使も獣も……生あるモノが集まれば諍いは生じるモノなのです
絵に描いたような世界など……何処にもありはしない……そうでしょ?」
「青龍……オレだって不安になるさ……
夜叉王の一件からこっち……後手後手に裏目ばかり……勝機は詠めてるのに……誰かが傷付いて……血を流す……何故だ?」
青龍は炎帝を強く抱き締めた……
隙間もない位抱き締めて愛を囁く
余分な事は考えさせない為に……
青龍は愛を詰めていく
「僕の瞳に……何が映ってますか?」
謂われて炎帝は青龍を覗き込んだ
すると…………青龍の瞳には………
炎帝が映し出されていた
「………オレが……映ってる……」
炎帝はうっとりと青龍を見た
「君のモノです
君だけの僕です」
炎帝は青龍の頬に触れた
「愛してる青龍……」
「未来永劫……君だけを愛します」
そう言い青龍は炎帝に口吻けた
「僕の命よりも大切なのは炎帝……君です」
「オレも……オレの命よりも青龍が大切だ」
炎帝は青龍の背を強く抱き締めた
「このまま寝ますか?」
「………ん……多分勃たねぇかんな」
「なら寝ましょう!
僕が君の眠りの安息を守ります
だから君は……寝なさい
おやすみ炎帝……愛してます」
青龍はそう言い炎帝の額に口吻けを落とした
炎帝は深い眠りに落ちた
愛する男に抱かれて……安らかな眠りへと堕ちて逝った
目醒めると愛する男の顔が目に飛び込んできた
炎帝は笑って青龍に口吻けた
「起きてたのかよ?」
「ええ。少し前に起きました」
青龍は熱く滾った胯間を炎帝に押し付けて……
「君の顔を見ていたら……こんなになりました」
そう言い青龍は炎帝の性器を、カウパーで濡れた先っぽで擦った
「………青龍……」
「今日は人の世に還りますか?」
「だな……魔界にいてもやる事がねぇかんな」
「………なら……還る前に……」
青龍は炎帝に口吻けた
優しい接吻は………次第に深くなり……
歯列を割って舌を挿し込み……舌を搦め……口腔を暴れる接吻になる頃には……
炎帝は理性が尽きていた
青龍は唇を離すと顎を舐めて、首筋を吸って……鎖骨を舐めた
指は乳首を摘まみ、コリコリと揉んだ
尖る乳首を舐めて、吸った
「……ぁん……あぁっ……吸わないで……」
「好きでしょ?コリコリされながら吸われるの?」
そう言い青龍は乳首をコリコリしながら吸った
乳首を触られると………胯間がこれ以上ない程に熱を持ち……震えていた
先っぽからダラダラとはしたない液を零して……
「………ゃめ……青龍……止めて……イッちまう……」
「駄目ですよ?先にイクと辛いのは君ですよ?」
「なら……吸うな……やっ……あぁっ……あぁん……はぁ……イクッ……」
イキそうになる炎帝の性器根元で握り締めた
イケないのに……体躯は……イッていた
「ドライですか?
今からかそれだと本当に辛いですよ?」
「青龍……イジメるな……」
上目遣いで潤んだ瞳を向けられて……
青龍はそれだけでイキそうになった
青龍は炎帝の脚を開くと……脚を高く上げさせた
「脚、持ってて下さいね」
そう言い脚を持たせて、青龍は炎帝の秘孔を舐め始めた
性器じゃなく秘孔に指を挿し込みながら………
解して行った
ヒクヒク戦慄く秘孔は青龍の舌を美味しそうに咀嚼していた
亀頭の先からはドロドロと先走りを流して…いた…
「………青龍……お前ので擦りながら挿れてっ……」
「まだ解せてませんよ?」
「ならイカせろ!………って……」
炎帝は苦しそうに喘いだ
脚を持つ手が……滑る
持っていられなくなる
青龍は炎帝の脚を抱えると……秘孔に肉棒を押し当てた
そして少しずつ挿入を始めた
炎帝の秘孔は嬉々として青龍を飲み込もうとしていた
焦れったい……
少しずつじゃなく……奥まで欲しい……
炎帝の腸壁は青龍を留めておこうと……搦みつき……纏った
そうされると青龍の我慢も限界となり……
一気に挿入した
奥まで青龍を感じられ……炎帝の腸壁は青龍のカタチに纏わり付いた
「……あっ……あぁっ……青龍……青龍……イイッ……凄く……イイッ……」
「僕もイイです……君の中は僕を覚えて……纏わり付いて来ます……っ……三回突いたらイキます……」
青龍は炎帝の中を深く突くと……三回目に……射精した
炎帝の奥深くに……青龍の暑い飛沫が弾けて飛んだ
青龍の汗が……ポタポタ炎帝に伝って落ちた
青龍の欲望が尽きるまで……青龍は炎帝を貪った
愛する妻を全身で感じた
情事が終わると青龍は炎帝を胸の上に乗せた
炎帝は青龍の胸に擦り寄った
「湯殿に行きますか?」
「………ん……」
「………人の世に還りますか?」
青龍に謂われて炎帝は顔を上げた
その顔は晴れやかで……
迷いも曇りも何もなかった
「あぁ……オレ達の家に還ろう……」
「魔界には近いうちに来なくてはならないんでしょ?」
「だな……人の世に還れば……歯車は回り出す……
それが片付いた頃には魔界に来ねぇとならねぇ事態になってるだろうからな……」
「総ては決められし理……なのです
君は好きに動きなさい
僕は何があろうとも……君を守ります」
青龍は立ち上がると炎帝を抱き上げた
階下に下りて庭へと出た
湯殿に行くと朱雀と赤龍が湯に浸かっていた
「二日酔いじゃねぇのかよ?」
炎帝はそう言い笑って二人に声を掛けた
青龍は炎帝を下に下ろすと、石鹸で炎帝を洗い出した
綺麗に洗ってピカピカにしていく
総て洗い終えると、泡を流してやった
すると炎帝は湯に飛び込んだ
ザブーンッとお湯が跳ねて、朱雀はまともに湯を浴びた
炎帝は迷惑そうに顔を拭いている朱雀を視て……
顔が翳った
青龍は「どうしました?」と炎帝に問い掛けた
炎帝は笑って赤龍の顔に湯を掛けた
「………ゃめ……炎帝……オイタが過ぎる……」
赤龍はブツブツとボヤいた
炎帝は笑って「還るぜ人の世に……」と告げた
赤龍は「了解!俺も大蛇の塩漬けは……無理そうだからな助かった」と笑った
朱雀は「仙界は良いのかよ?」と問い掛けた
「………時期尚早みてぇだからな……」
炎帝はそう言い哀しそうに笑った
朱雀は何故そんな炎帝が哀しそうに笑うのか解らなかった……
「なら還るとするか!」
炎帝がそう言い立ち上がると、朱雀と赤龍も立ち上がった
人の世に……還ろう………
どんな困難にも立ち向かって歩いて逝こう……
決意も新たに炎帝は立ち向かう
何があろうとも……
血を流そうとも……
立ち止まる訳にはいかなかった
服を着て、閻魔の邸宅に向かうと、閻魔に
「人の世に戻る」と告げた
予期していた閻魔は「そうですか」とそれを受け入れた
「兄者……また還る」
炎帝がそう言うと閻魔は炎帝を抱き締めた
「その前に父者と母者が人の世に向かうであろう」
「楽しみだな……」
「そのうち私も……人としてお前の所へ逝こうと想う…」
炎帝は嬉しそうに笑って「待ってんよ兄者」と言い背を向けた
閻魔の邸宅の庭へと向かうと、青龍は龍に姿を変えた
「赤いの蛇に変われ!」
謂われて赤龍は赤い蛇に姿を変えた
炎帝は赤龍を胸ポケットに入れると青龍の頭に乗った
「ならな兄者」
「あぁ気を付けて還れ」
朱雀は鳥に姿を変えた
炎帝は青龍の鬣に掴まった
崑崙山に向かい人の世に還って逝った
閻魔は見えなくなるまで………姿を見送った
願わくば……
我が弟の逝く道が……
安らかでありますように……と願うばかりだった
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