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第32話 歹(がつ)②

建御雷神の薄くなった頭皮事情を鑑みて口にした 「何故じゃ!お前だって我に似て可愛いであろうが!」 そう言い建御雷神は康太の頭をグリグリ撫でた 素戔男 尊はそんな親子を微笑まく見ていた そして…「建御雷神、そろそろ逝くぞ!」と言葉にした 尽きない想いを断ち切って建御雷神は康太を離した 「では素戔男 尊、逝くとするか!」 建御雷神は素戔男 尊の横に並ぶと呪文を唱えた 素戔男 尊は「炎帝、我等は混沌などに負けはせぬ!我等は………多くの同胞を天魔戦争で亡くした……贖罪を送らねばならぬ! 虹色に輝く魔界を見届けねば……冥府の道は渡れはせぬ!」と告げて………消えて逝った 十二支天も建御雷神も素戔男 尊も消えて…… 辺りは静かに静まり返った 司録は康太の前に逝くと 「我が主炎帝!私は報告書を纏めて閻魔に報告致す所存です! 報告を終えた後、閻魔を貴方の元へ連れて参ります! 暫しお待ち下さい! 我等は貴方の憂いを排除する為に存在する 貴方が兄を想う気持ちはお側にいて誰よりも解っているつもりに御座います なので貴方の憂いを解決する為にも私は雷帝様をお連れ致す事に決めました 我が主、暫しお待ち下さい」 そう言い手の甲に口吻けを落とした 司命もその横に並び 「溺愛する弟さえいれば、あの方を釣るのなんて飛来クラゲを釣るのよりも簡単 あの方をお連れ致しますのでお待ち下さい この司命、命に変えても完遂致しますので…… 貴方は何も心配する必要はありません! 昔からそうでしょ? 貴方を主と仕えたその日から、私は貴方の想いのまま尽くして来た筈です 怪鳥の卵が食べたいと言えば、身を呈して取って来たじゃないですか! 人喰い花を所望した時だって、頭を齧られようとも取って来た私達です 雷帝様の捕獲など西洋ドラゴンの捕獲よりは楽に完遂出来る筈です 貴方は何も心配せずにお待ち下さい」 もうすっかり炎帝の従者司命になり言葉にした 「……司命……それじゃオレ……めちゃくそ駄々っ子じゃねぇかよ?」 「駄々っ子でしょ?」 そう言い司命は美しく笑った 想わず見蕩れる程の笑みだった この男は遥か昔から金色に輝いて美しかった 性格は…別として見目はどの宝石よりも美しかった 司録は康太を抱き上げて 「我等は何時の世も貴方と共に……それしか望んではおりません! 貴方が冥府に逝こうとも、我等はお供致しますから大丈夫です! 皇帝閻魔に能力を売り付けましたので雇って戴けそうなので、何処までもお供致します」 「いつの間に?」 「我等はぬかりはないのです炎帝!」 そう言い司録はニヤッと嗤った 底知れない奴だと想っていたが…やはり底知れなかった 深く知らねば好青年 優しい兄貴肌の司録だが、一度切れれば司命にだって止められない暴走型の性格をしていた 司命がキレた時は誰よりも冷静に司命を止める力強い奴だが…… 司録がキレた時は誰にも……嫌、主以外には止められない厄介な性格をしていた 司命と司録は名残惜しそうに康太を抱き締め、魔界へと一旦還って逝った 総てが終わると康太は閣下の前に行き、深々と頭を下げ 「総て見届けて戴き本当にありがとうございました」礼を述べた 閣下は「見事な采配でした。誰一人死ぬ事なく、誰一人哀しむ事なく終われた事を嬉しく想います」と慈しむ言葉を贈った 「閣下、これから貴方はどうなさるのですか?」 「君は……この倭の国を……どう想いますか?」 「……燻った火種は少しずつ、それでいて確実に人の世を狂わして逝くでしょう なのにこの国はそんな危機を感じてすらない この平和ボケした倭の国は、テロの驚異をもう少し身近に感じるべきだと想う ミサイルが頭上を飛んで逝っている瞬間にも花見に興じて恐怖さえ抱かない…… それがこの倭の国の現状だ 明日は必ず来ると信じて疑わない…… 目の前で爆弾が投下されたとしても、それが爆弾だとは想わないでしょう…… それが現実です テロを企てようとしている輩にとって、この国は赤子の手を捻る程度の防衛しか出来ていない事を誰も知らないってのがオレは怖いと想う 防衛も防御も甘いこの国は標的にされれば呆気なく陥落するしかない そんな危機管理を何とかしねぇと……ってのは閣下こそ誰よりも痛感されている事でしたね」 「そうです……若者に再び銃を取らせる事のない世界を作ろうと、団塊の世代は頑張った 頑張って高度成長を遂げて社会は豊かな社会を作った だがそれは見てくれでしかない 物価に釣り合わない雇用状況や賃金にはスポットライトが当たりはしない 若者のホームレスの増加……若者はこの国に何も求めてはいない この世界は着実に……狂って来ているのでしょう 理想を掲げる政治家は…… 誰を見て政策を唱えているのでしょうか? 矛盾に気付かない社会と、平和な日々は当然に来ると想っている風潮が人間を鈍らせているのでしょうか? こんな社会を……あの方はどんな想いで裏から支えて来たのでしょうか? そう想うと堪りません……」 「………閣下……それでも逝かねぇとならねぇ事があるかんな……」 「ですね……だから私はもう振り返る事はしないと誓います」 閣下の言葉に康太は頷いた 「還られましたら離宮にお越し下さい 待っています……では私はこれで還ります 本当に……楽しい時間をありがとう」 閣下は康太を強く強く抱き締め……離すと背を向け歩いて逝った その背中にどれだけの覚悟を決めているかは計り知れないが……… せめて、心安らかな時があります様に………と祈らずにはいられなかった 四神も還って逝く人達を見送って、康太に声をかけた 玄武が「炎帝、我等もそろそろ還るとする」と言うと、康太は玄武を抱き締めた 「玄武、ありがとう」 「我等は炎帝と共に在ると決めておる お前が手を必要とする時、我等は何を差し置いても駆け付けると約束しよう!」 と共にいる約束をしてくれた 白虎も「魔界はまだ虹色に輝いてはおらぬ……まだまだ天魔戦争の前に戻ってもおらぬ だから我等はまだまだ踏ん張り頑張るさ」と豪快に笑って康太を抱き締めた 「だな、虹色に輝く魔界はまだ程遠い…… だけど我等には力を共にしてくれる同胞がいる 絶対にそれまでは負けたりしねぇかんな!」 康太が言うと今度は朱雀が 「虹色に輝く魔界になったとしてもまだ先があるんだぜ?炎帝 まだまだ楽はさせる気ねぇから!」と康太を抱き締めて言った 榊原はさっさと朱雀を引き剥がして自分の腕に抱くと 「共に逝きましょう奥さん」とつむじに口吻けを落とした 一生が康太を引き剥がすと 「まだやる事があるがな!」と文句を言った 玄武と白虎は皆に別れを告げて魔界へと還って逝った 黒龍は「これが終わったら少し魔界へ来てはくれぬか?」と康太に頼んだ 「兄者か?」 「あぁ……」 「解った、(そんな状態だったのに)見届けてくれてありがとう」 「礼は要らない 元は魂の管理をする我等の落ち度だから、俺等は見届ける義務があった」 「それでも……何時も兄者を助けてくれてありがとう……」 康太はそう言い儚げに笑った 黒龍は康太の手を掴むと引き寄せて掻き抱いた 「……んな事を言うな……お前が言うと……永遠の別れみたいで不安になる……」 康太は黒龍の頭を撫でて 「オレはまだ人の世を終える訳にはいかねぇのに、んな訳ねぇじゃねぇか!」と笑った 甘えると言う黒龍は中々想像は出来ないが、確かに黒龍は炎帝に甘えていた 「お前が言うと冗談にならないからな……」 「黒龍……オレには伴侶がいる ずっと思い続けた愛しい男がいる だろ?不安にならなくて良いんだよ黒龍」 康太が言うと榊原は兄の手から康太を引き剥がし抱き締めた 黒龍は相変わらずで笑った 康太は黒龍に「少し待て」と言い蘆谷貴章と住良木晴葵の前に立って 「遺恨はねぇな?」と尋ねた 二人は「「はい!」」と答えた それを見届け康太は 「貴章、おめぇは桜林学園に転校しろ」と告げた 突飛もない話に貴章は驚き、そして嬉しそうに笑った 「転校ですか」 「嫌か?」 聞かれて貴章は首をふった 学校に友達がいる訳でもないから未練すらなかった 「………馴染めるか……少し不安です」 「それなら大丈夫だろ? 晴葵も桜林だし、桜林にはお前と同じ学年にオレの弟がいるし、陸王と海王と言う生徒会の役員している奴もいる 戸浪海里と千里も友達になってくれるさ そう言う運命なんだよ」 康太はクスッと笑ってそう告げた 晴葵は「貴章君、宜しくね」とすっかりご機嫌だった 康太は真島に「送らせようか?」と声をかけた 「宜しいのですか?」 真島は自ら運転する事はなかった 闇に囚われし者は運転すべきではないと、運転は止めた 白馬まで交通機関を乗り継ぎ、白馬の地に来てからはタクシーで康太の所まで来たのだった 「城田を待機させてある 送って貰って帰ると良い」 「ありがとうございました」 「駐車場に逝けば城田がいる」 康太が言うと真島は康太を抱き締めて、離れると歩き出した 振り返る事なく逝く真島を見送り、康太は晴充に声をかけた 「お前は何で此処まで来たのよ?」 「交通機関を使って参りました」 「なら朝宮が緑川の牧場に逝くって言ってたから乗せて貰うと良い! 貴章と一緒に帰ってやってくれ!」 「はい。解りました」 「還ったら今後の事を詰めてぇと想う」 「解っております 我等は貴方と共に参ります 救って下さってありがとうございました」 解き放ってくれてありがとう…… そう言い晴充は深々と頭を下げた そして身を正すと和やかに笑った 「歹は体躯に馴染む それもまたお前の息子の一部だ 支えてやってくれ」 「解っております…… 晴葵は晴葵に御座います 昔も今も優しい私の息子に御座います」 「そうか……なら良かった」 康太は胸を撫で下ろすと果てを見て言葉を紡いだ 「オレは昔、中身の空っぽの傀儡だった」 「………え?……なにを……」 「何もねぇ……何も詰まってねぇ空っぽだった 炎帝と言う容器の中に入ったオレは……虚無だった…… オレは何時も消えるチャンスがあるなら殲滅してくれと……願っていた オレは何の為に産み出された? オレは何の為に此処にいる? 解らなくてイライラして暴走する ストッパーのないオレに……父者や兄者は何時もハラハラしていた 引き留めておく材料がない……空っぽのオレは何時も刹那に生きていた 空っぽの自分を埋めるのは自分しかねぇ…… お前達はあの頃のオレの様に何も詰まっちゃいねぇな…… なぁ晴葵、貴章、そのまま生きるのは何も遺せないままだって気付いているか? このままじゃダメだって気付いているか?」 康太が言うと貴章は「はい……このままではダメなのは解っています」と胸の内を吐露した 晴葵も「焦って足掻いて何かを探していた……自分は他とは違うから……と他を拒絶していた こんなんじゃ何も詰められないよね……」と淋しそうに呟いた 「今日一日精一杯に生きて、幸せだと感じろ もっともっと回りを見て友達を作れ お前達はこの世で一人じゃねぇ……それを知ってくれ そしたら前に進める筈だ……」 康太の言葉を胸に刻み晴葵と貴章は目を閉じた 貴章は絶対の信頼の仲間たちを羨ましいと想った 愛し合う恋人達が羨ましいと想った 自分達も……そんな人達を探せば良いと謂うのか? 一歩踏み出せば世界は変わると謂うのか…… 不安と期待を胸に秘め前に進むと心に誓う 晴葵はニコッと笑うと 「康太さん貴方を詰めたのは伴侶殿なのですね」と一対の存在の様に立っている恋人を見た 康太は子供みたいに笑うと頷いた 晴葵は貴章を見た 貴章も同じ事を考えていたのか、晴葵を見て優しく微笑んだ 此処に来た時とは段違いに柔らかな表情を見せていた 晴葵と貴章は胸を握り締めた この体躯には……違う歹が入っていようとも…… それは既に体躯の一部なのだ……と謂われた この体躯は自分の体躯として死ぬまで生きて逝くのだ 手は抜けない 妥協も出来ない だって二人分の生を全うせねばならないのだから…… 「宜しく……安倍晴葵」 貴章はそう言い手を差し出した 晴葵はその手を取って強く握り締め 「宜しく蘆谷貴章! 共に逝こうね」 「あぁ共に逝こう この身が朽ち果てる瞬間まで我等は精一杯生きる事を誓おう! この歹に懸けて生きて逝こうぞ」 「あぁ……この歹に懸けて逝こうね」 二人は友情を芽生えさせていた 康太達はそんな二人を見て安堵した 朝宮が支度が出来たと電話が来ると、蘆谷貴章は晴充親子とと共に還って逝った 康太はそれを見送り、長かった闘いに終止符を打った 一生は「お疲れ!」と言い康太を抱き締めた 「一生、めちゃくそ腹が減った この着物を脱いだら一足先に還る事を告げる そしたらその足でオレは魔界へ出向く」 「なら俺等も逝く 閻魔大魔王のご容態も気になるし……」 「また子供達に淋しい想いをさせるな……」 「仕方がねぇって、あの子達はちゃんと理解してくれているさ」 「なぁ一生……オレは何時も想う 昔も今も……多分この先も……何もかも放り投げなにも持たぬモノになりてぇって……」 「それでも、お前は逃げ道を用意せずに逝くんだよ! だから俺達はお前と共に逝こうと決めている 昔も今もこれからも俺達はお前と共に在る」 「……子供達が…小学校に入学したら……総てを話すつもりだ」 「………まだ……早いだろ?」 「一生、あいつ等はもう薄々勘づいている…… 謂わずに過ごす方が疑心暗鬼を生む だから何もかも話そうと想うんだ それで……飛鳥井の歯車から外れたとしても、アイツ等はオレの子供なのは変わらねぇからな オレだって……アイツ等に嫌われねぇか不安だ ましてやオレは男だし、伊織も男だ そのうち解るようになる……男同士が夫婦だと謂うなんておかしいと……。 他の家と違う事に気づくだろう…… だから……早い方が良い 覚悟なら……とうに決めてるのにな……情けねぇな……怖くて堪らねぇんだよ」 「怖がらなくても良い……怖がらなくても大丈夫だ……お前の子はそんなに柔じゃねぇ…… ちゃんと受け入れられるさ」 「……だと……良いけどな……」 康太は瞳を閉じて……笑った 榊原は康太を引き寄せて 「さぁ真贋の着物を脱いで食事をしますよ! その後は魔界へ逝って閻魔にカツを入れに行きます! なのでサクサク逝くとしますよ!」 榊原はそう言い康太の手を掴むとスタスタ歩き出した 回り出した歯車は誰にも止められはしない 誰にも止められはしないのだ……… 康太達は源右衛門の屋敷に戻ると横浜に一足先に還る事を告げた 家族は何も言わず、それを了承した 何かは聞かない 逝かねばならない時は何かがある筈なのだろうから…… 子供達は何も言わず康太達を見送ると決めていた 幾ら寂しかろうとも送り出すと心に決めていた 離れたくのは子供たちだって同じだった 真贋の着物を脱いでやって来ると、流生は康太に抱き付いた だがやはり淋しいのだ…… 母がいるなら抱き着いてぬくもりを確かめて見たくなるのだ…… 「………かぁちゃ……どきょか……いきゅにょ?」 「あぁ……少しだけ留守にする お留守番出来るか流生?」 「ちゅる……おるちゅばん……ちゅるから……ちゃんときゃえってきて……」 流生はとうとう泣き出した 康太は流生を抱き締めて 「あぁ……ちゃんと還って来ると約束する お前達がもっと大きくなるまで……オレは絶対に死なねぇ……絶対にだ! お前達に渡すまでに………少しでも不安材料は取っておかねぇとな オレ達はお前達の未来の為に動いている お前達が受け継ぐ世界が少しでも穏やかで動きやすい世界を…と願って止まねぇ お前達が……受け継ぐ時……オレはいねぇかも知れねぇ…… だからこそ絶対の安心をおめぇらに譲らねぇと……と想っている」 康太が言うと翔が康太に飛び付いて泣いた 「………かぁちゃ…らいちゅきらから……」 それは言わないで…と頼む様に翔は必死で母に縋り着いた 「オレもお前達を愛してる……大切なオレの子供だろ?」 「かぁちゃ……いってらっちゃい……」 「おー!行ってくるな 還ったら飯を食いに逝こうぜ 翔の好きなパフェ頼んでやるからな」 翔は泣きながら何度も何度も頷いた 太陽と大空は烈を抱き締めたまま泣いていた 康太は三人を引き寄せて抱き締めた 「いい子にしてるんだぞ?」 三人の額に口吻けを落とし、頭を撫でる 太陽は「ちな……まっちぇる…」と 母を困らせない為に我慢して言った 大空も「いっちぇらっちゃい」と涙を堪えて言った 烈は「う~う~」と唸り康太を見上げていた 「ごめんな……」 康太が言うと太陽は康太に抱き着いた 大空も康太に抱き着いて……泣いた 音弥はそんな兄弟を離れて見ていた 逝かねばならない母に……近寄れば我が儘を言ってしまうから…近づけずにいた 康太は音弥を見て「音弥」と名を呼んだ 音弥は涙を堪えて「きをちゅけて……」と言った 「音弥、還ったら一緒にプラネタリウムに逝こうな 北斗やみんなで逝こうな」 「………かぁちゃ……おとたん……ぎゃみゃんれきる……」 「我慢ばかりさせて……ごめんな……」 「かぁちゃ…かえってきて……きゅれれば……ちょれでいいにょ」 「絶対に還って来るさ だってオレはお前達の母ちゃんだからな! ずっとずっと……オレはお前達の母ちゃんだから……」 祈りにも言葉だった 康太は子供達が小学校に入学する時、総てを話すと決めていた 物心付けば解る疑問を大きくするよりは、総てを話して……… 子供達に選ばせようと想っていた 飛鳥井康太の子は飛鳥井の礎になる駒として歯車の中に組み込まれた存在だが…… 康太は子供達に選ばせたいと想っていた 外に出るならそれでも仕方がない 飛鳥井は滅ぶ運命だと……想うしかない もう……誰かを犠牲にして続かなくて良いと想っていた 愛する子供の犠牲の上に成り立つ未来など不要だと想っていた 解き放ち……選択する瞳を養わせる そして決めればいい 自分の人生を懸けて進むべき道を…… 自分自身で決めれば良い それも運命なのだ 何百年も続いた飛鳥井が終わりを告げるなら……それも飛鳥井の運命なのだ…… だがあと少し…… あと少しだけ……オレから子供達を奪わないで下さい…… 康太は子供達を抱く手に力を込めた そして立ち上がると背を向けた その背は二度と振り返る事なく…… 子供達の前から消えた

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