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第78話 嵐の前兆

翌朝 安曇と堂嶋と三木は東京へと帰って行った 康太と榊原は兵藤のお見舞いをする為に病院へと出向いた 病室へ出向くと聡一郎は退院する事になったと告げた 聡一郎はただの疲労だったから、ゆっくり休めば退院する事が出来た 病室へ顔を見せた康太に聡一郎は感激して抱き着いて………突然の事に康太が呻き、康太の傷を知った 聡一郎は「大丈夫なのですか?」と泣きそうになっていた 隼人はソファーで寝ていた 康太は兵藤と聡一郎に深々と頭を下げると 「今回は本当にありがとう二人共!」と礼を述べた 兵藤は「止めてくれ!」と止めた 聡一郎は康太に「貴史、めちゃくそ酷い怪我をしてます!」伝えると、兵藤が 「康太の方が俺よりも酷いぜ!」と答えた 聡一郎は驚いた瞳を康太に向けた 「貴方……入院してなくて大丈夫なのですか?」 「烈と耀が大変な時に寝ちゃいられねぇよ!」 「烈はまだ意識が戻りませんか?」 「あぁ、低体温療法で今は眠らせてるそうだ」 兵藤は康太に「烈が助けに行った子は誰なんだよ?あんなに必死に探しに行ったのは何故なんだよ!」と問い掛けた 「それはオレは話せねぇんだよ! この件に関わってるのは烈だ!」 「え?あのお子様が? まだ初等科に入るガキにやらせるのか?」 「それが転生者の使命だかんな!」 「……話せる時になったら聞かせてくれ! でもお子様なんだし、ちゃんと見守ってやれよ」 「頑固だからな、アイツは…… 貴史、お前でも解ったんじゃねぇのか? 烈を中心に大きな波がやって来ているって それは大きなハリケーンばりの嵐を巻き起こし……飛鳥井にめちゃくそ大きな痛手を遺す事となる程にな………全て巻き上げて超特大の嵐を巻き起こすつもりなんだよ!」 「お前は……全容は知らないのか?」 「知ってる、だが烈がやると決めた事だからな 手出しは出来ねぇんだよ! また手出しなんてしたら、宗右衛門に対して失礼だろうが!」 「そうだよな……早く元気にならねぇかな? そしたらまた俺の車に乗せて湾岸沿いを走ってドライブに連れて行ってやるのにな」 「貴史、俺等の子供が来てるんだよ!  だから早く怪我を直せ!」 「俺も退院しようかな? んでもってお前等と共に過ごすわ! どの道退院しても構わないと言われてるしな」 「大丈夫なのかよ?」 康太が問い掛けると聡一郎が 「意識が戻らなかったから入院していただけです 意識戻ったので後は傷の治療だなので、退院しても構わないと謂われてました」 と説明した 康太は聡一郎に 「真矢さんが入院してるんだよ 聡一郎、還るまで真矢さんを見舞ってやってくれ 家族も来てるけど、週末には還る 5日間会社を臨時休業にして来ちまっまたかな 来週からは溜まった仕事をヒィヒー謂いながら片付けねぇとならねぇんだよ!」 と伝えた 聡一郎は「家族も来てるんですか?」と信じられない想いで問い掛けた 「父ちゃん達が還る前に意識が戻ってくれると良いがな……」 「戻りますよ!絶対に! あの子は無茶ばっかししますからね、お仕置きせねばなりませんね!」と笑って言った 兵藤と聡一郎は早々に退院手続きをして、精算すると康太と共に行く事に決めた レンタルパジャマを脱ぎ捨て支度をすると、それぞれ精算する為に病室を出て行った 康太は寝ていた隼人を起こした 「隼人お疲れ!」 「めちゃくそ疲れたのだ! 神野から電話は鳴り止まないし電源落としたのだ クビになったら康太、飛鳥井で使ってくれなのだ!」 「そんな日は来ねぇよ!」 康太は笑って隼人の背を撫でた 兵藤と聡一郎が戻って来ると、兵藤はICUに入ってる烈を先に見に行きたいと言ったから、ICUに入ってる烈を先に見に来た 管が通され眠っている烈を見て、兵藤は目を醒ませよ!烈!と祈るように呟いた 聡一郎も烈の姿にショックを隠せなかった 烈を見舞ってから真矢の部屋へと向かった 真矢の病室には清四郎が来ていた 清四郎は兵藤の姿を見て 「貴史君、大丈夫かのかい?」と心配して声を掛けた 「大丈夫です、まぁ救助を受けた時は限界超えてましたから意識を無くしましたが、もう大丈夫です」 「君……火傷や裂傷があったって……」 「康太は全身怪我を負ってますよ 足だって今だって歩くのキツい筈だ」 兵藤が言うと康太は悔しそうに 「クソ魔女の所為だ!クソがクソが!クソ魔女が!次は消してやる!殺してやる!殲滅してやる!」と叫んだ 榊原は康太を抱き締めて止めた 「貴史、怪我の事は言わない様に!」 「あ!!すまん……誰よりも悔しいのは康太だよな 俺もめちゃくそ腹が立つからな!」 兵藤は両手を上げて降参ポーズをした 清四郎は笑っていた その時真矢が「私も退院したい……皆と過ごしたいわ…」と泣いた 清四郎は妻を抱き締め「医者の方に相談して来ます!」と言い病室を出て行った 戻って来ると清四郎は 「久遠先生がもし退院を希望したら退院させてやってくれ!と口添えして下さってたので、退院出来るそうです 但し、横浜へ還ったら入院してくださいね!との事でした ちゃんと横浜へ行ったら入院して治すんですよ、真矢」と言った 真矢は夫の手を取り「治しますわ!貴方……」と涙した 清四郎は真矢の保険証を持って精算しに行くと、皆で借りている一軒家へと、向かった 家に着くと家族が出迎えてくれた 子供達は兵藤を見付けると【兵藤君!】と抱き着いた 聡一郎は真矢と清四郎を座らせると、兵藤も座らせた 一生が兵藤に「お疲れ!」と声を掛けてお茶を前に置いた そして康太に「包帯変えねぇと駄目でしょうが!」と言い久遠に処方してもらった塗り薬と飲み薬を用意した 榊原の薬も出すと「ほれほれ、脱ぎなはれ!」と言い服を脱がした 榊原の体にも無数の傷が着いていた 一生はそれを手当すると、次は康太の手当をした 「足、医者に掛かったのか?」とビッコを引く足の事を問い掛けた 「医者には見せたぜ! でも治療は横浜へ帰ったからと決めてるかんな!」 「ならあんまり無理するなよ」 一生は慣れた手付きで薬を塗ると包帯を巻いた そして足に湿布を貼り付け 「旦那、薬」と言った 榊原は康太に薬を飲ませ、自分も飲んだ 次に一生は冷蔵庫から野菜ジュースを取ると聡一郎の前に置いた 聡一郎は嫌な顔して「これは何ですか?」と問い掛けた 「貧血起こす子は野菜ジュースだって瑛兄さんが!」 聡一郎は瑛太を見た すると瑛太は何も言わずに笑っていた そして兵藤の所に行くと何故か兵藤の薬を手にして 「ささっ、脱ぎなはれ!」と言った 兵藤はヤケクソになり服を脱いだ 兵藤は腕から肩に掛けて火傷していた そして斬りつけられた様な傷が多数あった 一生は薬を塗ったり火傷の患者用の皮膚の代わりになるシートを張り替えたりと世話を焼いていた そして薬を取り出すと「ほれ飲みなはれ!」と薬を飲ませた 兵藤は服を着ると「何か食わせろ!」と注文した すると榊原はキッチンに行き、兵藤の分の朝食を前に置いた 流生は「お茶入れるよ兵藤君」 翔は「ふりかけだすよ兵藤君」 音弥は「テレビつけるね兵藤君」 太陽は「味噌汁つけてくるね兵藤君」 大空は「沢庵出すね兵藤君」 と至れり尽くせりの歓迎モードだった 玲香は皆がいる隣の部屋に布団を敷いた 襖を開けたておけば皆が見える その布団に真矢を寝かせた 真矢は布団に入って家族の騒ぐ会話を聞いていたが……暫くすると眠っていた 真矢が眠ってるのを確認すると康太は家族に 「今飛鳥井が抱えてる事を詳しく話すわ!」と言い話をした 「オレは星を詠む だが、そんなオレでさえ、今回の事は詠めなかった  ずっと星が赤く信号を出して輝いていた オレはその星が竜胆だと想っていた  だが今回はどれだけ星を確かめても居場所すら見つけられなかった…… そればかりか、詠んでた地名も全くの誤りだった 宗右衛門はオレよりも星詠みは長けている その力はオレに匹敵する瞳を持って産まれている だから烈は星を詠み動いた 今回、烈が動いた事により一族を揺るがす事態に発展した 相手はかなり上手くやっていた オレははっきり言って気付いてはいなかった それが烈が動いた事により……公に曝される事となった 今 烈は莫大なハリケーン級の嵐を呼び起こそうとしている…… 下手に動いたら飛鳥井は終わる……それ程の大事を抱えて、お子様は掃除はオレにさせてどんどん事態を大きくしゃがる算段だ」と一気に話し一息ついた 「ここまでで質問は?」 玲香が「で、そのハリケーンで飛鳥井がどう揺さぶられると謂うのじゃ?」と問い掛けた 「烈が助けた子は元飛鳥井耀、美容室【R】を展開する飛鳥井一眞の長男で次代の当主、琢磨が真贋に無断で山を祀る民の末裔を妻に娶って出来た子だ まぁ無断でも何事もなければ良かったんだがな、琢磨って男は浮気性でロクデナシだ 散々浮き名を流した挙げ句、女優の上間美鈴と謂う女優と結婚すると言い出した だが結婚するには既に妻がいる身 上間美鈴は琢磨の両親を支配し、食事制限、睡眠制限させ徹底的に監視の元に置いて支配した 思考を麻痺させ琢磨の妻をイビリ始めたんだよ 食事は抜かれ、綺麗だった髪も散切りに切られ……事あるごとに身体的、精神的に追いやった それでも離婚しないと知ると、今度は子供を標的にし始めた  一眞はそれに耐えきれなくなり、琢磨の嫁に家を出るように土下座して頼んだそうだ その妻の子が、烈が助けに行った子だ」 家族は言葉もなかった 康太はそれでも続けた 「上間美鈴と謂う女は、琢磨と結婚する前は花柳悦郎と謂う俳優と恋人同士だった だが独占欲の固まりの上間は悦郎を束縛した 束縛し、支配し、全てにおいて自分の言いなりにした 二人の事をブログでファンに報告する 幸せ一杯の上間に騙されファンも二人が結婚するものだと、信じて疑わなかった 悦郎を度外視して結婚の話が進み……何処へ行っても祝福される 別れ話を切り出せば死んでやる!から始まり殺し てやる!と追い掛けられ 何度言っても別れてくれず、追いかけ回される 結婚の話はで自分だけ置き去りにされどんどん進む そんなある日、悦郎の心は壊れたんだよ 話を聞くだけでもヤバい女だと想うやんか その女は本当にヤバい奴で自分より目立つ存在が憎くてたまらないのか? よりによって真矢さんを突き飛ばしたんだよ!」 【え!!】家族は驚いて声を上げた 「真矢さんは壁に激突して少しの間意識がなかったそうだ! それから目眩が始まったそうだ!」 康太が言うと兵藤が 「何時、何処でそれやられたのよ?」と問い掛けた 「何時、何処でかは本人から聞いてねぇから解らねぇ 視えただけだからな、後で詳しく聞くつもりだ! でも真矢さんはテレビ局で、って言ってたな 烈が覚醒めれば総ては回りだす そしたらオレは動き出すつもりだ! 烈を見て気付かなかったか? アイツ特大級の勝機を呼び起こしていやがる ICUに入ってるのに、烈の髪揺れてただろ?」 康太が謂うと兵藤は「やっぱしアレ勝機呼んでたのか?」と呟いた 「烈はオレを動かし飛鳥井の大掃除をやらせるつもりだ! 百年揺るがねぇ一族の絆を叩き出して、明日へと皆を導くつもりなんだ! その為のテコ入れなんだよ んとによぉ……何時の世も宗右衛門はオレを酷使しやがるぜ! だがその宗右衛門の来世の転生はねぇ……… あ、だからの人員の入れ替えか……そうか……千年続く果てへと繋げやがったなアイツ……」 康太が呟くと清隆が「話してはくれないか?」と問い掛けた 「それは出来ねぇんだよ 烈が動いてる今詳しく話す事は出来ねぇ だが源右衛門の転生はあと一度、オレと宗右衛門の転生も今世限りだ だからな、新しい明日の飛鳥井を築く礎が必要なんだよ! 烈が今、その果てを手繰り寄せている最中なんだよ  だから謂えば果てが狂うから言えねぇんだよ」 康太が言うと、兵藤は烈が『あしゅかいのはてぎゃくるうから……いえにゃい』と言ってたなと思い出していた こんな所も二人はよく似ていた 早く元気になれ! 兵藤は祈るように想った 家族も烈が元気になって欲しい、それだけだった 熊本に来ても毎日が目まぐるしく過ぎて行った 横浜へオペに行っていた久遠が戻って来た げっそり痩せて慎一が久遠を連れてやって来たのだ 家族か熊本に来て4日目の事だった 烈の低体温療法は徐々に体温を上げて通常レベルになっていた ICUから個室に戻って来て直ぐに烈は目を醒ました 飛鳥井の家族が熊本に来て4日目の夜 烈は慎一に家族を集めて欲しいと伝えた 集めるのは飛鳥井の家族と康太と榊原のみ 一生達が来るならば、静観者として一切口は出さない約束をした上で同席しても構わない!と言った 烈の個室に飛鳥井の家族と康太と榊原と、一生達や兵藤が出向いた 個室のドアをノックすると慎一がドアを開けた 病室の中へと入って行くと………烈のベッドの隣にガタイの良い、年の頃なら40代位の身形のいい男性が待ち構えるように立っていた 康太はやっぱりな……と想った 家族は全く知らぬ男性に訝しんだが何も謂わなかった 男性は家族に深々と頭を下げると「飛鳥井神威に御座います!」と自己紹介した 瑛太は「一族の方でしたか?初めてお目に掛かリますよね?」と訝しんだ声で問い掛けた 飛鳥井の人間で総代の瑛太が知らぬ存在が在ることこそ脅威だった 康太はこんなにも似ていたなんて……想いもしてなくて嫌な顔をしていた 一生は九鬼が言っていた神威が誰かを彷彿する姿に言葉もなかった 烈はニャッと嗤って待ち構えていた 今迄ICUに入っていたなんて信じられない程に…貫禄があった まだ顔色は悪いが、風もないのに烈の髪は揺れていた 神威は何も謂わなかった 康太は「オレ等を集めた本題を切り出されよ!」と言った 烈が「炎帝よ、貴方は魔界の今の現状をどう思われているのかお聞きしたい」と宗右衛門の声でもない……オリジナルの声で問い掛けた 「それは何を指すんだ?」 「明日菜の子は最初は男だった 美智留はあの日ボクの弟は君だね!と言った あの時点ではあの子の魂は男と女の双子の筈だった なのに蓋を開ければ両方とも女だった 不思議と思わなんだのですか?」 やはり痛い所を突いてくる 「それにお主に還ると言ったニヴルヘイムはどうだ? 飛鳥井のお主の傍へ生まれる筈が、何故に飛鳥井の血も繋がらぬ外で生まれた? 東矢にしても……消滅される寸前だった それを素戔嗚殿に頼み動いて貰った  何故だ?何故そんな命令違反が罷り通っているんだ?答えられよ!炎帝よ!」 「そんなのはオレが聞きてぇよ! 総てが後手後手にしかならねぇ現実に腹を立ててるんだからよぉ! んなの考えたら魔族も反魂で生き返らされた奴とかいたんじゃねぇかって考えるしかないやん」 「そう考えても良いかも知れぬと私は考えていました…… あの日……魔界も蒼い焔で燃え尽くされた時 何名かは息絶えた者がいた…… そう考えたら納得が行くんですよ」 「獅子身中の虫を飼ってたって事やんか 今一度 魔界の掃除と秩序が必要になってくるやんか!」 悪魔に中身を変えられてスカスカな存在にされたのは違い、反魂は生きてる存在と見分けがつかない……… 蒼い焔で燃え尽くした今 反魂は二度と出来はしないだろう だがそれは今後であって、既に生み出され蒼い焔に焼き尽くされても生きていた魔女のように魂に細工化してあったら? それはそれで難儀な闘いとなるだろう…… 康太は嫌な顔をした だが烈は爽やかに笑い 「それは炎帝が頑張って処理して下さい 私は………魔界には関われませんから!」と言い捨てた 「腹立つ!烈の癖に!」 康太はそう言うと烈のほっぺをぶにゅーっと伸ばした 烈は笑っていた 康太が手を離すと烈は 「耀とニヴルヘイムの転生者と東矢は我が預かる事とする!」 今度は嗄れた宗右衛門の声でそう言った 「その為の神威と謂う事か…」 康太は神威に向き直ると「叔父貴そっくりじゃねぇかよ!」とボヤいた 神威は笑って「仕方なかろうて!我は父者の息子故似るのですよ!」と言った 父の素戔嗚尊が魔界に逝く事になった時、息子の大年神は歳神として倭の国に残った 兄弟神の宇迦御魂は父と魔界に行き、親子は別々の道を選択した だが永久の別れをした訳ではなかった 崑崙山で逢って時折酒を酌み交わしていた 康太は「何か……叔父貴と話してる見てぇだな… オレの痛い所を突きやがって……… で、ニヴルヘイムの転生者は見つかったのか?」 「それはお主がよく知っておるであろうて! だが主には渡さん……主は隠してしまうからな」 「なら表に出して育てるのか?」 「耀と東矢とニヴルヘイムの転生者は神威が後見人になって然るべき所で育てる 儂が成人になったら後見人となる! その為の教育を施し飛鳥井の礎に入れる そすれば1000年先の転生者は確保出来る! 我等が人の世にいなくとも、源右衛門の転生が後一度だけだとしても飛鳥井は果てへと続く! 竜胆、恵方、耀、レイ、東矢、が果へと繋げて行く 明日の飛鳥井は確立された!」 康太は深々と頭を下げると「異存は御座いません……」と答えた 「悔しいか真贋よ!」 「………いいえ……宗右衛門が決めた事ですから」 「だがな真贋、竜胆は未だ解らずじゃ!  そして東矢の魂は転生が遅れてしまっている 今世は駄目かと想った程じゃ……」 「魂の管理委員会の方の不正ですか?」 「目立つ動きはしておらぬから、目に留まる事はないがな、色を加えておるのじゃ…… 明日菜の子がおなごになった様に……少しずつ手を加えて歪めておるのじゃ……… 儂は最初、御厨の破滅の序章のせいで歪んだのかと想ったが…そうではない 何かの意図により歪められておるのじゃ!」 烈の言葉に康太は何か思案した顔をした 「それって……超ラスボスが糸を引いてるのかよ?」 「それは炎帝よ、主が調べるしかなかろうて! 我はなんの力も持たぬ人の子だからのぉ…… 非力ゆえ父者が今世は儂の傍へ人の子として産まれ堕ちて下さったのじゃ!」 烈はそう言いガハハハっと笑った 康太は神威を見て 「やっぱ大歳神だよな? 本当に叔父貴にこんなに似てて良いのかよ? なら宇迦御魂は母親似なのかよ?」とボヤいた 「言ってやるな、あやつは母親似なのを気にしておるのじゃ! だが、あやつも変わったな 前は連絡すら取ろうとはせなんだのに、今はこまめに父者と崑崙山へ来て酒を酌み交わせるまでになっているのだからな!」  「オレが叔父貴関係に手を出せねぇの知ってて! んとによぉ、おめぇの子はズッこいぜ!」 「言ってやるな、今世はお主の子供であろうが!」 「オレの大切な子供だがな……人使いが荒すぎな気がするぜ? 掃除は総てオレで、烈は嵐を巻き起こすだけだかんな……」 ついつい愚痴が出る……… 烈は康太に「レイは飛鳥井の儂の部屋で過ごす事にする!」と告げた 康太は烈を睨み付けた 「………そのうち解るぜ?」 「それがどうした! どの腹で産まれようとも、定めには逆らえはせぬのじゃ! 今隠してもそのうち解るぞ、そしたらお主は誤魔化すのか? それは果てを担う者に対して失礼ではないのか?」   異存はないと言った以上は……… もう覆せぬ現実だった 「宗右衛門の想いのままに……」 康太は引いた どの道、烈が出ると謂うなら勝算などないにも等しいのだ 「所で真贋よ! 性悪女はどう制裁を加えるのじゃ?」 「宗右衛門がやりますか?」 「儂は表には出るには…小さ過ぎるからのぉ… 土台無理な話であろうて!」 「表はオレがやる 裏は烈、おめぇがやれ!」 「子供使いが荒いヤツやのぉ! なれば儂は裏をやる! 違いに責めて行き合流した時、総ては軌道修正される事となるだろう!」 「なら早く治して動くんだ烈」 「……しょれは……ちょっとむりにゃにょ!」 烈の声で謂うと康太は笑った 康太は「総て配置なさいましたか?宗右衛門! だから家族を呼び聞かせたのですか?」と問い掛けた 烈はコックっと頷いた そしね眠そうに丸くなり眠りについた 神威は烈の頭を撫でた後、姿勢を立たして 「私は弁護士をしています 真贋が天宮を駒にする様に、烈は私を使い 私は烈の為に動く存在に御座います! 以後 お見知り置きを!」 と自分の職業を明かした 瑛太は「貴方は飛鳥井の一族の誰の子として生まれたのですか?」と尋ねた 「私は飛鳥井志郎が息子に御座います 姉は飛鳥井志津子、姉が動きまくるので弟は影が薄い存在なのです」 清隆は「え!志津子に弟がいたのですか?」と驚いた声を上げた 神威はやはり言われる台詞に苦笑して 「姉の下には私と弟と妹がおります 姉が強烈なので、本当に我ら兄弟は影が薄いのです」と言うしかなかった 清隆は、たらーんとなった 何と言って良いのやら……… 「私は病院の医療系の訴訟にも強い弁護士なのです! だから久遠医師の子は医者と弁護士になるのが定めなのです」 だから拓美と拓斗は医者と弁護士になるのか……と家族は今更ながらに想った 神威は姿勢を正すと 「それでは私はこの辺で失礼します!」と言い帰って行った 清隆は「帰る前に烈の顔が見られて良かったです!」と烈の頭を撫でて言った 瑛太も「まだ移動は出来ませんか?」と問い掛けた 「来週精密検査をした結果らしいからな……どうだろ?」 「……耀は意識が戻りましたか?」 「まだ体温を徐々に上げてる段階だから意識は戻ってねぇよ そして一番心配なのは、死にそうなってたから障害が出るかも知れねぇって事だと久遠に謂われたかんな、諸手を挙げては喜べねぇよ」 「そうですか…… ですが私達が帰る前に烈の覚醒めた姿が見れた………それだけで家族は安心なんですよ」 「瑛兄……」 清隆も「やはり烈の存在感ある姿がないと始まりませんね 今回本当にお茶飲んでてもお酒飲んでる貫禄の烈の存在を感じました 横浜へ帰る前にその姿が見られて本当に良かった」と笑って言った 家族は皆 烈の背負うべく重荷をまざまざと見せ付けられた事となった やっと初等科に入る子供の背負う荷物でないのは解っているが……… 何も手出しは出来ない現実が悔しかった それはその場にいた全員が感じていた事だった 飛鳥井の家族や子供達は次の朝、横浜へと向けて帰って行った 烈の転院が決まったのは週明けの事だった 耀の方はまだ目醒ない為 移動は不可能と謂われた 誰かが残り耀のフォローをせねばならない 誰が残るか?と仲間内で話し合った 全員が残っても大丈夫だと言ってくれた 康太は「なら一週間ずつ交代するか?」 と提案した 聡一郎が「それが良いですね!」と賛成した 「なら誰が最初に残るよ?」 一生が「俺が残るわ!」と立候補した 聡一郎が「君さ飛鳥井の掃除 残ってるでしょ?」と却下した 「まだ掃除中だけどよぉ……」 一生はブツブツ呟いた 聡一郎が「僕が残りましょう!悠太を熊本に呼び寄せたので今夜には来ます」とニコッと笑って言った 「おっ!悠太来るのか なら聡一郎に頼む事にするわ!」 「ええ、僕はリモートで仕事しますが、耀の面倒は悠太がやってくれます!」 相変わらずかかあ天下な発言に康太は笑った 「なら次は誰がやるよ?」と康太が言うと慎一が 「俺がやります!どうせこの借家の契約が切れるので手続きとかせねばなりませんから、俺が相応しいでしょう! レンタル家電や布団の解約等やることがあります!」と答えた 「なら慎一に頼むな! そしたら一生が久遠を連れて耀の搬送の手続きに来るからな そしたら一生と久遠と共に還ると良い!」 「はい!解りました! 烈、転院出来るのですか? あの家族を集めた日以降眠ったままなのに……」 烈は家族の前で存在感たっぷりな姿を披露した後、眠りについてまだ起きてはいなかった 「あれは無理して起きてたんだよ だから今は眠って体を癒やしているんだよ 久遠は移動出来ると謂うから、烈は久遠が持って来た治療用セスナで病院まで運ばれる事となった オレ等もそれに合わせて横浜へ還る事にした 真矢さんも清四郎さんも一緒に還る事にする まぁ真矢さんは横浜へ還ったら入院になると想うがな」 康太が謂うと兵藤が  「なら俺も還る事にするわ!」と言った 康太は兵藤に「少し時間があるなら……引き続き烈のサポートしてくれねぇか?」と頼み込んだ 兵藤は「良いぜ!烈は裏から責めるんだよな! 乗りかかった船だ!最後まで見届けてやるぜ!」 と了解してくれた 烈と行動すればいずれ兵藤は知るだろう…… だがそれが定めなら康太は受け入れる事にしたのだ 総てが烈の歯車に嵌ったのならば、後は止まる事なく動くしがないのだから……… 康太と榊原と一生と慎一と隼人と兵藤は、その日の晩 横浜へと向かって飛びった 康太と入れ違えで悠太が熊本へ到着し聡一郎と合流した 横浜へ還れば総てが回りだす 嵐の前兆は……センセーショナルな狼煙を上げて幕が切って落とされた 康太と榊原は横浜へ還って来た 烈は個室に入れられ退院する日までリハビリに明け暮れるだろうと謂われた 烈の体は寝ていた時が長すぎて、自分で歩く事すら不可能だと謂われた 機能回復訓練が主としてなると、入院中の治療方針を久遠に説明を受けた 飛鳥井の病院に入った事を家族に知らせた そして連絡を待ちわびた人々に連絡を入れた 相賀は号泣していた、須賀が傍にいたから直ぐに行くと連絡があった 戸浪や善之助に連絡を入れた 戸浪と善之助にも……電話にも出てくれない日々は辛すぎましたと泣かれた そして直ぐに病院へ逝くと言い、直ぐに駆け付けて来た 安曇と堂嶋と三木にも連絡を入れた 近いうちに見舞いに来ると連絡があった 暫くすると相賀が須賀と神野を引き連れて見舞いに来た その後に戸浪と善之助が病室を訪ねて来た 烈は眠っていた 烈の眠る姿はまだ窶れて痩せ細いた 前に見た姿と全くと言って違っていた 全員が言葉を失っていた 康太は「これでも少しはマシになった方です、運ばれた時は土気色の顔をしてましたから…… 低体温療法で体温を下げて機能を回復させてくれたから、今もこうして生きていられるのです」と答えた 須賀は烈の頭を撫でて「この子は君にそっくりなんですね」と笑った 無茶ばかりする康太の子なのだと想った 相賀や神野も烈の頭を撫でた 康太は「相賀、須賀、烈は動き出した、もう止まらねぇ…二人を巻き込み幕が切って落とされた 目が醒めて体力を付ければ、烈は動き出すだろう その火種は大きく燻ぶり……二人を巻き込んでしまうかも知れない……」そう言い深々と頭を下げた 相賀と須賀は慌てて康太を止めた 須賀は「上間…関連ですか?」と問い掛けた 「多分そうだ、だが烈の動きを邪魔する事となるから詳しくは言えねぇんだよ」 「烈が動くのですか?」 「そうだ、それが飛鳥井の転生者の使命だからな 烈は寸分たがわずに動く事だろう」 皆は言葉もなかった 戸浪は海や皇星とそんなに違わないのに…背負うモノの大きさに定めなのだと痛感した 烈がパチッと目を醒ました ずっと寝てたのに突然目を醒ますから、康太と榊原は我が子の傍へと近寄った 「とーしゃん」 「なんです?烈」 「あのね、ひゃっちんにあるニギニギするやつ、ほちいにょね」 榊原は慎一を見た 慎一は「握力のヤツです、ならば一番小さいキロ数の買って来ますね」と答えた 「きゃらだ、なまっちぇるのよ」 烈は首をコキコキ回して、そう言った 「死にかけてたんだから……そりゃぁ鈍るだろ?」 「はやきゅうごけないと、いのちとりににゃるにょ!」 「……俺の仲間がお前の変わりに動いてくれる だからお前は指示を出せ! その間にお前は体を治せ!」 「あい!」 烈は返事をした 榊原は「何か欲しいのありますか?」と問い掛けた 「ちゃ!」 「君の好きな熱々のお茶は無理なので、伊右衛門で手を打ちませんか?」 「ちかたにゃいにゃー!」 烈は笑っていた 榊原は冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出すと、湯呑に入れて烈に渡した それはそれを美味しそうに飲んだ 烈は相賀を見付けるとニャッと嗤った 「おーが!ぼきゅね、たのみがありゅにょ!」 相賀は烈の傍に寄ると「何ですか?」と問い掛けた 「あしゅかい かむいがいくから、ばぁたんドンされたひの、ぼうはんかめら てにいれてくらさい!」 「真矢がドンされた日の防犯カメラですか? それは何時の時の出来事ですか?」 「まねーじやーにきく、よろし!」 「解りました、マネジャーに連絡してみます」 相賀が電話の為その場を離れると 「つぎはしゅがらね!」と須賀を呼んだ 「私ですか?何なりと申し付けて下さい」 烈は須賀を見据えて嗤うと、嗄れた声で 「上間美鈴を切れ! あやつは妹を洗脳と恐怖を与えて自由に使える駒にしている 妹の稼ぎを総て自分のモノにし、旦那にも不正を働かせ金に飽かせて遣りたい放題やっておる これより上間美鈴の悪行を総て曝す事とする! 榊原真矢を突き飛ばし、頭に血腫が出来る程の障害加えた もう捨ててはおけぬ! 今度は己が死んだ方がマシだと謂う想いを味合わさせてやる! 人の痛みの解らぬ奴は何処まで行ってもクズにしかなれぬ! 儂は真贋の様に甘くはない……目には目を、歯には歯を! 命には命で持って償わせる! それが制裁だと儂は想うからな、とことんやるつもりじゃ!」 と宣言した 須賀は「貴方の思いの儘に……我等も手を拱いていた訳ではありません! 裏ブログを発見した時点で、上間との契約は終了致しました」と告げた 上間美鈴がこの先どうなろうとも……我が事務所とは無縁だと声明も出した 「ならば追い詰めるかのぉ真贋」 須賀の事務所のダメージを軽減させてから、動く算談を着ける 抜かりのない考えに康太は、表を責めねぇとな!と想った お茶を飲むと父に「ちゃ!」と催促した 榊原は湯呑に伊右衛門を入れた 「とーしゃん」 「何ですか?烈」 「らいすき!」 「僕も大好きですよ」 「とーしゃん、なんらかちかれた」 「寝ますか?」 「うん……れも……こんなんでちかれてたら……うごけにゃいのよね」 「なら盛々食べて一日も早く元気になりなさい」 烈は頷いた 「はやきゅ……かえりちゃいにゃー」 父に湯呑を返すと、烈は丸くなって眠りについた 康太は「今までの体力をリセットされた様なもんだもんな……リハビリをこれから始めるんだ!」と烈の過酷な日々を想い口にした 家の為に死にそうになりながらも、それでも果てへと進む その足取りに躊躇は全くない 相賀が戻って来ると烈は寝ていた 相賀は「マネージャーに聞いて動いてもらうように話はして来ました……烈 寝てるんですね」と残念そうに呟いた 康太は「体力をリセットされたようなもんだからな、仕方ねぇよ でも生きてれば明日へと歩みだす、それが烈だかんな!」と答えた 戸浪は「烈の背負うモノは大きいのですね」と呟いた 「仕方ねぇよ、それが飛鳥井の転生者としての使命だかんな! 生半可なモノは背負えねぇと決まってるんだよ! 下手したら真贋の翔よりもキツくて苦しい道を逝かねぇとならねぇんだ!」 戸浪は言葉もなかった 「今世は結構大変なんだよ 今いる礎の存在を来世で失うからな……その為に来世の存在の布石を打たねばならない 総て軌道に乗せて配置せねばならないからな」 善之助は「謂われても大丈夫なのですか?」と問い掛けた 康太は「総て配置された、後は烈の描く軌道の上に配置すれば果てへと続く事となった だから口にした、もう果ては変わらねぇからな!」と不敵に嗤って見せた そんな嗤い方…良く似ていると戸浪は想った だから「二人は良く似ておいだよ」と口にした 「傍にいれば似るのですよ」と康太は笑った 「此れより烈は動き出しだします 今は烈が巻き起こす嵐の前兆………嵐の前の静けさにしかならない 動き出せばノンストップで事を進めて逝く 世間を騒がし……上間の罪を暴いて行くだろう……… 命は等価交換でなくてはならぬ!と謂う烈の言葉通り、等価交換で受ける断罪となるでしょう」 相賀は「我等は烈の思いの儘に動くと誓う!」と言葉にすると 須賀も「私達も烈の思いの儘に動くと誓う!」と約束を口にした 神野も「俺も入れろ!俺も烈に全面協力してやる!俺を使えば良い!」とやる気満々で立候補した 戸浪も「ならば私も烈に協力せねばなりませんね!」と言うと 善之助も「私だって烈の協力者に立候補します!」と言い出し収拾がつかなくなり、康太は笑っていた 皆の気持ちが嬉しくて笑っていた 榊原は皆に深々と頭を下げた 親として皆に感謝の想いを込めて、頭を下げた 相賀は「伊織、止めて下され!」と榊原を止めた 「皆さん本当に烈の為にありがとうございます!」 榊原が言うと戸浪は「我等は君達と共にいたいのです!だから惜しみのない協力を願い出ているんだよ! 況してや烈が動くとなれば、我等は何としても協力するよ! 烈は……我が息子とそんなに年も変わらないのに、背負うべくモノがあまりにも違う…… ただ見てるなんて悔し過ぎる! だから烈が協力を必要とするならば、私は共に動きたいと思うんだ!」と刹那に語った 相賀も須賀も神野も善之助も同じ気持ちだから、頷いていた 皆の想いの援軍を受け、烈の果てへと繋がって逝く……… この日、烈は目醒める事はなかった 皆が烈の眠る姿を見詰めて、帰宅して行った 烈は病院に寝泊まりする存在に一生を指名した 「かじゅ、おねぎゃいね」 「おー!任せとけ!」 その日から烈の血反吐を吐くリハビリが始まった なまりになった体は歩く事すら叶わなかった 機能回復訓練は生半可な痛みじゃなかった 今まで動かしていなかった筋肉が悲鳴を上げる 痛みに蹲る烈を一生は抱き締めて、優しく撫でてやった 慎一ならば優しく泣かせてくれるだろう…… だが烈はそれはしてはならないと想った 幾ら痛くても辛くても苦しくても、泣いたらそこで終わるのを知っていたから…… 自分でトイレに行けるまで一週間掛かった やっとこさ歩ける様になると、そこからは烈は猛烈に回復を見せて退院までの2週間の間には総てが完全に回復出来ていた 烈は「さてとはんげきしゅるにょ!」と燃えていた 許さない! 絶対に許してはならない! 人の命を軽く扱った罪は重い 一生は「その前にお前さ、入学式だぜ!」と現実に引き戻してやった 烈は目を輝かせ「あー!しょうらった!」と飛び上がった 入学式に間に合ったのだ! 「かじゅ、にゅーがくちき いつにゃにょ?」 「今日だぜ!ほれ制服に着替えるぞ!」 一生は烈の前に制服を置いた 烈はまさか入学式当日なのかと?驚きつつも パジャマを脱ぎ捨てて、桜林学園 初等科の制服に身を包んだ 着替えると、スボンがやはりスカスカで一生は持って来ていたサスペンダーでスボンが下がらない様にしてやった 「かじゅ、にゅうがくちき!」 烈が嬉しそうに言うと病室に礼服をビッシリ着込んだ榊原と康太がやって来た 胸には花を付けていた 「かあしゃん!とうしゃん!」 烈は両親に抱き着いた 入学前の面接は病院で行われた 見舞いと面接を兼ねて学園長の神楽四季と佐野春彦が病室にやって来た 痩せた烈の姿に神楽と佐野は胸を痛めたが、確りと元気良く答えるその声に、ホッと安心した 神楽は「元気良く登校して下いね!」と烈の頭を撫でて言った 烈は「はい!」と答えた ずっと兄達と通える日を夢見ていたのだ それがやっと叶うのだ 烈のワクワクは止まらなかった 病院を後にすると父の車に乗り込み家へと還る 車を停めて桜林へと向かうのだった 飛鳥井の家に還ると家族が待っていた 瑛太と清隆と玲香は遅刻覚悟で待っていたのだった 烈は家族を見て「ただいま!」と口にした 家族は「お帰り烈!」と優しく迎え入れてくれた 清隆は「今宵は入学と快気祝いをしましょう!」と言うと全員が頷いた 康太は「入学式に遅れるかんな!行ってくるわ!」と言った 【行ってらっしゃい!】 全員声を揃えて送り出した 家族は見送ると会社へと向かった 休みを取ってた分、仕事が溜まっているのだ 康太と榊原は烈を連れて桜林学園 初等科へと向かった 一生は家の中へ入り、慎一と共に今夜の支度を始めた 新しい日常の始まりだった 断罪の時の始まりだった………

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