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第90話 統制を!絶賛 防風圏内真っ只中
朝早く、飛鳥井の家に建設 施工 製図部の統括本部長補佐である城田琢哉が訪ねて来た
城田は烈が足場ハンマーを投げ付けられ怪我する少し前に烈からラインが入り、会議室の扉の前に聞き耳を立てて立っている女を調べてくれと謂われたらしい
烈からラインが届いた城田琢哉は証拠となる写メを取り身元を調べる為 愛染や瀬能と共に動いていたと謂う
製図部の女は警察官が来ると、その場を写メを撮り、離れた場所から様子をチラチラ伺っていた
そして帰り、後を付けていると、女は待ち合わせしていたらしき男と共に毎度日報へと向かった
城田は「今朝の記事は、その女が新聞社にリークしたんです!」と飛鳥井を尋ねて烈に報告しようとしたが、烈不在なので康太に写真付きで報告してくれた
報告を全部聞いた康太は烈が足場ハンマーを投げ付けられ怪我をした事を告げた
城田は怒り狂い
「製図部の女 北野歩美を朝イチで呼び聞いてみましょう! 多分 スパイなら仕事関係もリークしてたりしてすると想います!」
とかなり怒りモードで言った
「烈、俺の癒やしなのに!!
許せない……許しちゃ駄目だと俺は想う!」と涙ながらに言った
康太は「製図部ってあんまし手がかからねぇから、そう言えば介入したのってかなり昔以来だよな?」と思い出して謂う
榊原は「城田を退職に追いやって以来関わりは持ってませんね!」と思い出し言った
城田は困った顔をして
「想えばあの頃の俺は怖い物は何もない有頂天な奴でした………すみません!」と謝罪した
康太は笑って「今のおめぇは誰よりも確かな存在だから烈がおめぇにラインしたんだろうが!」と言った
城田は「烈の怪我酷いんですか?」と尋ねた
「頭蓋骨陥没で入院だ、元々皮膚が弱いからな
前の傷も完治してなかったんだよ」
「お見舞いに行っても良いですか?」
「おー!顔を見せてやってくれ!」
城田は怒り狂って、許せない思いを抱き還って行った
康太と榊原も支度して会社へと向かう
一生がこの日烈に付き添った
学校に休学の連絡を入れたのも一生だった
長瀬は言葉もなく一生の言葉を聞いていた
やっと学園に通い始められたのに……再び怪我を負ったと謂うのか?
転生者と言うのはこんなにも大変で、こんなにも満身創痍で生きて逝かねばならぬ存在だと謂うのか?と長瀬は想った
烈は寝ていた
怪我をしたり、熱を出したりすると烈は起きない
時々烈は眠りに入り起きない時がある
それは、そうしないと体が辛くて耐えきれなかったんだと……今更ながらに想う
ガタイが良いから無敵に想えた烈の意外な一面を目にした様で、一生は辛くて仕方がなかった
飛鳥井の家では凛が烈の事を聞き、怒髪天を突いて怒っていた
「宗右衛門!何かやると思っていたら!!」と凛も烈が何やらやるのを感じていたらしい
レイは目の前で烈が自分を庇って怪我をしたからショックが凄くて、兄達や和希や和真、北斗も総出で慰めていた
椋はあぁなる様に煽って火の粉を焚べていた烈は、総て詠んでいたのだと解っていた
だが目の前で烈が怪我したのだ
ショックな訳はなく、兄達や和希達に慰められ自分を立て直していた
自分が宗右衛門を継ぐのだ
だけど……僕はあんなに破天荒で嵐は呼べないよぉ〜
と心の中での葛藤は凄い
只今 宗右衛門が齎した防風圏内 真っ只中
会社も大変なんだろう……と椋は想う
勿論 会社は大変な事になっていた
朝イチで城田が動き北野歩美を捕縛して、社長達が出勤して来るのを待ち構えていたからだ!
そして今一度、会社全体を見直しさせるつもりだった
会社の為に動けれない奴
資格を詐称している奴
そんな奴等は会社には不要だからだ!
獅子身中の虫を飼っている様なモノなのだ!
朝から社員は燃えていた
烈が怪我した事も何処からか噂が出て、許すまじ!オーラ全開の社員は社長達を待ち構えていた
地下駐車場に車を停めると、続々と役職付きを社員食堂へと連れて逝く
康太と榊原も社員食堂へと連れられて行くと、城田 愛染 瀬能 栗田 陣内 蒼太が待ち構えていた
会長も社長も社員食堂へ呼ばれていた
城田は康太を見ると「我等飛鳥井の社員は、宗右衛門が齎した防風圏内の真っ只中にいます!
なのでこの機会に社員を調査されては如何ですか?
この女、北野歩美は、昨日会社に警察が来た事を新聞社にリークしました
あたかも飛鳥井に不正があり踏み込んだ様に書き込ませた!
これは飛鳥井の社員である我等に喧嘩を売っている様なモノだ!」と言ってのけた
北野歩美は不貞腐れた顔をして「今飛鳥井の話題なら20万は下りませんでした!」と小銭を稼いだ事を悪びれもせず口にした
社長である飛鳥井瑛太は「懲戒解雇を言い渡します!その前にその記事以外にも何処かにリークしたり情報機密を漏らしたりしてませんか?」と問い掛けた
それに答えのは飛鳥井恵太だった
「昨夜遅く城田に北野の事を聞きました
我等製図部は北野の仕事を今一度調べました
製図部は他の部署とは違い、室内に籠もり仕事をするので変な動きしたりする者は目に付きやすいのです!
昨日、北野が何処かへ行って戻らぬので我等は不審に思い彼女の仕事近辺の持ち物から探っていました!
そしたら彼女のペンケースの中からは大量の雑誌や新聞社の記者の名刺が無造作に入ってました!」
そう言い名刺を食堂のテーブルの上にバラ撒いた
城田は「一番高いオッズの会社に今回の事を売ったのでしょう!」と吐き捨てた
愛染は「知り合いの刑事には今回の事を伝えておきました、これは機密事項の漏洩です
それか企業スパイか?
何にしろ!会社に何しに来ているんですか?って話です!本当に腹立たしいです!」と許さぬ想いを口にした
瀬能は「宗右衛門が血を流し体を張った会社を、我ら社員が護らずしてどうします!
東神奈川の工事の不正は我等飛鳥井の社員が必ずや追求してみせます!
不正は許さない!
それに伴い、我等社員は己の身の潔白を此処で白日の下に晒す事を誓います!
不正な建築士免許を持ってる者は……」
ゴゴゴゴゴゴッ怒りのオーラを全開にして、滅多と怒った事のない瀬能が言葉を溜めて皆を見る
「地獄を見る想いをする事を此処に宣誓します!」
ニコッと笑い謂う
だが瞳は誰よりも怒っていた
飛鳥井の社員は一眼となり宗右衛門が齎す防風圏内の吹き荒ぶ嵐に備えて踏ん張る事にした
凄まじい団結力を見せられて、会長、社長、副社長、真贋は言葉がなかった
全部 城田や愛染、瀬能に持って行かれた
榊原は何とか踏ん張って北野歩美の前に行き
「解雇通知は後で送ります
君はもう我が社の社員ではない!
とっととこの会社から出て逝きなさい!」
とキッパリと解雇を突き付けた
北野歩美は何も言わず、その場を去った
その場は一時解散となり、一人一人資格証明書を確認する事を告げた
全員の資格証明書を持って正式な証明証か確かめに行く作業に入った
それと並行して東神奈川の現場の負債を天宮と神威を呼び出して詰めて行く
飛鳥井に来た神威はそこで烈の怪我を聞き
「それはもぉ!腕によりを掛けてやらねぇとな!」と怒りに満ちて謂う
天宮は「神威先輩、貴方は怒ると遣り過ぎるって解ってます?」と予防線を張ろうとしたが、ぶった斬り
「儂の大切な者を傷付けられたのじゃ!
黙っていては男が廃る!」と何処ぞの誰かを彷彿させる言葉で謂うから、康太はそれはそれは嫌な顔をしていた
それからの神威は甘い事を謂う天宮を蹴り上げて、緻密な計算を上げて行くのだった
流石企業弁護士
今の所医療系の訴訟は負け知らずと謂われる弁護士だった
東神奈川の社員や作業員達は連日警察での取り調べをされ、真実を話し始めていた
烈を怪我させた社員は今は冷静になり、申し訳なかった…と謝罪を口にしているらしい
だが時間差で烈がぶっ込んだ書類を三木竜馬が国会議員である父 三木繁雄と共に警察署に出向き持ち込んだから、今は息の根を止められる事となっているだろう
烈と竜馬ば共同出資をして立ち上げた会社は3つ
その中に企業関係に特化した探偵事務所を設立したのだった
その会社の代表取締役社長は飛鳥井歴也
彼の今までの人脈やコネをふんだんに使い、会社として成り立たせ成果を上げてる最中だった
まだ出来て僅かな会社ではあるが、その噂はかなりの、各方面に轟き実力を示していた
その歴也自らが調べた書類なのだから、きっと生きているのが嫌になる程の出来となったろう!
烈はまだ眠っていた
周りの喧騒を他所に眠りの中にいた
竜馬は課せられた仕事を遣り遂げた後は、ずっと烈の傍にいた
ずっと家に還ってない兵藤貴史が久し振りに飛鳥井の家にやって来て、烈の事を聞き病院にへとやって来た
烈は頭を包帯グルグル巻にして眠っていた
兵藤は言葉もなく「何で………こんな事に……」と呟いた
竜馬は兵藤に詳しく話をした
兵藤は烈の包帯が巻かれてない頭を撫でて
「飛鳥井、今大変なんだろうな……」と言葉にした
「ええ、防風圏内真っ只中です
多分 烈が起きて鎮めないと収まりません」
「かなり時間早めたんだな烈」
「俺はずっと東神奈川の現場に行かされていましたから、その時から考えていたんでしょうね」
「俺は少し会社を覗いて来るわ!」と言い兵藤は病院を後にした
烈に朱雀の仕事を完璧上げてくれて、ありがとうと礼を謂うつもりだったのに……
烈の作り上げてくれた草稿は緻密で完璧だった
それを元にして魂の管理者を教育して幾重にも目を光らせて転生の道を護らせ管理する
幾重と仕分けされ選別され最初にふるいにかける遣り方は思いつかなかった
そして最期の決断は総て朱雀か閻魔が下す
その草稿を元に職員となる者の教育が始まり管理体制が出来上がりつつあった
そして何より世界樹から降り注ぐ太陽の光に包まれた魔界と謂うのが不思議で変な感じがした
閻魔は魔界の総ての者に世界樹が放つ光は天界の恵みの光と人の世の太陽の光だと伝えた
そしてそれを考案し実践し天界に話を付けたのは聖神だと魔界全土に知ら示た
聖神のお陰で作物は育ち、凍える様に寒かった魔界は明るく恵みの光と太陽の光を浴びて生まれ変わる事が出来た!
と魔界中が大騒ぎとなり喜び宴を開く日々を過ごしていた
野菜や木々は更に成長速度を早目
動物は繁殖に満ち溢れ数を増やし
閉鎖的な空間は開放的になり、閻魔は更なる統制と団結力を高め日々多忙に動いていた
聖神が齎した奇跡のような日々を朱雀は目にしたのだった
だからこそ、烈に礼と話がしたかったのだが、烈を傷付けられたのだ
兵藤だって黙っている気はなかった
飛鳥井の会社に出向き兵藤は康太に電話を入れた
「おめぇ今何処にいるのよ?」
久し振りの兵藤の声に康太は『おっ、還って来たのかよ?』と呑気に言った
兵藤は「久し振りに還って来たら烈、怪我したって謂うし黙ってられるか!取り敢えず副社長室に逝く、エレベーターのロック解除してくれ!」と言った
『今から伊織を遣わすわ!
それで上まで上がって来てくれ!』
康太が言うからエレベーターの前で待つと、やっとさエレベーターのドアが開き、兵藤はエレベーターに乗り込んだ
するとがかなり窶れて目の座った榊原が立っていた
「伊織、おめぇ…かなり壮絶な顔してますがな…」
「壮絶にもなります!
宗右衛門がかなり時間を速めたので、飛鳥井は只今 絶賛 防風圏内真っ只中です!」
「俺に手伝える事があるなら手伝うわ!」
「それはそれは沢山あるので助かります!
出来たら病院にいる竜馬も連れて来て欲しかったです!」
と安徽させる者なんて誰一人作らねぇぞ!オーラを全開にして言った
「後でメールしとく!」
「宗右衛門の近くにいるのは竜馬だけです
宗右衛門の意図を組んで動いていたのも竜馬だけなので、今直ぐここで呼んでくれると助かります!」
兵藤は気迫に負けて「竜馬、会社へ直ぐに来い!」とラインした
すぐに既読が付き『直ぐに行きます』との返信を貰い「来てくれるって!」と伝えた
怖え!めちゃくそ怖え!!
烈なら完璧にチビっていたろうなって想う
兵藤は副社長室へと向かい、死にそうになるまで仕事をさせられた
竜馬が副社長室に来ると、竜馬はクソ生意気な顔で不敵に嗤っていた
これが彼の本質なんだと兵藤は想った
三木の器に入らない男
烈が連れ歩き現実を叩き込み、実践で生きている男
それが三木竜馬だった
「呼び出した要件を!
俺は烈に付き添っていたいのですから!」と竜馬は言った
不敵な面構えに康太は烈が3秒で蹴り入れるまでは、こんな顔してたな……と想う
「トドメ刺して来たんだな!」
康太は竜馬の顔を見て、総てを把握して言った
「はい!私生活まで洗っていたので、それが丁度(総ての報告書が)上がって来たので、警察に持って行きました!
これで彼等は余罪がゴロゴロ着いて、開放される事はない
またシャバに出ても烈に危害など加えさせはしない!其の手筈ならば等に取ってある!
許しておく筈などない!
そしてあの女も今頃は警察に連れられ当分は出られませんよ!
俺は烈に記者会見を開けと謂われてるので、準備万端してあります!
後は烈さえ意識が戻れば完璧です!」
兵藤は烈といる時と全く違う竜馬の顔を見ていた
自分と同じ政治家になる男を見ていた
その気質、三木で留まらぬ……と謂う事を烈から離れた今 実感した
嵐を背負って立つ三木竜馬のただならぬ姿に、ライバル心を煽られる
負けてられるか!
兵藤は想った
多分 貴之が見たとしても同じ事を想うだろう
竜馬は警察署に提出した者類のコピーを康太と榊原の前に出した
二人はこの書類に目をやり、固まった
東神奈川の社員の中には二重スパイみたい事をして企業の情報を流して生活していると書かれていた
総て偽造で詐欺グループ顔負けの巧妙な証明証を作り潜伏する
それを生業にして幾つもの企業の情報を掠めて潰して来た経歴がある
企業から請け負いライバル会社を潰す、潰し屋なるモノを生業にしてる輩が紛れていたとの事だった
白金建設は飛鳥井が目の上のタンコブだった、だから中に入り飛鳥井の情報を少しずつ依頼主に流していた、と謂う訳だ
下手したら飛鳥井は東神奈川を足掛かりに、総ての情報を掠め取られる所だった
兵藤もその書類を目にして「すげぇな、めちゃくそ緻密に仕上げてますがな!」と言った
竜馬はフンッと嗤って
「当たり前だ!俺等の事務所が緻密じゃない報告書など上げる筈などないからな!」と言った
榊原は何か聞き出したそうな兵藤を遮って
「烈は記者会見を開く気なんですか?」と問い掛けた
「出て姿を見せねばこの防風圏内からは抜けられぬ!と言ってました!」
竜馬は伝えられていた事を一字一句違える事無く伝えた
榊原は考えた
だがずっと鳴り止まぬ携帯電話に、そこまで待つ余裕あるのか?と想った
榊原は康太を見た
康太も考えていたが「烈が言ったのか?宗右衛門が言ったのか?どっちよ?」と問い掛けた
「宗右衛門が怪我をする前に、俺に全ての指示を出していました!」
「ならば意識は戻るな、今寝てるのはその時の為にか……」と思案して呟いた
榊原は「あんな怪我した烈を出すのですか?」と問い質した
「でなくば、この防風圏内からは突破出来ねぇかんな!
巻き起こした者にしか、嵐は止められねぇんだよ伊織
オレが嵐を巻き起こした時だってそうだろ?
オレが巻き起こした嵐ならば血反吐を吐いたって止めている筈だ!
だが今の嵐は宗右衛門が巻き起こした嵐だからな!宗右衛門にしか鎮められねぇんだよ!」
「ならば……宗右衛門に頑張って貰わねばなりませんね……
頑張った我が子には会見の後はパフェを食べさせてあげたいですね」
父なれば頑張った子には御褒美をあげたいのだ
だが……いかんせん 烈は食事制限の真っ只中なのだ
久遠に聞いて了解が出たら食べてあげよう!と父は想った
兵藤は「それがオメェの本当のツラか?」と竜馬に問い掛けた
竜馬は何も謂わずに不敵に嗤った
そして姿勢を正すと「俺は三木竜馬ですから!」と言った
初めて烈と逢った時、3秒で烈に飛び蹴りかまされた三木竜馬だと胸を張って言ったのだ
兵藤は「めちゃくそ腹が立つのは何でだよ康太!」とボヤいた
康太は笑って「ライバルになるからじゃねぇのか?」とサラッと言った
「俺より若いわっぱが!」
21歳の竜馬と26歳の兵藤
「年齢は抜けませんが、その他成れば直ぐに追い抜きます!」
バチバチ視線がぶつかり火花が飛ぶ
康太と榊原はそんな二人はさて置き、竜馬の持って来た報告書を釘付けで見ていた
康太は「竜馬、質問したいからまだ逝くなよ!」と言った
榊原も幾つか目に止まる事柄の質問をする
竜馬は全て把握していて全て答えていた
全て説明し終わると竜馬は「なら俺は烈の傍に行きます!」と言い出て行った
兵藤は「クソ生意気な奴だったんだな!」と口にした
康太はそりゃ、生意気だろ?と想った
「竜馬と烈を合わせたら3秒で烈が竜馬に飛び蹴りをかましていたかんな……」と懐かしげに呟いた
3秒で飛び蹴り……ならば相当生意気な顔してたんだなって兵藤は想う
「それが竜馬だからな、烈と逢い良い化学変化が起きたって斎王は喜んでたな!
以来 竜馬は烈と共に生きる覚悟をして烈の果てへと逝くと決めた
だから一人ならクソ生意気な顔になるのは仕方ねぇんだよ
アイツ オックスフォード大学を3年で修士課程と学位を取った他に心理学の博士号も持ってるんだよ
心理研究の第一人者を唸らせ蹴倒し天狗になってたからな
まさかトレパンマンはいてる子供に飛び蹴りされるなんて想ってもみなかったんだろうな!
そして宗右衛門の声で理詰めで鼻っ柱折られたんだもんな!」と笑っていた
兵藤は笑えなかった
それは鼻っ柱折られんではなく、自信を喪失させられたんじゃないのか?
トレパンマンはいてる子供に出逢って3秒で飛び蹴りされるなんて……
そんな出逢いはそうそうない
兵藤は昼行灯としてる竜馬しか目にしなかったから、竜馬の本質が見えてなかったのもあり、メラメラとライバル心が焚き付けられ燃えていた
負けてたまるか!若造に!!
自分も十分若造なのだが、年下には負けてられない!と闘争心にも火が着いていた
康太は笑って竜馬の齎す化学反応に手応えを感じていた
そして意識を現実に戻す
康太は榊原に「この書類、会長と社長に見せてくれ!」と謂うと榊原は報告書を持ち副社長室から出て行った
ただでさえクソ忙しいのに仕事が増えたのだ
康太は兵藤を扱き使いまくった
その日の飛鳥井建設は吹き荒ぶ嵐の中を抜け出せずにいた
飛鳥井に警察が来た
その新聞記事を目にして戸浪や蔵持善之助から電話が鳴り止まずにいた
相賀、須賀、神野も気になり電話をし続ける
だが飛鳥井の家族の誰も捕まらなかった
烈が起きずに2日過ぎた
榊原 笙の次男 匠が烈の休みを両親や祖母に告げた
真矢と清四郎はまさか烈が何で休んでいるのか、解らず康太や榊原に電話しまくっていた
飛鳥井の家に行っても皆忙しそうで掴まらない
あんな新聞記事が出たから気になっていたのに……
あの記事を書いた者に正式に飛鳥井建設からクレームを入れ訂正記事を翌日上げさせた
小さい記事では神威は許さず一面トップに出せと!一歩も引かず訂正広告を入れさせた
それで何とか収集は着いたが、逆に連絡が取れずにいるから電話は鳴り止まず、康太と榊原は電源を落とした
烈の症状は今の所様子見として入院させていた
久遠から家族に治療方針の説明があった
「頭蓋骨陥没骨折の場合
急性硬膜外血腫を合併し、それによる脳の圧迫が強い場合は開頭血腫除去術が必要となる
だから今は陥没の部分がどの様に変化していくか経過観察中だ!
眼球運動障害や視力低下を生じる眼窩底骨折や、髄液漏を呈する頭蓋底骨折では、手術による修復が必要となる場合があるし
その他、陥没骨折では陥没した頭蓋骨が脳を圧迫する場合には手術をするしかない
ここまでで解らない所はないか?」
康太は「烈の陥没治らねぇのかよ?」と問い掛けた
「凹んだまま治らない
その凹みが脳にどんな影響を齎すか今は経過観察中だ!
内出血と謂うより、烈の場合は運がよく外に血が溢れて出たから内出血事態はないけど、陥没骨折部分の自力の修復が無理ならオペに踏み切り治すしかねぇと想っている」
瑛太は「普通の子は凹んでも治るのですか?」と質問した
「度合いによるが、多少の凹みなれば治す治癒力は子供は結構強いから、押し戻す力はある
だが自己修復の力が烈は弱いんだよ!
だから傷が中々治らねぇし、当然凹んだ頭部も自己修復は望めねぇと想っている
今度はそんなに簡単に退院出来ると想って貰っては困る!
烈はまだ背中にある火傷も治せていないし、額の傷も完治していない!
当然夏休みはないと想って貰わねぇとな!」
4月に入学して直ぐに額の怪我を悪化させ入院していた
それでGWも潰れて烈は泣いていた
そして火傷で一ヶ月近く入院して、あと少しで夏休みと謂う今 頭蓋骨陥没骨折で入院となり夏休みはなくなると謂う
あまりにも可哀想で言葉もなかった
この半年 まともに学校すら通えてはいなかった
オンライン授業を受けて課題や宿題を教師自ら持って来てくれていたのだ
勉強自体は遅れはない
転生前は帝都大学を首席で卒業しただけあって、頭は良いのだ
だから勉強の遅れは心配はないが、怪我の治りが悪い事は家族全員知っていて、心配していた
清四郎と真矢は飛鳥井の家族が掴まらないから、会社ならば確実だろうと飛鳥井建設へ直に訪ねて行った
受付嬢は急に現れた女優と俳優にパニックになるのを抑えながら連絡を入れた
「榊原真矢さんと榊󠄀 清四郎さんが副社長に面会を!と申され来られております!」
と副社長に電話を入れると榊原は「お通しして!」と伝えた
受付嬢はエレベーターを止めると、受付嬢にしか伝えられてないコードを入力した
すると最上階まで上がって行く事も可能となっていた
受付嬢は真矢と清四郎をエレベーターに乗せると、深々と頭を下げ見送った
エレベーターは最上階まで高速で上がり、最上階で止まった
エレベーターから下りると榊原が二人を待ち構えていた
副社長室に二人を連れて入る
すると副社長室には康太も座っていた
康太は清四郎と真矢を見て「どうされましたか?」と尋ねた
真矢が単刀直入に「烈が学校を休んでるそうね?何故なのか?教えてくれますよね?」と嘘も誤魔化しも許さない気迫で問い質した
清四郎も「匠が烈が学校を休んでると言ってました!何故休んてるのか?教えて下さい!
此処最近、本当に烈は掴まりませんでした
まるで私達を避けている様に捕まらず………その矢先に学校を休んでいるとの事?」と何故なのか?話しくれと頼んだ
康太は思案して考えていた
康太が話さない限り榊原からは何も言わないつもりだった
康太はゆっくり口を開き事情を話しだした
「烈は飛鳥井の1000年続く果てを繋げる事に尽力していた
それは転生者だけに非ず、会社としての軌道修正も図るつもりで動いていた
此処最近の烈は見るたびにPCを操作してるか、何処かへ電話してるか、だと兄弟達は言っていた
話し掛けても上の空で何かやらやらかす気だと、兄弟達は知っていた
そして2日前、飛鳥井の存続すら揺らがしかねない事態を突き付け嵐を巻き起こして、飛鳥井は絶賛 防風圏内真っ只中です
それで伊織もオレも会長や社長も目が回る程、酷使されているんですよ
そしてその烈、頭を頭蓋骨陥没骨折して入院中です!」
真矢も清四郎も言葉がなかった
榊原が詳しくその時の状況を話す
足場ハンマーを投げ飛ばされたレイを庇って烈が怪我した事………そして烈は傷の治りが極端に悪い事を伝えた
真矢は驚いた顔をして
「それって私の妊娠中に烈に栄養が行き届かなった事が原因なのかしら?」と言った
全部は話してはいないが、真矢には思い当たる節があったみたいだった
真矢は「烈がお腹にいた頃、酷い貧血を患っててお腹の赤ちゃんに栄養が行き届かない状態になってると言われたのよ
何とか治療して烈を産んだのですけど、私は産後の肥立ちも悪く、もしかしたらこんなに私の体調が悪いのならば烈に何らかの影響出てるんじゃないかって想っていたのです
そうですか、烈の傷の治りの悪さは私のせいなのですね!」と言った
康太は「義母さん……烈は治りますから!」と言った
榊原も「康太も皮膚が弱いので親子なので似るのです!似ないなんて母さんは言いませんよね?」と言った
真矢は「そうね、康太に似たのね」と言ったが責任を感じている風だった
清四郎は「烈は?」と問い掛けた
「まだ連絡がないので意識は戻ってないんだと、想います」
真矢は「私達はこの後、烈のお見舞いに行きます!
でもね康太、最近私達は烈に関しては何も話してもらえないのは………何故なのかしら?」と聞きたかった本題を切り出した
「今までは烈が口止めしていたからです
それは榊原の家族に対してだけでなく、飛鳥井の家族や兄弟達にすら口止めしていた
そして今回はオレ達には、んな余裕はなかったからです……今会社は右往左往の大騒ぎです
オレ等もそうだけど、会長や社長してる父ちゃんや瑛兄達は家に帰る暇もない
オレ等も烈の事は母ちゃんや一生達に任せっきりだ!
傍にいたいのはオレ等も一緒だ!
だがこの難局を乗り越えて烈が立った時に道を作らねぇと飛鳥井は終わる……
宗右衛門が1000年続く果てへと繋いだ飛鳥井が終わるんです……
そんな事は絶対にさせねぇ!
そんなつもりで寝る間も惜しんで闘っているんだ
だから今回は本当に伝える暇がなかっただけです」
康太が話すと榊原も話した
「烈を見ていると本当に難局を迎えれば迎える程に人と距離を取るんですよ!
なので親や兄弟だけではなく、友人知人総てと距離を取るんです
何も言わずに消えられた4月に、つくづく思い知らされました!
烈は今携帯を2台を持ってるのですが、総て切って眠っています
この後に宗右衛門としての仕事が待ってるので、その時までは烈は起きないつもりなのでしょう!」
難儀な子だと榊原は溜息をつき
「今 飛鳥井を揺るがしている騒ぎは総て烈が引き起こしているのです!
なので飛鳥井は絶賛 防風圏内真っ只中です
ですから母さんと父さんには僕達の子や北斗達のケアをお願いしたいのです」
と、ちゃっかり他の子のケアも頼んだ
真矢は「解りました、私は少し先まで仕事は入ってなってないので、源右衛門の部屋に泊まり込んで世話を焼きましょう!」と約束した
そして烈が心配だから病院へ行くと、飛鳥井建設を後にした
榊原はあまりの忙しさに疲れ果てソファーの上で倒れている兵藤を横目で見て
「何故母さん達は貴史に気付かなかったんでしょうね?」と疑問を問い掛けた
康太は笑って「視界にすら入ってねぇんだよ」と笑って答えた
その時、榊原の携帯にPDFにしたファイルが送られて来た
送り主は【烈】だった
榊原はそれを康太に見せて
「烈、意識戻ったんですか?」と問い掛けた
「竜馬だろ!追加で入ったから送ったんだろ」と言った
謂われてみればファイルだけ送る事は滅多とない
「とうしゃん かあしゃんへ」と必ず件名に入れるからだ
榊原は「烈 オペになったらまた学校に行けませんね」と我が子を想った
「やっと、にーに達と学校へ通えるようになったのにな…
もう少し経ってたからじゃ駄目だったのかな?と、想う……けど、駄目だったんだろうな!
今発覚した時点でかなり手遅れ感あるしな……」
「ですね、後一歩遅かったら総ての情報を抜き取られた後なんて事になったら手遅れ間違いなしですからね」
取り敢えず今在る仕事を片付ける
真贋の部屋には損害賠償請求と損害金を割り出し手続に躍起になってる神威と、雨宮が目を血張らせて仕事中なのだ
「踏ん張らねぇと吹き飛ばされちまうからな!」
康太は言った
何があっても吹き飛ばされず踏ん張らねぇと
1000年続く果てへなんて辿り着けはしないのだ!
烈は病院に運ばれて3日目の朝 目を醒ました
そして目を醒ますとムクッと起き上がろうとした
聡一郎は慌てて烈を止めた
「頭陥没してるだから、起きちゃ駄目だよ!」
「そーちゃん ぼく、なんにちにねてた?」
「今日で3日目の朝です!」
「でおくれたにょね……たいへんら!」
烈は携帯を探した
それを見ていた慎一が烈に携帯を渡した
烈は携帯を受け取ると、電源を入れて
起動すると電話を入れた
「会見の準備は出来ておるか?竜馬」
『宗右衛門!何時でも大丈夫です!』
「なれば会見を開かねばな!
取り敢えず、両親に話すかのぉ!」
と言い烈は電話を切った
そして直ぐに母の携帯へ電話を入れる
「かあしゃん おそくにゃりました!」
『おっ!烈、ギリギリだな!
これ以上は待てねぇから叩き起こそうかと想っていた!』
「いしきはあったんらけど、めまいがしてたにょよ」
『今は大丈夫か?』
「あんましだけど、じかんないのよ!」
『だな、ならば今夜か?』
「そう、らから、くどーせんせ、おこりゃにゃいようにはなして!」
『それ、いっちゃん面倒じゃねぇかよ?』
「なのよね、そうえもんのきもの、おねがいちます」
『一生に頼んでおくわ!
で、竜馬はお前の為のステージを何処で取ったんだ?』
「それ、わからにゃいのよ
りゅーまから、れんらくさせりゅね!」
『了解!』
聡一郎は「記者会見を開く気ですか?」と問い掛けた
「はやくしにゃいと、あすかいはつぶれるのよ」
聡一郎はギョッとした顔をして烈を見た
「そーちゃんはかいしゃのひと しんようしてる?」
「う~ん、それはどうかな?」
「あすかいは……なかにすぱいかってたのよ
あとすこしおそかったら、はらわたくわれておわってたのよ!」
烈はそう言い飛鳥井の社員として上手く入り込んだ全て偽装で固めた社員のファイルを開いて渡した
聡一郎は言葉もなかった
此処まで巧妙にやられたら、どうやって気付けと謂うのだ?
「そーちゃんのかいしゃ しんぱいにゃら、りゅーまにしらべてもらう?」
「え?……そんな事……」
と言いかけて、竜馬は飛鳥井で10万円づつバイトしてたな、と思い出した
まさか、そのバイトで総て白日の下に晒す事となったのか?
烈は一生に電話して「かじゅ そーえもんのきもにょおねぎゃいね!」と頼んだ
一生は『おっ、烈 目が醒めたのかよ?
転生者の着物だな、康太に謂われてるから持って行くわ!
そして、久遠にも話すさ、怒鳴らるの解ってて話すさ』と一生はトホホホな気分になり言った
案の定 久遠は怒りまくって話にならず、康太が直接話しに行かねばならなくなった
久遠は康太に条件を出した
「ならば、俺を烈の後ろに控えさせろ!
それが条件だ!飲めねぇなら出す訳にはいかねぇ!」
と謂われたら聞くしかなかった
烈の後ろに立つのは竜馬の務めと主張する竜馬を、何とか説得し納得させ、引かせた
会見は夜、6時に行われる事となった
【飛鳥井建設は今夜 記者会見を開きます
以下の場所までお越し下さい】
と住所入のファクスを新聞各社、報道各社に通達した
そして記者会見を開く事をテレビ局扱って貰い、周知に流して告知した
会見に出ると謂う報道各社から連絡を貰い、広くの人間に周知させ人を集める事に成功させた
烈は祖母 玲香に転生者の着物を着せて貰っていた
その頭には痛々しい包帯がグルグル巻に巻いてあった
竜馬は今回の記者会見場を、烈の大好きなカニパンミュージアムを借り切って開く事にした
烈は「カニパン……」とあっち見てもこっち見てもカニパンがある世界に笑顔を振り撒いていた
榊原は「まさか……カニパンミュージアムですよ?康太……」と唖然となった
康太も「だよな……オレはカニパンミュージアムがあるなんて事が驚きだ!」とボヤいた
カニパンの手がどこかで見たカニの様に動く
康太は「あれ、真っ赤なカニで見た事はあるけどよぉ!」と謂うと玲香は腹を抱えて笑った
カニの道楽なお店の入り口の上に、チョキチョキ動くカニの手足が動いていたっけ……
だが目の前で手足を動かしてるのは、パン生地のカニパンだった
竜馬は「烈、君の好きなカニパンですよ!」と幸せそうに呟いた
瑛太は「………カニパン背景に会見は初めてですね」と神妙な面持ちで言った
康太は「ごめんっ!我慢出来ねぇ!」と言い笑い転げた
流石とカニパン背景は無理なので仮設で記者会見場を作った
久遠は記者会見が始まるまで、烈を寝かせていた
下手したら血を流す恐れがあるからだ
天井もカニパンの柄で烈は幸せそうにカニパン柄を眺めていた
兵藤が遅れてカニパンミュージアムに来ると
「あんでカニパンミュージアムなんてのがあるんだよ!」とボヤいた
「猫とかネズミなら知ってるが、カニパンだぜ?
取材する記者だって辿り着けるか解らねぇじゃねぇかよ!」
康太と玲香は再び腹を抱えて笑っていた
竜馬は「失礼な!烈の大好きなカニパンですよ?」と心外だ!とばかり言った
カニパンの観覧車 カニパンのジェットコースター
カニパンのプラネタリウム カニパンのコーヒーカップ
総てがカニパンで出来ていた
一体誰が作ったんだよ?
と家族は想った
一斉に家族や康太からの視線を浴びて竜馬は
「俺は作ってませんから!」と否定して
「買えない事はないけど、俺は今 大きな買い物をせねばならないので、無駄遣いは出来ない状態なんです!」と説明した
兵藤が「大きな買い物って?」と問い掛ける
竜馬は「それは内緒です!」と笑って答えた
兵藤は車かマンションかその辺だと想っていた
だがそれは全く次元の違う話だった
記者会見場に続々と記者とカメラマンが集まって来る!
東京の外れにあり少し横浜がカブった所に建つカニパンミュージアムだが、告知通り、会見の前に人が集まって来ていた
司会をするは安西力哉
力哉はマイクを持つと「今日は飛鳥井建設の会見に遠路遥々お越し頂きましてありがとうございます!」と会見の始まる前の挨拶をした
転生者の着物を着た宗右衛門が会見場の中央に座ると左に榊原と康太が座った
そして右に飛鳥井建設会長と社長が座った
烈は頭に包帯をグルグル巻にしていたが、その貫禄は目を見張るモノがあった
そして烈の後ろには寝不足の久遠が立っていた
そこにいるだけで迫力な久遠が白衣を着て立っていた
力哉は「これより飛鳥井建設 記者会見を始めさせて戴きます!
ます、会見に参加する者をご紹介致します
転生者の着物を着た者が宗右衛門を継ぎます飛鳥井 烈に御座います
宗右衛門の左右には会長、社長、副社長、真贋が座しております!
そして宗右衛門の後ろに立つのは飛鳥井記念病院 院長をしております久遠先生です!
それでは宗右衛門 初めて下さい」と紹介を述べて始まりを告げる
宗右衛門はマイクを持つと
「飛鳥井家 転生者の宗右衛門と申します
飛鳥井建設は今 卑劣な手段で会社に入り込んで来た社員に手痛い裏切りをされ、後一歩遅ければ取り返しの付かぬ事態になる所であった
今回、それが発覚した際、一人の男が足場ハンマーを投げ付けて来たので、それで儂は頭蓋骨陥没骨折を負う怪我をした
その時、会社に警察を呼んだから、警察が飛鳥井に来てくれのじゃ!
一人の男は傷害事件で逮捕となったが、後の者は産業スパイとして機密情報漏洩でその場で逮捕され連れられて行かれた
竜馬、資料のコピーを記者さん達に渡すのじゃ!」
と謂うと竜馬がコピーした資料を記者全員に配った
そして会見場入口で背筋を伸ばして立った
烈の説明が終わると飛鳥井建設 社長が配った資料に基づいて話をする
話が終わると、榊原が「飛鳥井は何一つ不正などしておりません!
なのに先日飛鳥井に警察が来た件を、あたかも不正を取り締まる為に警察が突入して来たみたいに話を作り、20万円を手にして虚偽をリークした者の仕業でした!
彼女は結婚詐欺の前科を持つ詐欺師だった事をご存知でしたか?
お金の為ならば会社だとて売り飛ばす詐欺グループに加担してて、大規模摘発で再度逮捕された詐欺師です!
そんな詐欺師の口車に乗って記事を捏造されては困りますよ毎度日報さん!」と名指しで皮肉を言った
飛鳥井家真贋はマイクを握ると
「飛鳥井建設は今一度社員を調べる事としました
所持している資格証明書を発行元で調べ、不正など出来ぬ体制を取るつもりです!
それを飛鳥井宗右衛門がレールを敷いてくれる事となった!
飛鳥井家には宗右衛門以外にも転生者が存在する
オレは稀代の真贋として幾度となく転生を重ねた
宗右衛門もそうだ
そして飛鳥井には竜胆、源右衛門、恵方と謂う転生者も目を光らせて転生する時を待っている
我等転生者はそうして明日の飛鳥井を繋げて来た
そして今世 宗右衛門が1000年続く果てへと繋がれた
子供なのに大人の声で喋るのは宗右衛門だけに非ず!
我等転生者は生まれる前の記憶も存在して、生まれた瞬間それを理解する!
何故 そんな特殊な家の内情を話したか解るか?
多分 どの家もこんな話は理解は出来ぬだろう!
だが、受け継がれて逝く家と謂うのは、存在して飛鳥井以外にもいるって事を忘れないで戴きたい!
飛鳥井だけが特別な訳では無い!
我等は化け物でも怪物でもない!
転生者と謂う存在で家の為に転生を繰り返すのだと、此処で知って貰おうと想い話した!
オレからは以上だ!力哉、質疑応答に移行してくれ!」
「それでは質疑応答とさせて戴きます!」
力哉が質疑応答になると告げると一人の男が手を上げた
「東都日報の今枝浩二と申します!」と名乗り指名される時を待つ
力哉は「では、今枝さん どうぞ!」と許可すると今枝は立ち上がった
「久遠先生、何故烈君の後ろに立っているのですか?
そして前回は聞く事が叶わなかった、烈君の後ろに立っていた君、誰ですか?
お聞きしても大丈夫ですか?」
力哉は久遠にマイクを渡した
久遠はマイクを手にすると
「俺は怪我ばっかしする患者を見張る為に後ろに立っている!
4月に頭を怪我して、5月終わりに火傷と裂傷を負って、今度は足場ハンマーで側頭部頭蓋骨陥没骨折だ!目を光らせていねぇと駄目だと思うよな?今枝!
違うと謂うならば、今度の疲労の時は涙が出る程に痛い点滴しちまうぞ!」
半ば脅してマイクを置く
今枝は「それは嫌なので、駄目だと想います!」とタラーンとなった
そして力哉は竜馬にマイクを渡した
竜馬はマイクを持つと
「俺は烈の果てへと逝く存在
そして近い将来 政治家になる予定の三木竜馬と申します!
今は修行中なので、烈と共に行動しております!」と答えた
今枝は「三木?繁雄さんを継ぐ者ですか?」と問い掛けた
竜馬は笑い「俺は三木は継ぎません!俺は烈が指し示す果てへと逝く為に、三木には留まりはしない!確かに三木繁雄は俺の父ではありますが、政治家になれば、俺は親父ともライバルとなります!」と答えた
今枝は「ありがとう御座いました!」と言い質疑を終わらせて座った
後は何社か軽い質問をされて終る事となった
どの質問も友好的なモノで、辛辣な質問は飛んでは来なかった
その日の記者会見は終わりを告げた
烈は控室に逝くと転生者の着物を脱がされ、久遠に引き摺られてドクターカーで病院に逆戻りした
白い包帯が少し血が滲んでいたから、質疑応答は興奮させないように軽めにされたのだと、康太は想った
榊原も「烈、少し血が滲んでましたね!」と言った
「まだ起きれねぇのに無理したからな!」
心配な両親は帰りに烈を見舞うのだった
大きなヘルシーなパフェを買って、頑張った子に褒美を差し入れた
その日は薬で眠らされた後だったから翌日、食べられる事となった
烈が齎した巨大は防風は通り過ぎて行った
痛手と爪痕をクッキリ遺して、過ぎ去って行った
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