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第92話 烈 始動

るんるん、なつやすみ とってもみじかい なつやすみ 烈は嬉しくて歌を歌っていた 楽しくてもっと楽しみたいのに…… 体力のなくなった烈はバスに乗って早々にうとうとしていた 久遠は「そろそろ体力訓練始めねぇとな」と計画書を書き始めた 志津子は夏休みなのに!!と青筋を立てて久遠を見た 拓海が「ばぁちゃま、怒らないのよ!」と言った 拓人が「あれはもう職業病なのよ!」と言った そして拓海を見る「拓海もあぁなるのね…」と医者になれば、あぁなると案に言う 「え?僕……ヨレヨレになるまでは嫌かな? 僕……弁護士になろうかしら?」 その言葉を聞いて志津子はピキッと怒る 「譲!貴方がヨレヨレになるまで働くから拓海が医者にならないと言うではないか!」 それは立派な言い掛かりでイチャモンだった 怒る志津子を拓人が宥める 「ばぁちゃん、拓海ならないなら僕がなるからさ!」 「拓人……」 「真贋が今、直ぐに決めずとも己の道は決められてるから、その道を逝くだけだって言ってたでしょ?」 「そうであっな、でもやはりお主等の父はピシッと誇れる存在がよいのよね…」 志津子のボヤきを康太はプルプル震えて聞いていた 榊原が「康太……」と宥めたが笑いだしたら止まらない 久遠は「んとによぉ!ピシッとしてようが、ヨレヨレだろうが、拓海、拓人おめぇの父親は俺だけだろうが!」とボヤいた 拓人は「だね、父さんだけだよ」と答えた 拓海も「父さんだけでいいよ」と答えた それを聞いた玲香は「心洗われる話じゃのぉ~」と言った 烈はパチッと目を開けて 「ぼくはとうしゃとかあしゃん らいすきなのよ!」と言うと 流生も「僕も大好きよ」 翔も「僕だって大好きよ」 音弥は「僕達の父さんと母さんだもん!」 太陽も「そうよ!大好きよ!」 大空も「父さんも母さんもみんな大好き!」と締め括った 烈は玲香にどうよ?と言う顔をした 玲香は「心洗われ過ぎて眩しいわいな!」と笑いながら答えた わいわい楽しく白馬へ向かう やはり烈は長丁場なバス移動に眠くなり、眠りに落ちていた 「むにゃにゃ……かにぱん……」と言い眠っていた 久遠は「もう少し数値が落ち着いたら薄めなくていいリンゴジュース飲んでも良い様になる」と言った 流生は「烈 頑張ってるのよ!」と言った 「あぁ、頑張ってるからカニパン3個までなら食べられる様になる でも、何時もカニパン食ってるけど、腹膨れねぇのか?」 大空が「消費が早いのよ、烈はそんなに燃費良くないのよ」と説明した 久遠はガソリンをバンバン湯水の如く食う車を思い出し 「アメ車かよ!」と言った 康太はもう我慢ならず爆笑した 「久遠乗ってたのかよ?アメ車」 「俺は貧乏学生だったからチャリだったけどな、同級生にいたんだよ、アメ車乗り回してナンパしまくってた軽い奴」  康太は、うわぁ〜典型的な2代目バカ息子だわ……と想った 「ちなみにそのアメ車野郎って今医者やってるのかよ?」 「親が金持ちなら医者になるのも容易いだろ? 何でも大きな病院の跡取り息子だったみたいだしな!」 「どこの病院よ?」 「さぁ、俺は一切の付き合いがねぇからな、知らんな! 今後も付き合いが出来る事はないから永遠に知らん!」 「まぁこうして話に上がった時点で、繋がりはあるんだよ! そのうち出て来るんじゃねぇか?」 「出来るならば永遠に知らん顔してたい!」 久遠にそこまで言わせる男 それは不思議な事だった 久遠は生い立ちから深く人と関わるのを避けていた節がある 広く浅くをモットーに当たり障りにない付き合いをして来た人間なのだ その久遠をもって、その台詞を吐かせる男 きっと虫唾が走るんだろうな……と考えてプルッと身震いをした バスは順調に高速を走り白馬へと向かって走る 朝早く家を出て走り、途中、休憩を取りながら昼過ぎには白馬に到着した 源右衛門の屋敷の方へと向かうと、慎一がドアの鍵を開けて皆を家の中へと入れた 窓を全開に開け放つと心地よい風が入って来た 久遠は烈の怪我の手当をすると、過労一歩手前を見付けて目を光らせた 「瑛太さん達、またフラフラですか?」 瑛太もそうだが、清隆も烈がぶっ込んた研修日程を目前にして、社員の選別を話し合い、選んでいた 研修プログラムを受けるに当たって、無能な人間では着いては行けないと踏んで、国崎建人が烈と打ち合わせして作ったと言う建築の基礎テストを事前に社員全員に受けさせた 平均基準に達しないと、研修を受ける資格すらない!と謂われて行われたテストだった テストの結果に会長を始めとして、社長や副社長は頭を抱えた そう言えばを飛鳥井は試験を受ける者に対しての補助金はあるが、講習や実技講習など一切してこなかった事に気付いた 建設基礎知識、それが頭に入ってなければ、一級建築士は夢のまた夢だと謂われた こうして見ると飛鳥井の社員は如何に未熟だったのか?を、思い知らされました 流石とこれはないわ!と連日仕事終わりに講義を開いて建築の基礎中の基準を勉強した それで、何とか研修に出せる社員を選別したのだが、やはりこう言う事は日頃からの積み重ねだと社員達も身に沁みて考えたらしくて、自発的に勉強を始める者も出て来ていた 康太は社長や副社長と話し合い、社員教育に力を注ぐ事を決めた 現場に出てる社員も同様、建築士の免許を取るならば、実践と教育有るのみ!なのだ そんなこんなで休む暇なんてなかった 疲れ切った顔をしていた清隆と瑛太と榊原は点滴を打たれる事となった 点滴を終えると、近場のスーパーに買い物に行き夕飯を作る 夜は子供達の楽しみな花火だった 烈は一眠りして起きると、傍に心配して着いててくれた翔と目が合った 翔は「大丈夫?烈」と心配していた 烈は翔にニコッと笑って「にーに、かえったら ごとうやのぎしきするのよ!」と告げた 翔はそろそろだと想ったが、もうぶっ込んでくるの?と想った だが翔は覚悟を決める! 「りんと、れいと、りょうもさんとうやのぎしきするのよ!」 と口にした それには流石に康太が「未だ早えぇだろ?」と止めた 「じかんにゃいのよ!」 「……それはオレが長生きできねぇって言ってるのか?」 「ちがうにょよ!かあしゃんはながいしてほちいよ!それらにゃいのよ!」 と烈が泣き出した 榊原は烈を抱き締めて 「君の考えを聞かせて下さい」と言った 「かあしゃん あすかいのごぼうせいひかにゃいとらめらのよ!」 「え?まさか今世それをやる気なのかよ?」 「そうにゃの! それには じつりょくたらにゃいのよ」 榊原は「何ですか?その飛鳥井の五芒星とは?」と問い質した 「それはな飛鳥井の半径数キロを総結界を張る儀式でな、四半世紀やられなかった儀式なんだよ それをやれば、100年先は安泰とされる総結界なんだよ! 総結界の中なれば、どんな呪詛も跳ね返し護られた中にいられる事となる 何かと狙われやすい飛鳥井だからな、今後の対策を考えねぇとならねぇ事態に来てるんだよ かなり昔は転生者が一度に出た時にやっていた だが今はやれるだけの実力者が出なかったから、やれてなかったんだよ それを烈、嫌、宗右衛門はやると言うんだよ! 今世は顔見世の為に揃ってるからな 丁度やるなら今世だなとはオレも想っていた だけど、今やるとは想像もしてなかったぜ!」 康太がボヤく 烈はめそめそ泣いていた 翔は烈を慰め「それが定めなら、母さんやりましゃう!」と言った 康太は凛とレイと椋を見た まだ小さいのだ 転生者と謂えど、こんな幼いのに……既に過酷な死命は始まっていると言うのか? 康太は腹を括った 「ならばやるしかねぇな! 竜胆は前から知ってるから力量あるの解るけど、レイと椋は修行すら見てねぇからな……」 と思案する 一度に大量の力を放出せねばならないのだ こんな小さな体で耐えられるのか? レイはニコニコ烈の横にいた 椋は心配そうな顔でその横にいた 凛はわんぱく丸出し出庭に出て虫を探していた 烈は「りょうがふあんにゃらひかりいるのよ!」と言った その子も引き取られて見ていなかった そりゃ昔はかなり偉い地位にいて国民を見ていた者だから力量も度胸も違うだろう 烈がそう謂うと椋は「ぼくれきるよ!やりゅよ!」と答えた それがこの家で生きる総てなのだと、椋は悟っていた 飛鳥井宗右衛門の跡を継ぐ者が劣っていては、転生した意味がないのだ! 難しい話をしていると真矢が顔を出し 「どうしたの?」と聞いて来た 烈は笑って「ばぁたん りんごむいて!」とお強請りした 「良いわよ、果物は3個までだったわよね?」 烈は頷いた 真矢は烈の為に林檎の皮を向いてお皿に綺麗に並べた そして他の子の為にも別のお皿にフルーツを並べた 烈はほっぺ一杯にりんごを頬張り食べていた 幸せそうに食べていた それを見た兄達も烈の傍に行きフルーツを食べ始めた 「ばぁたん、りつは?」 その場に律がいないから問い掛けた  「律ね、子供アカデミーの所長に見せたのよ そしたら直ぐに訓練に入って、今は夏合宿でいないのよ」 「りつも、おのれのみちをすすみはじめたのね!」 「そうね……ねぇ烈、ばぁたん嫌いなの?」 烈は驚いた顔をして 「ばぁたん らいすきよ! かにぱんより、らいすきよ!」と答えた 「でも貴方は知ってるんでしょん その皮膚の弱さはお腹の中にいた時に栄養が行き届かなかったからだって……」 「ばぁたん ひふよわいけど、ぼくはけがしなきゃげんきよ! それはね、ばぁたんがうんでくれたからなのよ! らからね、まいにちたのしいにょ! ばぁたんといられてたのしいにょ!」 「ならまた一緒にお出掛けしてくれる?」 「すこし、いそがしくなるにょ…… らからね、ごめんね ばぁたん」 「忙しくても暇を見つけて、お出掛けしましょうね!」 真矢はニコッと笑って言った 「わきゃった!」 あまりの迫力にまたチビりそうになる 康太が助け舟を出してやる でないと本当にチビりそうだからだ 「そうだ、烈、ばぁたんにカニパンミュージアムに連れて行って貰えよ!」 烈は目を輝かせ「ばぁたん、かにぱんみゅーずあむにいきたいにょよ!」と言った 真矢は困った顔をして「それ、何処にあるの? え?カニパン………烈の好きなカニパン?」とそれ解らなーずとばかり言う 康太はカニパンミュージアムがあって、そこへ烈は行きたいんです、と説明してやった だが堪えきれなくなり爆笑した 「義母さん、パン生地みたいなカニパンの手足が動いていたんですよ! その日は休園だったので遊具は使えなかったのですが、カニパンは動いてました!」 真矢はカニパンが動くという事が想像出来なくて困っていると、榊原が検索かけて動画を見せた するとその動画にはカニパンが、カニの道楽のカニ同様に手足を動かしていた それを見た真矢は腹を抱えて笑った 「何これ?本当にこんなのあるのね」と涙をこぼして笑っていた 烈は「かにぱん……」と言いよどを垂らしていた 大空はポシェットからカニパンを取り出して、烈のお口にインした 太陽は「烈はね別にカニパンが大好きって訳じゃないんだよ カニパンはタンパク質を豊富に含んでるから、久遠先生が許可した唯一のおやつなのよ でもね糖質が高いからリンゴジュースは薄めて飲まないと駄目なのよ」と涙ながらに訴えた 康太は太陽を抱き寄せて「皆知ってるから大丈夫だ!」と言った 「母さん 烈は何時も堪えてるんだよ」 「だから今夜は花火を烈に見せてやるんじゃねぇのかよ? 烈は傷があるから外には出れねぇけど、縁側で見るからな、沢山綺麗な花火見せてやれ!」 太陽は「うん!」と頷いた 弟や兄弟想いの太陽が真矢はとても嬉しかった 「太陽は本当に良いお兄さんなのね」 真矢が言うと康太が 「太陽は凛やレイ、椋の面倒も見てくれます 本当に良いお兄さんで助かります!」と答えた レイは烈から離れない ずっと烈の側にいた だが烈が入院してレイは心細くなり泣いていた そんなレイを兄達が支えて護ったのだ 烈の大切な子だと護ったのだ まるで一生や聡一郎や隼人がそうしてくれたように…… 烈の大切な存在を皆で護ってくれたのだ レイと椋は兄達に支えられ、烈の不在でも笑って過ごせていたのだ 烈がうとうとし始めると、大空が座布団を持って来て、その上に寝かせた 流生がバスタオルを持って来てお腹にかける 音弥はレイと椋の世話をする 歌を歌って心を和ませる 外で虫と奮闘していた凛が擦り傷作って家に入ると、一生と聡一郎が消毒して手当した 「おめぇは康太ばりにやんちゃな奴だな!」 一生がボヤく 凛は拗ねた顔で「あんでそとであしょばにゃいの?」と言った 「それは暑いからやろ?」 と一生は言う 「あつしゃなんか、ふきとばちゅ!」 凛は燃えていた 真矢も玲香も腹を抱えて笑い出した 清隆は「康太の再来ですか?」と呟いた 裏も表も解らない程に黒くなり元気ハツラツな、康太の再来だと清隆は想った 慎一は「凛は外にも出られない生活が長かったので、一日の大半外で遊んでます! 白かった肌も今では黒くなり…擦り傷も耐えません!」とボヤいた 凛は竜胆の声で「飛鳥井の五芒星やるんだろ?宗右衛門! ならば俺も五通夜の儀式やらねぇとな! 腕が訛ってたら宗右衛門に蹴り飛ばされるからな! しかも宗右衛門、既に五通夜の儀式終わらせてるんだろ?」と言い、負けてられねぇぜ!と燃えていた 康太は「五通夜やるのかよ?」と問い掛けた 「やるぜ!でねぇと飛鳥井の五芒星引けねぇじゃねぇかよ! 俺は前世でやりたかった! でも実力のねぇ奴で俺と源右衛門以外は使えずで出来なかった! だが今世は違うだろ? 流石宗右衛門が繋いだ者達だ! 絶対に飛鳥井の五芒星は引けると踏んでいる! そしたら紫雲龍騎を継ぐ者が誕生する! でもやらねば紫雲の席はアイツが死したら不在となるしかねぇ! 解ってるんだろ?真贋!」 「………解ってるよ痛い程にな! オレも前世でやれなかったからな、今世は飛鳥井の五芒星引きたかったんだよ! また今世ならば出来ると踏んでいた だがこんなに早くは……流石と考えてなかったわ」 竜胆は考えて押し黙るが、ハッと何かひらめいたのか? 「それだけ飛鳥井が押し遣られると言う事なんだよ!絶体絶命の危機が来る……その前の不戦なんじゃねぇのか?」 「……また嵐が来るのか?」 「今度は嵐ですまねぇんだろ?」 「危機的状況が来るって事か?」 「だろ?ならば俺等は衝戟に備えねぇとな! って事で9月になったらやるわ! ソイツ等はどうするのよ? 今のままじゃ衝波受けれねぇだろ?」 康太はレイと椋を見る 「だな、三通夜の儀式を受けさせるしかねぇ 翔も五通夜の儀式をやらせる! それだけの実力はついてると想ってるからな!」 康太が言うと竜胆は翔を見た 「だな、立派な次代の真贋だ! なれば俺が介助として入ろう!」 「おめぇはまだ3歳やろが!」 「体は少し小さいが俺は呪符が使える! 宗右衛門程の覇気は飛ばせぬが、契約した者を召喚も出来る、不足はねぇだろ?」 「ならば頼むな!」 「おー!」 凛は手を上げ返事した 夕飯の良い匂いが漂うと、烈は目を醒ました 「ぎょはん……」 凄いセンサーだと榊原は苦笑して、濡れタオルで烈の顔を拭いた 久遠が起きた烈の傷の具合を見る あまり芳しくない状況だが、ゆっくりでも傷は治りつつあった 気長に治す、烈はそれしかなかった 夜には花火をした 一生と慎一と瑛太と笙とが手伝って打ち上げ花火の準備をする 悠太は縁側で線香花火の準備をした 烈は縁側でそれを眺めるしか出来なかった 悠太は烈に線香花火を手渡した 「今烈は動けないなら出来るだろ?」 落ち着きないから線香花火は出来ないと言われたが、今は動けないのだ座って線香花火は出来るのだ 「ゆーちゃん ありがとう」 「寒くないか?烈」 「らいじょうぶよ」 「烈、僕ね師匠と共に竜馬のビルの設計に携わる事になったんだよ」 「ゆーちゃんはきっと、ゆめのあるせかいひけにょよ!」 「烈………」 「あのびるはね、たくしゃんのひとがゆめをじつげんしゅるびるらからね、ゆーちゃんがおもうゆめをぶっこむといいにょよ!」 「僕頑張るね!」 「ゆーちゃん らいすきよ!」 「烈……僕も烈が大好きだよ!」 傍から見たらラブラブの恋人ばりの会話だった 聞いてる方が顔が赤くなる会話なのに、本人たちはそんなの度外視してやるのだ! 聡一郎は「本人達は気付いてない事が恐ろしいな…」と呟いた 一生は腹を抱えて笑っていた 「仕方ねぇよ、超鈍感な二人だからな! 妬くんじゃねぇぞ!聡一郎!」 「妬きませんよ!烈相手に……でも烈なれば僕は完敗ですよ!」 「烈は誰も愛さねぇって決めてるからな…」 「そうでしたね………」  「でもよぉ、そんな、哀しい話はねぇよな? だから俺は魔界に還ったらアイツにお見合いをさせる準備をせっせと建御雷神を使って話を進めているんだよ!」 「君も大概お節介ですね!」 「放っとけ!」 一生は縁側に座って地味に線香花火をする烈と悠太を見ていた その時 大きな花火が打ち上がる音がした 烈は花火を見上げているとレイが烈の傍に来た 椋と凛も縁側に座って花火を見ていた 凛は竜胆の声で「宗右衛門、飛鳥井の五芒星を引くんだってな、その意図は?」と問い掛けた 「こんな、外で誰が聞いてるか解らぬ場所で話す訳にはいかぬ!」と宗右衛門が答えた 「ならば後で結界を張った中で聞かせてくれないか?」 「暫し待て、傷が癒えたら総てを話してやる 今はその【時】ではないからのぉ!」 そう言い後は黙った 凛は「どはでにゃはにゃび やりたいにょ!」と訴えたが康太に「トレパンマンはいてる奴は駄目だぜ!」と謂われて「ちくちょー!」と怒っていた 聡一郎は「彼は気性が激しいのですね?」と烈に言った 「りんろーはね、いちぞくいち きむずゅかしくて、しんがんより きしょうがあらいにょよ! らから かおみせはきんちょーしたにょよ あいつがらめ!といったら ごはさんになりゅのよ!」 聡一郎はそんなに気難しい奴なのか?と想った だが康太を見てるみたいで憎めない奴はなのだと想っていた 「あれは康太の再来ですね」 「しんがんより あらいのよ おこると、とまらにゃいのよ ほんとうにね、あらしをよんだら、ぼくよりおおきくなるのよ」 「嘘、烈の嵐より大きいって……それは吹き飛ばされる奴結構出るじゃないですか!」 「ぼだいじ、けっこうたいへんよ! てんせいしゃ りんろーがきょうせいちゅうらもん!」 聡一郎はそう言えば、最近の菩提寺の僧侶はキビキビ動いて、ピリピリしてたなって思い出していた 「竜胆 菩提寺の矯正に当たっているんですか?」 「りゅーま おそったはなししたら、いかりまくって たださねば!っていってたにょよ!」 烈は笑って言うが聡一郎は笑えなかった 烈はレイに線香花火を一本持たせた 聡一郎が火を付けてやり、レイは線香花火を笑って珍しそうに見ていた 「ちれーね!」 レイは最近やっと日本語で話せるようになって来て、会話も増えて来た 椋は烈に抱き着いた 烈は椋を抱き締めて笑っていた レイと椋は烈の大切な宝物だと兄達も理解して、二人を大きな花火を見よう!と誘う 烈は二人の背を押して行かせてやると、二人は兄達に連れられて行った 烈は疲れたのか奥の部屋の布団に寝に行った 慎一が付き添いパジャマを渡すと、着替えて布団に入った 康太はそんな烈を見て「体力付けねぇとな……」と呟いた 前回の体力回復訓練も血反吐吐く想いで踏ん張り元に戻した 今回もそれをさせるのは忍びないが、東神奈川の件は烈が言い出したのだ、最期まで完遂して貰わねばならない現状があるのだ 甘い事など言ってられなかった 榊原も「僕は午前中は烈の訓練を支えます! 君は午後から烈を支えてあげなさい! 僕達の子を立たせるのです、それは二人でせねばなりません! 幾ら忙しくとも、それは僕達がやらねばならない事だと想いませんか?」と覚悟にも似た言葉だった 康太も「だな、それと並行してレイと椋の訓練にも目を光らせるわ! 宗右衛門が遣り遂げると言うなれば、それは必要不可欠な事態が来ると謂う事だからな 急がねぇと飛鳥井の終焉となるからな!」と気合を入れて動くと言った 「奥さん 乗り越えましょうね!」 「当たり前じゃねぇかよ!」 二人はラブラブに言葉を紡ぐ 一生は「ケッ!」と練乳に砂糖をぶち込んだ甘さに毒づいた 二人は愛を確かめる為にホテルの飛鳥井専用の部屋へと向かう 皆はそれを見送り宴会に突入した 楽しいお盆休みの一日目は終わりを迎えた 真矢は烈の少し横で添い寝していた 寝相の悪い烈が痛みの為か寝返りさえ打てずにいる姿に、胸を痛めた 優しく髪を撫で添い寝する 烈の体からは甘い匂いがして、真矢は何時しか寝入っていた 真矢は優しく頭を撫でられているのを感じて目を醒ました すると烈が真矢の頭を撫でていたのだ 「ばぁたん つかれてるにょ?」 「烈が美味しい匂いさせてたから眠っちゃったのよ」 流生が「烈、起きてる?」と言い部屋に入って来た 「にーに おきてりゅの!」 「なら歯磨きして来ようか!」 と言い烈を起こして洗面所に行くと、烈と共に歯磨きして顔を洗った 烈は顔を洗うと服がベタベタになるから、流生が顔だけ洗面所に向かせて洗ってやる そして即座にタオルで拭いた 目ヤニが着いてないか確認して「大丈夫よ!」と世話を焼き部屋に連れて行く 烈はパジャマを脱いで服に着替えた そして着替えを洗濯機に持って行く 自分の名前が書かれた洗濯ネットに着替えを入れると、兄達の分と共に洗う 洗濯が終わると自分の洗濯は自分の手で干す 烈は小さいから低めの所にハンガーとピンチハンガーの小さいのを用意して貰い干し始める 兄達が終わると烈の洗濯も手伝って干してやる 何時もは自分で干せるが怪我をしているから、洗濯物を振ってパンパンとシワを伸ばすだけで精一杯となるのだ レイと椋と凛の洗濯物も兄達が協力して干すと、朝ご飯の時間となる 何時もはそれに部屋の掃除があるのだが、此処は源右衛門の屋敷と謂う事もあり、掃除は聡一郎達がやっていた 何時もの日課は遊びに来たとしても続ける、それが康太と榊原の育てた子達の日課となっていた 真矢はそれを見て感心していた 笙や明日菜も自分の子を甘やかしてたな、と痛感していた だからと言って一気にやれとは言えないし、母親がやるのが通常だと思っている家庭には土台無理な話だった 清四郎も「自分の事は自分でやる、凄いね翔達は……」と呟いた こんな遊びに来た時位甘えても良いのに……と想った 榊原も朝から洗濯や掃除に勤しんでいた この父の背中を見て育てば……仕方がないか………と想った 白馬にドラム式洗濯機を2台入れた 洗濯室なるモノを作ったのは、この為だったのかと想った 朝食を食べた後は宿題と課題をやる 烈はそれとは別にPCをポチポチ、何処かへ電話して忙しそうだった 真矢はその光景に「会社員ばりの光景ね、この子達は自分が小学生だと解ってるのかしら?」とボヤく 翔は墨を摺って写経をやっていた それを見て真矢は「ジジ臭い」と一言 玲香は腹を抱えて笑った 翔は「……ジジ臭い……」とショックを受けていた 流石に白馬に来てやる事じゃなかった  3日しかない家族で迎える夏休みなのだから!と想い兄達は勉強道具を片付けた 烈も仕方なくPCを遮断して閉じて携帯も電源を切った りゅーま すまん……そう思いあと2日は切りっぱなしで過ごそうと想った 烈は「ばぁたん あしゅかいさんだーのこうま いるにょよ!みにいきゅ?」と問い掛けた それを聞いた康太が「烈の乗馬姿は初めてだろうし、見せてやると良い!」と言った   「烈、馬に乗れるのですか?」 「烈は宗右衛門ですから、前世で出来た事は今世でも出来るのです なのでトレパンマンはいてる時から馬には乗ってます」 初めて聞く事だった 烈は兄達と真矢と清四郎とで厩舎へ向かった そこは立入禁止区域となっていて、朝宮を呼んで開けてもらい中へと入った 烈を見た篠宮は「烈!馬に乗るか?」と話し掛けて来た 「そーにゃのよ!のるのよ!」 と言うと、篠宮に鞍なしの馬に抱き上げて、乗せてもらった パカパカと最初は歩くように回る そして少しずつ速度を上げ手綱を駆使して、走る そして止まると「このうま、だれかのっちゃ?」と問い掛けた 「誰も乗ってませんよ?」  「くせついてるにょよ!」 「え?嘘、何で……」と篠宮は訝しんだ この区域は許可された者しか入れなかった だから生まれてやっと調教に入る子馬に乗れる筈などないのだ 「真贋を呼んで調べてみます!」 「じくもね、ずれてるにょよ!」 烈が言うと、翔が「僕も乗せて下さい!」と頼んだ 烈を抱き上げて下ろすと、翔は慣れた風に馬に乗り走った 歩かせたり走らせたりを繰り返し 「癖ついてますね 右に回る時けんちょに出ます」と言った 篠宮は真贋を呼び出して対策する事にした 烈達は厩舎を後にして、宗右衛門の屋敷に戻って来た 入れ替わりで康太と榊原が走って厩舎へ向かった 烈は「ねむいにょ…」と謂うとお布団に寝かせた 玲香が烈に付き添うと、真矢に「無理するでないぞ!」と顔色の悪さに心配して言った 烈の横に真矢も寝かせる 兄達はやんちゃな凛の世話をしていた 木には登るし、川には入ろうとするし、本当に落ち着きのない子だった 兄達はヘトヘトになり慎一と変わった 慎一は「今日の課題、済ませましたか?」と謂うと凛は大人しく「まられす」と答えた テーブルの前に正座させ課題をやらせる 兄達は凛の前に座り「解らない所は聞くのよ!」と言い応援する 凛は今世はめちゃくそ幸せかも……と想う だからこそ宗右衛門は絶対の結界を張り、絶対の一族の強化に乗り出されたのかと理解した 宗右衛門は『こんな、外で誰が聞いてるか解らぬ場所で話す訳にはいかぬ!』と手の内を明かす事を極力しないのはそのせいなのか ならば、今世は相当飛鳥井は狙われて来てると謂うことなのだろう これは気を引き締めねば、宗右衛門の齎す嵐に吹き飛ばされてしまうではないか!と気を引き締めた その夜も美味しい料理を食べて、大人は皆でお酒を飲んで楽しい時を過ごした 白馬で過ごす2日目の夜は過ぎて行った 白馬で過ごす3日の朝、竜馬が烈を迎えに来た 源右衛門の屋敷を訪ねて、やっとの想いで辿り着く 竜馬は源右衛門の屋敷に入り烈を見ると 「連絡だけは取れる様にしてくれと言ったじゃないですか!」と言った 電源を切った電話を思い出し「ごめんね、りゅーま」と謝った 竜馬は「康太さんにも話があったんです!」と康太の前に行き話をした 康太は「あんだよ?話って?」と問い掛けた 「東神奈川の現場、勝手に壊すの止めて貰えませんか? あれは烈の指示で烈の思い描く世界に壊さないと、俺達は動く事はない! なので勝手に壊され歪んだ世界になるならば、俺等は手を引く事となる!」と少し怒って言った 康太は「んな指示誰も出してねぇぜ!」と謂う 康太は栗田に電話を入れ 「一夫、東神奈川の現場、勝手に壊してる奴いるって謂うから止めてくれ! 勝手に現場に入ったんだ! 不法侵入で捕まえさせろ!」と檄を飛ばした 『東神奈川の現場ですか? 誰ですか?そんなバカは? 直ぐに見に行きます!』 そして電話を切ると思案して 「勝手に壊してる奴は飛鳥井の社員の訳ねぇよな…」と言い捨てた 厩舎では勝手に入って乗り回していたバイトが防犯カメラに映っていた 本人を呼び出し話を聞いたら「少し位乗っても大丈夫だと想った!」と悪びれる事もなく言った 防犯を強化して侵入したら即座に駆け付けられる様にセキュリー会社に頼み、様子を見る事にしたばかりだった その為に昨夜は寝ずに動いていた なのに次は東神奈川の現場だと? どんだけ巫山戯てるんだよ! と康太の目が座ってて、めちゃくそ恐ろしかった だが竜馬だとて引く訳にはいかなかったのだ! 烈は竜馬の傍に行くと宗右衛門の声で 「壊された現場を見ねば始まらぬ! 儂をその場に連れて行くが良い! 当然手を打ってこの場に来たんだろうな?」 「勿論!抜かりはない!宗右衛門!」 「ならば一つ仕事を増やすがよい! 白馬の厩舎にバイトが押し入り馬を乗り回していた 損失額は億を超える事になる それをバイトに請求してやるつもりじゃ!」 「ならば誰の差し金か調べないとなりませんね!」 「そうじゃ!本当に怪我してても寝てられぬな! 竜胆、お主にレイと椋を託す、三通夜の儀式の説明をしておくがよい!」 竜胆は「了解した!三通夜の儀式、俺も協力する!皆で乗り越えようぜ!宗右衛門」と言った 「じゃな、なれば儂は逝くしかない! 後は頼めるか?真贋」 「頼まれてやるけど、烈の短い夏休みを奪った罪は償わさねぇとな!」 康太はメラメラ燃えていた 少しの休日さえ休ませてくれないのか?と怒っていた 榊原も「僕達も戻らねばなりませんね、東神奈川の現場で勝手をされるならは、手を打たねばなりません! 【R&R】のイベントを入れてやっと解体費用は捻出出来るかも、と謂う今、それをやられたら溜まったものではありません!」と現実を口にした 清隆も瑛太も休日どころの騒ぎではなくなり、横浜へ帰らねばならなくなった 久遠は烈が帰るなら帰ると言った 清隆は一生達に「この子達の夏休みをどうか護ってやって下さい! この子達はこの地で過ごされる様に護ってやって欲しい!」と頼んだ 一生は「烈が兄達の為に強行した夏休みですから、守り抜いてみせますとも! ですから安心して下さい!」と約束を口にした 烈は帰り支度をして竜馬と共に久遠を乗せて横浜へと還った 康太と榊原と瑛太と清隆は朝宮が運転するマイクロバスで横浜へと還った 竜胆はレイと椋に「さぁ三通夜の訓練を始めようぜ!」と言った それには翔や兄達も参加して、二人をフォローした 身体訓練を高めないと儀式は送れない 翔も参加して竜胆と剣の訓練をする 流石転生者、竜胆の剣捌きは軍を抜いて適格で、こんなに小さいのに翔は敵わなかった それが悔しくて何度も何度も掛かっていき、白馬にいる間は訓練に明け暮れた 玲香は疲れている真矢と清四郎を休ませ、ゆったりと過ごしていた 自分が駆け付けても、何も出来ないと解っているから残り孫と過ごすと決めたのだ 笙は「飛鳥井って大変なんだね」と呟いた 玲香は「宗右衛門が嵐を呼んでおったからな、嵐が去ったと言っても何もなかったとはならぬのじゃよ!」と説明した 世間は大人の声で話す宗右衛門を周知して、応援している風向きとなった 明日菜は「あんな怪我してるのに……」と烈を想った 怪我はまだ治ってはいない だけど動かねばならぬ現実に烈は動き出すのだ 横浜に還った烈は東神奈川の現場へ即座に向かった するとビルは見るも無惨に壊されていた 竜馬は「どうだ?宗右衛門、無理か?」と問い掛けた 「厳しいな、これは何とも言えぬ! これから調整して何処まで作れるか?分からぬからな… 仮にギリじゃとしても、これ以上壊されたらアウトじゃ! 今夜からは警備を配置しせねばならぬな この現場を壊したのは、クビになった莫迦らか?」 「それプラス白金建設の奴等だ 証拠も顔写真も動画も総て揃えられてあるから 神威殿に任せてある!」 「たかが2日白馬に行っただけ……もしや飛鳥井の中にスパイがおるのか? 儂や会長、社長が白馬に逝ったのを知る者は一握りの者じゃが、夏季休暇に突入した飛鳥井を狙うのは容易いし、内部に手引した輩がおると考えた方が早いか…… 警察を動かしたか?」 「親父が叔父貴に頼んで動いて貰ってる 捕まるのも時間の問題だと想う そして捕まえた者を吐かせて令状取って踏み込む手筈は着いてると想う」 「ならば、とことんやるしかないわ!」 竜馬は「これからどうする?」と心配して聞いて来た 「おべんとはつづけるしかにゃいのよ!」 「お弁当? 腹減りなのか?烈」 「まちがえたにょよ!いべんと にゃのよ! あさたべるまえらったから、いべんとをおべんとうといっちゃったのよ」 烈はどうやら腹減りのようだった イベントをおべんとうと言っちゃえる程に腹減りだった 「デリバリー頼む?それとも何か食べに行く?」 「でりばりたのむなら、かろりーとしぼうがすくにゃいのね!」 小学生に上がったばかりの子が、カロリーと脂肪を気にするのかよ? と竜馬は想いつつカロリーと脂肪が少ないのを探す そこへ康太と榊原が会長と社長を連れてやって来た 二人は飛鳥井で榊原の車に乗り換えて来ていた 「烈、現状はどうよ?」と康太が声を掛ける 「なんかね、ぼろぼろでね、どうしたらいいか わからにゃいのよ」と答えた 「え、それはどういう事よ? ひょっとしてイベント総てがポシャる可能性もあるって事か?」 「そーなのよ、こわすにしても、やりかた あるにょよ!」 「烈のイメージ通りじゃねぇとメンバーは動かねぇんだよな?」 「めんばーはね、うごくよ、れも……ふほんいなしごと させたくにゃいのよ」 だから仕事は選んで選んでやってるのだ 「ぼくたちはおかねじゃうごかにゃいの……めんばーはみなしごとしてるから! おかねにはこまってにゃいのよ!」 烈はお金じゃないと言った 竜馬も「我等メンバーは他の会社でもタッグを組んで仕事してますから! ですからお金じゃないんです! 我等は楽しむ為に仕事をして、楽しむ為にイベントをやる! 俺等のメンバーの中には、烈のいる桜林の英語教師をしたいと言い出して副業で英語教師に収まった奴もいます その彼の名はデービッド、トンプソンと言い、本当なら学園長は大学の専任教授に!と謂うのに初等科の英語の教師になりに行く変わり者です 我等はお金では動かない! 我等は好きな仕事を生業にしているのですから!」と言い切った お金で動かない奴を動かすのは至難技なのだ 康太は「これ以上は壊させねぇ……だから烈の想いを遂げさせてやってくれ!」と言った 竜馬は「俺はその為に此処にいて、烈に知らせたのです! 烈がギリだと謂うならば、我等は何としても完遂すると約束しよう!」と約束を口にした 烈は「しゃいんをあつめて、がれきをかたづけて!」と指示した そして「かぁしゃん はんまーよ!」と楽しげに言った 竜馬は「俺もハンマー持って良い?烈!」と問い掛けた 「りゅーま たのしくてこわしすぎはらめよ!」 「承知した!」 「にゃら、がんばるのよ!」 康太は社員を呼び出した 栗田が既に東神奈川の破壊を告げて休日返上で社員を集めていたのだ トラックが運び込まれ瓦礫が撤去される 現場の周りはバリケードを張って、防犯カメラを幾つかつけ作動させる 社員達は既に壊れてしまっている現場に唖然となっていた 城田は「何故!誰がこんな事を!」と怒りを露わにしていた 康太が何者かに破壊工作をされた事を告げた 「真贋は犯人の目星は付いてるのですか?」 「竜馬が手を打ってるのを視えたからな、何とか相手の目星は付いてるかな? 会社をクビになった奴等と白金建設辺りだな 腹いせだと想う、だけどやはり会社の中にスパイ飼ってるんだよな? 飛鳥井の夏休み中に仕掛けて来るなんて!」 康太は悔しそうに言った 城田は何としてもイベントは成功させねば!と想っていた そこへ【R&R】のメンバーが急遽集まった 竜馬がメンバーに連絡を取ったからだった メンバーはぶっ壊れたビルに言葉をなくしていた 捲し立てる様に英語で何やら喋る その中心に烈がいて城田は唖然となっていた 「烈 英語ペラペラですか?」 あんな小さいのに……… 康太はそれに関して何も言わなかった そして【R&R】のメンバー7人が揃うと、話し合いがなされていた そんな中瓦礫が総て撤去された 康太は「これは上の方を総て撤去しねぇとバランスが削れて瓦礫の下敷きだな」と現実を口にした 宗右衛門は康太に「真贋 儂を高所作業車のバケットに乗せるのじゃ!そしたら何処まで壊して、何処から残すのかマーカーで印を付ける!」と言った 康太は栗田に言い即座に高所作業車を手配させた 高所作業車が届くまでに、竜馬はデリバリで頼んだ、ヘルシーで脂質のない朝食を烈に食べさせていた 康太と榊原は一旦社長と会長を会社に連れて行くと言いその場を離れた 東神奈川のイベントが成功せねば、解体費用を全て飛鳥井捻出せねばならなくなる しかも、もう神野も通してイベントとして告知してチケットの発売の準備もしている 出来ません、では通らないのだ! 榊原は「どうします?康太」と問い掛けた 「絶対に失敗出来ねぇイベントなんだよ、それをこうもケチ付けられて黙ってられる訳ねぇだろ? やっぱ宗右衛門が謂う通り飛鳥井の五芒星必要だわ!何時呪殺してくるか解らねぇからな!」 榊原はギョッとして康太を見た 「康太……僕は烈が怪我した時から胸騒ぎが止まらなくて不安でした…… この不安の原因は……何か起こる前触れと謂う事ですか?」 「だろうな、オレだって胸騒ぎが止まらねぇよ! 何が起きてるんだ!って叫びたい程だよ! それよりも烈がもっと大変なのに動いているんだと想えば、少しは冷静になれる」 「そうですね、今回は本当に宗右衛門の齎した嵐で飛鳥井が如何に弱体化してたか、露わにされましたからね!」 「教育体制をやっと敷いたなんて遅いんだけどな」 「それでも何もしないよりはマシです!」 「1000年続く果てに逝かねばならねぇからな! こんな所でへばってなんかいられねぇんだ!」 「そうです、僕たちの歩みは止まりませんから!」 二人は己を奮い立たせて会長室へと入って行った 栗田が総指揮を取り、高所作業車を持って来て、烈スプレーで取り壊しラインを入れさせる! 東神奈川のイベントを成功させる為に、社員は一丸となり頑張っていた

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