94 / 100
第94話 果てへ
宗右衛門は椋に八仙の元で過酷な修行を受けて来い!と言った
椋は覚悟を決めて八仙と共に向かった
竜胆は「何かさ俺が飛鳥井に還って安徽した日ねぇんだけど?」とボヤいた
宗右衛門は「それは当たり前だわ!安徽できる要素が何一つないからのぉ!
儂も………今世は早死すると出ておるからな、時間がないから……無理矢理進めてしまっておるのもある………時間さえあれば………な……」と言った
康太は「それ、本気で言ってたのかよ?」と問い質した
「儂は冗談や嘘など申しはしない!」
「それって星詠みの結果か?」
「星も他の占いも儂が死ぬと出ておる……」
「ならば、その定め事、ぶっ潰さねぇとな!
宗右衛門を欠いて今世オレの子が成り立つかよ?
オレは長生き出来ねぇのは解るが、あんで宗右衛門が早死するんだよ!」
「まだ確定した訳では無い
飛鳥井の五芒星を張らねば、総てが狂う事となる…
儂は早死、紫雲の次代は来世は欠けて…現れぬ
これは何を指すのか……解るよのぉ真贋……」
「んなの決まってるじゃねぇかよ!
飛鳥井の終焉だ!
そんな日は来ねぇと想いたいが……可能性も在ると謂う事か?」
「そうじゃ!儂の果てが分かれておる…飛鳥井の五芒星が分岐点となる!
でなくば、儂は幾つまで生きられるか?
見通しすら立たぬ……」
「飛鳥井の五芒星か…」
康太が呟くと竜胆も「それしかねぇならば、やろうぜ!宗右衛門!
それが成功しねぇなら、今世の俺の役務はないから、俺の魂は眠りに入る!
飛鳥井に入れねぇのなら、俺は他へと転生となる
それは即ち、死ぬしかねぇって事だ!
宗右衛門、奇遇だな、五芒星やらねぇと俺も死ぬんだよ!」と現実を告げた
康太は「ならやろうぜ!この命、賭したとしても絶対に五芒星を描く!
それが定めならば、オレ等はやる事をやるだけだ!」と狼煙を上げた
レイが大人の声で「闇に染まった者、僕が浄化してみましょうか?」と問い掛けた
レイは元はニヴルヘイムだ
冥府の地下深く闇を浄化して過ごして来た彼なれば、浄化出来ぬ事はないだろう……
康太は烈を見た
烈の、嫌 聖神の大切な大切な存在なのだ
宗右衛門は「ならばレイに闇を浄化して貰うとする!その後で魂の本質を視るとする!」と告げた
康太と榊原は外に出ると「ならば逝くぜ!」と言った
榊原は呼び寄せた風馬に竜胆と共に乗り走り出した
康太は天馬を呼び駆けて逝く
烈は「あるくーん!くるにょ!」と謂うとアルパカみたいな馬がもの凄いスピードで走って来た
「れい のるのよ!」と言い烈はレイを前に乗せて落ちないようにして、母達の後を追った
レイは烈に「しなないで……ぼくがうまれたいみがなくなるから……」と訴えた
烈は「やっと……あなたにあえたのに……しにたくにゃいよ……」と本音を吐露する
心の支えになってくれ人に報いたい
ずっとずっと心に寄り添って支えてくれた人を護りたい……
烈はギュッとレイを抱き締めた
レイは烈の手をギュッと握った
「ねぇ、このうま、あるぱか?」
「それね、ぼくもしらにゃいのよ
れもね、ぼくのうまなのよ!」
「かわいいね」
「あるくん いうのよ」
他愛も無い話をした後に………烈はレイに
「やみ……さわりたくにゃいんじゃない?」と問い掛けた
「かまわないよ、それがれつのためになるなら
やるよ、ぼくは」
「ずっとれいのそばにいるから!」
レイはニコッと笑って頷いた
閻魔の邸宅の前の庭に下りると、康太と榊原と竜胆が待っていた
烈はレイをあるくんから下ろすと、母と父の傍へと行った
皆で閻魔の邸宅の中へと入り、応接室バリの部屋に入ると、閻魔と黒龍と建御雷神と素戔嗚尊が座っていた
康太は閻魔に「めちゃくそ明るくなってるやんか?ビックリした」と言った
閻魔は「聖神がガブリエルと話を付けてくれて、本来の世界樹の使い方としてくれたのです!」と伝えた
素戔嗚尊は烈を抱き締めると、レイ共々膝の上に乗せた
素戔嗚尊は「建御雷神が元あった家に四世帯住宅を建ててくれたのじゃ
それで家に風呂もついたのじゃ!
儂は別に川でも構わなかったがな、建御雷神が『済まなかった!風呂の存在忘れたわ!』と言い詫びに建ててくれたのじゃ!
儂は今 そこに住んでおる!
そこには息子も還って来てくれるのだ」と烈に伝えた
やっと風呂が出来たから何時でも来るがよい!との素戔嗚尊の想いだった
烈はそんな話を笑って聞いていた
榊原は「それでは本題に入ります!閻魔、闇を纏った死者を此処へお連れ下さい!」と言った
閻魔は従者に「此処へ連れて参れ!」と言った
暫くして従者が闇を纏った死者を連れて来た
闇を纏った死者を見るとレイは立ち上がった
そしてその者達から闇を剥ぎ取り操ると、レイの手には闇が握られていた
闇をまるで粘土か何かのように捏ねくり回して浄化する!
綺麗な透明になると、レイはフゥ~っと息を吹きかけた
するとキラキラと粒子のように闇だったモノは吹き飛び塵となり飛んでいった
レイはニヴルヘイムの声で
「その者達の闇は今 浄化しました!」と告げた
見事な手捌きに閻魔や建御雷神は言葉を失っていた
康太は闇を消した死者の前に立つと
「何故、猛獣を儀式の間に入れたんだ?」と問い掛けた
死してまでその秘密を守り、その為に生きた理由を問うた
死者の1人の女性は「我が子を地獄に落としたのは、そこの化け物ではないか!」と吐き捨てた
烈は眉を顰めると「儂の事か?」と問い掛けた
「そうよ!あんたが息子を追い詰めた!
息子は獄中で死んだと弁護士が言っていた!」
烈は母を見た
康太は首を傾げた
「烈が関わった案件は東神奈川の件だけだろ?
顔見世して宗右衛門の役務を始めたんだからな!
その現場の作業員や社員が死んだなんて話、上がって来てねぇぞ?
況してや『獄中で』って……捕まった奴等はまだ留置所だろ?
何の話をしてるんだよ?」と逆に問い掛けたくなった
女は「そんなの嘘よ!飛鳥井神威が貴方の息子は獄中で死したと告げたもの!」と言い張った
素戔嗚尊は「我が息子、大歳神よ!此処へ参れ!」と告げると、ビシッとスーツを着た飛鳥井神威が姿を現した
手にはお酒の入ったコップを持って、毘沙門天と共に姿を表したのだった
康太はそれを見て「また毘沙門天と飲んでたのかよ?」とボヤいた
この二人は暇さえあればガード下の屋台で飲んでるのだ
神威は姿勢を正すと「親父殿 お呼びか?」と問い掛けた
「お主は此の者に息子は獄中で死したと告げたのか?」と問い詰めた
神威は「初めて目にする者です!しかも獄中で自殺か病死するにしても遺族には必ず、遺体の確認をしてもらわねわならない!
その工程をせずに、死を告げる様な話をする筈などない!」とキッパリ言った
女は「貴方は誰なの?」と聞いた
「儂は人の名を飛鳥井神威と申す!
弁護士を生業とした者!」と告げた
女は「嘘……飛鳥井神威はもっと高齢な人だった……」と崩れ落ちて床に座った
神威は訝しんだ顔をして「儂の名を語った輩が居ると申すのか?」と問い掛けた
榊原は「そうみたいですね!」と言った
そして残り二人に「お前達はどうして魔獣を儀式の間に入れたんだ?」と問い掛けた
二人も東神奈川の作業員の子を持つ親だった
子が獄中で自殺したと聞き、復讐の為に団結して今回の復讐劇に加担したと告げた
康太は「それを指揮した奴は誰だよ?」と問うと
三人は「飛鳥井神威」と告げた
神威は3人の前に「その飛鳥井神威は儂だ!儂が何時お主達にそんな指示をしたのだ?」と問うた
康太は「おめぇは姿を隠して存在してるが、烈の代理人として名前だけは先行して広まっている
だからこそ、信憑性の高い奴の名前を使い此奴らを騙したんだろ!」と本心が視えて来たと想った
だが宗右衛門が「違うな!神威の名を出せば納得すると謂れ言っておるだけじゃ!」と吐き捨てた
3人の顔は青褪め……震えていた
「息子共々飛鳥井を貶める為だけに戸籍を偽造して、昔から飛鳥井の菩提寺の為に骨身を惜しみなく仕えてくれた者に成り代わった!
此の者達は人で在って人ではない……人の魂を喰らい寄生する一族の者!
遥か昔に途絶えた一族 紅月の一族の残党じゃ!」
総て視て宗右衛門は告げた
康太は珍しい名前が出て嗤った
「紅月か……宗右衛門と俺が潰した一族の残党か!
そりゃ腕によりをかけられ苦しめられる筈だわな!」
「真贋よ、此の者の魂の半分は菩提寺の為に生きた者!安らかに眠らせてやってはくれぬか?」
「ならば見事に剥離させられたら眠らせると約束しよう!」
母から約束をして貰うと烈は草薙剣を手に出した
神威が烈の体を支えて二人で死者の魂を剥離して斬った!
紅月の魂と菩提寺に仕えてくれた者の魂と分離すると、素戔嗚尊が紅月の魂を無間地獄へ突き落とした
そして「閻魔……すまぬ……」と謝罪した
閻魔は溜め息一つ着いて「素戔嗚殿 どの道あの者は無間地獄へ落とすので手間が省けました」と言った
飛鳥井の菩提寺の為に骨身を惜しまず仕えた者の魂をレイが触れた
すると手に触れた魂は見る見るうち球体にされ閻魔に手渡した
閻魔は「ニヴルヘイム……」と呟いた
その力、今も変わりなく存在し、今は飛鳥井の為に、烈の為に使われていた
総てが片付くと康太は「今は移動出来ねぇな」と呟いた
烈の体力で更に移動すれば、体が持たないからだ
どの道 椋も出来上がらねば帰れぬ
康太は「今夜は魔界に泊まるか?」と告げた
そう聞けば素戔嗚尊は居ても立っても居られず
「ならば、儂の家で過ごすがよい」と嬉しそうに謂うと、大歳神と烈とレイを連れて新居へと向かった
素戔嗚尊は嬉しさを隠す事なく笑っていた
建御雷神はそれが嬉しくて堪らなくなり泣けていた
素戔嗚尊の顔から表情が消え、苦汁に満ちた顔ばかりして、まるで贖罪の日々だとばかりに過ごし、その顔から笑顔が消えた
それが今の素戔鳴尊は、まるで昔の時の様に笑っていたのだ……嘘のようで信じられない想いで一杯となった
友よ……心穏やかな日が戻って参ったのじゃな
苦しみも悲しみも喜びも分かち合い、共に闘って来た友よ………
泣けぬ筈などない
閻魔は父にタオルを渡した
建御雷神はそれを受け取り泣いていた
閻魔は竜胆に「お腹は空いてませんか?」と問い掛けた
「お腹は減ってる!」と答えた
黒龍は「お主らは新婚して来るが良い!竜胆は俺が面倒見とく!」と言った
康太と榊原は閻魔の邸宅を出て、裏にある自分ちへ向かった
黒龍は取り敢えず、食堂へと向かい竜胆の腹を満たす事にした
素戔嗚尊はレイを前に座らせて、空を駆けていた
大歳神は自分の愛馬を呼び出し、烈もあるくんに乗った
そして素戔嗚尊の後を着いて飛ぶ
素戔嗚尊の新居は……どんだけ建御雷神頑張ったのよ?と言いたくなる程の豪邸だった
家の前に馬を止めると、素戔嗚尊は「これが我等の新居じゃ!」と言った
4世帯住宅は玄関は一つだが、それぞれの部屋へ繋がるドアがあり素戔嗚尊 宇迦之御魂神 大歳神 聖神と部屋が作ってあった
部屋へと続くドアの前にはプレートあがり、何処か飛鳥井の家を彷彿させていた
烈は部屋へと入らず、応接室へと入りソファーに横になると眠った
レイはそんな烈を心配して髪を撫でていた
大歳神も素戔嗚尊もソファーに座ると、大歳神に
「何が起こっておるのじゃ?」と問い掛けた
「倅が嵐を呼びまくっておるのじゃ!」とボヤいた
春先から何度も何度も嵐を巻き起こし、怪我して満身創痍だと伝えた
頭の手術の跡もやっと落ち着き、髪も生えて来たのだと伝えた
素戔嗚尊は大歳神の言葉を聞き、人の世の烈の立場を想った
「今夜は儂が腕を奮うからな!待っておれ!
さてと儂は買い物に出るかのぉ!」と言った
大歳神は「なれば儂も買い物に付き合うとしよう!」と父と共に買い物に出掛けた
素戔嗚尊と大歳神は買い物に出掛けた
レイは烈の頭を撫でていた
「れい…」
「なに?」
「こうかいしてにゃい?」
「なにを?」
「ぼくにめをくれた………ことを……」
「してないよ!
あのあと……ぼくはめいふのちかをさったから…
きみにわたせるものがあってよかったとおもってるよ」
「あなたは……まかいにいばしょのなかったぼくのささえでした…
あなたがはなしかけてくれたから……ぼくはかこくなひびをたえられた……」
「ぼくもね、ぜつぼうのなかできみのそんざいだけがすくいだったんだよ」
烈は泣いていた
レイは何も言わず烈の頭を撫でて……知らないうちに眠りに落ちていた
素戔嗚尊と大歳神が家に帰ると烈とレイは眠っていた
大歳神は二人にタオルケットみたいな布をかけてやって父親と共にキッチンに行き夕飯を作った
ここ最近の魔界は世界樹から恵みの光や太陽の光が入って来ると謂う事もあり、爆発的な成長速度で育っていると謂う
動物や野獣や猛獣、菌類も繁殖力が盛んになり数を増やしてしまっている為に、定期的に数を管理して間引いていた
そんな動物の肉は市場に売りに出され、市場は活気づいていた
妖精達も繁殖し空を飛ぶ姿は虹色に輝いていた
人の世から流れてくる水も、キラキラと輝き、全てにおいて魔界は住みやすい世界へと変わりつつ在った
だからこそ、規律と統制は必要となっていた
素戔鳴尊は大歳神と聖神が戻って来る魔界を護る為に日々動いていた
素戔鳴尊と大歳神は腕によりをかけて夕飯を作った
烈とレイを起こし、夕飯を食べる
他愛も無い話をして食卓は賑やかになる
楽しく笑って話が止まらない
素戔嗚尊はそんな家族を笑顔で見ていた
夜には出来立てのお風呂に皆で入り、雑魚寝した
烈の寝相が凄くて蹴りが飛んでくるが、それも楽しいオマケだと笑っていた
魔界に3日滞在した
その間に炎帝の屋敷に泊まって雪と仲良くなったり、金龍の家に泊まって、金龍や銀龍と飲みまくる素戔嗚尊と大歳神と毘沙門天とで手が付けられなくなり、飲んだくれの巣窟から雪はレイと烈を連れ出して、黒龍の部屋だった所で寝るように言い、3人で雑魚寝した
楽しい日々だった
時間を忘れちゃいそうな日々だった
4日目の朝、八仙が閻魔の所に姿を現した
「もう東矢は飛鳥井の五芒星を引ける実力を手に入れた!
さぁ戻って飛鳥井の五芒星を引くが良い!
そすれば次代の陰陽師も姿を現す事となる!
今後はちっとやそっとじゃ、飛鳥井は覗けはせぬであろう!」
八仙はそう言った
ならば、やるしかない!と康太も竜胆も烈もレイも椋も頷いた
「なら人の世に還るとするか!」
そう謂うと、閻魔の屋敷の庭に出た
天馬と風馬を呼び出し康太はレイを、榊原は竜胆を、烈は一人であるくんを飛ばして崑崙山へと向かった
八仙の屋敷の前に馬を止め、家へ入ると、顔つきの変わった、椋がいた
康太は時空を飛鳥井の家の屋上へ繋ぐと、吐きそうな時空に我慢して、飛鳥井の屋上へ出た
お花の手入れをしていた流生が「母さんと父さんどうしたのですか?」と問い掛けた
それで康太と榊原は人の世の朝なのだと理解した
康太は流生に「時間がねぇんだ、すまねぇな流生」と言い頭を撫でた
屋上には慎一もいて康太は
「今直ぐにリビングに翔と一生と聡一郎と隼人を呼んでくれ!」と頼んだ
慎一は即座に動いて翔、一生、聡一郎、隼人を呼んだ
リビングのソファーに座ると「宗右衛門どうするよ?」と尋ねた
「紙と地図と書くモノと定規とコンパスと分度器を先に頼む!
地図は一枚の大きさでこの飛鳥井の家から2キロ未満の地図をコピーして用意してくれ!」と謂うと榊原がPCを操作して地図を拡大して印刷した
そして総てを用意して宗右衛門の前に置いた
「5特異点には我等が立つ、真贋は中央に立って衝覇を受けて飛ばして下され!」
と言い五芒星を紙に描き五行相剋と特異点を上から時計回りで木 火 土 金 水と書き
「真贋、何処に誰を配置する?」と問い掛けた
康太は「何処に誰を配置するか、それって一番難しくねぇ?」とボヤいた
榊原は「宗右衛門は何処が良いですか?」と本人の申告性じゃ駄目かと、問い掛けた
「相克とは相生とは違うから、受ける方は相当の衝撃を受けるしかない
そこを解らねは、受け止めきれねば死に直結する事を、頭に入れねばならぬ」
「相克と相生との違いは?何なんですか?」
「端的に申せば相生とは滋生、助長の関係と言い互いの良い方を伸ばす相性の良さを謂う
相克とはそれの反対じゃ束縛、抑制の関係を言う
火は鉱物を溶かし、土は水は堰き止める、金属は木を切り、水は火を消す、木は土に根を張って侵食する、相手との相性が悪いレベルではない話となるからな、人選は慎重にやらねばならぬのじゃ!」
榊原はもう何も言えなかった
竜胆が「ならば、力の本質を持って配置するしかねぇだろうが!」と言った
そこへ翔が一生達と共にやって来た
康太は翔や一生達に話した
そして「翔、飛鳥井の五芒星を引く!」と告げた
翔は「はい!解りました!」と覚悟の返事をした
話し合いをして宗右衛門が本質を見る
それで何とか調整を取りつつも
レイは水 竜胆は火 烈が土 椋が金 翔が木 と決定した
宗右衛門は地図を出し、コンパスで飛鳥井を拠点てして半径をグルッと回して引いた
そしてその中に五芒星を書いた
寸分の狂いもなく定規と分度器で測って正確な特異点を割り出す
五芒星の一番上を木として時計回りで火、土、金、水、そして中央地点
其れ等に立つ者の名前を入れ「コピーを人数分頼む!」と謂う
一生はその紙を手にしてコピーをして、テーブルに置いた
それからは妨害された時の為に手を打ったり、根回ししたり動くと、刻々と時間は過ぎて行った
総てを決めると宗右衛門は
「各々の特異点とするこの地点に今夜、午前零時に立ち五芒星引く事とする!」と告げた
康太は「んなに時間の余裕ねぇじゃねぇかよ!
即座にこの地に立ちその【時】を待たねぇとな!」と言った
康太は真壁のビルの屋上でその【時】を待つ事にした
烈は、竜馬を呼び出し、その地へ共に逝く事にし
レイは慎一が、竜胆は聡一郎が、翔は隼人が、椋は一生が、それぞれ連れて逝く事にし、即座に車に乗せ目的に向かった
竜馬は近場に越して来たと謂う事もあり、直ぐに烈を迎えに来た
烈は竜馬の車に乗ると「りゅーま、たのむからしんじゅうして!」と言った
竜馬は笑って
「頼まれなくても烈と共に逝くと決めている!
お前が死する時は共に行ってやる!」と言った
竜馬は目的地へと向かって走った
連絡は逐一取った
「たぶん、ぼうがいされるからね
そしたらいのちのほしょうはにゃいのよ」
「烈は俺を無駄死にさせねぇだろ?」
「らから、かくごいるのよ!」
竜馬はかなりのスピードで走っていた
その後を猛スピードで車が追って来る
「りゅーま、しげおにたのんどいた?」
「ええ、着いて来る車は即座に警察送りです!」
竜馬の車の左右には覆面のパトカーが走っていた
目的地には車で走っても一時間は下らない
追い掛けて来た車が体当りして事故らせようと近寄る
すると即座にパトカーが屋根に赤色灯を乘せて、取り締まる
竜馬の車は追い掛けて来る車を警戒しつつも、目的地へと向かった
一生、慎一、隼人、聡一郎達も車に追跡され妨害を受けていた
竜馬が手を回したパトカーが即座に動き、危険運転で逮捕され連れられて行った
何とか全員目的地へと到着すると、そこらで一番高い場所へと移動した
竜馬は烈を抱き上げると走り、その地点に立った
そして時計を見ると烈は携帯を手にすると、家族の一斉回線で電話をして通話にした
6人全員が通話状態にして、その時を待つ
時計の針が午前零時を指す前に、踏ん張り気を貯める
電話は竜馬に持たせて少し離れた所に立たせた
康太の声がスピーカーを通して【逝くぜ!】と聞こえる
午前零時ピッタリに五行相剋に衝覇を向けて一人ずつ飛ばした
木→土 土→水 水→火 火→金 金→木
其々に衝撃を飛ばして受け止めて次へ飛ばした
かなりの衝覇を受け止めて飛ばす
其れだけでも大変なのにそれらの工程を途切れさせる事なく、自然な流れを止める事なく
衝覇を繰り出し受け止める
五行相剋を成し遂げた後は相生
木→火 火→土 土→金 金→水 水→木
全ての工程を成し遂げた衝覇を中央に向かって放出する
中央に立つ康太はその総ての衝覇を受け止め四方に飛ばして結界を結ぶ!
康太は解っても、その衝撃にグラッと体が崩れそうになる
その体を榊原が支えて共に受け止めた衝撃を四方に飛ばして、呪文を唱えた
衝撃は綺麗な放物線を描き、まるで放物線の方程式を描く様に目的を持って結ばれて行った
流れ星が流れた様に衝覇は流れて結ばれる
衝覇を放出した後は皆、力が抜けた様に崩れ落ちて、その体をサポートした者に支えられ、何とか立っていた
烈も最期の衝覇を飛ばした後、グラッと体が揺れて崩れそうになると、竜馬が烈の体を支えた
電話から【成功だ!】との声が聞こえると、烈は泣いた
電話の声は続ける『取り敢えず家に還ろうぜ!』と言い切れた
竜馬は烈を抱き上げてビルから下りようとした
その時、刃物を持った男が竜馬の前に現れた
「畜生!結界は張られちまったけど、この世から宗右衛門が消えたら、それはそれで飛鳥井は大打撃だろうが!
それはそれて面白い事になるな!」と笑い刃物を突き出し襲って来た
烈は竜馬と共に飛ぼうかと想ったが、そんな余裕など与えるか!とばかりにナイフを振り回す
烈は竜馬の手を離して走り出した
でなくば、竜馬が巻き込まれてしまうからだ!
男は竜馬など眼中になく、烈目掛けて刃物を振り回す事しか考えていなかった
まるでそうしなければ総てが終わると洗脳されているかの様に目は座り口から泡を吹き、まるで麻薬疾患か何かみたいに、烈だけを付け狙う
ナイフの切っ先が烈を掠める
血を流した烈だが、竜馬から離れて走り回る
竜馬は「烈!止めてくれ!」と叫んでいた
烈の服は血に染まり赤くなっていた
どの道 今世は長生き出来ないって事か……と烈が諦めた時、レイが時を飛んで烈の前に姿を現した
そして呪文を唱えると男は苦しみ藻掻き苦しみ始めた
烈が「れい、それいじょうはらめ!」と止めると、レイは呪文を唱えるのを止めた
すると男は気絶するかの様に倒れた
烈は覚悟を決めたのに……レイに時を飛ばせてしまった後悔で動けずにいた
竜馬は泣いていた
不甲斐ない自分を悔いる様に泣いていた
護ると決めたのに護られて、烈を危険な目に合わせた
烈は何とか自分を立て直した
でなくば竜馬が駄目になってしまうから……
烈は何とか立ち上がり、竜馬の傍に逝くと
強く強く竜馬を抱き締めた
「りゅーまに……にゃにもなくて えかったにょよ!」
「烈…烈………ごめん、助けられなかった」
「らいじょうびよ、りゅーまがむちゃしてかおれもけがしたら、せいじかに、にゃれにゃいからね、えかったのよ!
わかってるにょ!りゅーま!」
「烈………政治家になれなくても、俺は烈と共に生きられれば………それで良いと思ってる」
「りゅーま、はてがくるうにゃら しげおにかおむけれきなにゃいのよ」
「烈…」
べそべそ泣く竜馬の頭をレイを黙って撫でてやった
烈は「けーさつよ!りゅーま!」と言い犯人を捕まえろ!と命令した
竜馬は自分を何とか立て直し、警察に電話を入れた
烈はカメラに犯人を録画して証拠を残していた
その証拠はやって来た警察に動画と共に説明した
竜馬は烈が下手に取り調べされたりしない様に、父に電話をした
「親父……頼みがある」
その声は泣いているのが一目瞭然だった
三木は「どうした?竜馬」と静かに尋ねた
竜馬は今あった事を詳細に話した
きっと他の所にも行ってると伝えて警察を動かしてくれ!と頼んだ
三木は警視総監をしている叔父に飛鳥井の家の事だと、伝えて洗脳か何かして殺す様に刺客が送られて来た事を告げた
警視総監は即座に実働部隊を動かし制圧に動いてくれた
屋上にいた気絶した刺客は警官の手で連れられて行った
証拠とナイフを持って警官は去って行った
暫くすると烈の携帯が着信を告げた
電話に出ると第一声が『レイ いますか?』だった
「いるのよ、ぎめん……ちんいちくん、ころされそーににゃったから、れいたんとんでくれたのよ」と伝えた
慎一は竜馬だけならば、刺客の相手は難しいか……と想い
『レイがいるなら良いです
烈、竜馬に電話を変わって下さい』
烈は竜馬に電話を渡した
「すみません、慎一さん」謝罪した
慎一は後悔していると想い電話を変わったのだ
『竜馬、家に帰ったら無事を確かめ合ってから何か食べるので、勝手に帰らないで下さいね!
そして烈の寝相を覚悟してるなら、泊まって行って下さい!』と言った
慎一の言葉が嬉しくて竜馬は
「烈の寝相の悪さは常に身を持って知っていますから大丈夫です!」
『なら飛鳥井に二人を連れて来て下さい』と言い電話を切った
竜馬は烈の怪我を着ていた上着を破り手当をした
レイを抱き上げると、烈と共に車に向かった
「りゅーま、ぼくもつかれたのよ」
と烈は一緒に抱き上げてと謂う
だが竜馬にはそこまでの体力はなかった
「烈、俺をイジメないで下さいよ!」
「にゃら、おちこむにゃ!りゅーま」と言った
竜馬は「落ち込むのも許してくれないのかよ!烈は……」とボヤいた
「ぼくがはやじにしたら、どうするのよ?」
「そんな事はさせない!
烈が死ぬなら俺も死ぬ!」
竜馬が言うとレイが「れちゅ」と名を呼んだ
「れい にゃに?」
「らめよ!」
「れい……わかったのよ」と言い拗ねた
レイは烈の頭を撫で、竜馬の頭を撫でた
「竜馬はレイは天使ですね!」と言い笑った
下まで下りて車に乗り込む
烈は助手席に乗り込むと寝る体制になり、竜馬はレイを後部座席に座らせた
飛鳥井の家に着くと、慎一がシャッターを上げててくれ竜馬は車を来客用スペースに停めた
竜馬は慎一に烈が刺客に斬りつけられた事を伝えた
「烈…血が止まらないのでどうしましょう!」
縛った服を赤く染めて寝ている烈を心配して謂う
慎一は烈を抱き上げると「君はレイを連れて上がってて下さい!
俺は烈を久遠先生に見せますから!」と言い自分の車に烈を乗せて走り去った
竜馬はレイを抱き上げると家へ続くドアを開けて応接間へと入って行った
その場に烈の姿がなくて康太は「烈はどうしたのよ?」と問い掛けた
竜馬は刺客が送られてて、烈を狙って追い回して怪我をした事を伝えた
レイが時を飛んで、烈を助ける為に呪文を唱え刺客の意識を失わせてくれた事を話した
レイは疲れた顔をしてソファーに座った
一生がレイを抱き上げると汚れた顔を拭きに行き
戻ると冷蔵庫からプリンを取り出しレイに渡した
竜胆と翔と椋は既に寝に行ったと言っていた
一生はレイも寝に行かせようとした
だが「いやっ」と言い動こうとはしなかった
レイは大人の声で「烈は今世はどうせ長生き出来ないって事か……と諦めていたから僕は烈の所へ飛ぶしか出来なかった
そして血に染まった烈を目にしたら……ナイフを持っていた男を呪縛して殺しそうになりました
烈に止められなくば…殺してました」と悔やんだ声で言った
竜馬は泣きながら「それを言うなら俺は…烈を護れなかった……
烈はナイフを持った男から俺を引き離す様に走り回っていた
俺が強ければ…烈は怪我する事なく助けられたのに……」と悔いている言葉を吐き出した
康太は「刺客は、この世から宗右衛門が消えたら、それはそれで飛鳥井は大打撃だろうが!と言ったんだろ?
なれば烈は自分だけがターゲットで狙われているんだと理解したんだよ
その上で竜馬を巻き込みたくなくて走り回っていたんだよ!
それは烈が下した判断だから、竜馬、お前は悔やむな!」と言った
榊原も「烈は共に逝く君の果てが狂う事を危惧して護り通そうとしたんです!
君も烈と共に逝くと決めたんでしょ?
ならば腹を括りなさい!
君は常に烈の果てへ立っていられる様に、共に逝きなさい!
それこそが烈の望みなのですから!」と言った
竜馬は何度も何度も頷いた
その夜、烈は家には還っては来なかった
傷が深いのもあって、縫ったと言った
そして刃物には神経系の蛇毒が塗ってあったと三木から連絡が入り、久遠は運び込まれた血清を即座に烈に打つ事にした
烈の意識は戻らず、その事は家族に伝えられた
康太は奥歯を噛み締め「毒かよ!今世の人間には毒を飲ませてねぇと解ってて毒を塗ったのかよ!」と怒りまくっていた
三木が押収したナイフを調べてたら蛇毒が塗ってあったと連絡を貰い多分病院にいるだろうと予想して久遠に直接連絡を取った
そして血清を即座に用意して運び込ませる事にした
そうして打たれた血清だった
烈はずっと眠ったままだった
凛と椋と翔もずっと眠ったままだった
レイは烈が心配で眠らないから、これ以上は体を壊すと踏んで、久遠に頼んで眠らせて貰った
でなくば体が持たないからだ
凛と椋と翔も久遠に診察して貰い、精神的にも肉体的にも限界まで踏ん張ったから疲れが出て眠ったままなのだろう、と診察が出て家で眠らせていた
一生は再び入院となった烈の頭を撫でていた
一生達の所にも刺客は送り込まれていた
だが、それぞれサポートに着いた者が撃退して無傷だった
そして刺客は烈の所へ現れた奴と違ってナイフなど持ってはいなかった
烈のサポートには竜馬が着いた
生粋のお坊っちゃんの竜馬は格闘技や喧嘩など知らぬ世界で過ごして来た
今は社会勉強中で色んな事を烈と共に体験して勉強している
その中に格闘技とか喧嘩は入っていない
また今後も遣る事はないだろう
ニック·マクガイヤー達SP達は今、本国に還り手続きの真っ最中で倭の国にはいなかった
ニックとケント兄弟が一番最初にアメリカに書類の不手際で還り
後のメンバーも倭の国で活動する為の手続きの為に出払っていた
そこを突いてやられた、と一生は想った
最初から狙われていたと謂う事なのだろう
烈は神経系の蛇毒が一時的にも体の中を侵食し、あと少し遅かったら心臓は止まっていただろう、と謂われた
何処までも妨害される
まともに学校に通えない烈を不憫に想う
康太も踏ん張って起きてたが、久遠が無理矢理寝させた
疲労困憊が目に見えて解るのに、起こしておきたくない、と久遠が寝かせた
榊原が康太に付き添った
榊原の家にはまだ知らせてはいなかった
だがまた匠が真矢達に謂えば来るだろう
瑛太は康太を見舞った後に烈の見舞いに来る
康太は今回は数値も悪くなく、疲れさえ収まれば退院出来ると謂われたが、烈は毒を体内に入れてしまった以上、どう出るか解らないと謂われた
宗右衛門として生きる烈の過酷な日々を想い瑛太は涙していた
そして宗右衛門が戻る日まで会社を護ると決めて、今まで以上に仕事に力を入れた!
弥勒が建御雷神と素戔鳴尊を伴って烈の病室に姿を現した
眠る烈の頬を撫で、素戔鳴尊は泣いていた
「変わってやれれば……な…」と言い泣いていた
弥勒は怒り狂っていた
建御雷神に最近素戔鳴は良く笑っておるのじゃ
家族と共におる時の素戔鳴は昔に戻ったみたいに、楽しげで能動的に動いておる
きっと倅と孫が還る魔界を護りたいのじゃな
と聞いたばかりだった
聖神が齎した魔界の変革に目を見張り、感激していた矢先の出来事だった
弥勒は何故その日に飛鳥井の五芒星を引くのが解っていたみたいに刺客を差し出せたかのか?と考えていた
飛鳥井の五芒星を引くと宗右衛門が言った日から、横槍が入ったと康太はボヤいていた
飛鳥井の家には、ちょっとやそっとじゃ覗けない結界が張り巡らされ魔除けの鏡もまだ置かれた状態なのに?
何処でバレたと謂うのか?
飛鳥井の五芒星を引くと言い出したのは白馬だったとしても その晩に結界を引くと決めたのは飛鳥井の家の中だった筈なれば、誰が予想出来たのだ?
そして半径数メートルの円形に引かれる五芒星の何処に宗右衛門が立つと解ったんだ?
康太に問うても「んなのオレが聞きてぇよ!」と謂うばかりで埒が明かない
弥勒は一度調べてみるか………と康太が絶対に遣りたがらない事を頭に描き、遣ると決めた
飛鳥井の家族 仲間達 一族の者 そして会社の者総てを本眼で釈迦に視させるのだ
本眼なれば人の本質や存在を一度で視る事も可能だ
紅月の残党や何処の残党だとて、その眼に映らぬモノはない!
本人は知らず知らずに操られていたとしても、本眼なれば視れる
そして自分の心眼で視れば大方その正体は解るで在ろう!
康太が嫌がっても反対しても、それをやると決めていた
康太はそんな弥勒の真意を解り……止める事はせずにいた
何時かやらねばならぬ事だから、だ!
今回は匠の口からではなく、飛鳥井に訪ねに来た時、烈は?と聞かれた
その時の真矢の誤魔化しは許さないオーラがあまりにも怖くて、一生は烈が入院していると伝えて発覚した
一生は「康太すまねぇ!」と謝罪した
だが康太は「話さねばならねぇと想っていたから大丈夫だ!」と言った
真矢は「学校にすら通えない烈を心配するのは迷惑ですか?」と問い掛けた
康太は「迷惑じゃねぇが、それで、宗右衛門が入院している事が発覚すれば飛鳥井は即座に狙われる事となるから、言いたくねぇってのが現状だ!
すまねぇ義母さん……」と謝罪した
真矢はそんなに飛鳥井の会社が追い詰められているのか……と、現状を理解した
宗右衛門が齎した嵐が去ったとしても、付け狙われるのは変わらないのであろう!
そこへ弥勒が釈迦を連れてやって来た
「家族、仲間、一族の者 社員達
総てを視させろ!炎帝!」と弥勒は言い捨てた
康太は「好きにしろ!慎一、会社や一族の者はお前が着いて視させろ!」と言った
釈迦が本眼で榊原の家族や仲間を視る
榊原の家族は総てクリアなままで、康太の仲間達も竜胆、椋レイもクリアで通過した
飛鳥井の家族も京香と子供達もクリアで通過した
飛鳥井の家族達は弥勒に全面的に協力してくれた
榊原の家族、飛鳥井の家族、康太の仲間達、そして子供達総て視て回る
だが、どの子もクリアな体で、傀儡として操られてなどいなかった
ならば何処で洩れたのか?
弥勒は飛鳥井の家の中を一室一室、丹念に調べた
すると北斗の部屋の中から一冊の本が見付かった
「この本はどうしたのじゃ?」と弥勒が尋ねると
「ランドセルに入ってたの、捨てられずに本棚に入れたの」と言った
そして和真のPCから【入口】となる知らないアプリが入っていて、問い掛けたると
「知らないです、このPCは学校に持って行っているので、その時に入れられたのでしょうか?」と不安な口調で言った
和希は何時も教科書しか入れてないから、何か入っていたらその場で捨てていたと謂う
永遠も不要なモノは学校には持って行かないから、見た事がないモノはその場で捨てると言った
康太の子達はなまじっか能力があるから、異変を察知するれば、即座に教師に報告すると言った
烈は学校を休みがちで、手が出せなかったのだろう
弥勒はこれで盗み聞きしていた場所の特定をした
そして一度、和真のPCをデリートさせ綺麗にすると、式神をPCの中へ忍ばせた
そして北斗に「自分の持ち物でない本は即座に教師に謂うのじゃ!
覚えのないアプリが入っていたら、即座に家族に謂うのじゃ!
でなくば今回の様に飛鳥井の家の中の情報が総て筒抜けになる事は避けられるからな
今回は情報が筒抜けじゃったから、烈が殺され掛ける事となってしまった
今後は一切家の中へ出処の解らぬモノは持ち込まぬ様にな!」と言った
北斗は責任を感じて泣いていた
和真も責任を感じて泣いていた
弥勒は困った顔をして「一生、慰めてやってくれ!」と頼んだ!
一生は「次は気を付けような!北斗は本を大切にしたいのは解るが、中には悪意を込めた本もあるんだよ、そんな本は持っていただけで、飛鳥井の全ての情報を抜き去る事も可能だった
だから次はちゃんと話してくれ!
和真もだぞ、次はちゃんと話してくれな!」
北斗と和真は「「はい!」」と返事をした
弥勒は本をその場で燃やした
これで家の中の【ゲートと耳】は封印する事が出来た
次は更なる結界を強化して、閻魔の持つ鏡見と繋いだ!
異変を察すれば誰かを飛ばして偵察する事は可能だろう
次は会社だった
飛鳥井の家族達を視た翌日
弥勒と釈迦は会社に出向いて瑛太、清隆、秘書達を始めとして会社の中を視て回る事にした
そして一族の者も次は視ると謂うと、一族の者は瑛太が集めて協力すると謂う
まずはこの日は会社の社員を視る
グレーゾーンの社員は別室に通され、待機させる
釈迦は「これで全員か?社員は?違うなら現場の作業員やバイト総て連れて来るのじゃ!」と謂うと、瑛太は名簿を弥勒に渡してチェックを入れさせた
それを即座にPCで共有して、名簿にチェックが入ってない社員や作業員やバイトを連れて来た
何人かグレーゾーンの者が出て来て別室に連れて逝く
別室には弥勒自ら結界を張って邪を祓う呪符を張り巡らせてあった
その中へ清くない者が入れば発狂する
そしたらその者を調べれば良いと、何処までも準備万端で調べる手を緩ませる気は皆無とばかりに調べまくった
釈迦に本眼で視させ、弥勒は各部署を回って歩いた
PCの中からファイルを入れる棚まで総て調べまくった
一生、聡一郎、慎一がサポートに辺り調べる
康太も良い機会だとばかりに弥勒と共に動いていた
榊原とPCを立ち上げて一つ一つ確かめる
すると広報宣伝室のPCから和真のPCに入っていたと同じアプリが入っていて【ゲート】となっていたのだった
康太は「やられたな!」と悔しそうに言い、管理システムそのモノに防御と結界を張り巡らせウィルスと認識させて防犯システムが発動するようにシステムを作り替えた
こうも簡単に【ゲート】を入れられるとは!
榊原も怒っていた
何故こうも機密や案件が他社に筒抜けになってるのか?
スパイを想像したけど掴めずにいた
掴める筈などない、自社のPCの中に【ゲート】を招き入れていたのだ!
榊原も悔しくて奥歯を噛み締めた
【ゲート】は各部署で発見された
目眩がする事に秘書課のPCからも発見された
弥勒は「全部のPCに呪符は入れられぬぞ!どうするつもりじゃ?」と問い掛けた
康太は「セキュリティを書き換えたから大丈夫だと想うけど、乗っ取られていたPCはデリートして呪符を頼む!」と言った
後日、PC総て本人以外が触れば、警報がなるシステムを入れるつもりだった
今までも他人が勝手に触れない様にはしてあった
だがまだ足りぬ……と謂う事なのだろう
社員も作業員もバイトも食堂のおばちゃんもスタッフも総て視て、選別した
社員名簿のチェック項目総てのチェックが終わると瑛太は「これで全員です!」と告げた
弥勒が釈迦と共に閉じ込めておいた部屋に逝くと
そこには……狂ったり正気をなくした社員がいた
良いように操られ人生を狂わされた社員の姿を康太は視て、呪文を唱えた
自然死で心臓発作として扱われる様に、安らかな顔で最期位は終わらせてやりたかったから……
その者達は即座に死にはしない
飛鳥井の会社から還った後に少しずつ少しずつ心臓が弱り自然と死となり逝くのだ
弥勒は社員から毒気を消し去ると、傀儡だった社員は正気に戻り、その日は早退させ家に帰した
その夜 社員達は眠るように息を引き取り、死因の結果は心臓発作として診断を下された
飛鳥井の会社は一度に数十人の葬儀を出す事となった
家族達は皆 密葬で葬儀を行うと決めていた
家族以外は呼ばず葬儀を終わらせる事となった
飛鳥井建設は総ての社員の家族に香典を渡した
血を流し、果てへと結ばれた
真矢は烈の傍にずっと付き添っていた
倒れそうになるまで烈の傍にいて、久遠に検査されて入院させられた
祖父母で同じ病室に寝かされる事となった
烈はまだ起きなかった
ともだちにシェアしよう!