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第95話 繋がる明日
弥勒が心血を注いでいで、振り分ける作業は飛鳥井の一族へと移った
瑛太は一族の家族を総て集めた
一人でも参加せぬ場合は一族から離脱する事となる!
と宣言されて招集を掛けられれば、一族の者は聞かぬ訳には行かぬ!と家族からペットまで連れて瑛太の元へと集まった
瑛太は今回、飛鳥井の家の中に外から忍ばせた本とPCで【ゲートと耳】を作られ烈が怪我してまだ起きない事を告げた
情報が筒抜けだったと告げた
一族の者は皆 何らかの力を持って生まれて来るのか?
変なモノは即座に捨てて、寄せ付けない!
を、徹底していて皆 篩いにかけられる事はなかった
弥勒は康太の作り上げる一族はすげぇなと想った
一族の者は「宗右衛門はどんな容態はどうなのですか?」と心配して泣いていた
「烈…また怪我したのね!」と志津子が泣いていた
神威はその件は知らされておらず
「何故儂に教えない!」と怒っていた
あまりに怒り過ぎて大地の根が暴れ出し地震になりそうで、弥勒は慌てて止めた
「落ち着け!大歳神!地震になったら無関係な奴も被害に合うぜ!」と言い何とか鎮めた
神威は「本当に鎖付けて動かぬ様にしたいわ!」と怒っていた
弥勒はどうどうどう!と慰めていた
最近、大歳神と毘沙門天との飲み仲間に弥勒も加わりガード下の屋台で何時も飲むようになった
我が友に良く似た姿形に若かりし頃を思い出す
懐かしくて、ついつい大歳神とも気が合い、飲み友になった
だから扱いは慣れていた、友と酷似し過ぎだから、扱いは慣れまくっていた
神威は「あの年で頭ばかり幾度も怪我ばかりしていたら、近い将来アデランスのお世話になるしかねぇだろうが!弥勒!」とボヤく
釈迦はもうダメとばかりに爆笑して笑い転げた
弥勒もプルプル笑いを堪えて「耐えるしかないんだ!大歳神!」と言った
一族の者はクリアすると、この世で視る作業は終わりを告げだ
その夜、弥勒は釈迦を連れて大歳神と毘沙門天とでガード下の屋台で飲みまくっていた!
烈は5日経った朝、目を醒ました
起きて直ぐの第一声が「かにぱん たべたいにゃ!」だった
榊原は久遠に烈の目覚めを告げた
そしてカニパンは大丈夫なのか?聞いて許可が出るとカニパンを2つ置いて出社した
烈は蛇毒の神経毒にやられて手が痺れている以外は別段変わった所はなかった
「にゃんか しびれてるにょね」
とプルプル震える手の違和感を口にした
その日病室で付き添っているのは一生だった
一生は「ナイフに神経毒塗ってたって、準備万端過ぎるやろ?」とボヤいた
「えんぴちゅ もてるきゃにゃー?」と烈が言う
「久遠が治してくれるから、あんまし気に病むな!」
「わかっちゃのよ」
この日の朝食は意識が戻ったと謂う事で配膳された
結構美味しそうな朝食に烈は「うわぁーちゅごい!」と喜んだ
ヘルシーだけど、目が醒めた烈の為に久遠が志津子に頼んで作って貰った朝食だった
プリンも着いていた
烈は朝を食べながら「たかなしがくれた、かにぱん もうらめね」と残念そうに言った
一生は「あれより小さいが烈の好きなカニパン、買って来てやるな!」と約束した
烈は幸せそうに朝食を食べていた
朝食を食べ終わる頃 竜馬がやって来た
「烈、今日も寝てるのか?」と入って来て、烈が起きてる姿を目にして、竜馬は泣いていた
「りゅーま にゃかにゃいの!」
竜馬は涙を拭いて本題を切り出した
「小鳥遊さんから正式に依頼が来ました!
12月に入って遣るフェスの依頼です!」
「ことわるにょよ!りゅーま」
「え?受けるんじゃないんですか?」
「ふぇすとか、こんせぷとしばりは、めんばーとあわないのよ!」
烈に謂われて竜馬はその真意を知り
「なら断っておきます!」と言った
「そーえもん でにゃいから、でんわもできにゃいのよね!」と烈はボヤいた
竜馬は一生に烈の毒の後遺症はないのか?尋ねた
一生は「神経毒だったらしくて、ずっと手が痺れてて鉛筆持てるか心配してる」と伝えた
竜馬は許せなくて「神経毒とか!用意周到過ぎです!許さない!クソ!」と吐き捨てた
烈は呑気に「かじゅ、ふえある?」と聞いた
「学校の笛か?欲しいのか?
でも病室で笛はNGだぞ!」と言った
「にゃら、にーにたちきても、できにゃいのね!」と残念そうに言った
一生は「またあれやるのか?」と笑った
竜馬は「あれ?って何ですか?」と問い掛けた
「今な子供の間では『強風オールバック』ってのが流行っててな、烈は何時も兄達とやってたんだよ!」と教えた
竜馬は全く知らなくて「何ですか?その強風オールバックって?」と言った
一生は竜馬にイヤホンを差し込むと、You Tubeで強風オールバックを流してやった
竜馬はだから笛が必要なのか……とやっと理解した
烈は替歌で「けっかいはったら おわったわ」と歌っていた
竜馬はそれ笑えませんって……と言い苦笑した
そして外に出ると小鳥遊に
「すみません、リーダーがフェスの仕事、断るとの事なので今回の依頼は断ります!」と断った
『それって理由は?』
「フェス縛りは我等に合わないと判断しました!」
『そう、残念だね
でも君達は縛りで何かを作る事はないから、此方の要望が無謀だったね!
でも今度本当に縛りのない仕事あったら受けて欲しいよ!』
と言った
「どの道、烈が入院してるからリーダー不在では仕事は受けられないのです」
『烈入院しているの?
この前退院したんだよね?』と問い掛けた
「これは飛鳥井の話なので、口外は出来ませんが、リーダー入院中なので、断りますね」
『お見舞い行っても大丈夫かな?』
竜馬は飛鳥井に弥勒が来て視ていた事を知っていた
その時、竜馬も釈迦に視られた
烈と共にいると謂う事でマンションの部屋まで視られ問題ない!と、太鼓判を貰ったのだ
会社や一族の者も視に逝くと言ってたのを思い出し、そう言えば釈迦は小鳥遊とか視てなかったな、と想い
「極秘ですので、ご遠慮願います!」と断り強引に電話を切った
小鳥遊は康太に電話して竜馬に烈の面会断られたと伝えた
康太もそう言えば小鳥遊と神野は視てなかったと想い、「竜馬が決めたなら、それは無理だから!」と謂うが小鳥遊は尚も食いついて来て
「ならばこれからお見舞いに行きます!
相賀と須賀にも声掛けたんで行きます!」と強引に申し出て電話を切られた
何時もの小鳥遊らしからぬ態度に康太は弥勒に
「神野と小鳥遊、相賀、須賀、視てくれねぇか?」と言った
「釈迦は帰っちまったぜ!」
と弥勒は言う
相当楽しく飲んだくれたのか?弥勒は酒臭かった
「弥勒が頑張って心眼で視れば何とかなるやろ!」と無理難題を口にした
弥勒は仕方なく烈の見舞いに来た小鳥遊と神野と相賀と須賀を病院の駐車場に停めた車に連れ込み視た
弥勒は顔色を変えて「おい、小鳥遊……おめぇ最近誰かに逢ったか?」と問い掛けた
小鳥遊は何かを話そうとして頭を抱えて気絶した
神野は何かを感じて
「ここ最近の小鳥遊は無理して【R&R】の代理人みたいな仕事をして、竜馬とコンタクト取っていました」と近況を話した
康太は「小鳥遊はどうなるんだよ!」と問う
弥勒は闇を祓う事は出来るが、その精神や心を守ったままそれが出来るかは、賭けとなるしかなかった
イチかバチかでやるしかない!と腹を括った時
康太の電話が鳴った
「炎帝よ、私にその人を合わせなさい
そすれば彼の中に巣食う闇は総て取り除きます!
その人は烈に大きなカニパンをプレゼントしてくれた人
闇になど巣食わせたりはしません!」と言った
電話の相手はレイだった
康太は榊原に「レイを迎えに行き連れて来てくれ!」と頼んだ
榊原はレイの所へ行く前に連絡を入れた
最近レイにも携帯を作って持たせたからだ!
レイは烈の病室にいた
竜胆と椋は桜林の幼稚舎に3歳で入ったが、レイは日本語がまだ解らなくて来年の春まで先延ばしにした
その日は保育所に連れて行こうとする玲香に
「れちゅ とこいきゅ 」とダダを捏ねて連れて来て貰っていた
榊原はレイに電話すると「今どこにいますか?」と問い掛けた
「れちゅ とこよ」
と謂うと榊原は然程時間を開けずに烈の病室を訪ねた
レイは榊原の元に逝くと、一緒に病室を後にした
榊原はレイを迎えに行く時、康太に神野の事務所に小鳥遊を連れて行く様に言った
病院の外の駐車場では目立つからだ
神野の事務員に向かうと即座に奥の部屋に入れて、ソファーに寝かせたと榊原にラインした
榊原はレイを連れて神野の事務所へと急いだ
少し走ると神野の事務所の駐車場へと出て、榊原は車を停めた
そして事務所の中へと入って逝くと、一番奥の部屋のドアをノックした
康太がドアを開けると、榊原とレイを部屋の中へ招き入れた
レイは顔色を無くしてソファーに寝かされた小鳥遊の傍に逝くと、呪文を唱え始めた
そして掌を開きフゥ~っと息を吹き掛けると、小鳥遊はうわぁ~!と叫び始めた
榊原は神野を押さえて、レイの邪魔はさせないでいた
レイは小鳥遊の体の奥深くに潜む闇を見付けると、小鳥遊の体から剥がす様に力を入れた
だが非力な3歳児には闇の力は大きくて、びくともしなかった
榊原がレイを抱き上げて引っ張ると、小鳥遊は呻いた
「あとちゅこし」
とレイは頑張り闇を剥がそうとする
だが榊原一人だと限界が来て、榊原は「康太!」と名を呼んだ
康太もレイを抱えて引っ張る
すると小鳥遊の体の中の闇が全部取れて、力を急に失ったみたいに榊原と康太とレイの体は吹き飛んだ
レイは手の中の闇を押さえ付けていた
だが今度の闇は収まりきれず暴れていた
呪文を唱え大人しくさせる
レイの手の中の闇は捏ねくり回されて透明になって逝くと、動きを止めた
レイは手の中の透明になった球体に息を吹き掛けると、キラキラと綺麗な粒子が小鳥遊を包み込んだ
康太は「今回も見事に剥離させたんだな!オレがやってたら小鳥遊の精神は壊れていた……ありがとうなレイ」と礼を口にした
レイは「この人は烈に大きなカニパンをプレゼントした人ですから、死なせたくはなかったのです
ですが、あの騒動で烈は大きなカニパン食べられなかった、それだけが残念でしたが烈が受けた恩は返します!」とニヴルヘイムの声で言った
小鳥遊は意識を取り戻すと、ここ数日の記憶がないと告げた
ニヴルヘイムは炎帝に「あの輩が手ぐすね引いているんですね、私は今も変わらず創世記の力を持つ!
貴方がアレを撃つならば、私は創世記の力を持って照らしましょう!
それが私が転生した運命なのならば、私はあの子の地球(ほし)を護ります!」と口にした
ニヴルヘイムにとっても唯一無二の存在なのだと告げる
康太は「その時になったら頼む、でも今はおめぇはトレパンマンはいてるお子様だ!
それを忘れるな!」と言った
「れも、れちゅ ちゅきなちと、まりちゃいにょ!」と訴えた
康太はレイの頭を撫でて「ならば護れ!レイ」と言った
レイは「おみじゅ ほちいの」と言った
神野が事務員に言ってコップにお水を持って来るとレイに渡した
レイはお水を受け取ると呪文を唱えた
コップの水がまるで生きてるかのように畝り、コップから溢れて消えた、そして次の瞬間、水はコップに戻っていた
康太は「すけぇな……初めて見たわ!」と感激していた
レイはそのコップを神野に渡して「このひとにのましぇて!」と言った
神野はコップを受け取ると、小鳥遊に飲ませた
すると小鳥遊の目から黒い涙が溢れて流れた
康太は「その水は宇宙に一旦上がって創世記の湖に還って再び創世記の湖の水を入れ替えて戻したんだよ!」と伝えた
神野は心配して「それで小鳥遊はどうなるんだ?」と黒い涙を拭いて問い掛けた
「小鳥遊の体の中の闇は総て取り除かれた
そして今 創世記の湖の水を飲んだからな
この先何があろうとも小鳥遊が狙われて傀儡みたいにされる日は来ねぇって事だ!」
「え?それをレイ君がやってくれたと謂うのか?」
「そうだ、体は小さいがレイは創世記に存在していた神の一柱だ!
その実力……変わらねぇと見た」
神野はレイの手を取り「ありがとう!ありがとう!」と何度も礼を言った
弥勒も「そうか、創世記の一柱であったな」と呟いた
レイは「れちゅ ときょ いきゅ!」と謂うと榊原が送って行った
康太は弥勒に「事務員調べてみてくれ!」と言った
小鳥遊を初めてする社員や事務員を視て、PCを調べる
すると小鳥遊のPCには【ゲート】がダウンロードしてあった
康太は真野に言い「このアプリ入ってるなら即座に削除しろ!」と告げた
真野は「このアプリは小鳥遊が連れて来た男が入れて行きました!」と伝えた
「それは誰よ?」と康太が問い掛けると真野は
「念の為に1枚の写真を撮っておきました」と言い
携帯のフォルダから1枚の写真を表示させた
康太はその写真を見て「岩崎良隆……」と呟いた
榊原はレイを送って戻って、その様子を見ていた
榊原は「知り合いなのですか?」と問い掛けた
「安曇登紀子が勝也と結婚する前に結婚していた男だ!
何故岩崎が今 小鳥遊に接触をしたんだ?」と呟いた
榊原は「それならば僕が【R&R】企業系調査事務所に依頼して見ましょうか?」と問い掛けた
今、企業系調査事務員の話題は静かだが、人々の口に上がりつつあった
そこに榊原は調査依頼すると謂うのだ
康太は笑って「親族価格で安く上げてくれねぇかな?」と笑った
「やはり君も誰がやっているのか知ってるのですね?」と問い掛けた
「オーナーも社長をする男も嫌と謂う程にな知ってるよ!」と返した
康太は神野や相賀や須賀に「当分は警戒して過ごせ!」と言った
榊原は「家族にも伝えねばなりませんね!」と言った
厄介な風向きに康太は嫌な予感しかしなかった
それでなくても飛鳥井は一刻も早く宗右衛門を召喚してレールの上に乗らねばならないのに……
何故こうも横槍が入るかな?とウンザリして想った
取り敢えず、飛鳥井の五芒星は成功した
この総結界の中では好き勝手は出来ない!
その為の総結界なのだ
だが【ゲート】なんて巫山戯たの入れられたら、何処まで対応出来るのか?
それは未知の領域となる以上は詠めないでいた
烈は体の毒を抜く治療に入った
取り敢えず一週間入院して、毎日毒素を抜く治療の為に病院に通院する事にして退院した
烈は学園に通い始めてからも手の痺れが取れず、鉛筆すら持てない日々が続いた
習い事も休みにした
手の痺れがあるのにスイミングにも行けないし、ピアノ教室も手の痺れがあるから通えなかった
レイにエレクトーンで音楽を聞かせてやるつもりだったのに、指が痺れてちゃエレクトーンも弾けないと落胆した
自分達の部屋前の共有スペースにエレクトーンを入れて貰えないか両親に話し、許可をもらったばかりなのに……
烈は学校を終えると病院に毎日通い、それが終わると竜馬と共に会社へと向かう、それが日課となっていた
凛は次代の陰陽師の素質を抱いて生まれて来る魂を見張って探していた
幼稚舎を終えると、一族の中から竜胆に仕える者を呼び出して共に動いていた
レイと椋は駄目になった三通夜の儀式を成功させる為に、栗栖に菩提寺まで送って貰い、帰りは兄達と共に慎一に乗せて貰い還るのが日課となっていた
この日 烈は竜馬と【R&R】の他のメンバーと共に飛鳥井建設へと向かっていた
車2台で飛鳥井建設へ向かう
そして地下駐車場へと下りると、竜馬ともう一台の車を運転してるメンバーも来客スペースに車を停め下りた
エレベーターに乗り込むと、烈は首に掛けたキーを竜馬に渡した
竜馬は直通で最上階へと向かう為にキーを差し込みボタンを押した
するとエレベーターはどこにも止まらず最上階で止まり、竜馬はキーを抜いて烈の首に掛けた
副社長室のドアが低い位置で鳴ると、榊原はドアを開けた
するとそこに【R&R】のメンバーがビシッと、スーツを着て立っていて、榊原は驚いていた
烈とメンバーを副社長室に招き入れると榊原は
「この方達は【R&R】のメンバーですね?
どうされたのですか?聞いてないので父は驚きました!」と言った
烈は笑ってメンバーをソファーに座らせると、自分も座った
烈は「りゅーま せつめいするにょよ!」と言った
すると竜馬は榊原に「【R&R】の三木竜馬です!」と自己紹介した!
榊原は「知ってます!」と言った
竜馬は不敵な笑みを浮かべると
「我等は何もイベントだけしている訳では無い!
社員教育のエキスパートと言って良い頭脳集団だと申しておきます!
我等はこの会社の社員教育をする為に飛鳥井宗右衛門に依頼され来たのです!
当然 依頼で来ているので宗右衛門からはギャラが発生してます!
そこの所をお忘れなく!」と言いテキストを机の上に置いた
そのテキストを持ってブロンドの巻き毛をしたウォール街にいそうな如何にも出来ると謂う感じの男が立ち上がった
「このテキストは 私 作った
貴方の 会社の足らない 教育するね!」
と、たどたどしい日本語で言った
烈は「だにー じこしょうかい とばちた!」と突っ込んだ
ダニーと呼ばれた男は「Oh No!」と言い萎れた
竜馬は仕方なく「烈がこの会社に足らないモノを教育したいと言った
他の会社に在って、飛鳥井に足らない教育
それがこのテキストです!」と言った
榊原はテキストを手に取り中身を確かめた
確かに飛鳥井に足らない項目ばかりだった
宗右衛門は「我等はその道のスペシャリストばかりを取り揃えておる!
竜馬は心理学の第一人者として書籍も出しておる!
勿論 ペンネームでだがな
そして自己紹介を忘れた男はウォール街で金融屋をやっていたダニエル、ジョーンズ
彼は飛鳥井の脆弱な経理の体制を指摘しておるのじゃ!
デービッド、トンプソンは名前の通り一代で己のブランドを立ち上げ世界的に有名にしたトンプソンの代表者じゃ
クソ甘い社員の管理体制を嘆いておる
イーサン、オルディスとフレディ、ホワイトは建築屋をしておる!
皆 オックスフォード大学の竜馬の学友だ!
学部は違えど彼等は趣味を通して繋がった
サムエル、ウォーカーは経営学のプロだ
お金を幾ら積んで良いから、もうちの経営を見てくれないか?と申込みが耐えない
イーサンとフレディもそうだ、彼等は世界的に名が知れた建築家だ
ヘンリー、オブライエンは帝王学を叩き込まれたオブライエン一族の者だ
英国ではオブライエン一族は結構有名な、名家じゃ
彼等を招集して社員教育を始めるのじゃよ!
単スパン、レベルの違う講習、社員はその時何を考え、どうしようとするか?
それが我らが狙い!
我等はお金では動かぬ!
何故ならば、儂と竜馬が始動させた事業は3つ
それら総てが軌道に乗り収益を上げている
今更働かなくとも食っていけるが、我等は己の持つ力を教えねばならぬ使命を持つ!
それ故、起死回生を図る会社のサポートを生業としておるのじゃ!」
竜馬はそれに続き
「我等は経営コンサルタントではない!
世間で経営コンサルタントは腐る程にいる
だから我等はそれは目指さない
その道のプロが弱体してる部分を教えて軌道修正するだけ!
後は己で考えて道を選ばならなぬ
そこまでのサポートはしておらぬ!
それが【R&R】の指し示す果てですから!」と言った
康太も飛鳥井の弱点を項目別に目にして、よくもまぁズバズバ当てるなこりゃ………と想った
康太は「宗右衛門、幾ら支払ったのよ?」と問い掛けた
宗右衛門は笑って「儂の報酬の一年分じゃな!」と答えた
康太と榊原は気を引き締めた
建築屋として生業にしているならイギリスの有名な建築家の名前位は知っていた
イーサン、オルディス フレディ、ホワイト
この両名の作り出す建物は概念を取っ払った新しさと機能的な発想があると謂われていた
榊原は「それで何時から、どの位の期間講習して戴けるのですか?」と問い掛けた
「年末のクソ忙しい 期間に半月間 集中トレーニング致します!」
とダニエルは答えた
講習日程を手にして竜馬は
「我等のメンバーのスケジュールは1年先まで埋まっているので、全員が教えるのは無理なので
経理、建築 施工 そしてウォール街で働いていたダニエルは宣伝のプロフェショナルでもあるので、掛け持ちで広報宣伝の講師も買ってくれました
なので毎日講習はしますが、毎日同じ人間が講習する訳ではないと思って下さい」と言い講習日程のスケジュールを榊原に手渡した
講習する日 講習受ける部署が書かれていた
宗右衛門は「その講習の為に我等はテキストを作って来た
それをコピーして各部署に配ってくれ!
配りやすく分けてあるのは、その為じゃ!」と言った
竜馬は「話は以上です!で、講習開きますか?
開かないと謂えば宗右衛門が喜ぶでしょうが、俺はやるべきだと思います!」と言った
榊原は「お願いします!烈が支払わなくても大丈夫な様に会社から捻出しても大丈夫です」と言った
竜馬は「リーダーはお金の使い道ないので、会社に投資しといた方が良いんですよ!
じゃないとトラみたいな猫の玩具ばかり増えちゃいますから……痛いって蹴らないでってば!」と足をサスサスした
康太は「半月で社員がどれだけ変われるか?
見ものだな、オレも楽しにしてるぜ!宗右衛門」と言った
烈は「のみもの ほちぃにょ!」と言った
榊原は「秘書に珈琲8杯と紅茶1杯と薄めたリンゴジュースを運んで下さい!」と内線で指示した
暫くすると榮倉と佐伯が珈琲と紅茶と薄めたリンゴジュースを持って来た
皆の前に置くと、榮倉と佐伯は退出した
榊原は講習日程のラストの日に目をやり
「宗右衛門、この最終日、心の教育とは?
何をやるのですか?」と問い掛けた
烈はもう宗右衛門出すの面倒になり
「しゃきょーよ!
いちじかん、しゃきょーして、ざぜんをいちじかんする、よていにゃの!」と答えた
「写経と座禅ですか?」
榊原は言葉もなかった
デービッド、トンプソンは「それ、こうひょうですねん!」と言った
康太は「好評なのかよ!」と想わず言った
「和の心 忘れたらあきまへん!」
と何処の商人だよ!と想う台詞に烈は
「でび らめよ
かあしゃん いちゅもやってるから、わからにゃいのよ!」と言った
デービッドは「Oh !何時も やってるんですか?
スゴイでーす!」と感激していた
竜馬が「ソイツがこの前話した烈の為だけに桜林の初等科の英語教師やってる男です!」と説明した
康太と榊原は「あー!何か……そんな感じだな」と冷めた声で呟いた
「だがその男は国際弁護士資格を所有する男です
なので国際問題とかならデービッドは最適な男です!」と紹介した
榊原は「その時はお願いします!」と言った
何か凄い男ばかりで、イケメンばかりで良くもまぁ烈は何時もこんな中にいるなと感心した
話が着くと【R&R】のメンバーは還って行った
今度は会社を見る為に1階ずつ下りて行くと、女性陣の黄色い歓声が響いた
会社を観察してメモして還る
烈も竜馬と共に還って行った
この日はイベントの予定が入ってて考えないとならないと言い還って行った
榊原はテキストを読みながら
「こうもズバッと的中されたら何も言えません!」とボヤいた
康太も「だな、でもよぉ最後の方烈、宗右衛門出すの面倒臭がってたよな?」と謂うと榊原も
「あれ、僕も想いました!
まだ体力戻ってないのですね」
「手も痺れてるらしいからな
今、毎日通い毒素抜いてる最中だからな」
「やってくれましたね!
我等も変革期に飲まれない様に踏ん張り衝戟に備えねばなりませんね!
だからですかね?良いタイミングを狙って講習をぶっ込んで来たんでしょうね!」
「だな、意識改革、嫌でもされるよな?
このテキスト見てると?」
「多分心理学者の竜馬がそうなるように作ったんでしょうね
厄介な連中なんですね、Tシャツとジーンズでイベントやってた時は今の子風な青年達でしたがね
蓋を開ければプロフェショナルな集団だなんて、ね!」
「でも、これでやっと宗右衛門が敷いたレールに乗れるな!」
「そうですね、来年度の新入社員の教育テキストは竜馬に頼みましょうかね?」
「だな、政治家になるまでの数年は経験積んでる最中だから使えるからな、今のうちに酷使しようぜ!」
康太と榊原がそんな話しをしていると、竜馬は
「ハクションっ」とクシャミをした
横にいた烈が「かぜにゃの?」と問い掛ける
「嫌、風邪じゃなく誰かが噂してるんですよ!
素敵な殿方だったわ、なんて言ってるんですよ!」
「りゅーま ちゃらいとすてるにょよ!」
「嘘です!多分竜馬を扱き使おうぜ!
と康太さんとか言ってるんですよ
アイツ便利じゃん!って」
「ありえるにょね!」
飛鳥井康太だもん、有り得るのだ
暦は11月になっていた
烈の短い夏休みを送って以来、何だか早く過ぎて行く気がする
大半が入院していたし、今年の想いではベッドの上しか思い付かない
そんなのは嫌なのだ
「りゅーま おおきにゃいべんとやるのよ!」と言った
「おっ!良いですね!
どんなのやりたいですか?」
「おもいで、つくりゅの!
べっどのうえが、ことしのおもいでにゃんていやらもん!」
「ですね、ならばど派手なの行きますか?」
「いくのよ!りゅーま!」
「ならまた、隼人とやりたいな
小鳥遊さんにスケジュール聞いてみますね!」
「なら、ばーたんたちだしちゃう?」
「それだとギラが凄い事になりませんか?」
「そーよね、れもにゃー、やりたいにゃー」
「なら榊原の家訪ねますか?」
「らね!らね!」
竜馬の車に楽しそうに乗る烈と、ドライブしてる時間が竜馬は大好きだった
榊原の家に到着すると烈は竜馬にインターフォンを鳴らさせた
烈の背では届かないから……
その日休みだった真矢が出るとカメラに竜馬が映ってて
「あら竜馬、どうしたの?」と問い掛けた
インターフォンのカメラの下の方から
「ばぁたん!」と烈の声がする
「烈、いるのですね、今開けます!」と言い、門のロックが開けられた
竜馬は門のドアを開けて中に入ると玄関の前に清四郎と真矢が立っていた
清四郎は烈の姿を見ると「烈、遊びに来てくれたのですね!」と嬉しそうに笑っていた
真矢も二人を家の中へと招き入れた
応接間に通されソファーに座ると、真矢がお茶を淹れに向かった
清四郎は「今日はどうしたんだい?烈」と尋ねた
「ねぇ、じぃたん ぼくね……ことしのおもいで…べっもうえがおおにょよ!」
と悲しそうに謂う
まさにそうだから、清四郎は言葉を失った
お茶を淹れて戻った真矢も困った顔で烈を見た
烈は更に続ける
「ねぇ ばぁたん じぃたん ぼくとことし、さいぎょのおもいれ、つくりませんきゃ?」と言った
突拍子もない事を謂われて清四郎も真矢も固まる
しかも律と生活してると、烈の滑舌の悪さが目に着く
それも烈の愛嬌なのだが
真矢は「何をするの?」と烈に尋ねた
清四郎の事務所は代表だった者の死で乗っ取られたりした件があって以降、事務所として成り立たず清四郎は今相賀の事務所に在籍していた
「ことしさいぎょの、どでかいはにゃび、あげりゅのよ!」
真矢が「花火?」と言い、清四郎は「そんなに大きな花火何処でやるんだい?」と聞いて来た
竜馬は烈、伝わってないよぉ〜と頭を抱えた
仕方なく竜馬が「【R&R】と今年最後の仕事をしませんか?と謂うお誘いです!」と言った
真矢は「お仕事なら相賀入れた方が良いかしら?」と言った
「どっちでも良いですよ!
でも烈は今 貧乏なのでそんなにギャラは出せない所が痛いですが、一応聞いてみて下さい!」と言った
真矢が「烈が貧乏って、お小遣い貰えないの?」と問い掛けた
「おこずかいじゃにゃいのよ!
かいしゃのこうしゅうに、ほうしゅうすべてつかいはたすにょよ!」
と謂うから更に清四郎と真矢は????となった
竜馬は飛鳥井建設の講習会を宗右衛門がお金を払って行うから金欠だと伝えた
その費用は1000万は下らない、その費用を烈の報酬全てで支払うと謂うのだ
桁の違う話に清四郎と真矢はクラクラになった
「らから、おかねにゃいけど、おもいれ………つくりたかったにょ」
と刹那い事を謂う
真矢は相賀に連絡を入れて直ぐに榊原の家に来てくれと!と伝えた
真矢は「私もね烈と思い出が作りたいわ!
でもギャラが出る話ならば、勝手に話せないから相賀を落としてくれれば、仕事が一緒に出来るわよ!」と言った
烈は嬉しそうな顔をして薄めたジュースを飲んで、ケーキをを見て「これししつにゃい?」と問い掛けた
「大丈夫よ!烈に持って行こうと想ってたケーキだから、食べて大丈夫よ!」と答えた
烈は嬉しそうにケーキを食べていた
すると相賀がやって来て、応接間で座ってる烈を見て「大丈夫なのかい?烈」と心配して話しかけて来た
「てがね、まだしびれるにょよ!」
と言いケーキを食べるのも大変よ!と言い震える手を何とか押えて食べていた
相賀は「では私を呼び出した用件を伺おうか!」と言いソファーに座る
すると烈は宗右衛門の声で
「今年最後の大きな花火を打ち上げるのじゃ!」と言った
相賀は「打ち上げ花火ですか?」と返した
「まぁ本当の花火は一発しか上げぬがな!
相賀、我が【R&R】からコラボせんかと、お誘いじゃ!」と言った
相賀は「神野の所の一条隼人とやったコラボですか?」と問い掛けた
「あぁ、イメージは全く違うモノとなるが、烈は今年の大半はベッドの上で過ごしたのもあってな、今年最後の思い出を作りたいと申したのじゃ!だがな烈は来年の報酬総てを失った故、金欠なのじゃ!なので大層なギャラは出せぬが、何か遣りたいと思っておるのじゃ!」と伝えた
清四郎はさっき烈から聞いた飛鳥井建設の講習会の為に1000万は下らないお金を払うのだと伝えた
「飛鳥井建設の講習会に1000万ですか?
まぁ専門のプロを入れれば高額な報酬は当たり前に掛かりますからね
で、その【R&R】が真矢と清四郎に何をさせると申すのです?」
それに答えのは竜馬だった
「年末らしいイベントを遣りたいと想ってます
メンバーが色々と案を出します
それを烈が精査して盤上にあげてくれるので、お二人に相応しいイベントとなります
ですが今回は烈が貧乏なので、俺が出すとしたら一晩限りのイベントとなります!」
相賀が「ならばノーギャラだと何日出来ますか?」と問うた
「12月1日から15日は飛鳥井の講習会が開かれますから、その期間は全員が揃いません!
なのでやるとしたら15日から31日までの15日間のどれかです!」
「15日は間やれないのですか?」
「……俺も独り立ちして生活があるので、生活費を全部ぶっ込んでやらねばならないので、それは無理かな……でも烈の今年の思い出がベッドの上だなんて悲し過ぎるので、やるだけのイベントなので………諦めます、烈もそれで良いよね?」
竜馬が言うと烈は頷いた
「らね、あきらめるにょよ
ぎょめんね、ばぁたん じぃたん」
と言い立ち上がろうとすると相賀は
「スポンサー見付けて来るので、是非やりましょう!
個人の持ち出しだとかなり無理が来るのでスポンサー見付けましょう
東神奈川のイベント、スポンサーは飛鳥井だけだったのでしょ?
かなり本人達の持ち出しあったと聞きました
もし自分がイベントを持ち掛けられたら、その時の為にと密かに考えていたんです
この件、須賀も誘って良いですか?」
竜馬は「それは構いません!」と答えた
烈は不安な瞳で竜馬を見た
竜馬は烈を抱き締めた
「駄目なら、俺が烈の想い出作るから、大丈夫だ、烈!」と言った
相賀は「この応接間で話は出来ますか?駄目なら部屋を借りましょう!」と清四郎に問い掛けた
清四郎は「構いません!此処で話をして下さい!」と言った
相賀は須賀を呼んだ
須賀は直ぐに逝くと約束してくれ、あまり時間を掛ける事なく来てくれた
相賀が一連の話をする
須賀は「なら我が事務所としても最大限の協力を約束しましょう!」と約束してくれた
話が大きくてなり過ぎて烈は「りゅーま、ふほんいになるにゃら、ことわりゅのよ!」と言った
メンバーに不本意な仕事などさせたくはないのだ
須賀は「三木竜馬君 君が今話題の【R&R】の代表者なのかい?」と問い掛けた
竜馬は「我等がリーダーは烈です!」とキッパリ言った
相賀も須賀も言葉がなかった
竜馬は「我等は頭脳集団と謂われるだけあって本当に多彩で天才と謂われる者達の集団なんです!
なので自我は強いわ、論破野郎はいるわ、己を知ってるだけあって趣味の域は出ない、そんな集団でした
それを烈が上手く使い配置してくれるので、我等は好き勝手に活動を続けて来られた!
今ではかなりの名前は上がってますが、総て烈が吟味して仕事をやらせてくれているからなのです!」と語った
須賀は「君達の意に沿わない事はやらせないと約束するよ!
だけど、清四郎と真矢を使うなれば、それなりのイベントでなければならない
何処まで折れますか?」と問い掛けた
それには宗右衛門が出て
「我等はそれなりの仕事なればそれなりにはやる!」と皮肉った
須賀は眉を顰め「それはどう謂う意味ですか?」と問うた
「イベントとは生物(なまもの)じゃ!
その生物をステージでどう活かすか?
それはメンバーのやる気に掛かっておるからな
儂がやれと謂えばやるが、それはあくまでも『それなり』なのじゃ!」
やはり食えない!
須賀は想った
下手したら康太よりも食えない存在、それが飛鳥井宗右衛門なのだと想った
「だから儂らは誰にも縛られない世界を作り出したのじゃ!
仕事は選び、スポンサーの意見の強い仕事は総て蹴った!
それはな須賀何故じゃと想う?」
「………解りません……」
「アイツ等は自我の塊じゃ!
こうしてくれ!なんて謂う仕事は受けたら地獄なのじゃ!
英語で6ヶ所で一斉に文句を謂われてみろ!
辟易する所の騒ぎでない!
お主はやられておらぬから言えるのじゃ
竜馬、あれを!」
宗右衛門が言うと竜馬はタブレットを取り出した
そして英語で罵詈雑言謂うイギリス人を目にするのだった
英国紳士なんぞ、どこ吹く風よ!とばかりに己の意見を訴える
落とし所を見付けて何とか収める
そんな光景がタブレットには映し出されていた
「どうじゃ?須賀
儂がコンセプト縛りを避けるのも理解してくれたか?」と問い掛けた
須賀はたらーんとなり「はい、これは………」何と言って良いやら
「イギリス紳士とはよく言うが、あやつ等はアメリカに生まれた方が向いておったのかもな!」
「解りました、君達とは長い付き合いにしたいので、話し合いイベントを進めていきたいと想っております!」
と須賀は折れるしかなかった
子供だと甘く見れば蹴り倒され自信すらなくなりそうだ
康太よりも熾烈で手厳しい宗右衛門だった
烈は「ばぁたん じぃたん またのきかいに、やろうね!」と言い立ち上がり竜馬を連れて還ってしまった
あまりの素早さに相賀も須賀も清四郎も真矢も言葉がなかった
真矢は「もぉ、烈ったら、貧乏なら私だって出してあげたのに!」と言った
清四郎も「私だって烈が貧乏なら出してあげたのに……」と言った
須賀は「本当に烈が1000万払って講習会開くのですか?」と問い掛けた
清四郎は「それは康太に聞けば解ると想うよ、私はね相賀、烈が言う事なればやりたいんだよ
想い出作りだと謂われれば、下手なスポンサーとか入れたくない気持ちも、解るんだよ
烈が私達と今年最後の思い出を作りたいと言ってくれた
だけど今 烈は貧乏だから出来ないと謂われればね、それは協力したいし、烈の想いをやり遂げさせてやりたいんだよ!」と想いを語った
真矢は康太に「今 飛鳥井にいますか?」と連絡を入れた
すると、今家に還った所だと教えてくれた
真矢は「これから飛鳥井に向かいます!」と言った
清四郎、相賀、須賀を連れて真矢は飛鳥井の家に向かった
飛鳥井の応接間に入ると康太は「どうしたのですか?何かありましたか?」と問い掛けた
相賀は烈が提案したイベントを伝えた
そして飛鳥井で講習会を開くから今は烈は貧乏なのだと言ったと話した
康太は「宗右衛門がスペシャリストによる講習会を開くと申し出てくれた!
このスペシャリストに講習会を開いてもらうとしたら、1000万では足らない
だが烈の知り合い価格で引き受けてくれ講習会を開ける事となった
12月1日から15日間講習会は開かれる
で、聞きたい事はなんですか?」
と総て視て解ってるのに康太は問い掛けた
相賀は「本当に1000万支払うのだね烈は……」と言った
康太は「それが宗右衛門としての飛鳥井での役目ですから!
社員達の意識改革をすると謂うならば、それはレールを敷いた宗右衛門がやらねばならぬ事!
勿論 飛鳥井としても多少は出すつもりですが、烈が受け取らぬでしょう!」と頑固な烈を想い言った
榊原は「僕は【R&R】のメンバーを見て来ましたが、あれは個性の塊 自我の塊ですね
メンバーは全員 烈に絶対の信頼を置いてます
そんな烈なればメンバーに不本意な仕事はさせたくないのでしょう!」と伝えた
須賀は「私は烈に失礼な態度をしてしまった
だから烈は還ってしまったのだ!」と悔いて言葉にした
康太は「話が大きくなり引くしかなかったんでしょ?烈は」と言った
康太は烈を想い
「本当に烈は祖父母との想い出を作りたかっただけです!
今も烈の手はナイフで刺された時の後遺症で手が痺れて鉛筆さえろくに持てません!
今年は殆どが病院のベッドの上で夏休みも潰れました
烈の頑張りのお陰で、東神奈川のビルは解体され今新しく建設中です
解体してもお釣りが出て損失は埋まりました
だがそれは烈が夏休みを全部削り怪我と闘いながら作り上げた今です!
なので、本当に想い出を作りたかった
竜馬は烈が望むならば宇宙の裏でも飛んで行き叶えてあげるでしょう!
そんな繋がりが【R&R】にはあるんですよ」
と伝えた
榊原は「【R&R】ってどんな意味を持つか知ってますか?」と問い掛けた
相賀と須賀も全く解らないと伝えた
「烈のRと竜馬のR、彼等が二人でタッグを組み会社を3つ立ち上げた!
それら総てが【R&R】なんですよ」
と説明した
須賀は「まさか……企業向け調査事務所……も同じだと謂いませんよね?」と言った
「総ての会社が【R&R】で成り立っているので、あの二人が起こした会社で間違いないです!」
須賀は言葉もなかった
相賀は「そんな凄い会社を起こしているのに、烈は貧乏なのだと謂うのですか?」と問い掛けた
「今後の報酬総てを講習会に注ぎ込むと言ったんでしょ?
ならば今後は烈は無報酬で動かねばならないのです!
小遣いは毎月上げてますし、報酬事態使う事はないのでしょうが、大きな事をやるならば、先立つのないのは結構手痛いのでしょう」
康太は「協賛や企業が入れば企業が望む縛りは出て来るからな、そんなのは自分達が望んでいる想い出にならない!
だから烈は引いたのです!
こうなった烈は掴まりませんよ?
なのでオレも協力はしません!
なのでこの話はご破産と謂う事でお願いします」と言った
須賀は「彼は君よりも食えないね」と言った
康太は嗤い飛ばして
「当たり前じゃないですか!
飛鳥井宗右衛門はオレの様には甘くはない
それは一族の統制や規律を重んじて動かくから!
礼節を欠くことは絶対に許しはしない!
一族の為だけに存在する者 それが飛鳥井宗右衛門なのです!
オレの様に甘い事は謂いません!
宗右衛門は飛鳥井の1000年続く果てを繋ぐ為に尽力されていた
それで怪我を負ったり死にかけた
それでも宗右衛門は休むことはしない
そして今、会社に変革を齎し、明日へと続くレールを敷いた
敷いたレールは明日へと続き果てへと繋がる
宗右衛門は今世、その為だけに転生されたのだ!
オレの様に甘いなんて考えるのはよしてください!」
と言い捨てた
飛鳥井康太 自体甘くはない
そんな甘い存在だとは思ってはいない
だが宗右衛門はその上を行く存在だと謂われれば、ナメて掛かった自分などもう歯牙にも掛けぬのだろう……と想った
真矢は「烈はいますか?」と問い掛けた
康太は慎一を呼び出して「烈は帰って来たのかよ?」と問い掛けた
慎一は「え?烈ですか?まだ還ってないので、竜馬に早く還す様に電話してるんですが、繋がらないのです!」と伝えた
康太は「やられたな……当分は捕まらねぇな」とボヤいた
榊原も「講習会まで準備するのもあるのに…本当に止めて下さいね!」と腹を立てて烈に電話を入れた
だが何度電話しても繋がる事はなかった
榊原は「こうなったら烈は捕まりません!
講習会の事で密に話をしたいのに、それも出来なくなりました!
イベントの話はご破産でお願いします!
烈を無理やり捻じ曲げようとした貴方達の話など、もう聞く事はないでしょう!」とキツい一撃をかました
榊原にしては珍しい事だった
須賀は「申し訳なかった……私は烈を甘く見てしまった結果だ……」と謝罪した
真矢と清四郎は泣いていた
相賀は悔いていた
もっと烈に寄り添ってやれば良かったと、悔いていた
相賀と須賀は還って行った
真矢と清四郎も還って行った
烈は自分の部屋で薄いリンゴジュースを飲んで、虎之助と共にゴロゴロしていた
康太は慎一に「話合わせてくれて助かったわ!」と言った
慎一は少し前に烈が還って来たのを知っていた
薄めたリンゴジュースを持って行ったのが、慎一なのだから
慎一は「どうしたのですか?」と尋ねた
榊原が烈が祖父母との思い出を作ろうと話しかけたら、話が大きくなり辟易したのと、須賀が烈を甘く見下した事に腹を立ててを還って来た事を告げた
慎一は「須賀は烈を可愛がっていたのに、見下す様な事を謂うとは想えません……」と言った
康太は「イベントとして上げるなら収益をあげねばならねぇからな
【R&R】が使えるのだから、何処まで折れて話を飲んでくれるのか?確かめたかったんだろ?
だが烈達は折れて話を聞く気など皆無だった
まぁ【R&R】のイベントだと銘打てば、数分でSOLD OUTする訳だから使いたくねぇ訳はねぇんだよ!
だけど思い通りにならない集団ならば、何処までスポンサーの希望を叶えられるのか?
把握しておく事をせねば、同じ盤上には上がれない!
そう考えても仕方がねぇ事なんだがな
烈の思惑を遥か遠くへと逝くなら、手を引くしかないと烈は考えたんだよ」と説明した
祖父母との思い出作りが、スポンサーが出てくる話になれば、それは不本意な話しか出来やしないだろう……と慎一は納得した
康太は未だ冷めやらぬ嵐の予感を感じていた
榊原もそれは同じで……
何かが起こる
そう感じていた………
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