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初めての...

狂悪なまでの、熱量と質量。 それは俺の中で、更に硬度を増した。 「痛くしねぇって、言ったじゃん。  ...クソがっ!」 顔だけ後ろを向け、睨み付けた。 でもそこで、目があった。 獣みたいに蒼い瞳をぎらつかせ、俺を見つめる木内の瞳と。 その姿は、王子なんてお美しいもんとは程遠いくらい卑猥で、淫らがましい筈なのに。 ...なのに同時に、すげぇ綺麗だと思った。 「ごめん。...ほんと、ごめんね?」 言いながらまた、前に手をやられて。 痛みのせいで完全にもう萎えてしまった俺のモノに、優しく触れた。 びくんと震える、体。 「...ここ触りながらなら、少しは楽?」 木内の大きな手のひらで優しく扱かれた瞬間、もう快感を覚えさせられ、彼によって作り替えられてしまったいやらしい体は、更なる刺激を求めて小さく震えた。 労うみたいにまた、頬に落とされたキス。 正直まだめちゃくそ痛かったけど、こんなに俺の事を全身全霊かけて愛してくれるコイツが、やっぱり愛しくて。 「ん...、木内。唇にも、キスして。  そしたら全部、チャラにしてやるよ。」 四つん這いのまま、自分でも気持ち悪いくらい甘えた声で強請った。 瞬時に彼の全身が、真っ赤に染まる。 はは...ウケる。 マジでコイツ俺の事、好き過ぎんだろ。 それから中に突っ込んだまま、ハァハァと呼吸を乱しながら、俺の望んだ通り唇に口づけられた。 「大悟、好きだよ。  ...好き過ぎて、おかしくなりそう。」 その言葉に、余裕なんてもん微塵も無かった筈なのにまたつい吹き出した。 「何言ってんだよ?  お前最初から、めちゃくちゃやべぇヤツだったじゃん。」 そう。 コイツは俺の、ストーカーみたいなもんで。 でもそれも一度受け入れてしまえば、彼の深い愛情は、俺を幸せだと感じさせてくれた。 ...やべぇのは、お互い様って事か。 たぶんもう俺だって、コイツなしでは生きていけないんだから。 絡み合う、舌と舌。 どちらのモノかわからない唾液が、俺の口の端からタラリと零れ、落ちた。 しばらくそうやって体が落ち着くのをこのバカは待っててくれたんだけど、先に我慢出来なくなったのは俺の方だった。 「もう、平気だから。  ゆっくりだったら、動いていいよ。」 リップ音をたて、もう一度彼の薔薇色の唇にキスをして。 それから俺達は再び快楽の波に飲まれ、溺れていった。 「ヤバ...もう少し、激しくしていい?  大悟の中、すごい熱くて、俺の締め付けてくる...。」 甘い声で、俺の耳元、木内が囁く。 この頃になると痛みよりも、気持ちいい事の方が勝ってたから、小さく頷いた。 宣言通り、激しさを増す律動。 バックから激しく俺を突く度に、木内の汗が舞い、飛び散っていく。 「大悟...俺もう、駄目かも。  ...一旦、抜くね。」 耳朶を、優しく食まれて言われた瞬間。 ...嫌だって、思った。 そんなの、寂しいって。 だから思いっきり締め付けて、口下手で不器用な俺は、態度で訴えた。 背後で息を飲む、気配。 「...いいの?」 その意図を察したらしい木内は俺の事を後ろから力一杯抱き締め、聞いた。 「聞くな...アホ木内っ!  動けよ、んでもって中に全部、出しゃいいだろうがっ!」 我ながら、なんつー可愛くないおねだりだ。 でも木内はクスリと笑うと俺の頭を優しく撫でて、激し過ぎる抽挿を再開させた。 「大悟...可愛い。  もっと感じて、もっと鳴いて。」 前に添えられていた手の動きも、加速して。 俺はこんな事すんの初めてだってのに、この絶倫野郎が吐精するまでの間、情けないくらい何度も逝かされ続けた。

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