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第4話 変化

翌日、脇坂が野坂の家を訪ねると…… 家中荒れ果てて壮絶なモノになっていた 酒缶は一缶で家の中は‥‥‥酒乱が暴れた程の煩雑ぶりだった 「………野坂……」 脇坂が何か言おうとすると野坂はそれを止めた 「みなまで言うな…… てめぇの言いたい事は解ってる……」 「恋人と別れたの?」 脇坂はそれでも確認する為に言葉にした 「……優先順位を仕事にすれば……自ずと離れて行くしかねぇだろ?」 「…………」 脇坂は何かを考えている風だった 同情なら要らない…… 野坂は想った 「野坂……」 「だから同情なら要らないってば!」 「……嫌……同情なんてする気もないです!ごめん……」 こう言う奴だよ……コイツは…… 思い出して野坂は苦笑した 脇坂は安っぽい同情なんてしない 慰めてもくれない 傷口に塩を擦り込んだって……同情はしない 忘れていた 「野坂、次の恋人が出来るまで僕が管理してあげましょうか?」 「……え?……」 野坂は訝しんだ瞳を脇坂に向けた 「君のスケジュールの管理から、生活の面倒、下の世話まで、総てしてあげます」 突拍子もない事を謂われて野坂は慌てた 「……え……下は要らねぇ……」 「なら作品を書き上げるまで‥‥ 君を癒して甘えさせてあげます だから安心して作品を書き上げるまで‥‥ 僕に甘えなさい」 脇坂は編集者として当然とばかりに謂った 野坂は 「お前……男は華奢な可愛い系しかダメだろうが! 俺みたいな華奢じゃない奴は範疇外だろうが!」 「大丈夫です、君もちゃんと範疇ですから!」 「………え?………嘘……」 「君とは切れない絆があります」 「………何か絆で犯られるのは嫌なんだけど‥‥」 「大丈夫です、勃起するか、しないかで謂えば勃起しますから!」 「‥‥‥お前、結婚していたよな?」 「ええ。離婚しましたけどね」 「真面目な生徒会長だったやん」 「今も真面目な編集者です」 野坂は言葉を失った 脇坂は深刻な顔をして 「ちなみに君、ポジションは?ネコ?タチ?」と聞いて来た 野坂は「俺は………タチ」と答えた 「……君……下手くそっぽいので、ネコで良いですよね?」 どういう基準で下手くそっぽいって謂えちゃえのぉ? 「………え……えええええ!」 野坂は驚いていた 「なら、さっさとベッドに行きなさい!」 「………おい!俺なんて普通の男‥‥抱く気かよ!」 脇坂の相手は何時も華奢で可愛い系だったのに‥‥ 「大丈夫!ちゃんと鳴かせてあげますから!」 脇坂は野坂を立ち上がらせると 「寝室は?」 と問い掛けた もぉ……何とでもしてくれ……とヤケクソで野坂は 「突き当たりのドア」 「では、サクサク犯りますか!」 嬉しそうに脇坂は野坂を掴んだ 野坂は冗談だと想っていた まさか…自分が……犯られる立場になるなんて…… あり得ないから…… 野坂は服を全部剥かれて全裸にされた 「ローションは?」 「………枕元……」 枕元に手を伸ばし脇坂はローションを手に取った ニヤッと嗤われ……野坂は後悔した 「……やっぱし……止める……」 「ダメです!大人しくしないと縛りますよ? 僕、緊縛師の資格持ってます どうしますか?」 蛇に睨まれた………蛙の様に…… 野坂は大人しくなった 脇坂は野坂の体躯を撫でた 「想像通り良い筋肉のつきかたですね……」 「こ…高校の時! 俺はフラれたのに……クソッ!」 「野坂……」 「何だよ!」 野坂は喧嘩腰に応えた 「僕、フッてませんよ? 君……が抱かれたいのか…… 僕を抱きたいのか……どっちなんだろ? 考えていたら……君が怒って消えただけでしょ?」 「………おい……」 野坂は地を這うような重低音で問い掛けた 脇坂はしれっとした顔で 「何ですか?」と問い掛けた 「………普通……何も言わなきゃフラれたと想うだろ!」 「君は早とちりでいけませんね! それよりキスして良いですか?」 「聞くなよ! 何でも好きな事すれば良いじゃんか!」 半ば自棄に答える 野坂の言葉に脇坂は燃えた 目つきの変わった脇坂を見て…野坂はヤバいと想ったが遅かった 執拗な接吻をされ……息も付けなかった 酸欠の魚宜しくパクパクしてると脇坂は嗤った 「鼻で息するのも忘れましたか?」 「………息させろ……死んじまうじゃねぇかよ!」 「好きな事すれば良いじゃんか!と言った癖に我が儘なお姫様ですね なら蕩けさせます」 今度は優しく口腔を犯していった 口腔を脇坂の舌が暴れまわる コイツ………めちゃくそキス上手い…… 翻弄される まさか……脇坂が野坂を抱くなんて…… 想ってもいなかった 何度も言うが野坂は華奢な儚げな風貌ではない 中肉中背だが普通の青年体系の体躯をしている ネコになるには、ちっとばかり育ち過ぎているから‥‥ ネコとして相手してくれる存在は皆無に近かった 可愛げもなければ…… 小説家の癖に気の利いた言葉も言えなかった だから何時も恋人とは長続きしなかった キスで翻弄された体躯は……力が入らなかった 力なくベッドに横たえると…… 服を脱いだ脇坂が重なって来た 「ココ、経験ありますか?」 脇坂は単刀直入に問い掛け、お尻の穴を撫でた 野坂は真っ赤な顔になり…… 「………俺の様な育ちすぎた奴を抱きたい奴は滅多といねぇだろうが!」 「処女?」 「………違う……でもケツはあんまり感じない……」 「なら、あんあん気持ちよくさせてみせます!」 脇坂はそう言い野坂の脚を左右に開くとお尻の穴を凝視した 「綺麗な色ですね安心しました 使い込み過ぎてるのを犯るのは……萎えますからね」 そう言うと脇坂は野坂のアナルに口を付けた 「…ゃめ……汚いってば!」 「気にしません」 「俺は気にするんだよ」 「………我が儘言うなら縛りますよ?」 「……それは嫌だ……」 「なら大人しく出来ますね?」 野坂はコクコクっと何度も頷いた 脇坂はローションを手に取るとお尻の穴に擦り付けた そして指を挿し込み… 中を掻き回した 「君は何処ですかね?」 「…なっ……何がだぁ……」 ケツに指を突っ込まれて…… それでも抵抗できなくいるだけでも情けないのに…… 「前立腺ですよ」 「ぜっ……前立腺?」 「そう。知ってるでしょ?君もゲイなら」 「………知ってる………けど……」 「君は何処にあるか知ってますか?」 「知らねぇ……ケツではイケねぇもん」 だから犯るだけ無駄だと言った なのに脇坂は聞かなかった 探るように掻き回されると…… ビクンッと体躯が跳ね上がった ビクビク内股が痙攣する 「……ゃ……何?………怖いってば…」 野坂は泣きながら訴えた 「頭も心も空になりなさい」 そう言うと脇坂は蕾を舐めた 指は前立腺のピーンッと張った所をコリコリと転がし引っ掻いた するも野坂の性器はビンビンに勃ち上がり…… 先走りで濡らしていた 脇坂は肢体をビクビク震えさせている野坂を目にして 「君、ネコが合ってますよ?」と謂った 「…脇坂…ぁ……あぁっ……止め……」 「こんなに緩めば…当然挿れますよね?」 「……ゃ……止め……挿らねぇってば!」 「君の下のお口が欲しいと催促してますよ?」 指じゃ足らない 埋めて欲しい 確かな硬い肉棒で掻き回して欲しい こんな想いは初めてだった こんな快感は初めてだった 「……ぁん……やだ……」 作り替えられる… 脇坂の手によって…… 作り替えられてしまう…… 野坂は抗った だが脇坂は野坂の脚を抱えると、ゆっくりと挿入を始めた 野坂は………… 挿入された刺激で……… 射精してしまった お尻で感じた事は一度もなかったのに…… 野坂は唖然としていた 「………君……挿れた瞬間…… イッてしまいましたね…… 僕のお腹が君の精液でベトベトです」 脇坂は自分の腹に放たれた精液を手に取ると……舐めた 「君も味わいたいですか?」 ニコッと笑うと脇坂は野坂が放った精液を手で掬い取り… 野坂の口に咥えさせた 脇坂の指から……自分の精液が流れて落ちた 「どうですか?味は?」 「………まさか……自分の味見させられるとは…」 「自分の味わった事はないんですか?」 「……ない……」 「そうですか……なら自分の精液の味が解って良かったですね」 文句を言おうとすると…… 奥まで一気に貫かれた 圧迫感が凄かった…… 脇坂は少しだけ慣れるのを待つと抽挿を始めた 指で確かめた前立腺を執拗に肉棒で擦りあげた 野坂は快感に翻弄され何も考えられなかった 脇坂は野坂の中を掻き回して激しく抽挿を繰り返した 「………野坂……イキます…… 何処に欲しいですか?」 「……あぁん……中に……」 野坂が言うと脇坂は最奥に熱い飛沫を撒き散らした 野坂も同時にイッた はぁ…… はぁ…… 荒い息が部屋に充満した 脇坂は何度も何度も…… 野坂の中に射精して奥を濡らした 野坂は脇坂に鳴かされ……身も心も空っぽになった 野坂は指一本動かすのが億劫だった 「野坂、お風呂に入りましょう」 野坂の腕をとり風呂場まで連れて行く 野坂は脇坂に 「……作家と寝てるのか?」と尋ねた 「まさか……僕は担当する作家とは寝ません」 綺麗に野坂を洗いながら、脇坂は楽しそうだった 「………脇坂の背中にある刃物傷は作家に無理心中されて着いたって……」 「それって何処の情報ですか?」 野坂はバツの悪い顔をした 「野坂、何も考えなくて良いです 僕は君が次の恋人を見付けたら……担当も変わります それまでは面倒見させて下さいね」 「………脇坂……」 「他の作家には……してない 僕は作家は相手にしない…… ですから他言無用でお願いします!」 「んな事……言い触らすかよ……」 他の作家とは寝てない なら何で俺なんだよ……と言う言葉は飲み込んだ 言えなかったから…… 初めて関係を持った夜、夢も見ずに爆睡した こんなにスッキリ眠れたのは久しぶりだった 目が醒めた時……脇坂は何処にもいなかった 部屋は綺麗に整頓されていた 野坂は脇坂に電話を入れた 『はい。脇坂です』 「書きたい話があります」 『解りました。 午前中は無理なので午後に伺います』 「お願いします」 野坂は無性に書きたい話があった 諦めて……胸の奥に閉じこめた話…… それを書きたいと想った 書き上げたら…… 何か変わるかもしれない…… そう思っていた 『恋すれど』 野坂の思いの丈を文章にしたいと想った 頭を空にしたら… 諦めきれない想いだけ残った ならば、それを言葉に残そう 自分の想いを主人公に投影して書こう 脇坂への想いを完結にする為に…… 好きだ……脇坂 その言葉を…… 好きだったよ脇坂 に、変えれる様に…… 何の見返りもなく、尽くしてくれるお前に…… 返せるのは…… 書く事だけだから…… 書き上げたら…… 担当を変えて貰おう …………愛されてないのに…… 優しく抱かれるのは拷問…… なんだって……初めて知った 心が欲しい 「………バカだな俺……」 抱かれて‥‥初めて気が付いた 脇坂は遠い‥‥遠い‥‥手の届かない所にいるのだと想い知った

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