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第30話 傷み

野坂知輝 邂逅 出版記念サイン会 なるものが開かれた 野坂知輝の顔を見ようと多くのファンが詰め掛けた 300人限定の所、1000人以上が当日押し掛けて来た 野坂知輝の人気の凄さを物語っていた 野坂は一人一人丁寧にサインを入れて握手した 予定を一時間以上大幅に超えて、野坂は誠心誠意対応した このサイン会の様子はニュースでも取り上げられた またサイン会を終えた頃 東都日報 社長 東城洋人と会食の場を設けた 社長の横には今枝浩二と言う社会部の記者も同席した 勿論、脇坂も野坂の横に座っていた 「社会部 編集長 今枝浩二です! 脇坂とは同期になります」 今枝は野坂に手を差し出した 野坂はその手を取って 「野坂知輝です」と挨拶した 今枝浩二は野坂を見ていた 「野坂さん、対談してくれませんか?」 「………え?貴方と?」 「違います 瀬尾利輝とです……」 「お断りします 俺はもう瀬尾先生とは並ぶ事はない……と決めてます」 「瀬尾光輝も交えての親子対談……駄目ですか?」 「………駄目です 俺は……瀬尾先生の子供ではない……」 「周知の事実なのに?」 「親子対談をさせたい……その真意は?」 野坂は今枝を睨み付けた 「瀬尾利輝は親馬鹿です 瀬尾光輝は兄馬鹿です どちらも私が組んだ対談で、自慢していました ですから、この機会に……親子対談……と想ったのです 他意はありません 高村の馬鹿の様にネームバリューだけに頼っているのではなく、此処まであの親子に愛されてる貴方を、見てみたかったのです 見たら撮りたくなりました 瀬尾光輝が……刺激されたコンプレックスさえも超越させた貴方が、あの親子の中に入った姿が撮りたくなったのです 失礼だとは想いました ですが、チャンスだと想ったのも確かです 脇坂は貴方を……私に逢わせる事はないので……」 「………今枝……」 脇坂は……今枝に声を掛けた 「脇坂、お前には悪いと想ったがな…… 乗り越えた親子と言うモノを見たかったんだ……」 「今枝さん」 野坂は覚悟を決めた瞳を今枝に向けた 「親子対談は駄目です 俺は……死ぬまで野坂知輝です そして……死ぬまで……親子と……公表する気はないです なので、親子対談以外でしたらお受けします」 「………君は……実子の光輝さんより……瀬尾先生ですよ?」 「それがどうしました? 俺は野坂知輝以外になる気は皆無だ 瀬尾親子に失礼な事はしたくない…… 瀬尾……には俺はなれないし……なりません……」 そう言い切り、さらに続けた 「俺は野坂知輝なのですから…」と言い切った 「対談の名目など何でも良い 俺は……瀬尾親子の中にいる貴方を撮りたい……」 「なら、撮れば良い」 野坂は不敵に嗤った 「受けます」 野坂が言うと脇坂が 「……本当に大丈夫?」と問い掛けた 「大丈夫だよ!」 野坂はにぱっと笑った その顔が……瀬尾利輝に酷似していて、今枝はシャッターを切った 「………野坂知輝さん 貴方の祖母の葬儀から……ずっと貴方を撮ってます……」 「俺を撮ってどうするよ?」 「写真集を出させて戴きます」 「………売れないなぁ……」 「私の撮った写真でエッセイを書いて下さい 社長には話は通してあります 編集過程は脇坂を通す事になってます 脇坂がNGを出すモノは載せない なので許可して下さい」 「脇坂が許可したなら……俺の許可は要らない」 野坂は今枝の瞳を射抜いて、そう告げた 野坂は少しだけ血色が良くなっていた 東城は元気な野坂を見て胸をなで下ろした 「野坂さん……貴方は今も…生まれて来てごめんなさい……と思ってますか?」 「思ってません 俺は生まれて来たから……出逢えた奇跡に感謝してる」 野坂は今枝を射抜いて答えた 「いい顔しますね……これを…差し上げます……」 今枝は胸ポケットから取り出した写真を野坂に渡した 野坂は写真を手にして見た 「…………これは……」 何処にも逝けないと……諦めて橋の上に立ってた……高校時代の野坂だった…… 「野坂さんですよね?」 「………高校時代の俺です……」 「その当時私は芸能部の記者だった 子供が病気で不規則な社会部から芸能部へと変わって……スキャンダルばかり追い掛けていた頃に撮りました 今にも飛び降りそうな子供が……気になって私は特ダネを逃しました その時……私は君の写真を撮りました もう一度……この写真の子に逢えるなら…… 今、どんな顔をしているか逢いたい…… そう思ってました それが貴方です 撮らせて下さい、今の君を!」 「撮って下さい俺を! 俺はもう……世の中を儚んでる子供ではない……」 「……貴方の恋人は脇坂?」 「その質問には答えません」 「……脇坂は私と同期なんです この世の手に入るモノ総て手中に収めていると言っても過言でない奴が……不幸に踊らされていた 奴は私に言った……この世の総て手に入らなくても良い…… たった1つ手に出来たなら…… 死んでも良い……とね 脇坂のたった1つの手中の宝は…貴方だ」 野坂は何も言わず今枝を見ていた 「野坂知輝と言う存在を暴いた時……貴方には何が残るか……見たかった……」 「……共に生きた時間だけが……俺を支えた 俺は最初から……望むモノなど一つしかない 俺は…親を恨んだ事もあるけど……桜林へ入れてくれた事にだけは感謝してます 俺を……この世に産んでくれたから……出逢えた奇跡に感謝してます」 にぱっと野坂は笑った 『それ』が野坂の答えであり…野坂の総てだった 「………社長……私も野坂先生にやられました…… 彼を護る為に誠心誠意込めて撮らさせて戴きます 脇坂、惚気を聞いてやるので、今度飲み明かしましょう!」 「………また知輝は味方を増やして逝くんですね…… 君に一度だって惚気た事なんてないじゃないですか…」 「………惚気てるだろ? 飲みに行くか?聞くたび手のかかる子がいるのでまたにして下さい 3回誘って2回は断られるよな?」 「………今枝……虐めないで下さい……」 脇坂はボヤいた 今枝は笑った 「野坂先生とお逢い出来話も出来ました 今日は本当に社長、ありがとうございました」 今枝は東城に礼を述べた 「野坂先生にはラノベの件で……不愉快な想いをさせましたからね……お詫びの意味を込めてお食事に誘いました」 「俺はもう大丈夫です 後ろ向きに歩く事はない……」 東城はにっこり微笑んだ 会食の間中、野坂は微笑んでいた その顔は……迷いも躊躇も総て乗り越えた強さが宿やっていた 会食を終えて東城と今枝は飲みに繰り出した 脇坂は野坂と共に自宅へと帰って行った 自宅に帰り、野坂は今枝から貰った写真を取り出した 思い詰めた瞳は……何処へ彷徨っているのか? 張り詰めた弦が切れそうな……空気を纏い…… 野坂は写っていた 「これっていつ頃の?」 脇坂はソファーに座り写真を手にした 「………高2の頃かな……耳に……ピアス……入ってるだろ?」 脇坂は写真を凝視した 耳朶に赤い……血のような赤いピアスが入っていた 「………ピアスなんてしてた?」 「………無理矢理……入れられた…… 乳首とヘソにも……昔……ピアス入れられてた……」 「………え?……高校時代に?」 「………一時期……だけだよ…… 俺も……忘れてた……」 「何で……」 「………3年に……龍ヶ崎先輩っていたの知ってる?」 「………知ってる……」 「………あの人に目をつけられた……」 「………何で言わなかった?」 「………性奴隷にさせられました……って……?」 「………何やられたの?」 野坂は服を脱ぎ捨てた 「この乳首に……鎖を付けられ……ヘソに通されて……飼われてたんだよ……」 「………僕は……初めて聞きます……」 「あの人のペットにさせられて……あの人が連れて来る奴と犯るんだよ…… 乳首に針とか刺されて……いたぶられて……生きるのが嫌になってた時の写真だから……驚いた……」 「………高2の頃……君は……触られるのが嫌だと……逃げ回ってましたね…」 「……乳首に針刺して背中は鞭の傷があったからな……触られればバレる……」 「……何時まで……やってたんですか?」 「龍ヶ崎先輩が高校を卒業するまで……」 「………あの人……そんな趣味があったんですね……」 「首輪されて犬のゲージに入れられて……アイツが連れて来る奴と交わる……地獄だった… 俺が……桜林の同窓会とか嫌ってたのは……あの人に逢いたくなかったから……」 同窓会、OB会……野坂が異常に嫌うのは……そのせいか…… 脇坂は納得した 「………あの人は……人の犯るのを見ると興奮するんだ いたぶって……弄って……痛めつけるんだ…… ペニスに針を刺されたり……先にピアスを入れられ……鎖で繋がれて……過ごしたのもある 舐めさせるのも好きで……いたぶりながら舐めさせるんだ……」 野坂は気持ち悪そうに言った 「…………忘れてたのにな……」 野坂は……写真を見て呟いた 「………忘れてしまえば良い……」 脇坂は写真を破ろうとした それを野坂は止めた 「………この写真を破っても……俺の過去は消えない…… 俺……汚いだろ?」 「知輝、君を汚いなんて思ってません 知っていたなら……生かしておかなかったのに……」 脇坂は悔しそうに呟いた 「……篤史……ごめん……」 「謝らなくて良いです 二度と龍ヶ崎先輩になど逢うことはない! 僕の知輝に二度と……痛い想いはさせません!」 野坂は脇坂の胸に顔を埋めた 「知輝、過去は……護れませんでした…… でもこれからは君を護ると約束したでしょ?」 「ん……」 「今日は寝ましょう」 脇坂は野坂を連れて寝室に向かった 服を脱いで、野坂を抱き締めて眠った 野坂は脇坂に縋り付いて眠っていた 過去は……変えられない 知らなかった過去は…… 変えられない 脇坂は強く野坂を抱き締めた 脇坂は不動と笙と蒼太をバーに呼び出した 「君達、龍ヶ崎先輩、知ってます?」 脇坂はニコッと笑って問い掛けた 笙は眉を顰め…… 「………サド公爵……ですか?」 と呟いた 「あの人の性癖……知ってるんですか?」 「………有名だったからな…… 桜林で……あの人の犠牲者は……結構いた……」 「………僕は知りませんでした」 「君は……影で暗躍してる輩は……見ない人ですからね……」 笙が呟くと不動が 「何で今……龍ヶ崎の事を聞くんだよ?」と問い掛けた 「………許せない事がありました……」 脇坂は……悔しそうにそう呟いた 不動が当時を想い浮かべて口を開いた 「………龍ヶ崎は……サドだ……いたぶって犯るのが趣味で…… 犬のゲージに入れてお気に入りは飼うんだよ ……逃げようにも……ペニスに鎖を繋いで……飼うから逃げる事も出来ねぇ……」 「………不動……知ってるんですか?」 「…………桜林の奴なら……知らない奴の方が少ない…… 脇坂は……そんなゲスな奴らの楽しみなんて……知らなかったろ?」 「……知りませんでした…… ……不動は何故……そんなに知ってるんですか?」 「………俺の……恋人が龍ヶ崎の毒牙に掛かって……退学した その時……アイツの体躯は……針山の様に…針の…刺し痕があった 乳首とヘソとペニスに鎖を通して……飼われてたって……言ってた……」 蒼太は言葉もなかった…… 「………野坂も飼われてたそうです……」 脇坂が言うと……笙や蒼太は言葉を失った 不動は「………真っ赤なピアス入れてたよな? あのピアス……お気に入りのランキングらしい 野坂の真っ赤なピアスは寵愛だ……」と脇坂に説明した 脇坂は不動を睨み付けた 「……知ってるんですか……」 「………俺の恋人は野坂と犯ったと言ってた…… 野坂を助けてくれ……泣きながら頼まれた…… でも……アイツの側にすら行けなかった…… かなりキツい拷問……受けてたみてぇなのに……助けられなかった……」 不動は苦しそうに……言った 「………生徒会が知らなかったのは何故ですか?」 「…誰にも……言えない様に……写真を撮られたりしたから……だろ?」 不動は不愉快そうに答えた 脇坂は怒りに震え 「…………この先……龍ヶ崎が……何かするなら……息の根を止めるつもりです」 「なら、俺も協力すんぜ!」 不動はニカッと笑った 「僕も協力します!」 笙も名乗りを上げた 「なら僕も乗ります! 野坂は幸せそうに笑ってて欲しいですからね!」 と蒼太も乗った 「……知輝が昨日話してくれました…… この写真を……貰ったので……昔の話をしてくれました 僕は知輝がOB会に参加しないのも、同窓会にも参加しないのも……不思議でした 出生の事があるから……とも想いました 違ったんですね この先……知輝が逃げて歩いても……何処で再会するか解らないので……不戦を貼ることにしました!」 脇坂は胸ポケットから、昨日の写真を取り出した 不動はその写真を手にした 耳には……真っ赤なピアスが入っていた 写真の野坂は今にも……飛び込みそうな……緊張を纏っていた 諦めた様な瞳が……何処を見てるのか…… 笙は写真を手にして 「……本当だ……真っ赤なピアス……」 と呟いた 「………真っ赤は野坂だけだよね……他の子は……グリーンとかブルーだった」 蒼太も想い出を呼び起こして呟いた 「………野坂……死にそうな顔してる……」 笙は…苦しそうに……写真を見た 不動も写真を見て…… 「この写真を撮った奴は……野坂を止めたかったんだな……」 と呟いた 今枝は目が離せなかったと言った 「………僕は……二度と知輝を…… こんな目に合わせる気は有りません…… この先もOB会とかを怖がって逃げる知輝が可哀想なので……潰すしかないです!」 脇坂が言うと不動が 「………あの頃……助けてやれなかった…… だから今……釘を刺しに行ってやる!」 「不動?」 「……龍ヶ崎の野郎……日本に帰ってるんだよ ……下手したらバッタリなんて避けたいからな……釘を刺しに行ってやる!」 「………頼めますか?」 「俺が駄目なら……人を動かす……」 「………危ない橋は渡らなくて良いですから……」 「……俺は結構危ない橋渡ってるぜ……」 不動はそう言い笑った 不動達と話をして、脇坂は自宅に帰った 野坂は起きて待っていた 「知輝、眠くないんですか?」 「眠くない」 脇坂に甘えてくる野坂を押し倒し…… 優しく鳴かせて……体躯を開いた 野坂は震えていた 嫌われたんじゃないか…… 不安で仕方がなかった そんな不安を払拭してやり愛してやる 野坂は脇坂に抱き着いて眠りに落ちた 野坂は注射針を見ると……震えて身をすくめる 子供のように注射が嫌いなのだと想っていたら…… 調教されていたとは…… 脇坂は腹が立って仕方がなかった 野坂の事、何でも知ってる気になっていた 野坂は脇坂に何も隠さない 総て話してくれる 話さなかった……と言う事は…… 言えば脇坂に軽蔑されると怖がっていたのだ…… 野坂の対峙せねばならぬ過去…… 出生の秘密だけではなかった…… 出生の秘密があるから…… 野坂は人と深く関わるのを避けて来た そんな野坂の過去が…… 熱き想いを書かせた あの話は野坂の想いであり 野坂の生き様なのだと想った 理不尽な事を飲み込まねばならない……踏みにじられた想い…… あれは野坂が味わった……想いなのだろう 支配される 想いも心も置き去りにされ…… 理不尽な力で支配される あの写真の野坂は…… 逃げたかったのか? 死にたかったのか? どちらもなんだろう…… どちらへも逝けなかった…… 「編集長、瀬尾先生がお見えです!」 珍しく考え込んでる脇坂に、編集部の人間が声を掛けた 「………瀬尾先生?」 「編集長に逢いたいそうです…」 「では会議室にお連れして下さい」 脇坂はそう言い考えを払拭した そして会議室に向かった 脇坂が会議室のドアを開けると利輝は既に座っていた 「瀬尾先生、何かご用ですか?」 「………僕と光輝との対談…… 君が許したと聞いたので……」 「野坂が自分で決めた事です」 「………知輝は?元気かい?」 「………今……少し過去に戻ってます……なので少し不安かも知れません……」 「………理由……聞かせてくれるかな?」 「………でしたらホテルの部屋を取ります この様な……場所では……勘弁して下さい」 「………なら、僕がホテルの部屋を取ります この後来てもらえるかな?」 「………構いません……」 「ではホテルの部屋を取ったら連絡を入れます」 利輝は会議室を出て行った 脇坂はため息をついて会議室を出た 編集部に戻り脇坂は 「この後僕は出掛けます 戻れるかは解りません 後お願いします!」 「………何かありました?」 「何もありません 後、社会部の今枝の部署とうちとで対談の打ち合わせをせねばなりません 忙しくなります! 絶対に失敗出来ない対談ですからね!」 気合いを入れて行きましょう! と脇坂が言うと編集部全員が「はい!」と返事した 利輝から連絡が入り脇坂は会社を後にした 利輝はホテルを取った 脇坂は瀬尾が指定したホテルを尋ねた ドアをノックすると利輝がドアを開けた 「瀬尾先生との対談は知輝も納得ずくです ですが……その対談の話が出た時に……想いもしない知輝の過去が出たので…… 少し不安になってます」 利輝は脇坂をソファーに座らせた 脇坂は胸ポケットから今枝が渡した写真を見せた 「……これは?」 「高校2年の頃の知輝です」 利輝は渡された写真を見た 写真の映ってる野坂は……ピーンと貼られた緊張感と絶望感を同居させた様な顔をしていた 何処を見てるか解らない瞳は…… 今にも……川に飛び込みそうな……儚さを秘めていた 「………胸が痛む写真だね…… 知輝は……飛び込みそうな哀れさを秘めてる……」 「その写真を撮った奴は…… 野坂から目が離せなくて……スクープを逃したと言ってました……」 ………目の前のスクープより…… 離れた所に立ってる……高校生が気になった…… 「………知輝は……話したの?」 この時の事を…… 「知輝は僕には何も隠し事をしない……聞けば何でも答えてくれます……」 「…………知輝は……どんな想いで……立っていたんだろうね……」 「………僕は高校時代から野坂の横にいました 誰にも懐かない野坂ですが…… 僕だけには懐いて…… 僕達は何時も一緒にいた ……なのに僕は……この頃の野坂の苦しみは知りませんでした」 「………知輝の身に何があったか……聞いてもいい?」 脇坂は総てを話した 利輝は顔を覆って……泣いた 「………知輝に逢いたい……」 「今夜泊まって行かれますか?」 「………迷惑じゃない?」 「構いません 部屋なら……沢山有ります 瀬尾先生は野坂の部屋で寝ますか?」 「……知輝は?」 「僕と一緒に寝ます」 「……今惚気た?」 「……惚気てません!」 「………知輝……外に出ないのは……バッタリ……逢う偶然を避けてるのかな?」 「それもあると想います 元々行動範囲の広い子じゃないのもあります」 「知輝に逢うの久しぶりだな 君が退院してから逢ってないからね!」 「……瀬尾先生、締め切り伸ばして……ますよね?」 「………それは大目に見てよ……」 「では行きますか! くれぐれも知輝に……知ってると気付かせないで下さい」 「解ってるよ」 脇坂が立ち上がると利輝も立ち上がった 脇坂と共にホテルを後にして、脇坂のマンションまで向かう 脇坂は携帯を取り出した 「帰ります」 『待ってる!』 野坂は嬉しそうな声で電話を切った 脇坂は自宅マンションへと車を走らせた 地下駐車場に車を停めて、利輝と共に最上階を目指す 利輝はニコニコと笑っていた 脇坂も微笑みながら、最上階を目指した 最上階に到着して自宅の鍵を開けた ドアを開けると野坂が飛び込んできた 「……知輝……危ないって……」 「お帰り…」 野坂はそう言い脇坂に抱き着いた 脇坂の胸に顔を埋めスリスリ甘えていた… 「……知輝……情熱的なのは嬉しいですが……お客様がいます」 「え?誰?」 利輝は……帰りたくなかった 目の前に新婚さんばりのお出迎え風景を目にして‥‥ いたたまれなくなった 絶対にお邪魔虫じゃないか! 「………瀬尾先生……隠れてないで出てらっしゃい」 脇坂は背中に隠れる利輝を引きずり出した 「……ごめんね知輝…… 邪魔する気はなかったんだ……」 「………利輝さん……」 野坂は真っ赤な顔をした 野坂と利輝を引き摺って、脇坂は応接間に招き入れた 野坂をソファーに座らせて、利輝も座らせると、脇坂はお茶を煎れに行った 「知輝、元気だった? 編集部で脇坂君を見かけて、知輝の事を聞いたら、逢いに来ますか?と言われて……来ちゃったんだ……」 「利輝さんが遊びに来てくれるのは初めてでしたね 嬉しいです」 「脇坂君が退院してから逢ってないからね……脇坂君に頼んだんだ」 「………ぁ……電話切ってた……からだ……」 「ん、電話しても出ないし……心配したんだ」 脇坂がお茶とお菓子を持って来て、お客様と野坂の前に置いた 「ごめんね利輝さん 電話は出る様にするから……」 「…元気かな……何時も心配してるよ……」 「ありがとう……」 脇坂は野坂の頭を撫でながら 「今日は瀬尾先生、泊まって行きますよ」 と野坂に告げた 「……え?……お泊まり?」 「たまには良いですよね?」 「うん……」 「知輝、また食事に行きましょう」 「うん、楽しみにしてる」 「その前に瀬尾先生は締め切りでしたね!」 利輝の楽しみに脇坂は釘を刺した 「……小雑館の回し者ですか……君?」 「知輝の仕事の管理をしてるので、色んな編集さんと知り合いになりました その時、瀬尾先生のスケジュールも一緒に管理させて戴いてます ブッキングしない様に野上に管理させてるのは僕です」 「……そう言うカラクリがあったのか……やたらと僕のスケジュールに詳しいと思ったら…… そんな内情があったのですね!」 利輝はぼやいた…… 脇坂が夕飯の準備をしに行くと、野坂はキッチンテーブルに食器を並べた 「瀬尾先生も席について下さい」 脇坂が言うと野坂は利輝を席に座らせた 「脇坂君がご飯を作るのかい?」 「ええ。調理は趣味なので……」 「意外ですね…」 「そうですか?」 脇坂の手際は良かった 3人で夕飯を食べた ご飯を作るのは脇坂で、片付けは野坂がやった 食事を終えると、野坂は3人分の食器を洗って片づけた これが2人の生活の約束事なのだろう お風呂に入ってパジャマに着替えて、利輝は野坂の寝室に通された 野坂の寝室は…… 多分、このマンションの中で一番良い部屋なのだろう 日当たりも見晴らしも抜群で、家具もホテル並みに整っていた 家族には脇坂の家に泊めて貰うと電話した 光輝は羨ましがって、愛那は邪魔しない様にね、と釘を刺された 野坂が眠くなるまで応接間で話をして、目を擦りだしたら、寝室に引き上げた 野坂は脇坂がいない日は、この部屋で眠ると言っていた 色々と考えて…… 利輝は眠りについた 脇坂と共に寝室に行った野坂は 「……何で利輝さん……来たの?」 と問い掛けた 「君が電話にも出ないから……でしょ?」 「………充電切れてるんだと想う……」 最近、野坂は携帯電話には出なかった 脇坂からの電話は、家の電話から掛かる様になっていた 脇坂しか知らない電話番号だった 「……まだ怖いですか?」 何が………じゃなく…… 怖いか……と問い掛けた 「恐くないよ 今の俺には……脇坂がいてくれるから……」 「瀬尾さんだけじゃなく、色々と……連絡入ってるみたいですよ? 携帯……どうしました? 何か……ありましたか?」 「充電してないだけ…… 俺の電話番号なんて一部の人間しか知らないからな……」 「僕がいます これからは……ずっと……」 野坂は脇坂に抱き着いた 「寝ますか?」 「ん……寝る…」 脇坂に抱き着いたまま野坂は眠りに落ちた 脇坂は何時までも野坂の頭を撫でていた 不動から連絡があったのは1週間程過ぎた頃だった 不動は会社に電話を掛けた 「編集長、不動様から電話です」 「解りました! お電話変わりました脇坂です」 『時間作れるか?』 「解りました ホテルの部屋を用意します 追ってご連絡致します」 脇坂は電話を切った ホテルの予約して、不動にホテル名と部屋番をメールで送信した 就業時間になり脇坂は会社を後にした 駐車場へ行き車に乗り込んで、脇坂は野坂に電話した 「知輝?」 『篤史、どうした?』 「不動と少し話があります 帰りは少し遅くなります 勝手に出歩いたりしないで下さいね!」 『解った!今日も何処かへ出掛ける気はねぇよ! 家にいるから……』 「良い子していて下さいね!」 『解ってる』 野坂と約束を交わし、脇坂はホテルへと向かった ホテルへ行きチェックインして部屋に行くと、見計らった様にドアがノックされた 脇坂はドアを開けた すると不動はドアに滑り込み、中に入った 「………話というのは?」 「………あの……サド野郎……野坂を探してやがった……」 「………え?……どの面下げて……」 「桜林のOB会に当たってるそうだ…… OB会で、野坂を知る奴はいない…… 野坂の居所を知ってるとしたら……脇坂……お前だけだ…… お前に目を付けているみてぇだな……」 「ヤクザ……ですか?」 「ヤクザじゃねぇ……が、妖しげなSMクラブのオーナーに成り下がってやがった……」 「………野坂に目を付けられても困ります……」 「………だから……手を回しといた…… 天王寺組の……九頭竜海斗さんに……頼み込んだ 九頭竜さんは野坂のファンだから……護ってやると約束してくれた」 「相手がヤクザなら…… それだけの対価が必要なんじゃないんですか?」 「俺は九頭竜さんには貸しが一つある…… その貸しの取り立てをしただけ……」 「………ヤバい橋は……渡らなくても良いと言いませんでしたか?」 「…………ヤバくなんかない…… 貸しは真っ当な依頼の対価だ 組事務所ではなく、実業家としての貸しだ!」 「………何で……龍ヶ崎は今になって野坂を探しているんですか?」 「………どのペットも……野坂程の魅力も根性もなかった…… と、言う事だろ?」 「………殺してやりたい……」 「おいおい……止めとけ…… 虫螻以下の奴に……胸を痛めるだけ無駄だ……」 「………知輝を傷付ける奴は……許しません……」 「………お前ってもっと理性的な奴だと想ってたよ……」 「僕はそんなに理性的な奴ではないです ………龍ヶ崎……だけは絶対に許さない!」 「許さなくても良い…… 野坂を好きにはさせない! 絶対に……だ!」 「……不動……迷惑掛けましたね」 「………いや、迷惑だなんて思ってない……」 脇坂は不動の礼を言った 脇坂は早々に帰宅する事にした マンションへと帰り、脇坂は自宅マンションに帰った 翌日、会社に出勤すると、社長に呼び出された 社長室に向かうと…… そこには飛鳥井康太が座っていた 「脇坂、お前、狙われてるからな! オレのセキュリティガードを連れて来てやった! マックだ!」 康太が紹介すると金髪碧眼の俳優バリのイケメンが 「ニック.マクガイヤーです」 と、日本語で挨拶した 「………マック?……ニック?」 脇坂は混乱していた 康太は笑って「好きに呼べ」と言った 「ではMr.と呼ばせて戴きます 所で……僕が狙われてるの……見えましたか?」 「野坂の文章が不安定だ その文章から……読み取った先が……解っただけだ! サド野郎に野坂取られたくなかったら、正念入れやがれ!」 「………野坂は誰にも渡しません!」 「九頭竜にはオレからも頼んでおいてやる サド野郎がこれ以上….動かねぇ様にな…トドメを刺してやんよ! ………脇坂、おめぇの傍を離れれば……野坂は死ぬぜ それはさせたくねぇかんな……護ってやんよ!」 「………真贋……」 「脇坂、お前の本気は見せて貰った! 野坂の為に刺されてやれる奴だかんな これ以上……おめぇらを傷付けさせねぇよ!」 脇坂は深々と頭を下げた この日からニック.マクガイヤーが脇坂の傍に護衛についた 何処へ行くにも……脇坂の護衛をしていた 自宅に帰る時も……ニックは脇坂に着いて帰った 「知輝、これから帰ります 家から出ないで下さい」 『った……家で待ってる』 脇坂からの電話に出て玄関で待つ 何かあるのは解っていた ここ最近、脇坂はかなり神経質になっていた 心配掛けない様に野坂は、脇坂の言うとおりにしていた 玄関が開くと野坂は脇坂に抱き着いた 「お帰り篤史」 「寂しかったですか?」 「……ん……篤史……え!……誰?……ねぇ……誰?」 脇坂にキスしようとして、やっと脇坂の横に立つ外人に気付いた 脇坂は家の中に入ると、応接間に向かった 「野坂、彼は僕の護衛をしてくれるニック.マクガイヤーです」 「………護衛……篤史……なにがあったんだ?」 「…………知輝……君の居場所を……知ろうとするサド野郎が僕を探してるそうです 不動は釘を刺すと言いましたが……強硬手段に出ないとも限らない…… なので、真贋が僕に護衛を付けて下さったのです 君は……この家から……出ないで下さい 拉致られて連れ去られたくないので……出掛けないで下さい」 脇坂の神経質な原因を知る 野坂は納得した 「………何で……今更俺……」 「君を誰にも渡すつもりはない…… 君は何も心配しなくて大丈夫です……」 「うん……俺は……篤史さえいてくれたら良い……」 脇坂は野坂に口吻た ニックと共に夕飯を取り、お風呂に入った ニックは野坂の部屋で寝泊まりする事になった 野坂はベッドに入ると、脇坂に抱き着いた 「……ごめん……篤史…」 「気にしなくて大丈夫です 誘ってるのですか?」 「………お口で……する……?」 野坂は脇坂の股間に顔を埋めようとした 「………知輝?……」 「……その気にならない?」 「……そんなんじゃないです…」 「………ごめん……」 落ち着かないから……脇坂を求めた でも家の中に……護衛の人間がいたら…… そんな気になれなくて当たり前だった 「寝ますか?」 「ん……寝る…」 野坂は脇坂の胸に顔を埋めた ニック.マクガイヤーが脇坂の護衛について1週間経った 編集長のデスクに座る外人に……最初は違和感を抱きつつ……今では慣れてしまっていた 脇坂はニックとは英語で話をしていた 「編集長、脇坂篤史と言う人間がいるか……と受け付けに根掘り葉掘り聞く電話が入ったそうです」 「そうですか……受け付けには話は通してあります 適当に対応してくれると想います ですから気にしなくて大丈夫です!」 脇坂は気にする事なく言った ニックは脇坂から目を離さなかった 相手はそろそろ何かを仕掛けて来そうな雰囲気だった 脇坂は何時もと変わらぬ仕事をして、編集長として辣腕をふるっていた 「知輝、何か食べたいモノはありますか?」 就業時間が近付くと優しい声で電話を掛けるのは恒例になっていた 『プッチンプリンが食いたい』 「なら、スーパーに寄って買い物して帰ります」 『待ってる』 「待ってて下さい」 電話を切ると帰り支度をする 「編集長、野坂先生、最近来られませんね」 「………今は……無理ですね……」 「待ってますって野坂先生にお伝え下さい」 「……解りました……伝えます」 脇坂はそう言い編集部を後にした その後ろにはニック.マクガイヤーが脇坂を護って歩いていた 飛鳥井家真贋のセキュリティガードだと聞く セキュリティガードを貸し出して貰わねばならない現状だと言う事なのだろう 野坂が編集部に来られないと言うのも…… 多分……そのせいなのだろう 駐車場に行きベンツに乗り込もうとすると…… 身なりの良い男が……脇坂に近づいた 「脇坂篤史さん?」 男の手には……拳銃が握られていた 「だったらどうなんです?」 「野坂知輝を返して貰おうか」 「野坂は貴方のモノではない! 野坂を飼おうなんて二度と想わないで下さい!」 脇坂が言うと…男は顔色を変えた 「……お前が…天王寺組を動かして……私を揺さぶろうとしている愚か者ですか?」 「そんなのは知りません! 野坂は誰にも渡さない! 野坂を奪うなら……それなりの覚悟をしろ!」 脇坂は吠えた 男は……ジリッと脇坂に近寄った 「野坂は賢い飼い犬だった あれ程に出来る犬は……いない 私が寵愛を与えたのは後にも先にも野坂知輝だけ…… あれから……どれだけ探したか…… 見付けたと思ったら……消えた後だった 今度は大丈夫……もう逃がしません……」 「野坂知輝はお前なんかのモノではない!」 銃口が脇坂に向けられた 男は優位に立ったとほくそ笑んだ ニック.マクガイヤーは男のこめかみに銃口を突き付けた 「脇坂のこめかみを貫くより早く、俺の銃がお前を貫く!」 ニックは吠えた 「………横浜港に浮かびたくねぇなら、手を引け! 永遠に野坂知輝に手を出せば……我が主 飛鳥井康太は黙ってはおらぬ!」 想わぬ人間の名を聞き……男は怯んだ 「………飛鳥井康太…… そうか……彼なれば……私1人消すのは容易い……」 「野坂知輝は二度とお前の性奴隷になどならぬ! 我等はどんな脅しにも屈しない! 脅すなら……その命……確実に消す! 覚えておけ!」 男は……銃を下ろし……胸ポケットにしまった 「………知輝は……生きてますか?」 死にそうな瞳をしていた そんな瞳をさせたのは自分だが…… 今なら……違う関係になれたかも知れない…… 夢を見た あの子を抱き締めて…… この世で……唯一に存在になりたかった…… 「知輝は生きてます 二度と野坂知輝の前に姿を現さないで下さい!」 「………これを……知輝に……」 男は……宝石箱を脇坂に渡すと ニック.マクガイヤーに深々と頭を下げた 「二度と野坂知輝の前には現れません! 誓います……そう真贋にお伝え下さい……」 ニックは頷いた 男は背を向けて……去って行った ニックは脇坂に 「私の仕事は終わりました」 と仕事の終わりを伝えた 「……真贋に本当にありがとう御座いました……とお伝え下さい……」 脇坂は深々と頭を下げた 脇坂は車に乗り込むと…… 男から渡された宝石箱を開けた 真っ赤な……石で造られたピアスが一つ輝いていた 愛し方を間違えた…… が、男は野坂知輝を愛していたのだろう 脇坂は宝石箱をダッシュボードの中にしまった 野坂に二度と見せる気はなかった 脇坂はエンジンを掛けると自宅に向けて走った ニックがいる間、野坂はその気にならないのか…… 触ると……震えていた 無理強いしたくなくて抱き締めて寝ていた そろそろ限界……だった マンションの下に車を停めると、脇坂は電話を掛けた 「知輝、これからエレベーターに乗ります」 『篤史、お帰り』 「ごめんね……プッチンプリンは忘れました……」 『良いよ篤史が帰って来てくれるだけで良い』 「もう家です」 脇坂は電話を切ると玄関のドアを開けた 野坂が脇坂に抱き着いて来ると、脇坂は執拗な接吻をした ドアを締めて… 野坂の服の中に手を忍ばせた 乳首を摘まむと野坂の体躯は……ビクッと震えた 「……篤史……ゃ……」 「僕に触られるの……嫌ですか?」 「……嫌じゃない……篤史に触られたい…… でも触られるとイッちゃう……」 「………知輝……全部終わりました…… もう大丈夫です 誰も君を……自由になんかしません……」 「篤史……俺……篤史のモノでいて良いの?」 「良いに決まってるでしょ? 僕は君を離さないと言いませんでしたか?」 野坂は泣き出した 「……篤史に……嫌われたと……想った……」 「嫌ったりしませんよ? 愛してるって……こんなに言ってるのに……解りませんか?」 「……篤史……篤史……俺……誰のモノにもなりたくねぇ…… 何時だって……脇坂のモノでいたかった…… 振り向いてくれなくても良いんだ 傍に……いられれば……それだけで良かった……」 野坂は泣きながら辛い胸の内を話した 「愛してます 僕は野坂知輝を愛してます」 野坂の手を引っ張って寝室に引っ張っていく ベッドの上に押し倒し、接吻すると……野坂は涙で濡れた瞳で脇坂を見た 「……篤史……舐めて良い?」 「良いですよ? その代わりお尻をこっちに向けて……舐めさせて下さい」 脇坂が言うと野坂は脇坂を跨いだ お尻を脇坂に向けて、脇坂の性器を舐めた 「……俺に……舐められるの……嫌じゃない?」 「嬉しいですよ 知輝のお口が僕を頬張って……食べてくれてるんですからね…」 「……俺……舐めるの下手?」 「僕を愛してるから気持ち良くしてくるんでしょ? 最高に気持ちいいです……下手とか上手いとかじゃなく、愛ですよ知輝」 「愛してる……篤史だけ愛してる……」 「君の中……僕のカタチを覚えて……包み込む様になりましたね? 抱くたびに愛しさがこみ上げて来ます…君は?」 「抱かれるたひに……篤史だけのモノになれそうで…… 篤史で一杯になる…… もうこれ以上愛せないと思っても……次の瞬間には……もっと愛してる……」 「嬉しいです」 脇坂は野坂の体躯を引き起こした 「おいで……」 脇坂の上に跨がらせ……肉棒で秘孔を解した ぬるっ……と滑るたび……野坂は仰け反った 仰け反る首筋を吸い上げて赤い花を散らし…… 野坂の奥深くへ貫いた 「……あぁっ……大きいってば……」 「大きいの好きって……何時も言うよね?」 「好き……篤史の大きいの……大好き……ぁん……あっ…あっ……」 「僕のカタチに搦み着いて来ます 僕のカタチを覚えてたんですね」 脇坂はそう言い噛み付く様な接吻を送った 「知輝の男は未来永劫、僕だけです 僕以外のモノなど食べる日は来ない! 君の男を食べたら……殺します」 「殺して……篤史になら息の根止められたい……あっ……くぅ……」 野坂は白濁を腹にまき散らした 「イッたんですか?」 「……ごめん……我慢できなかった……」 「……乳首も……こんなに尖らせて……」 脇坂はカリッと野坂の乳首を囓った 「……ゃ……ごめん……許して……」 「痛かったですか?」 「痛くない……大丈夫……」 脇坂はペロペロ乳首を舐めて吸った 肉棒は野坂の秘孔を掻き回して……良いところを擦り上げた エラが開いて……野坂の良いところを擦りあげる 野坂は痙攣して……脇坂を締め付けた 「……篤史……イッて……俺の中でイッて……」 野坂の哀願通り、脇坂は野坂の奥深くに熱い飛沫を飛ばした 「……あ……あぁ……ぁ……」 恍惚と果てる野坂の顔は艶めいていた 滲み出る色気があった 夢中になる 止まれなくなる 脇坂は止まれなくなり野坂の中で復活した 「……硬い……篤史……待って……」 「ほら、知輝も頑張って動いて…… セックスは共同作業だと言ったでしょ? 自分だけ楽しようとしないの!」 発破を掛けられ……野坂は頑張った 「篤史……少し休ませて……」 弄られ酷使された体躯が……感じすぎて……止まれなくなった はしたなくイキ続ける……劣情に…… 野坂は不安になった 「知輝愛してます 君からキスして……」 野坂は脇坂に接吻をした 「篤史だけ愛してる…」 「もっと囁いて……僕をイカせて……」 夢中になり求め合う 粘膜も総て搦み合い溶けそうになる 脇坂は野坂の流す涙を舐めた 「過去も未来も僕が貰うと言いませんでしたか?」 「言った……俺の過去も未来も全部篤史にやるって言った……」 「なら君は僕だけのモノでしょ?」 「うん……篤史だけのモノ……」 野坂を優しく泣かせ……ゆっくりと抽挿を繰り返す 何時までも一つに繋がっていたくて…… 絶頂をはぐらかし……やり過ごす 愛してる……と何度も言った 2人に相応しい言葉は、それしかないから…… 「……あぁん……イイっ……気持ちいい……」 「僕も気持ちいいです 君が僕を離さない……搦み着いて……僕のカタチに懐いてます」 「……篤史しか要らない…… 俺は篤史だけいればいい……」 脇坂は激しく野坂の中を掻き回した 強く抱き締め…… 一滴残らず野坂の中へ放出する 総て交ざって……溶けてしまえば良いのに…… 野坂は脇坂の背を抱き締めて…… 離さなかった

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