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第19話

髪、サラサラだな。触りてぇ。 艶が良く光沢があるので所謂天使の輪が見える。 ユキオの髪は猫っ毛なので触ると引っかかりもなくするりと指の間をすり抜けて気持ちがいい。 最近変な緊張感からスキンシップもしないようにしていたので全然触っていない。 ただ頭撫でてその感触を楽しみたい。 あわよくば照れた顔でも見れたらいいのに。 結局そこかと内心自身の欲に苦笑しながらも瞼はだんだんと落ちてくる。 あぁ、眠い――。 最後にこちらの様子を伺うユキオの顔が見えた気がしたが、眠すぎて反応出来なかった。 ふわふわとした意識の中、ぼんやりと人の気配を感じる。 目を閉じているのに目の前にはユキオの顔が見える。 あぁ、夢を見てるんだなとすぐに分かった。 嬉しそうな顔でこちらに顔を寄せる姿はめちゃくちゃ可愛い。 おかしいな。 こんなに可愛い可愛い言ってるなんてほんの少し前までは想像もしてなかった。 でも、よく考えてみたら初めてあった時は可愛いと思ってたなぁ。 色白で小さくて、手足が細くて綺麗な目をしてた。 無表情のユキオは人形みたいだったけど、笑った時の顔は今とあまり変わらない。 普段はキツイ目尻が下に下がって表情がとろりと溶ける。 あの瞬間が好きだった。 いや、今も好きかもしれない。 だから夢にまでこうして見るんだろうか。 手を差し出すと手のひらにすり寄って幸せそうに破顔する。 しかし夢だからか、触れている感触はない。 夢じゃなくて、ちゃんとユキオに触りたい。 触れて、キスしてそれから―― 俺の欲望に合わせてか、周りの景色もユキオも変わっていく。 あの時の、情欲に濡れた切なげな瞳でユキオはこちらに手を伸ばしてくる。 触れたいなぁ。 ユキオに触れたい。 真っ赤な顔でスリスリと俺にすり寄って来る夢の中のユキオも可愛いが、俺は素っ気なくてツンとしているユキオも好きだ。 あいつが最近余所余所しいのはきっと俺のせいなんだろう。 このまま友人にも戻れず中途半端なままなのは嫌だ。 だけど気持ちが固まらない臆病な自分がいる。 そのくせ性欲だけは一人前でこうして夢で自分を慰めている。 馬鹿だよなぁ。 本当はちゃんと好きだと伝えて、恋人になって、その先に進みたい。 ユキオとずっと一緒にいたい。 臆病な自分から脱したいのにタイミングを逃すともうどうすればいいのか分からなくなっている。 そんな俺の気持ちは御構い無しに目の前のユキオはどんどん乱れていく。 すりっと下唇を撫でるとユキオはそこにちゅうっと吸い付いた。 まるでフェラでもするかのように俺の指を口の中に迎え入れて出し入れする。 そのうち指から離れ、体に半分伸し掛かったユキオは俺の息子を取り出して舐め上げた。 指の時は何も感じなかったのに、何故かそこだけはゾクリとした小さな快感を拾う。 それを皮切りにして感度がどんどん鮮明になっていく。 ヤバい、気持ちいい。 ってか、おかしくないか。 視界がぼんやりと変わっていく。 これは起きる前兆だ。 というかよく思い出せ。 俺はどこに誰といた? そうだ。 ユキオと部屋にいたんだ。 この状態で起きるのは非常にまずい。 いやでも起きないのもまずい。 最悪おっ勃ててるどころか夢精してる可能性もなくはない。 しかしやばいと思えば思うほど頭が鮮明になっていく。 だというのに下半身への刺激も強くなっていくのは何故だろう。 俺は慌てて目を開けた。 「あ、やっと起きた」 目の前には夢の中のユキオと同じように本物のユキオが半分乗り上げるようにして伸し掛かっていた。 しかも口には俺のいちもつを咥えている。 「なっ、にしてんだ!」 「何って、フェラ」 状況がわからず興奮と羞恥心から声を荒げる。口から少し離すとぬとりと糸を引く様子がいやらしい。 というか何故俺はこんなことになるまで起きなかったんだ! ぐわりと体温が上がる。 「おー、やっぱ起きると感度違うのか。さっきと全然違う」 そう言って嬉しそうに笑うと先の方をチロチロと舐める。 それにゾクリとした快感が走る。 あぁ、そもそもあんな夢を見た原因はこいつって事だ。 こ、こんなんされたらそらあんな夢見るわ!! やばい気持ちいい可愛いのにエロい。 あと自分のが勃ちすぎててユキオの隣に並ぶのがエグい。 しかしそれに興奮するのだから我ながらいい趣味している。 「なん、で……」 「だってお前全然はっきりしないから。もー、お前からの言質は後でいい」 「言質ってお前な……」 「んな毎日毎日欲求不満ですって顔される俺の身にもなれ!」 確かにあれやそれやと覚えがある。 むしろ今だってそういう目で見ているのだから。 ユキオはぐりっと先端を指で弄る。 突然の刺激に腰が引けるがそもそも寝そべった状態なので逃げれるわけもなくびくりと跳ねただけだった。

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