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出来損ない_2

異常なまでの発汗、浅く繰り返される呼吸、それから服を着たままでも分かる生殖器の濡れ。 「…は………はぁ………な、んで……くそ……っ」 転がしたベッドの上で青年はシーツを握り締める。 戸棚にしまってあった錠剤とミネラルウォーターを手に、ベッドの端へと腰掛けた。 「抑制剤だ、飲め」 「……何でアンタが…」 「護身用だ。αにも処方される。お前みたいな馬鹿な奴が突然発情した時ようにな。ほら早く口開けろ」 「アンタの、施しなんて……っ…」 「はっ、人のベッド汚しといてよく言う。さっさと飲め」 無理矢理錠剤を口に突っ込んで水を流し込むと、噎せ返りながらも必死にそれを飲み下していく。 「即効性だ、すぐ良くなる。ただし…」 「はぁ………は……ん、んん……ぁ、れ…?」 「副作用が強めだからな、眠いだろ?」 「んー…ん……」 「とりあえず寝ろ。起きたらさっさと出ていってもらうからな」 微睡む意識に抗うように青年の手が俺のシャツを掴んだ。 「何、なんだ……アンタ…は……」 「言ったろ、出来損ないのαだってな」 「出来…損ない………」 「αはな、完璧な人種なんかじゃない。αもβもそしてお前らΩも……ただの人間なんだ」 俺の言葉を聞き届けると事切れたように手が滑り落ちていく。 荒かった息遣いは一定のリズムで寝息を立て始めた。 眠ったか……。 あどけない寝顔。 高校生……良くて大学生というところだな。 Ω……こいつも、くだらない性に翻弄されていくんだろう。 丸くなっていた身体を伸ばしてやり、頭の下に枕を差し入れ布団を掛ける。 窓を叩く激しい雨音が部屋に響いた。 ……降り始めたか。 窓に近づいて外を覗く。 視界を遮るほどの雨とその先に見える木のシルエットは大きく揺れていた。 「……一晩で止めば良いがな」 一人心地に呟いて、窓から離れると部屋を後にする。 今日はソファーで寝るか…。 目を覚まして騒がれても面倒だしな。

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