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出来損ない_15
丁寧に浴室へと運び込まれた俺の身体は、浴槽の縁に腰掛けるように降ろされた。
「αのフェロモンを直に浴びたんだ、ヌかなきゃ収まらない。……一人で出来るだろ。終わったら出てこい」
「あ、待って!」
すぐに出ていこうとする背中を反射的に呼び止めてしまった。
「何だ?」
傍に寄って片足を着く藍澤の妙な優しさに戸惑い、覚えていた怒りは消えていく。
「あ…えっと……その、何でもない………」
握り締めた手は全然力が入らなかった。
これ、一人でヌける…かな。
「……手、力入ってないな。手伝うか?」
「い、いい!大丈夫だし!」
「そうか……」
再び立ち上がり、振り返る背中。
「あ、のさ……これ本当にヌかなきゃ収まんない?」
恐る恐る訊いた問いには、無理だろうなと無情な返答。
「普通の欲情とは違うんだ。吐き出さなきゃ長時間苦しい思いをする。後ろも濡れてるんだろう?」
感じていた後ろの違和感を指摘され、顔が熱くなる。
「それでもいいなら、好きなだけそこで座ってればいい」
「…………っ…………」
くそっ……なんで俺がこんな惨めな思いをしなくちゃいけないんだ……。
「……手伝って」
「…………………。」
「一人じゃヌけない、から……手伝って」
嘲るように笑われることを覚悟して、ぎゅっと瞼を閉じた。
けれど一向に笑い声は聴こえず、近寄る気配がするだけ。
ゆっくりと開いた視界に映った光景には無表情の藍澤が跪いていて、思わず息を飲んだ。
言葉に詰まっていると手際良くベルトを外されて、ジーンズのフロントボタンとチャックもあっという間に下ろされた。
下着ごと手を掛けられた所で、ようやく我に返り手の動きを制した。
「待って!そっからは自分でやるから」
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