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出来損ない_18
side α
眉尻の下がった顔は、だらしなく唾液を垂らし、縋るように腕が首に回される。
「おい七瀬、しっかりしろ」
「やだぁ……もっとほしい……」
身体を密着させて擦り付けてくる腰。
完全にトんでやがる……。
「おく……おく、さびしいよぉ…」
「いい加減にしろ。Ωの性 を嫌っている奴が本能に飲み込まれるな」
身体を引き剥がしても、嫌だ嫌だと駄々っ子のように何度もすり寄ってくる。
挙げ句の果てにはジーンズの上から俺のモノへと頬擦りをする始末。
「……馬鹿な奴だ。だから言ったろ、俺にお前の運命なんて変えられないんだ」
俺のモノに頬を寄せながら高々と上げ揺れる腰は、まさにΩの繁殖本能の顕れ。
…………滑稽だ。
だがそうさせたのは………。
「……………俺か」
コイツが次に正気を取り戻したとき、恐らく記憶には残らないのだろう。
「そんな事をしても無駄だ。俺は勃たない」
「やぁっ……やだぁ……」
それでも尚、そこを動かない身体を抱え上げて潤んだ瞳を覗く。
「そんな表情 するな。それはお前の表情 じゃない」
「だって……だって…」
「奥を埋めてやることは出来ない。これで許せ」
依然として啼き続けようとする口に舌を差し入れ、隙がないよう唇を合わせた。
「んぅ…っ………ん…」
熱い口腔は悦んで俺の舌を受け入れて、唾液を絡ませ合う。
積極的に絡んでくる舌は油断すると俺の方が犯されそうなぐらいだ。
「ふぁ…ん…んんっ……」
呼吸なんてさせてやる暇を与えない。
舌先を吸って、上顎をなぞり、また絡ませ合う。
そうしている内に七瀬の身体の力は抜けて、とろんと瞼も落ちていく。
「………っ……ん………ぅ……」
ガクッと事切れた身体が俺の懐へと崩れ落ち、唇を離した。
意識を失った七瀬は、酸素を求めて浅い呼吸を繰り返す。
「……安心しろ。目が覚めたら、全部終わってる」
届くはずのない言葉を呟きながら、唾液で濡れる七瀬の唇をそっと拭った。
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