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出来損ない_25

途端に笑いが込み上げてきて、腹を抱えて笑った。 一頻り笑い終えて正面を見やると、案の定冷ややかな目をした藍澤が俺を睨んでいる。 「ごめんって。いやまさかアンタからそんな単語が飛び出してくるなんて……ははっ、予想外。てか似合わねぇ」 「うるさい、言えって言ったのはお前だ」 「まあ、そうなんだけど。で、アンタは俺の匂い嫌いじゃないんだ?不快じゃないんだもんね?」 「好きだとも言ってない」 「またまたぁ、素直じゃねーんだから」 空になった皿を片手に藍澤は無言で立ち上がる。 「んだよ、そんな怒んなって。冗談じゃん」 てっきり怒ったのだとばかり思って、態とらしく拗ねた態度を取った。 その刹那、俺は手にしていたフォークをテーブルへと落とすことになる。 キッチンへと歩を進めた藍澤の手が通りすがりに俺の頭に乗せられたからだ。 「え、な、何?」 「…………」 「え、怖い怖い!無言怖い!」 「………まあ、花は好きだな。寝る」 「……は?」 何事もなかったように皿をシンクへと下げて寝室へと消えていく背中。 「はぁ〜〜!?んだ、それ!言い逃げすんな!くそ……」 俺の飛ばした文句には当然返答が無いまま、やり場のない気持ちをもて余してテーブルに突っ伏した。 意味わかんね……なんだよ、あれ。 心臓、うるさいし………。 俺が、俺が意識させなきゃなのに……。 見え隠れする優しさに戸惑う。 アイツの考えてること全然わかんねーし。 「イケメンって怖いわ……マジで」 こりゃ女なら即落ちるわな……イケメンは男の敵だ。 憤慨しつつ、フォークを握り直して焼き目の薄いホットケーキを口いっぱいに頬張る。 「………うわ、生焼け」 ほらな、と高飛車な藍澤の声が脳内再生されたのは言うまでもない。

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