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出来損ない_35

――目覚めは最悪だった。 酷い頭痛と身体の気だるさ。 昨日七瀬が言っていた顔色が悪いと言うのは本当だったらしい。 熱なんていつ振りに出したか……。 職場には休みの連絡を入れた。 今日は一日寝ていようと夢現の最中、部屋の呼び鈴が鳴り響いた。 無視を決め込んでベッドに潜るが、しつこいぐらい鳴り続ける。 それでなくとも頭痛が酷いのに、音がそれを悪化させる。 このしつこさ……絶対七瀬だな………。 出るまでこの音は止まないのは分かっている。 諦めてベッドを抜け出し立ち上がると視界が回った。 思ったより熱が高いようだ。 「くそ……………」 壁を伝う手も感覚が鈍い。 昨日の今日だ、来ないだろうと高を括っていたがアイツの馬鹿さ加減は俺の想像以上だったな……。 いつもより長く感じる玄関までの距離を何とか進んで、ドアを開いた。 「うるさい………」 「あ、ごめん……。あのさ俺――って、どうしたんだよ!?」 何か言いかけた七瀬は俺の顔を見るなり血相を変えた。 「だから……うるさい……」 「え、なに、風邪!?」 「そうだ……だからお前に構ってる暇は――」 「――大変じゃん!寝てないと!」 誰のせいでと言う言葉は遮られ、七瀬は俺の手を取ると部屋の中へ引っ張っていく。 覚束無い足取りの身体は成すがままに引き摺られ、寝室のベッドへ放られた。 「飯は?」 「……特に何も」 「ダメじゃん!てことは薬も飲んでないな?」 図星を付かれて口ごもると、勢いよく手を差し出され鍵を出せと詰め寄られる。 「はぁ?なんで……」 「いいから!」 あまりの気迫にサイドボードを指せば、その上にあった鍵を手にして「薬買ってくるからちゃんと寝てるように!」と言い捨てて部屋を出ていく。 「だから……お前のせいで起きたんだっての……」 届かない文句を呟いて、脱力した身体をベッドへと沈めた。 それから程無くしてうつらうつらと意識を手放していた。

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