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出来損ない_49
本屋に入って直ぐに藍澤は小説が置かれているコーナーへと直行。俺はと言えばついて行ったって眠くなるだけだから、大人しく漫画コーナーへと足を運んだ。
あ、新刊出てるじゃん!ラッキー!
買い揃えている漫画の新刊と、面白そうな何冊かを選ぶこと二十分弱。
設定していたスマホのアラームが鳴り、時刻を告げた。
おっと、そろそろ時間か。
抱えた漫画を会計に通して、今回のデートの一番の目的を果たすべく俺は動き始める。
藍澤を探して本棚の合間を覗いていく。店内の一番奥で本を吟味する姿を見つけた。
その横顔は真剣でちょっと楽しそう。
もう少し見てたいけど、こっちにも時間があるしな……。
名残惜しく思いながらも本棚に集中してる藍澤に声を掛ける。
「いいのあった?」
「いや、特に惹かれるものはないな」
「そ。そんじゃ次の場所行きたいんだけどいい?」
二つ返事で応じた藍澤を連れ立って、本屋を後にする。
「お前は何か買ったのか?」
「うん。ちょうど揃えてる漫画の新刊あったからさ。あ、今度貸そうか?結構面白いんだぜ」
「暇で暇でどうしようもない時に考える」
「それ絶対読む気ないだろ?」
次の目的地へは電車を使う。
大人しくついてくる藍澤は一度何処へ行くのかと訊いてきたけど、お楽しみだと返せばそれ以上の追究はしてこない。
空いている車内。
二人並んで座って電車に揺られる。
「なあ、もうぶっちゃけストレートに訊くけど、藍澤の好きなタイプってどんな子?」
「………………………」
めちゃくちゃ嫌そう…ってか面倒臭そうな顔して、知らんと一刀両断。
「いいだろ、教えろよ。好きだった人いたって言ったじゃん」
「だからそんな事訊いてどうするんだ…」
「え、近付く。藍澤の好みになってみせる」
グッと握り締めた拳を掲げた横で、藍澤は頭を抱える。
「馬鹿だろ」
「いいからさっさと教えてよ」
わざとらしく擦り寄せた肩を押し退けて、藍澤は観念したように口を開いた。
「お前とは全然別タイプの人間だ」
「見た目が?性格が?」
「どっちもだな」
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