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遅咲き_14
寝室から抜け出して、忍び足でソファーへ近付く。
何か覚えがあるなこの光景。
初めて会った時もこうして背凭れから藍澤を見下ろした気がする。
端整な顔立ちは何度見ても綺麗だと思う。
好み……好みかぁ………俺、やっぱ藍澤の顔好みなのかなぁ…………でも――。
「笑ったら、もっと好みなんだけどな………いっつも仏頂面だし……」
「――悪かったな、仏頂面で」
「――うわぁっ!?ま、また狸寝入りかよ!」
「全く……学習能力のない奴だな。前にも言ったろ、物音がすると寝れない質だって」
欠伸をしながらテーブルに伸ばした手でスマホを取ると、時刻を確認して、それをまた元に戻す。
「まだ早いだろ。もう少し寝とけ」
「……ベッド使って悪かったよ。俺こっちで寝るし、アンタがベッド使いなよ」
本当は叩き起こされて、ベッドから追い出されると思ってた。
「いい。今更面倒だ」
「でも……」
「いいって言ってる」
寝返りを打って向けられた背中。
「なあ、俺ソファーでいいってば」
「しつこいな。さっさと寝てその隈なんとかしろ」
「けどさぁ…………あ!分かった!じゃあ一緒に寝よう!」
背凭れから回り込んで藍澤の顔を覗き込むと、眉間にはシワが寄せられた。
「………寝惚けてんのか?」
「アンタのベッド無駄に広いしさ、二人で寝ても余裕だろ?な?決まり!」
「ふざけ――おい、引っ張るな」
また背中を向けられる前に藍澤の手を取って、ソファーから促すように引っ張った。
自分でも強引な気がするし、無茶苦茶な提案だと思う。
けど藍澤が背中を向けると無性に寂しく感じて………。
変な夢見たせいで、ちょっとセンチメンタルになってんのかな。
半ば無理矢理寝室に連れ込んで、ベッドに乗り上げても尚、藍澤の手を引くと諦めたように肩を落とした。
「もういい。分かった。分かったから離せ」
「へへ、俺の勝ち!」
「お前のしつこさには呆れる」
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