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遅咲き_15

藍澤が布団に潜り込んだのを確認して俺も隣へと寝転んだ。 「言っとくがΩがαなんかと同じベッドに入って、襲われても文句言えないからな」 「藍澤にしか言わないし、アンタはそんな事しないよ」 「………随分信用されたもんだな」 吐き捨てるような言葉。 それからまた背を向けられた。 「……なあ、何でそっち向くの?」 「……………………」 藍澤の着ているスウェットを引っ張ってみても微動だにしてくれない。 「なあってば……」 「うるさい、どうでもいいだろ」 「どうでもいいなら、こっち向いてもいいじゃん」 「………………」 声を掛けても反応がない。無視を決め込むつもりらしい。 「藍澤……藍澤ってば………」 振り向くことのない背中を見ると胸が苦しい。 どうしてこんなに寂しくなんだろ………。 堪らなくなって広い背中に額を当ててみた。 「……なぁ…………寂しぃ………」 聞こえたか怪しいぐらいの小さな呟きに、少しの間の後、藍澤からは溜め息が溢れた。 「何なんだよ、お前………」 苛立ちを見せた声音に身体を緊張させると目の前にあった背中がくるっと身を翻した。 「……これでいいだろ」 「へへ、うん!」 「寝ろ」 「ん、おやすみ」 怒らしちゃったなぁ……でも結局こっち向いてくれるし……やっぱ良い奴、だよな………。 あ………良い匂い。 これ、夢と同じだ。 そっか、藍澤の匂いだったんだ………すげー落ち着く………。 ちょっとだけ手を伸ばして、バレないよう藍澤のスウェットを掴んだ。 ――良い夢、見れそ……。

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