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遅咲き_18
一人なんて慣れてるのに何でか心細い。
これも発情期のせいだったりすんのかな……。
藍澤怒るかな……それとも呆れるかな……ジャケット掴んだこの手、振り払われっかな………。
俺、こんなマイナス思考だったっけ…?めちゃくちゃ面倒臭い奴じゃん……。
「…………ごめん。やっぱいい」
掴んだジャケットの裾を離して引っ込めようとした手を、藍澤が掴んだ。
「………抑制剤はちゃんと飲むこと」
「え…………」
「むやみやたらに出歩かないこと」
「……………」
「守れるなら、ここに居てもいい」
怒るんでもなく、呆れるのでもない返しに俺はただ呆然と藍澤を見返した。
「……い、いいの?」
「守れるならな」
「ま、守る!守る、けど………怒らないの?」
「怒って何になる。一人になるのが怖くて、不安なんだろう?発情期のΩは精神が不安定になる。珍しいことじゃない」
手を離されて今度はぐしゃぐしゃと頭を乱される。
「うわっ!?ちょっ、やめっ!」
「思い詰めた顔してんなよ。似合わねぇから」
着込んでいたジャケットを脱ぐと、俺にはベッドで寝るよう指示をして部屋の入口へと向かっていく。
「俺ももう少し寝るから、お前も大人しくしとけよ」
「え、じゃあベッド使ってよ。俺こそソファーでいいし」
「うるさい。俺の言ったことには従うも追加だ」
バタンっと閉まったドアを数秒見つめて、俺は背中からベッドへと倒れ込んだ。
――藍澤はズルい奴だ。
冷たいくせに温かい。
払われなかった手や撫でられた頭が温かい。
「あーーー、もう……どーしよ。………俺、今めちゃくちゃ嬉しいとか思っちゃってる………」
心臓がうるさいのは、きっと………発情期のせい、だよな……?
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