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遅咲き_23

男の指先が藍澤の付けたキスマークへ触れた瞬間、ゾクッと嫌悪感が全身を駆け巡った。 な、なんだ…これ……気持ち悪……。 「やめ、触んな!」 「へぇ、やっぱ拒絶反応するんだ。こりゃ面白ぇな」 この反応が男の興味を更にそそったらしい。 男が唇を舐めずったの合図に、鼻に届くαのフェロモンが濃さを増した。 あ……やば…………。 「フェロモンを隠せても発情期であることに変わりねぇだろ?堪んねぇだろ、αのフェロモン」 「くそ………っ…」 身体の力が抜けて膝が笑う。 体温は上昇して、下腹部に熱が溜まる。 頭がくらくらする……中が疼いて堪らない………それなのに、吐き気がする。気持ち悪い。 「どんな気分だ?身体は犯されたいのに、本能は拒絶する感覚は」 「っるさい、離せ…っての……」 手を離されたところで逃げることなんて出来ないと分かっていても、触れられていたくない。 雨で張り付く衣服さえもどかしく感じるから…。 「こんな珍しい体験なかなか出来ないからな。楽しませてもらおうか」 男の膝が形を変えた俺の愚息を擦り上げると馬鹿みたいに身体が跳ねた。 「……んあ…っ…………くっ……」 「犯してくれと咽び泣くのが先か、拒絶反応に本能が泣くのが先か……見物じゃねぇか。なあ?」 刺激を快楽と受け取った身体が、次の瞬間には嫌悪に震えた。それはキスマークに触れた舌先から広がる。 「やっ……やだ、嫌だ!やめろ、気持ち悪い……!」 確かに嫌悪感が広がったのに、下の刺激を感じれば今度は快楽に身体は歓んだ。 な、んだよ…これぇ……嫌だ………やだ……誰か…助け………。 雨だか涙だか分からない視界に、ぼんやりと映る人影。身を小さくして震えてる。 郁弥……。 手を伸ばしかけて、思いとどまった。 だめだ……俺は、あの時…逃げたのに………。 「……っ………めん……………」 「あ?」 「ご、めん……っ……ごめん、ぃ………っ……」 手なんて伸ばして良いはず、ないだろ……。

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