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遅咲き_26

俺の抵抗は男の興奮を煽るようでニヤついた視線が身体に纏わりつく。 「先走りで濡れてるぜ」 「違っ、それは……雨の、せい……」 「雨?雨はこんな糸引かねぇよ?」 ほら、と見せつけるように先端の割れ目で指先が跳ねて糸が滴った。 「うっ……くそっ………っ……」 「はっ、生意気な口利いてた割には、もうこっちも濡らしやがる」 先端で跳ねていた指先が竿を伝い、下へと落ちて、後ろの窄まりに宛がわれた。 「これこそ性奴隷の証だろ?」 「あ………ぁや、め……」 「分かるだろ、ヒクヒクして中に挿れてくれって懇願してるのが」 どうして身体は言うことを利かないんだろう……。 俺の身体なのにまるで別人格のように動く。 宛がわれた指を招くように窄まりが収縮すると、中からは蜜が滴る感覚がする。 これが俺のΩとしての本能………。 ――怖い………怖いんだ……………思考が溺れてく………ズブズブと沈んで、這い上がれない………。 本能に全てを支配される………。 「挿れるぜ」 「やっ、待っ――」 もうダメだと目を瞑った。 郁弥の泣き叫ぶ声が耳に届いた。 次の瞬間には男のくぐもった声がして、身体の上の重みが消えた。 まさか郁弥が?と恐る恐る開けた視界では、郁弥は俺の傍らで手を伸ばしたまま座り込み、何かを呆然と見上げている。 その視線の先を追うと、見慣れた顔があった。 「ぇ………藍、澤………?」 息を切らして、びしょびしょに濡れた藍澤は一瞬だけ俺を見ると、そのまま地面に転がった男の方へ歩いていく。 男はどうやら腹部に蹴りを喰らったらしく、身体を抱え込むように呻いていた。

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