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αとΩ_6
「前に付き合ってた人?」
「あ、はい………。こういう痕を付けると興奮するそうで……すみません」
「君が謝ることじゃないでしょ」
そう言うけど長谷さん怒ってる……。
「はぁ……まあ、いいや」
次に聞こえたベッドの軋む音。
長谷さんが乗り上げ、横たわると両手を広げてみせてくれる。
「おいで」
言われるまま同じようにベッドへと乗り上げて、長谷さんの腕の中へと身を寄せた。
「へぇ…」
頭上から降ってきた言葉に懐から長谷さんを見上げる。
「?」
「まさかそこに来てくれるとは思わなかった」
「え………」
両手を広げてくれていたから、てっきり腕の中に来いと言うことだと思ったけど、もしかして僕の思い違いだった………?
「――ご、ごめんなさい!」
距離を取ろうと広い胸板を押し返したけれど、それよりも長谷さんの腕が背中に回る方が一瞬早かった。
「だーめ、逃がさない」
「――わぁっ、で、でも!」
「いいの、いいの!素直な子は好きだよ」
「す、すみません……」
僕は恥ずかしさでいっぱいだけれど、長谷さんは機嫌が良さそうにニコニコしてくれたので、僕はそのまま身を任せることにした。
「郁弥くんって華奢だね。触り心地がふにふにだ」
「ふに……?あの、僕も一応男なんですけど…」
「うんうん、そうだね。でも柔らかくて抱き心地最高だよ」
「は、はぁ……」
嬉しいような、嬉しくないような……。
そんなに柔らかいだろうかと試しに目の前にあった胸板をつついてみると、確かに硬い。
「はは、擽ったいなぁ」
「長谷さんって鍛えてます?」
「これと言って特には………筋肉ある?」
「はい、見た目以上に……」
「よく着痩せするって言われるんだ」
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