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αとΩ_7

笑う長谷さんを見ると自然と僕も頬が緩む。 「いいなぁ、羨ましいです」 「仕事柄自然と付いてるってのもあるんだろうけどね。意外と使うんだよ、筋力」 「そうなんですね。あ、でも確かに藍澤さんも陽翔のこと簡単に持ち上げてた……」 「僕も君ぐらいなら簡単に持ち上げられるよ。やってあげようか?」 まるで悪戯っ子のような顔。 「僕も男ですってば……」 「はは、そうだったね。ところで郁弥くんは何の仕事してるの?」 「ファミレスの厨房です」 「へえ、料理好きなんだ?」 「好きかと言われれば分かりませんが、料理だけは褒めてもらえました」 “誰に”と言う言葉は口にしなかったけれど、長谷さんは察したようで「そうなんだ」と呟く声音は少し沈んだ。 「あ、えっと、その……ごめんなさい……」 「君はすぐに謝るね。怒ってないよ、大丈夫」 癖付いてしまった謝罪の言葉を長谷さんは快く思わないらしい。 「………今度、作ってくれない?」 「僕がですか?」 「そう、君が。食べてみたいな」 「……いいですよ。じゃあリクエスト考えておいてください」 「楽しみにしてるね。さて、それじゃあそろそろ寝よっか」 はい、と言う返事を紡ぐ前に額に柔らかな感触がして僕は瞬きを数回繰り返した。 「おやすみ、郁弥くん」 「………お、おやすみ、なさい………」 今、多分、間違いじゃなければキスされた気がする………おでこに。 うわぁー……長谷さんってこう言うことするんだ………僕こう言うこと初めてでドキドキしちゃう……。 大切にされるってこう言うことなのかな……。 長谷さんは恋人とか大切にするタイプなんだなぁ…。 「…………羨ましい」 「ん?」 「あ、いいえ!おやすみなさい」 「うん、おやすみ」 頭を撫でる大きな手が心地よくて、僕はゆっくり微睡みへと沈んだ。

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