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不能_5

肩に乗る重みが小刻みに震え始めて、肩口へと目を向ける。 「………何笑ってんの?」 「ふっ、いや……うん、そうだな。思ったより嬉しいって感じてる」 肩が軽くなると同時に視界がぐるりと回転して、笑う藍澤の顔が目の前に広がった。 「わっ……馬鹿、何て顔して笑ってんだよ………」 「笑った顔が好みなんだろ?」 「うっ……確かにそうだけど……そんな真っ直ぐ向けられたら困るじゃん……」 「ふっ、困れ困れ」 うーわ、マジで楽しそうに笑ってんじゃん……。 どうしよ、直視出来ない……。 「何で目逸らす?」 「無理、心臓壊れる……」 「そんな繊細じゃないだろ」 「失礼だな、アンタ……」 「ふっ、はは、ほらこっち向け」 もう一度両頬を包まれる。 あ、これやられると逃げらんないんだよな……。 「なあ、ヤキモチ妬いたって捉えていいのか?」 「うっ……た、多分………?」 「それは俺のことが好きだから?」 見たことない。 こんな表情(かお)した藍澤なんて見たことない。 郁弥にも末松さんにも向けてなかった。 嬉しそうに愛しそうに、少しだけ恥ずかしそうに目を細めて俺を見る。 「藍澤のこと見るとドキドキする。笑うと嬉しいし、難しい顔してると悩む。悲しいときに泣かないから代わりに泣いてやろって思う。もっと知りたいし近付きたいのに、今はめちゃくちゃ緊張してて息が苦しい」 藍澤は何も言わず、ただ俺を見て俺の話に耳を傾けていた。 「これって好きってこと、なのかな?」 頬を包む両手を掴んで、見下ろす藍澤の瞳に問い掛けた。

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