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不能_7

あんなに自信がなかったのに。 あんなにモヤモヤしてたのに。 一度口にすると、ストンと胸に落ちてくる。 そっか、そうなんだ。 「俺、藍澤のことすげー好きだ」 藍澤の背中に腕を回して、これでもかと抱きついてみた。 「へへ、好き」 「……………………」 「アンタは好きって言ってくれねーの?」 「お前…………結構可愛いな」 「……………は?」 見下げてくる真顔はまじまじと俺を見るので、堪らず離れて距離を取る。 「……どうして逃げる?」 「危険を察知した」 「………大丈夫だ、来い」 「いやいやいや、そんな真顔で両手広げないで。怖いわ、普通に」 やれやれと肩を竦めた藍澤は少し思案して、思い立ったように俺を見る。 それからゆっくりとした足取りで近付いてくるもんだから、俺は俺でジリジリと後退した。 すぐに背中は壁にぶつかり、逃げ場がないのに目の前の藍澤は近付くばかり。 「や、ちょっ、ストップ!待って、落ち着こ!」 「落ち着くのはお前だ、馬鹿」 ピンっと弾かれた額がなかなかに痛くて、恨めしく睨んでやった。 「痛い」 「落ち着いたろ?」 したり顔した藍澤は、少し屈んで俺の目線の高さに合わせてくる。 「な、何……?」 「…………キス、してみていいか?」 「………………………え!?何で!?」 「何でって………したい」 「したいの!?」 「したいな」 そ、そうなんだ……藍澤がしたいんだ。 キス……しかも俺と…………あの藍澤が…………。 「あ、アンタにもそう言う気持ちあるんだな…」 「みたいだな」 まるで他人事みたいな口振り。 「生きてきて初めてかもしれない、こんな気持ちになるのは」 「俺なんてするのも初めてなんだけど…」 「…………え?」 「え?」

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