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不能_8

それはそれは驚いたような顔をする藍澤。 やっぱ26にもなってキスしたことないってヤバイんかな……。 「や、やっぱ引く?この歳でファーストキスとか……」 「……………いやそうじゃなくて」 否定をする藍澤は確かに馬鹿にしたような感じはなくて、むしろ気まずい様子。 「………七瀬」 「?」 「悪かった」 「何が………?」 「責任は取る」 何を勝手に決意したのかさっぱりだけど、やたら真面目な顔で言うから黙って頷くしかない。 それからゆっくり近付いてくる唇に心臓が高鳴る。 うわっ、どーしよ…口って閉じとくべき?目は?どこ見りゃいいの? 「ふっ、挙動不審だな」 あと数センチで唇が擦れてしまう距離。 「だ、だって……どこ見ればいいか分かんない……」 「じゃあ閉じとけよ」 た、確かに…。 ぎゅっと瞼を瞑ると、それはそれで藍澤に笑われたような気がした。 閉じとけって言ったじゃん……と文句を言おうとして、すぐにそれはままならなくなる。 言わずもがな唇に当たる柔らかい感触のせい。 「――……」 ほんとに、しちゃった………。 柔らかっ……すご………藍澤と、キスしてるんだ……。 どーしよ、え、てか息は……?どうすればいいの? 「……………〜〜っ…ん……っ…」 息、出来な………。 息苦しさに漏れ出た声に藍澤が反応して、唇が解放される。 「ハァ…ハァ………っ、死ぬかと思った………」 「ふっ、ははは」 「…笑い事じゃないし」 「なあ、もっとしたい。もっと、凄いやつ」 さすがに俺だって成人男性。 藍澤の意図することが分からないほどウブじゃない。 「そ、それは所謂舌入れたりとかしちゃう激しいやつ………?」 「…ふっ、そう、激しいやつ」

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