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不能_11
顔を逸らして露わにした項へと藍澤は顔を埋めてくる。
「いい匂いするよな……」
「か、嗅ぐなってば……」
「フローラルの香り、前にも好きだって言った」
「そう、だけど……――ひゃぁ、な、舐めっ」
肌を滑るぬるりとした感触は間違いなく藍澤の舌。
熱くて、ちょっとざらざらしてて……さっきまで唾液を絡ませてた……。
「んぅ……っ…や、擽った……」
「舌触りも悪くない」
「へ、変態!」
オヤジまで付けてやろうかと思ったけど、唇が押し当てられて身体を強張らせる。
「あ…………ッ……………藍、…ざ……」
チクリと痛みが走って、すぐに柔らかな舌が労るように這わされた。
「ん………つ、いた?」
「ん、付いた。」
「……なんか、嬉しいかも。意味分かると嬉しいな」
「………本当にそう思うか?」
顔を上げた藍澤は俺の瞳を覗いた。
「思うに決まってんじゃん。むしろ何で思わないと考えるわけ?」
「…………もしこれが噛み痕だったら、どう思う?」
噛み痕……それは番の証。
「…………あー…………嬉しいって思う。照れくさいけど」
「……嬉しいのか?」
「嬉しいよ、そりゃ。今までも番になりたいって言ってきたけど、今までとは違う理由で番になりたいって思ってる」
「どう違うんだ?」
「…言わせんなよ」
「知りたい、聞きたい、お前の口から教えてくれ」
「……アンタが不能だからじゃなくて、アンタが好きだから番になりたいって思う」
「俺が不能じゃなくなっても?」
「……なくなっても。むしろ………アンタになら、その、抱かれてみたいって思うよ……」
恥ずかしくて顔から火が吹きそうで、顔が見えないように藍澤に抱きついた。
背中に回された手が優しく宥めるようにリズムを刻むと、耳には「ありがとう」と優しい声音が短く届いた。
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