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不能_13
多分それは触れられたくない話なんだと顔色から分かる。
まあ僕だって無駄に首を突っ込んだりはしたくない。
「以前はそうじゃなかったなら、身体機能として何か不具合があるわけじゃないんじゃない?」
「…………つまり?」
「精神的な何かが邪魔してるってこと」
「精神的……」
藍澤くんはそれっきり口を閉ざして、何かを思案しているよう。
「それにしても驚いたなぁ」
「……不能だってことがか?」
「まあそれもあるけど、それよりも君が相談相手に僕を選んだってことにさ。僕なんかより藍澤くんのお友達の方が良かったんじゃない?ほら、なんて言ったっけ?えーっと…」
「奏輔か?」
「そうそう!奏輔くんね!彼の方が真摯に受け止めてくれそうだけどね」
少なくとも僕は藍澤くんから嫌われているものだと思っていたのだけど。
「………まあな。でもアイツは真摯に受け止めすぎる。今、大事な時期なんだ。俺のことで頭を使ってほしくない」
ああ、そう言えば彼はもうすぐ結婚するんだったっけ?
「大切なんだ?」
「一応親友らしいからな」
「素直じゃないね。それにしたって僕なんかを選ばなくても良かったんじゃない?もしかしたら言いふらしちゃうかもよ?」
そう言った僕を一瞥して、藍澤くんは息を溢した。
「……掴めない奴だとは思ってるが、悪い人間だとは思ってない」
「…………それ、少し前にも同じ事言われたなぁ。君たち二人はどうして僕を買い被るんだろう?僕は誉められた人間じゃないんだけどな」
「お前も大概素直じゃないな」
「どういう意味?」
聞き返す僕に返ってきたのは「そのままだ」と短いものだけ。
「でもさ割とデリケートな話されて、困る僕の気持ちも考えてほしいな」
「………それは考慮してなかった。と言うかそんな感情持ってたか?」
「藍澤くんってサラッと酷いこと言うよね」
「ふっ、冗談だ。まあ何か困り事があったら相談相手ぐらいにはなってやる」
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