142 / 152
不能_23
抗議する俺を笑って藍澤は悪かったと口にする。
「絶対思ってない」
「んなことねぇよ。ほら、ちゃんと責任取ってやる」
いつの間に伸びていたのか藍澤の手が勃起したモノへと触れて、俺は身体を跳ね上がらせた。
「――あ……ッ!?や、なに……っ」
「これじゃ寝れないだろ?」
「そ、だけど……あ、ばか、脱がすなって!」
下着ごとずり降ろされて、露わになったそこに直接手の温もりが伝わってくる。
藍澤が触ってるってだけでも腰が抜けそうなのに、扱かれたら堪ったもんじゃない。
「ひ……ゃ………ば、かぁ……」
「お前、感度いいよな」
「はぁ!?んなこと……ない、し……」
ま、前の触られた時も思ったけど藍澤ってやっぱ……手慣れてる、よな………。
「どうした?」
「……っ……、慣れ…てる………」
恨めしく目を見ると、想定外の事だったのか驚いた表情を見せて、ばつが悪そうに視線を逸らされた。
「そんな事は……」
「なくない!」
キッと睨み付ければ扱いていた手が止まって、藍澤は戸惑いを見せる。
「……別に怒ってるとかじゃないけどさ……普通に悔しいって言うか…。だってさ俺はそう言う経験なくて、藍澤が初めてなのに……アンタは数えられないぐらいシてきたんだろ?」
「………………」
「そんなんめっちゃ悔しいじゃん……」
「俺は………お前が初めてで素直に嬉しいと思う。それに……」
言葉を切った藍澤は膨れる俺にキスを一つ落とした。
「本当に最低だったと反省してるが、今まではαの生殖本能に任せて抱いていただけで……その、俺が欲しいって思ったのはお前が初めてだ」
「……末松さんは?」
「……アイツとは、正直そう言うのは考えてなかった」
ともだちにシェアしよう!