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せめて 抱きしめて〜承〜 18
「何で、キスしたんですか?揶揄(からか)ったんですか?それとも」
「違う!揶揄ってなかいない!オレは、オレは・・・千都星が好きなんだ」
ボクの言葉を遮(さえぎ)るように、剛さんは大声を出すと、はっきりとそう言ってくれた。
「最初は可愛い弟ぐらいに思ってたのに・・・どんどん、会っているうちに、どんどん変わっていった。・・・千都星が、誰かと話してるとむかついた。千都星が、誰かに触られるとイライラした。・・・気付いたら、好きになっていた」
「剛さん・・・」
「ごめん・・・千都星が好きだ。千都星に恋をしてる」
剛さんが真っ直ぐにボクの瞳を見つめて言ってくれた。
心が一杯になる。
空っぽだった心が、剛さんで満たされていく。
親にさえ疎(うと)まれて、男どもには体だけ求められて、犯されて。
絶望と虚無感しか知らなかった心に、剛さんが沁み込んで、一杯になる。
涙が落ちた。
生まれて初めて、嬉しくて涙が出た。
「好き・・・剛さんが大好き・・・」
ボクは泣きながら、ぼろぼろ泣きながら、やっと本当の気持ちを口にしていた。
ずっと心に秘めていた、素直な気持ちを、伝えることができた。
剛さんがボクを引き寄せる。
強く強く抱き締められた。
大きくて、広くて、力強い逞(たくま)しい胸に、包まれている。
細いボクの体が、すっぽりと収まってしまう。
こんな風に抱き締めてもらえるのが、幼い時以来なことに気付く。
ああそうか・・・ボクはこんな風に抱き締めて欲しかったんだ・・・。
ただ、抱き締めて欲しかったんだ。
この世界で、この胸の中だけが、ボクの居場所だった。
ボクは剛さんの体温を全身で受け止めて、背中に腕を回した。
きつく抱きしめると、剛さんがまた口吻けをしてくれる。
今度は触れるだけじゃなく、口唇を割って舌を差し込んできた。
ボクは剛さんの舌を搦(から)め取って、強く吸い上げた。
剛さんもボクの舌を搦めて、丁寧に愛撫(あいぶ)する。
二人の唾液が溢れて、濡れた口唇は優しく舐めてくれた。
呼吸が苦しい。
鼻で呼吸してても追い付かないくらい、興奮してる。
抱かれたい。
剛さんに抱いて欲しい。
剛さんのを挿入(い)れて欲しい。
口唇と舌を離すと、ボクは呼吸を整えることも忘れて、目一杯の力で剛さんを草の上に押し倒した。
「千都星・・・?」
剛さんが戸惑っているのを無視して、ボクはジーンズのファスナーを開けると、下着の中から剛さんのものを取り出した。
剛さんも興奮しているのか、半勃ちの状態になっている。
ボクは躊躇(ためら)わずにそれを舐める。
驚いたようにビクッと震えて、血管が浮き上がってくる。
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