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せめて 抱きしめて〜転〜 2

「ごめん。淋しい思いさせて・・・」 「ううん!大丈夫です。明日、また明日会えるから」 剛さんが不意に、ボクの腰を抱きしめて、引き寄せた。 体が密着してどきどきする。 心臓が一気に早くなる。 剛さんに鼓動が聞こえそうで、恥ずかしい。 剛さんの大きな手がボクの頬を梳(す)いた。 「あんまり可愛いこと言うなよ・・・我慢できなくなる・・」 「え・・?」 後頭部を手で掴まれる。 腰も抱かれていて、動けない。 でも、動きたくない。 このまま抱きしめられていたい。 口吻けを、して欲しい。 剛さんの顔が近づいて来て、ボクは目を閉じた。 相変わらず緊張してしまう。 体を固まらせているボクを、剛さんはしっかりと抱きしめたまま、そっと口唇にキスをしてくれる。 その温もりと、柔らかい感触に浸っていると、口唇を割って舌が入って来た。ボクの舌を探り当てて、強く吸われる。 ボクは腕を首に回してしがみついた。 腰に力が入らない。 頭がくらくらする。 倒れそう。 剛さんの舌を舐めて、吸って、吸われて。 溢れる唾液を飲む。 それでも口唇がずれた時に、唾液が端から流れ出す。 上手く呼吸ができずに、早い息遣いになった時に、剛さんが口唇を離した。 ボクは、はあはあ言いながら、剛さんを見上げる。 きっと、欲情した瞳をしている。 剛さんはボクの顎を伝う唾液を、指で拭き取ると体を放した。 「じゃあ、また明日」 「はい・・・また明日」 少し残念だけどしょうがない。 ボクは満面の笑みで剛さんを見送った。 剛さんは、何度も何度も振り返って、手を振ってくれる。 ボクはずっと、ずっと、剛さんが見えなくなるまで、その後ろ姿を見つめていた。 大丈夫。 淋しくない。 また明日会えるから。 また明日会うことを約束して別れるのは、とても嬉しい。

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