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せめて 抱きしめて〜結〜 9

「千都星、そのまま両手をベットにつけて」 「はい・・・」 この客が好んでするいつもの体位なので、次に何をされるのかはわかっていた。 ボクは素直にベットに手をついて、自分の体を支える。 客がボクのお尻を掴んで、広げるようにしてしっかりと支えた。 そして、腰を激しく動かして、ボクの中を出たり入ったりする。 強烈な快感が体の奥深くを突き上げて来る。 やっぱり、自分で動くより、激しく動いてくれるほうが、好き。 「あああっあああっ・・・すごいっ・・・奥、すごいぃ・・・」 ぐちゃ、ぐちゃ、にちゃ、ずちゃ、ぐちゃっ。 そんな音を立てながら、客のものがボクの穴を犯す。 太い肉棒が体の中の敏感なところを擦りあげる。 熱くて、蕩(とろ)けそう。 気持ち良い・・・頭おかしくなる・・・。 「すごい・・です・・・ダメっもうダメっ・・・死んじゃうぅ!」 ボクが、中を擦られて、奥の奥を犯されて、脳味噌が溶けそうな快楽に身を捩(よじ)ると、客は嬉しそうに微笑む。 ボクが悲鳴に近い喘ぎ声を上げてイくと、客もボクの中でイった。 休む間もなく、今度は四つん這いにされて、後ろから犯される。 頭をベットに押さえつけられて、腰を高く持ち上げられて、ものすごい勢いで腰を叩き付けて来る。 何度も、何度も、気が狂いそうに犯される。 ううん・・・もう狂っている。 めちゃくちゃに犯されないと満足できない。 酷くされるほうが好き。 何も考えられなくなるから。 そうやって何度もイかされて、客をイかせて。 腰が立たないくらいセックスをして。 ボクは気絶していた。 目が覚めると客の姿は既になく、ボクは一人で広いベットに寝ていた。 時間を見ると夜の10時を過ぎている。 まだ10時か・・・帰ろう・・・。 客から連絡があれば、もう一人いける時間だけど、今日はもう連絡はないだろう。 シャワーを浴びて、薄手の黒いセーターに濃いグレーのズボンを履く。 今日の客が以前に買ってくれた服だから、敢(あ)えて着て来た。 上から、薄いグレーのコートを羽織る。 ボタンがダブルで、腰ベルトがあり、お尻が隠れるくらいの長さ。 これも今日の客が買ってくれた。 どれも世間では高級ブランドで名を馳せているところの服だった。 興味がないからブランド名なんか覚えてないけど。 ボクは部屋を出ると、エレベーターに乗って階下へ下りる。 煌(きら)びやかなシャンデリアが輝いているロビーを抜けて、外へと出た。 冬が終わりを告げて、少しずつ春の温もりを感じる季節になっていた。 それでも夜はまだ寒い。 特に脂肪がない体では寒さが沁(し)みて来る。 今日は起きてから少し寒気がしていた。 風邪を引いたのかもしれない。 暖かくして寝よう。 そんなことを考えながら、電車に乗って、両親にあてがわれたマンションへと向かう。 また、あの部屋で一人で眠るのかと思うと、憂鬱だった。 何度もスマートフォンを見て、誰か客から連絡がないかと、確認する。 さすがに誰からも連絡はなく、ボクは仕方なくポケットに仕舞うと、マンションのエントランスを通り抜けた。 エレベーターに乗って最上階のボタンを押す。 両親が用意したのは、12階建ての最上階、一番端の角部屋だった。 エレベーターが着き、扉が開いたのでボクはゆっくりと廊下へ出る。 冷気が首元から忍び込んできて、一瞬体が震えた。 やっぱり風邪かな・・・早く寝よう・・・。

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