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第7話
いきなり冷たい水を顔に浴びせられ、驚いて身体を縮こまらせながらノアは目を開いた。そこには不機嫌な表情の男がコップを握って立っていた。
「一体何回気絶するんだよ――ちっとも楽しめやしねえじゃねえか!」
男はイライラと言う。
「す、すみません」
ベッドの上で身を起こしながら、ノアは半泣きで詫びた。船の中で初めて取ったこの客は乱暴で――恐ろしさと行為のきつさに、ノアの意識は何度か飛んだ。
「ちょっと冷たいシャワーでも浴びて、完全に目ぇ覚まして来い!」
「すみません――」
怒っている客に怯えながら、ノアは浴室へと走り込んだ。
寒さと恐怖で身体が震えて歯の根が合わない。バスタブの栓をひねろうと試みたが、手に力が入らなくてできなかった。こんなの、無理だよ――怖くて耐えられない。ノアは冷たい床にへたり込んだ。あの客は、満足するまでノアを部屋から出してくれないだろう。どうしよう――ねじられた腕や、乱暴に扱き上げられた性器が痛む――
どうしよう、キオ――涙がこぼれそうになって思わず天井を仰いだノアの目に、小さな通気孔が映った。
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