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第10話 ※星野視点
龍介の友達は中々上手くやった様で、直ぐに生田さんと付き合い始めた。
後は、同期をクラブに誘い、そこへ【生田さんの彼氏】が来るようにした。
そして、最近仕事で悩んでいるという吉崎の話を聞きながら、酒を進めてある程度酔わす。すると、、ほらやっぱり、吉崎は仲良しの裕太に絡みに、フラフラと歩いて行った。裕太も吉崎の強引な勧めと、室内の雰囲気に飲まれ、結構呑んでるみたいだ。
「よーし、もう一杯!テキーラ!!」
「ちょっと、裕太、もう辞めておいた方が良くないー?」
そっと、裕太に耳打ちしてみる。
「煩いな!俺はもう顔がいい奴とは話したくないんだっ!」
(うーん、煩いときたか。いつか、ちゃんとした口の利き方ってものを教えてあげないとね。)
粋る裕太を屈服させる事を想像してしまい、思わずニヤついてしまう。そうしている間に、テキーラを呑み終えた裕太がテーブルに顔を埋め、うつらうつらとしていた。
「皆ごめんけど、裕太がもう落ちかけてるから、俺は裕太を送って帰るね〜。」
「えー、星野くん帰っちゃうの?」
「星野まだ帰るには早くない?山本もまだ強制退場させる程でも無さそうだし、そこのソファに寝かしとく事も出来そうだけど‥」
皆がざわつく。思ったより面倒。
「星野!裕太なら俺に任しぇ〜!皆、大好きな星野が帰ったら、寂しいって!!」
そして、吉崎もしゃしゃり出てくる。お前は好きにれない。。
「丁度裕太んち、俺のマンションの近所なんだよ。あと、吉崎、お前、呂律回ってないぞ!寧ろ、吉崎が誰かに送ってもらいなよ〜」
「しょんなこと、ない〜!!」
「ははははは!本当だ!吉崎、喋り方変だ!」
皆の注目が吉崎に集まった隙に、足早に店を出た。少しでも早く家に帰りたい。裕太を連れて。
—-
「錦糸町の方までお願いします。」
タクシーを捕まえ、行き先を告げる。
「う、、、」
腕の中の裕太がもぞもぞと動く。紅潮した顔、薄く開いた口、裕太の匂いも心なしかいつもより強く感じ、更に自分に引き寄せる。
「裕太、大丈夫?」
「‥う、、、吐く、、」
「え‥」
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「まー、裕太が元凶なんだし、したかないよね〜」
俺の家の脱衣所で、鼻唄混じりに独り言を呟く。
あの後、何とかタクシーを降りるまでは保ったが、タクシーを降りた瞬間、裕太はもどしてしまった。
俺の服と裕太の服も少し汚れてしまったが、これ幸いと、裕太の服を脱がしにかかる。
「裕太ぁ〜?」
「‥‥んん、、」
最後に念のため、もう一度裕太の耳元で名前を呼び、軽く揺すってみるも、大した反応はない。飲み会でも毎回1、2杯しか呑まないのに、今夜は強い酒を数十杯は呑んでるから当たり前だろう。
(うん、良い感じ。)
口元が緩む。
裕太の服を脱がし、風呂場の洗い場へ連れ込む。そのまま、壁にもたれかけるように座らせる。暖かいシャワーをかけると、不快感に歪んでいた裕太の顔が緩む。こんなに危なげな状況で、四肢を投げ出し気持ち良さげにする警戒心の無さがまた愛おしい。そして、嘔吐物が流されて行くにつれ、裕太の本来の臭いが浴室に広がる気がした。
その匂いにつられ、思わず裕太にキスをする。そのまま、温度差によりツンとたち上がる乳首に舌を寄せる。
「くふぅっ、、、」
鼻から空気が抜ける様な声を出して、悩ましげに裕太の顔が歪む。
(あぁ、可愛いなぁ。。)
裕太の濡れた前髪をかきあげ、どんな些細な表情も逃すまいと、至近距離で裕太の顔をみつめながら、裕太の下半身に手を伸ばす。止め処ないシャワーが2人を濡らし、水音が響いているはずだが、その音が聞こえない程に興奮してしまう。
「うっ、、」
裕太の下半身を軽く握って上下に手を滑らすと、裕太の悩ましげな顔が更に歪む。
(もっと、、、もっと、ぐちゃぐちゃに歪ませたい。。)
自制できず、思わずベロリと裕太の顔を舐める。得体の知れない焦燥感を感じ、手の動きが自然と速まる。程なくして、裕太が吐精した。同時に、あたり一面に広がる裕太の香り。
(あぁ、もっと、、)
誘われる用に、顔を裕太の首元へ寄せる。
(もっと、もっと、、)
壁際に寄りかからせていた裕太を引き寄せ、項に口付ける。
(欲しい、欲しい、、、)
理性的な自分をおいやり、性衝動のまま、やってしまいたい。
(もっと、、、、)
別にここで項を噛んだところで、どうにもならない。分かってはいるが、衝動を抑えきれず、口を開き裕太の項に顔を埋める。
カタンッ、、!
瞬間、浴室に置いていたボトルが落ち、軽い音が響く。その音でハッと我に変える。
「‥ふふ、、」
思わず笑いが溢れる。
ねぇ、裕太、、、嘘をついてるでしょ?
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