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第17話
「お前っ!いつのまにっ、、!」
バっと後ろを振り向こうとするが、壁に手をついた姿勢そのままに、俺の両手の上に星野は手を置き、後ろから押さえ込まれる。
「ちょっ、お前ふざけんなよっ!なんでここまで着いてきてんだ!ってか、やめろって、、!」
星野が覗き込む様に、後から俺の顔に顔を寄せて来る。朝から呑んでたんだろう、コーヒーの香りがする。
「裕太ー。裕太に、《お前》とか《変態》とか、そんな風に呼ばれると俺、悲しい〜。」
「もはや、本当の事だろっ、、!」
「本当は今までの《星野》ってのも好きじゃないんだよね〜。」
またもや、話が通じないモードの星野だ。そろそろヤバいと、頭の中で警鐘がなる。
ベロリ、
「うっわ、、!」
「ねっ、《宗介》って呼んでよ。」
耳をベロリと舐めながら、耳元にくっつきそうな程に口を寄せ、耳に直接言葉を注ぎ込むように、星野が言う。全身に鳥肌が立つ。
「ばかっ!言うかよ!離れろっ」
確かに、俺の中で星野は、皆大好き星野から、唯の変態星野に成り下がり、扱いも確実に雑になっていた。だってここまでされて、俺みたいにならない奴いる?
「、、ま、いいか、それはおいおいだね。」
(え?おいおいって?続くんですか?)
と俺がフリーズしていると、その隙に星野が俺の手を一纏めにして、頭上の壁に押さえ込む。
「え?うそ?ちょっと、、!」
嫌な予感がして身をよじるが、星野は動かない。昨晩も思ったがコイツ力強すぎだろ。身長差や俺の疲労があるにしても、毎回押さえ込まれると結局敵わずやりたい放題にされてしまう。
「裕太って、力弱い?それとも、期待してた?」
また耳元で変態野郎がささやく。顔を見なくても、奴が笑っているのが分かる。
「よいしょっと、ごめんね。直ぐに綺麗にしてあげたかったんだけど、こっちにも事情があってさ。。」
星野が何か言っているが、俺の耳には届かない。何故なら、そう言いながら星野が俺のケツに指を突っ込んできたからだ。
「っ、、んっ、、!」
「ふふ、こんなのでも気持ち良いの?」
残念ながら、気持ちいい。自分の体が自分を裏切るのが悔しい。
「裕太は快感に本当に弱いよねー。Ωでもないのにね。」
そう言いながら、星野が俺の項を舐めるので、大袈裟にビクついてしまう。しかしまたこいつ、、、気付いてるのか?けれどこいつにだけは知られたくはない。俺を好きだとか言って、こんなサイコなことやらかす奴だ。無理矢理、番契約を結ばれたらと思うと、ゾッとする。
「ふー、ダメだなぁ。裕太といると、底無しだな。」
え?なにが?と聞く前に、奴が自身を挿入してきた。こいつ、、本当に最低だ。
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「はい。水出しのフレーバーティーだよ。喉渇いてるでしょ。」
「、、、ん。」
ソファでへたっている俺に、ニコニコした顔の星野がグラスを差し出す。俺は軽く相槌を打ち、それを受け取った。本当は星野にもらうものなど何も受け付けたくない。しかし、確かに喉はカラカラだった。第一もう抵抗する気力がない。
ごくごく、、
俺がお茶を飲む姿を、星野がじっと見つめていた。
「?」
(なんだ?なんか、俺、今、判断を誤った?)
心が少し騒ついたが、よく冷えた甘酸っぱい味が身体に染み渡り心地よい。
「身体は大丈夫?何もない??」
星野が心配気に聞いてくる。誰のせいでと言いそうになるが、それも星野を喜ばせてしまう気がして、その言葉はしまった。
「喉が痛いし、腰も痛いし、全身筋肉痛だよ。俺、もう帰るから。」
「えー、ダメ。帰さない。」
コイツはアホなのか。帰るに決まってるだろう。
「強姦された後に、ソイツの家にずっといる馬鹿なんかいないだろっ!」
では。と、星野の言葉を待たずに玄関に向かい、ドアノブを回す。
ガチャガチャ、、、ガッッ、ガチャガチャガチャッ!!
(開かない、、、!)
「強姦した上に、その子をみすみす逃す馬鹿もいないよね。」
背後にニコニコ笑う星野が居た。
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