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第19話

(でも何で、、) 俺のヒートまではまだ日にちがあった。ヒートは個人差が大きいが、概ねΩに3ヶ月に1回ペースでおとずれる。 俺の場合は、次のヒートは1月中旬のはずだった。 「違うっ!ヒートの筈がないっ!俺は、、、βだから、、」 流石にこの言い訳はどうかと思ったが、星野にバレるのが怖くて、無理矢理言い張る。 「ふふ、それはもう良いから、早く出てきなよ。毎日飲ませていたフレーバーティー、あれにヒートの促進剤を混ぜていたんだよ。」 確かに、必ず1日一回渡され、飲んでいた。俺、アホみたいだ。あれだけ警戒していたのに、肝心なところは全然防げていなかった。 「抑制剤もだけど、アフターピルも欲しいんじゃないの?こっちにあるよ。裕太との子供なら絶対認知してあげるけど、裕太は困らないのかな〜?」 どう言い返すか言いあぐねていると、星野が悪魔のささやきを続ける。 「、、、しかたないなぁ、、、ベットのサイドボードの引き出しの中に、番契約を防ぐ用の噛み付き防止チョーカーあるから。」 星野が諦めたような、拗ねたような口調で言う。お前が何を諦めたんだ。。 ガチャッ、、 大分悩んだが、どんどんヒートが本格化していき、流石にこれ以上は辛く、渋々寝室を出る。 出て来た俺をの首元を見て、星野は直ぐにニッコリといつも以上の笑顔を浮かべた。そりゃそうだろう。首にチョーカーをつけてりゃ、口で言わなくても分かるだろうよ。 「はい。アフターピル」 「‥」 星野が水と薬を差し出してくる。それを俺は黙って受け取る。星野に怒って何も言わないのではない。無理矢理引き出されたからか、久々の抑制剤なしだからかは分からないが、とにかく身体が熱くて話すのも怠かった。 「?、ハァ、、抑制剤は、、?」 アフターピルを飲んで、次の薬が差し出されるかと思ったが何も出てこず星野にたずねる。 「抑制剤はね、、俺のを上手に舐めれたらあげるよ。お掃除は、得意なんでしょ?」 星野が口端を上げ、ニヤリと黒い微笑みを浮かべる。というか、今の発言で分かった。コイツがズボラとか嘘だ。俺をおびき寄せる為に嘘をつきやがったな。 「‥ハァ、、ハァ、、そろそろ、、ハッ、、ふざけてんじゃねー、、」 大分息が上がり、話すのが苦しい。今は話すよりも、したい事が別にある。 「‥まぁ、こんだけ色々重なると、本人への負担がデカいらしいし、今日のところはいっか。」 流石に俺の様子にヤバイと思ったのが、星野は急に真面目な顔をし、ごそごそとポケットを探る。 俺は、星野が差し出してきた抑制剤を、僅かに震える手で受け取り飲み込む。 なんとかこれでヒートは治るが、飲むのが遅れたので、抑制剤の効果が出るのに1日はかかる。 (『プラス1日』って、これかよっ) ハァハァハァ、、、あぁ、それにしても、もう、何でもいい。。誰でもいい。 出来たら女の子がいいが、もういい。星野でも。。。女の子がいいけど。。 あれだけ忌み嫌って堪えていたのに、抑制剤やピルを飲んだせいか気が緩み、衝動が堪えきれなくなっていた。 よろよろと、熱に浮かされた顔で星野に近寄る。 この先の流れは分かっていると言わんばかりに、星野は動かず、両手をポケットに入れたまま微笑んでじっとこちらを見つめている。 「ほし、の、、、、、」 「なぁに?裕太〜。」 星野がにこりと答える。暗にやってくれと言ったつもりだが、星野は完全にスルーだ。両手をポケットに入れたままニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべている。 ならば自分で始めるしかない。しかし、いざ自分で事を進めるには、なけなしの理性が邪魔をする。 「、、うっ、、」 チュッ、、チュ、、 俺は慣れないキスを星野にしてみる。舌をどうしたらとか分からず、ついばむ様なキスだった。何度も、何度も。 悔しいことに、星野に触れるたび身体が喜んでいるのがわかる。 しかし、星野は依然として突っ立ったまま動かず、相変わらずの笑みを浮かべつつ俺を見下ろすだけだった。 「っっくっ!、、ハァ、、」 もー!なんでっ!なんで!!つい今朝までは、こちらが嫌だ嫌だといっても、無理矢理に進めてきただろ⁈心の中で地団駄を踏む。 『俺のを上手に舐めれたらあげるよ。』 あぁ、そっか。 俺は徐に星野の前に膝をつき、星野のズボンにてかける。流石に星野がピクリと動いたした気配があったが、かまっていられない。 星野のものを何とか取り出すと、思わず笑みを浮かべてしまう。それは既に主張しており、なんだコイツも欲情してるじゃないかと思った。 「‥ふっ、、んっ」 顎が外れそうだったが、拙い動きで舌を這わす。いつもなら絶対に感じるであろう嫌悪感はなかった。とにかく早く早くとそればかりだ。 「‥あぁーもう、、裕太、ちょー可愛い。」 耐え兼ねた様に星野が言い、俺の髪をひと撫でしたかと思うと吐精する。 「、、ふっ、、そうすけ、、しよ?」 そう言い、口元を拭いながらふらふらと立ち上がると、見上げた先に、目を見開き驚きを隠せない様子の星野がいた。 そう言ったらもっと気持ちよくしてもらえる気がして、気まぐれで言っただけだったが、効果は覿面だった。

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