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第24話
「じゃ、終電きちゃうから、名残惜しいけどそろそろ駅に向かって歩くよ!はーい、歩いて歩いて!!」
永井の号令に従って、皆がゾロゾロと駅に向かって歩く。可愛い子と話せて、俺もホクホクした気持ちで駅に向かう。
「裕太くん!」
「陽子ちゃん?」
俺をΩっぽいと言った陽子ちゃんが話しかけて来てくれた。
「裕太くんは、よく合コンとか行くの?」
「うーん、実は初めて。。」
「そうなんだ。そんな感じした。」
俺のことを可愛い可愛いと、陽子ちゃんがはははと笑う。中々ずけずけいわれたい放題だが、陽子ちゃんの屈託のない笑顔や、こちらへの明らかな好意も感じ、不思議と嫌な気はしなかった。
「可愛いだなんて。。男に言われてもあんまり嬉しくないな!」
俺もつられて笑う。ハキハキとしており、キツめな顔が最初は苦手なタイプかと思ったが凄く話しやすい子だ。
「ね、裕太くん。実は、私がβって嘘なの。」
「え?」
急に陽子ちゃんがヒソヒソと話してきた。確かに陽子ちゃんはβと言っていたが。
「私、実はαなんだ。」
「!!」
ふふふっと、悪戯っぽい笑顔も可愛い。そうか、そうなのか。。確かに、全体的にαっぽい。
「裕太くんも、本当はβでないんでしょ?」
「、、、そうだよ。実は、、そう。Ωなんだ。」
「やっぱりね!」
陽子ちゃんが笑顔になる。
ずっと必死に隠してきたが、星野に良い様に扱われるなら、陽子ちゃんの方が良いと思いつい言ってしまった。
「ふふふ、同じ秘密、共有しちゃったね。」
か、わ、い、い!!
「うん、、そうだね。」
余りに嬉しくて、陽子ちゃんと笑い合っているその後ろで、永井が驚いた顔をしていることに俺は気づかなかった。
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「おはよう、裕太〜!」
「、、、おぉ、おはよう。俺まだ準備出来てないから、入る?寒いし」
「優しい。分かった、お邪魔します。」
昨日の合コンで陽子ちゃんと知り合い、幸せ気分な俺は、朝からいつもの如く迎えにきたストーカー星野に一気に現実へ戻される。しかも何故か変な罪悪感を星野に感じてしまい、部屋にあげてしまった。
歯を磨きながらチラリと、俺の飲みかけのコーヒーを飲む星野を伺う。陽子ちゃんとこれ以上親密になるのは、浮気になるの?いやいや、俺、星野と無理矢理付き合わされてるもんだし。星野の問題がなければ、ただただハッピーなのに。。悶々としてしまう。星野モテモテなんだから、他の人に目を向けて欲しい。吉澤さんに言い寄られて、断る男いる?
「何?考え事??」
「わっ!いやいや、別に、、」
ボケーと見ていたら、不意に振り向くから狼狽えてしまった。
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今日は色々とモヤモヤしてしまい、やっと定時間際になったが、凄く疲れた。。
まぁ、今日は金曜日だから、あと少し頑張れば、少し落ち着いて色々考えられる。
「ドーンッ」
「おぉっ!」
ガタンッ。
びっくりした。ココアでも買おうかと自販機に向かってぼんやりしていたら、後ろから永井が急にタックルしてきた。擬音付きだしな。
「びっくりした!永井か!!あれ?永井、このフロアだったけ?」
「いや、肥田部長にハンコ貰いに来た。」
「あー」
「あと、山本にも会いにきた!」
「あー、そう。」
「なんだ?元気か?昨日のご「わー!まてまて永井っ!」
ここから星野の席は近くないが、同じフロアに星野がいると言うだけで、避けたい話だった。
「あ、永井じゃん。」
「お!星野っ!」
ほらやっぱり。星野は最近、露骨にストーカー行為を繰り返しているんだ。。会社でのエンカウント率が半端ない。しかし何故、こんなにフラフラしてて仕事があんなに出来るんだ。
「星野、彼女とイチャイチャなんだろー!!羨ましいっ!!」
「えー、まぁね。」
星野が横目で俺を見てニヤリと笑った。
「俺の彼女、ちょー可愛いし、ちょー大好き、ちょー愛してる。」
えー、ちょー聞きたくない話。
「おぉ〜!!あの、星野のセリフとは思えん!羨ましい!俺も彼女欲しいっ!」
ははははと、笑い合ってる星野と永井を前に、俺の居心地の悪さは最高潮に達していた。
「じゃぁさ、山本!俺と付き合おうよ!星野みたく幸せになれるぞっ!」
「え。」
えーーーーーー!何?じゃあさって何?永井、ふざけすぎだろ!ってか、男もありな人だったの?!
ニコニコと笑う永井、テンパる俺、そして目を見開く星野。なんなの。段々と無表情になってく星野が怖いんだけど。永井気付いてー!
「な、、永井!短絡的に付き合っても幸せにななれないよ!」
フォローかなんか意味不明なことを言ってしまう。
「、、ふむ。そうか!じゃぁ、まずお試しで、今夜一緒に呑もう!さしで!」
「え、いやいやいや、、」
ふむ。じゃねーよ!お試しって。
「永井、裕太にもラブラブな恋人いるんだって。」
更に俺がアワアワしていると、無表情だった星野が笑顔を貼り付けて話し出す。
「え?そうなの??だって、山本昨日、」
「そうそう!いるいる!」
「えー、なんか嘘くさいな、、!山本は、星野に興味ないとか言っていたし、恋愛は無関心だと思ってたんだけどな、、」
顎に手を当て、むむむとこちらを見てくる、永井。むむむじゃねーわ。あと、星野じゃなくて、星野の恋愛に興味ないだからさっ!なんか、印象変わる言い方やめてくれ、、、俺的には永井の言い方で合ってはいるが、星野がまた無表情になっちゃってるよ!
ガタガタ、、ガタ、、
「あ!ほら!定時きたよ!今日は、定時で退社しないと怒られる定時退社日だよ!帰ろう!帰ろう!」
ガタガタと身支度をする音が聞こえ、俺が慌てて2人を急かす。
「あー、そっか。じゃ、星野、山本、またなっ!」
「またー」
「うん。またね〜」
永井、嵐の様な奴だな。
「裕太」
「っ!」
ホッとしたのも束の間、明らかな作り笑いを浮かべた星野が目の前にいた。
「俺に興味ないって、どゆこと?」
また、俺はアセアセとテンパるのであった。。
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