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第25話

最近おかしいんだ。認めたくないが、星野との行為が良い。星野の経験値が高いからか、俺がΩだからか、もしかしてどっちも? 「裕太〜、気持ちい?」 「うわっ…あっ‥ゔ。ぅ、ん…」 行為の最中に、俺のマウントをとっている星野に聞かれる。俺はすっかりドロドロで意識も朦朧としているのに、星野は可愛いと爽やかに笑う。 俺はあの後星野の家に連れ込まれて、やはりお叱りを受けて、その後の行為のしつこさが半端ない。何時間こうやってるんだろう… 「気持ち良さそうで嬉しい〜。ねっ、『興味ない』は間違いだって分かったけど、それで?昨日は何してたの?」 「んっ……はぁっ、あっ、あぁっ!!」 何をしたかと、一層深く突き入れて尋ねられる。意識とびかけで聞かれても、まともに話せない。言葉にならない言葉が漏れる。 「だーめ。可愛いけど、とんじゃうの、まだ許さない。」 「うぅっ!…っ!!」 そう言ってぎゅっと股間を掴まれる。 「昨日は、何を、していたの?」 「ゔぁぁあっ!」 ぐちっ‥更に深く。 星野は、空いてる手で俺の顎を掴み、強制的に目線を合わせてくる。射抜くような視線だった。 「…!ごめっっ…ないっ…!」 「何してたのかなぁ〜?昨日は‥永井と言えば…あぁ、合コン?」 星野が小首を傾げる。星野の圧に耐えきれず、俺は目をつぶってしまう。言ってしまったがいい??けど、言ったらどうなる? 「‥ごめん…でも、なにもなかった…」 陽子ちゃんの事が頭をよぎるが、今の恐怖に負けて嘘をついていた。 「…ふーん、そう。」 言葉の割に、視線の強さを緩めないまま星野がいった。 そして、1度俺から自身を引き抜くと俺の身体を反転させ、再び俺の腰を掴む。 「!!うぁっ……あっっ!」 俺は反射的に、逃げようとしてしまうが、星野に呆気なく捕まり引きずられ、再び挿入されていた。 そしてぐちゃぐちゃと打たれる。また快感に引き込まれ、俺はへたりと倒れ込む。 「まぁいいよ。信じる…」 「あ、はっはぁっ…!」 星野が体を俺に密着させてくる。話すなら、せめて動くのを止めて欲しい。全部が気持ち良くて、触れられる部分全てが良くて、快感の加速が止まらない。 「どうせ、永井と昨日何をしてても、誰と会ってても、今後何をしても、」 ザリッ 「うぁぁっっつ!!」 星野に項を舐められる。 「やめろっ、あっっ…そうすけ‥やめっ‥ふっうぅっっ…!」 カプリと柔く噛んで、舐めて、舐めて…快感でドロドロとした思考の中に僅かな恐怖が湧き上がり、バタバタと抗う。 「ずっと離さないから。逃げても捕まえてあげる。」 星野が俺を覗き込み、ぞっとするような事を綺麗な笑顔で言う。 「でも、次裏切られたら、本気で怒っちゃうかも。」 軽く、ふふふと笑う。微笑みと言ってる内容のギャップが大きく、得体の知らない恐怖に背筋が震える。もしかして俺、陽子ちゃんの事がバレたら、相当ヤバいのでは‥? 「はっ…裕太、好きっ。気持ちいっ?こんなになってるのに、俺から逃れるわけないでしょ〜。」 そりゃそうだな。まずいよな。と、ズルズル快感に引きずられながら思った。 ---- 改めて、まずい。非常にまずい。 ついてくる星野をなんとか追い払い1人でシャワーを浴びた風呂上がり、髪を乾かしながら俺は悩んでいた。 数分前に陽子ちゃんから連絡が来ていた。たわいない話だったが、連絡をしてくれたことが嬉しい。しかし喜びも束の間、隣の部屋で朝食を作る星野を思い出して、身が強張った。俺はとりあえず簡単に返事をして、やりとりしたメッセージを消した。 行為中は大体のことは快感に引きずられて忘れてしまっているが、昨日の星野の恐怖発言だけは頭にこびりついて離れない。 しかし恐怖に負けて下手な嘘をついたばっかりに、更なる窮地だ。昨日の様子から、陽子ちゃんの事バレたらこの家を生きて帰れない気がする…。いや、まだ何も始まってないし、このまま何もしなければ良い?けど… ブーブー あ、また陽子ちゃんかな… 「裕太、髪乾いた?ご飯出来たよ〜。」 星野がキラキラスマイルで顔を出してきて、ぎくりとした。 「はぁー、朝の裕太凄く良い匂い〜」 「わっ!やめろって!!」 「ええ…冷たいなぁ〜」 動揺を悟られまいと、すんすんと鼻を近づけてくる星野を押しやる。星野も軽く笑ってやめてくれた。良かった。時々凄く高圧的になるが、今は普通の星野バージョンだ。リビングからは味噌汁の香りがする。冬の朝は和食が良いと言ったら、星野は最近せっせと和食を作ってくれるようになった。これだけならすごく良い話なのにな…とりあえず、乾き物から出汁を取る星野の味噌汁は美味しい。早く食べたい。 「ところで、さっきから携帯鳴ってるよね。はい、出して?」 「え。」 ニコニコしたまま、星野が手を出してくる。 「いや…プライバシー……」 「恋人が居るのに合コン行って、そんなこと言える?そもそも、やましいことないんでしょ?」 星野に引く気配は見えず、しかし相変わらずニコニコしている。星野はついさっきまで普通バージョンだったはずが、あっという間に恐怖バージョンになっていた。コイツはなんなんだよ。 やましいことはないんでしょって…なくはないです。とか言ったら、俺、どうなるんだよ…。

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