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第29話※星野視点

裕太は嘘つきをやってきた割に嘘が下手な気がする。今朝確認した携帯に証拠はなかったが、きっと何かある。外面はいつも通りを装うが、もしも俺と裕太の間に他の人間が入り込んで居たら…そう思うと、嫉妬で腹わたが煮えくり返る。 (…番契約を結べば、互いの気持ちに変化が起き離れられなくなるとも聞くし、だいたい、もう少しして、俺に力がつけば、それこそ捕まえて閉じ込めればよい。) そう自分に言い聞かす。出来れば裕太が俺を好いて、自主的にこちらへ来て欲しい。けれど、それは無理だと分かっている。それなら身体から、そして物理的に手に入れる。ただそれだけだ。 とはいえ、裕太が心此処にあらずでボーッとしているのは気に食わない。全神経で俺を感じて、俺だけを見てればいいのに。 「俺を蔑ろにするなら、此処でもっと色々してあげようか。」 もうなりふりかまわずに、裕太は俺の物だと周囲に示したい。裕太にも、よそ見をするとどうなるのか、分らせたい。俺の中に、酷く幼稚で醜い感情が渦巻く。 「や…、やっぱり、いいよ。此処で、して?色々。」 しかし、裕太の回答には素でびっくりだった。しかし、冷静に考えろと、浮き足立つ自分に言いきかせる。きっと何か裏がある。裕太はまた何か、面白いゲームを思いついたのかな? その後、裕太が腕を絡ませて、可愛く見上げきた時は、喜びで心が波だった。しかし、すぐに、こんなみえみえな胡散臭い裕太の動作1つ1つに一喜一憂している自分に、苦笑いがもれた。 直ぐにでも裕太を問いただしたかった。しかし問いただすと、甘えてくるのを辞めてしまいそうで…。俺は結局その日の夕方になり、裕太に今日の様子を聞いてみた。 「宗介、俺…、宗介のこと少し好きになってきた。俺がΩだからかな…。」 裕太がこちらの反応を探りながら、理由を口にする。裕太がΩで俺がαだからとか理由は何でもいい。とにかく、俺を好きになってくれたら良いのになぁ…。まぁ、裕太の嘘に付き合ってもいいかなと判断する。 家に着くと、もう抑えきれなくて、直ぐに襲ってしまった。ずっと近くで、裕太はいい匂いをさせ、ニコニコ微笑んでくるし…、それが嘘でも俺は天にも登る気持ちだった。 ---- 「ハァハァハァッッ……」 相性が良いのかな。最近の裕太は直ぐにトロトロになる。それがまた堪らなく愛おしく、癖になる。 「ねぇ、裕太が上に乗って動いてよ。」 「…え?」 熱に浮かされてぼんやりしていた裕太が、目を見開く。ヒートでとんでる時しかやってくれなかったし、きっと自分が動く事に抵抗があるんだろう。 でもさ、嘘つくんなら、ねぇ?何処までやってくれるのかな? 「俺の事『好き』なのに、やってくれないの〜?」 「アッ……」 俺のものを裕太から抜き、甘えるように言ってみる。抜かれる衝撃に身震いした裕太が、一瞬睨んでくる。そう言うところ、爪が甘いんだよね〜。 面白いものが見れそうだと、ニヤニヤしてしまうのを隠せないまま、俺はベットに寝転ぶ。さて、どうするのかな? 「…」 ギシッ 無言のまま裕太が俺に乗り上げてくる。口をギュッと結んでおり、正に断腸の思いって雰囲気。まさか、本当にやってくれるなんて、今回の裕太の嘘には当面付き合ってもいいな。 「うぁっっ……くっ。あっ、見るなっっ!」 「やだ。」 プルプル震えながら、裕太が健気に挿入を試みている。可愛すぎる…。 「ふふふ…、ここもピンと立ってるし。下から見ると絶景〜」 「ふぁっっ、さ、、触わんなっっ!」 ピンとたってる乳首を触ると、更に裕太が震える。俺の手を、ギュッと目をつぶった裕太がプルプルしながら握り込む。なんか……もっと触ってと手を押さえ込まれてるみたいで、更に興奮するんだけど…。 「あー、やば…。ねぇ、裕太、早く動いて。」 「あぁっ!やめっ……!ふー……あっ…んっっ」 早くと裕太を揺すると、たったそれだけで感じちゃって、甘い声をだした。その後、裕太は顔を真っ赤にしながらぎこちなく動き出す。 なにこれ、凄くいい。裕太の嘘に付き合ってれば、毎回やってもらえるのかな。思わぬ棚ぼただ。でも、 「裕太、外してるでしょ、良いとこ。」 「ぁっっっ!」 そう言って微笑み、裕太の腰を撫でると、面白い程、裕太がビクリと跳ねる。 「んーっ、この辺りかな?」 前立腺の辺りを探り当て刺激する。 「いやっっ、あっやだっ……!」 「ふふっ…」 裕太がバタバタ暴れるが、腰を抑え込んでそこをぐりぐりと刺激する。裕太が昂まるにつれ、ブワッと裕太の匂いが溢れでてくる。思わず、舌舐めずりしていた。裕太につられ俺も抑えが効かなくなり、少し乱暴になってしまう。 「……うぅっ、はっ、、もうっ、やめっっ!はっ!」 「はっ、無理っ。可愛いっ!裕太…。」 ギッと、俺の上に乗っていた裕太を引き倒し、その上に乗り上げ、再度律動を行う。裕太が無理だと泣き事を漏らして、俺の胸を押し返す。弱々しく、震えて…。 「裕太、っ、裕太もっ、俺の事、好き?愛してる?」 「うぁっっ!あっい、してるっ!!っっ!…っ、だから、やっ……。」 あぁ、可愛い。強気な昼の様子とは違い、こんなに快感に弱くて、すぐ乱れて。前にもΩとやった事はあり、その時も相手がひどく乱れていた。しかしその時は、相手と温度差があって煩わしさを感じ、途中で行為をやめた。ここまでその乱れように興奮するのは、裕太だけ。 「ふふっ…、俺も。愛してる…。ずっと、ずーっと離さない。」 衝動的に、過ぎる快感にハクハクとしている裕太の口にかぶりき、ギュッと抱きしめる。 「っ!!…はっ、…もっ…、やだぁ…うぁっ…、」 俺が裕太の中に放つと、裕太が本格的に顔を歪めて泣き出す。僅かにビクついてるから、裕太もいったかな? 余韻に浸りながら、屈辱感や快感で歪む裕太の顔を覗き込む。可哀想だなと他人事みたいに思うが、それよりも、その顔を見ていると、更に気持ちが昂ってくる。 「…っ、そうすけ…?」 「ね、もいっかい。足りない〜」 「あぁっ……、もっ、お前、さいっあく…っっ……」

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