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第47話

俺の部屋のベッドで、俺は壁に張り付く形で目が覚めた。星野が泊まりにくるといつもこうだ。ベッドの上で寝ている間に星野がにじり寄り、俺が逃げてを繰り返し、結局俺はベッド横の壁にへばりついて寝ることになる。俺のベッドなのに。 「…」 俺は寝起き早々、目を瞬かせた。泣いた上に舐められたせいで、心なしか顔がカピカピする。 振り返ると、星野が安らかに寝ていた。恨めしい…。そして珍しい。いつもは早めに起きて家事してるイメージだ。昨日はやたらパシャパシャ写真を撮られ、いつもにまして星野は興奮していた記憶がある。興奮し過ぎて寝過ごしたってか?本当に歪んでる。ヤバい奴過ぎる。 星野が後処理をした感覚はあるが、とりあえずシャワーを浴びたい。俺は巻きつく星野の忌々しい手を外し、ベッドを降りた。 と、その前に…。 「…はぁ…」 スーツからスマホを取り出して、陽子ちゃんとのやり取りを消す。その後スマホを投げ出し、ヨロヨロとシャワーを浴びに向かう。 シャァァァァーーー… 「ふー」 温かい。 シャワーを浴びて温まると、体中に血が回る。固まっていた身体の各所が確実に息を吹き返した感覚がする。そうすると、気持ちが落ち着いてきた。 (…子作りとか……こんなの、許される筈がない。) 絶対に、そうだ。こんなの許されない。 ……そうだ。こんなの許される訳ないよな?αは粘着質らしい。だとしたら?過去のΩにも、こう言う被害にあった人はいたのではないか?それで問題になったのではないか??番契約。無理矢理結ばせる事は出来ないんじゃないか?とりあえず、中で出されるのもあれだが、番契約は死守出来るかも。 今まで自分には全く関係ないと思っていたが、こうなった今、色々と調べてみよう。 そうやって考えていると、僅かながらも活力が戻るのを感じた。 ----- 「裕太〜」 「…朝からはやらないからな。俺はもう会社行くから。」 俺は朝から抱きついて来た星野に眉を寄せた。相手をすると喜ばせてしまうので、抱きつく手をそのままに無視をして荷物の整理をする。 「そんな、人をいつでもやりたがる奴みたいに…。」 現にいつでもやりたがるじゃないか、と出かかった言葉を飲み込む。休日の寝起きに始まり、夜は勿論のこと、お風呂中、料理中、食後の一休み中…24時間いつでも襲われる。本来ならこんな危険な奴とは距離を取りたいところだが、脅されて無理矢理半同棲生活を余儀なくされてる。そして段々とその生活に慣れ始めている自分が恐ろしい。これが唯一αに耐えられるとかいう、Ωなりの強さなのだろうか…? 「ただ、朝からバタバタして仲良くしてなかったからさ…。は〜、今日も本当にいい香り。ちゃんと他の奴に嗅ぎ付けられないようにしてね。」 「言われなくてもするって。ちょっ、もうっ!まとわりつくな!動きずらいって!!」 星野が更に抱きつく手の力を込めるので、流石に抵抗する。朝時間ないのは、お前が夜中に盛って起床時間が遅れるからだろ! 「えーそんなに冷たくされるとショック〜。もう前みたいに可愛く甘えてくれないの?」 俺に後ろから抱きつく星野が、俺の顔を覗き込み可愛こぶる。なんか、イラっする顔だな。前回やった、媚び売りで別れてもらう作戦の事を言っているようだ。 「もうやっても俺に得はなさそうだし、しない。」 「可愛かったのにな〜。……ね?」 「ふぁっ!…っ、だから、やめろっ!」 星野がわざとらしく俺の乳首を触ってくるので、鳥肌が立ち思わず変な声まで出る。流石に俺は星野を振り払おうと暴れるが、難なく押さえ込まれる。 「もー、反抗的なんだから…。そうだ!また日常的に可愛く甘えてくれたら、セックスは回数制にしてもいいよ〜。」 「え?」 朝の準備をする手が止まる。回数制?回数決めれるの? 「週に…4回!とかどう〜?」 「……いや、多すぎだろ。」 現在、週7どころでなくやられまくっているので、ちょっと騙されそうになる。しかし、週4回て…常識的な数字からは程遠い。 「も〜、我儘〜。じゃぁ、週3回!基本的には、平日1回、土日各1回。あくまで、基本的には。」 「…」 冷静に考えるとそれでも多いが、毎日毎日、しつこくやられまくる俺としては破格の条件に思える。いや、まてよ… 「週に3回って、週3日じゃなくて、週に3セット?」 「ははっ、セット?筋トレみたいだね…まぁ、そんな感じ。ただ、週に祝日がある場合は、祝日1日につき、その週は各1回、回数が増えます。」 …携帯とかの契約内容みたいに、補足が多いのが気にはなる…。しかし…、無制限の今よりかは大分ましだ。だよね?正直ゴムをつけれない今となっては、回数は出来るだけ減らしたい。自分のメンタルも大事だけど、今は貞操の危機を免れなければ…。 「どうする〜?」 にんまりと笑顔を浮かべた星野が俺の顔を覗き込む。その顔を見ると、悪魔の囁き……ふとそんな言葉が頭に浮かぶ。しかし、もう腹は決めた。 「そうする。」 「そ〜!じゃ、こっち見て!可愛く行ってきますして〜。」 「……」 メンタルよりも、貞操の危機だ。 すぐ慣れる、すぐ慣れる。自分にそう言い聞かせるのだ…。 ------ 「そうっ、宗介!ふっ…おまっ、本当に回数守るんだろな?」 まさか、回数制とか言うので、その日の夜に襲われるとは思わなかった。風呂上がりに気を抜いてホカホカしている時に急に襲われて俺は盛大に狼狽た。 「は〜、裕太…いい匂い…。守るよ。俺、明日からまた出張だし…。会えなくなる前に、ね?」 え。こっそりチェックしてるスケジュールに、そんなのなかったぞ。 「そうなの?」 「うん…急に入っちゃった…」 そうか。……超ラッキー!! しゅんとする星野と対照的に、俺は内心ガッツポーズだった。星野が居ないとなれば、陽子ちゃんとデートして、吉崎と呑み行って…。 「そうなんだ。分かった。んっっ…。」 しかし…ソファーに寝そべりだらけきってテレビを見てる時だったので、窮屈なところで受け身も取れない。星野の手が遠慮なしに、胸を触り、もう片方は太ももを触る。また、卑猥な音をたて、しつこくキスもされる。既に星野に魔改造された俺の身体は、星野の全ての動きから快感を拾ってしまう。 「あっっ、ね、ちょっまっっ、せめて、ベッド、ふっっ…、行こっか?」 なだめるように星野に促した。 「ふっ、可愛い。そうだね。」 「…むっ、…わっっ!」 お姫様抱っこーー!!人生初…。男にされてるし…。 星野は俺の言葉に満足気に笑った後、俺を軽々と抱えて寝室へ向かった。 「そういえばさ」 「っ……なに?」 星野は俺をベッドに下ろしながら聞いてきた。 「裕太のヒートって2ヶ月半周期なんだよね?」 ギクッッ

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