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第2話
ひとつ前の駅で乗客はほとんどいなくなるのだから、どの車両でも席は空いている。
毎回同じ席に座らなくてもいいじゃあないか。
「ははっ、なぁんだ。単純な問題だったわ」
榛名に変化を求めていたから解決しなかった。俺が動けば良かっただけの話だ。
胸のひっかかりがなくなり、大きく息をする。その瞬間にちょうどチャイムがなった。
次は自習か。
何をしようかと鞄の中からテキストを選んでいると、「席替えをします!」という声が響いた。見上げれば委員長が、教壇に立っている。
チャイムが鳴っても休み時間の気分が抜けなかったクラスメイトも、とたんに静かになる。
え? 席替え? という一瞬の間の後で、「イェーイ!」との声が上がる。
あーあ、うるさいなぁと思ったけれど、俺もそろそろ今の席には飽きてきたところだ。
委員長が机の配置の通りに黒板に四角を書いていく。そこにさらっと数字を振り、いつの間にか用意していたクジを出した。
「廊下側の席の人たちから順番に引いていってください」
って、俺じゃん。席替えが何となく楽しみ、くらいだったのに、まさかのまさかでクジ引きがトップバッター。
何となく緊張感を持ちながらクジを引き、自分の席に持ち帰ってゆっくりと開くと、丁寧な字で“7”と振られていた。
ラッキーセブンじゃあないか。
何となく当たりな気がして、そわそわしながら黒板を見ると、今既に座っている席にその数字があった。
「まじかよ」
席替えの意味とは。
……まぁいいか。机を運ぶ手間はかからない。
席替えに興味をなくし、誰よりも先に自習を開始した。左と後ろに誰が来ようがどうせ変わらないだろう。
しばらく時間が経ち、全員がクジを引き終えた。テンションの上がった声と、机を引きずる音で騒がしくなる。
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