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第2話

 そんなモノをお尻に挿れなくても「跡目を継ぐのを止めて欲しい」って頼まれて、そしてお母様と二人、いや病院に居るお父様も加わって三人で慎ましく食べていける程度のお金を貰うという約束を交わしてくれたらそれで問題は解決するのに……と思っていた。 「お疲れっす!洋幸様ていうのは流石にマズイんで、何か別の名前を付けた方が良くないっすか?ほら、それだとなんか『オンナ』というか『ネコ』の名前じゃなくてですね、割と良くある『男』の名前ですよね」  さっきから色々と言って来ている人がドアの前に立っている若頭に腰を折りながら提案している。 「そうだな……。この店は『ゆ』で始まるルールが有るから、ユキで良いかと思う。  な、ユキ。  最初は物凄く痛いらしいが、慣れると病みつきになって男ナシでは居られなくなるらしい。  そういう『オンナ』がこの店にもたくさんいるだろう?インランのユリとかさ。あの技には勝てないだろうが、せいぜい頑張れ。  それに選りすぐりのオトコを用意してやったぞ」  若頭が顎を横柄な感じで動かすと、見覚えのある、そしてそんなコトは絶対にイヤだ!!と心の中で叫びたい人がノッと現れた。  気を失うかと思いながら必死で耐えて、どうにかしないと!!と必死に打開策を考えていた。  ユリさんと話している時に控室にヌーッと入って来て、ユリさんと親しそうに、でも何だか舌なめずりをしているような異様な表情で見ていたかと思うと、僕の全身を舐めるように見つめて来るという――まあ、僕だって男だし(不本意だけれど)その人から見たら物凄く偉い組長が父親だと言うコトも知られているらしかったので実害はないとその時は思っていたんだけど――今、この「オンナ」にされるという事態に直面すると恐怖以外の何物でもない。  ユリさんが言ってただけで、僕には確かめようがないんだけれど、身体が大きい人はアソコも比例する!!ということだった。  そしてその人は筋骨隆々だし身長も2mは無いにしても185cmは優に超えている。  さっきから若頭系列と思しき人が襦袢状の物をはだけていたせいで、乳首とかお尻とかは完全に露出している。 「相手役は厳選してやったぞ。せいぜい楽しんで欲しいと思っているぞ。まあ、最初は死ぬほど痛いけどな……。オレだってムショで掘られた時にゃ、ガチで死ぬかと思ったから。  締りが良くて初物は皆が取り合う世界だからサ。塀の中は。  それに塀の中は知っての通りガチの女は居ない。だから持て余した欲望を解消するために男に走るって、賢いことでも有名な坊ちゃんなら知ってるだろ?  組の偉い人には稀だが、下手を打って懲役に行った人も居るんだな、これがさ。  そういう人はモノホンの女よか締りが良い『ネコ』ちゃんの感触とかがクセになったとかいう人も居るんだよ。  そういう人間を集めたようだから、もしかしたらショーが終わったらランコーかもな。  ま、ユリさんはそういうの大好きだし、今夜のショーは主役だって張り切っていたのに、急に差し替えが有ったんで、激オコだ。そういう恨みも買っているしさぁ、二本挿しとか腕を突っ込まれるのも覚悟しておいた方が良いぜ?  このイチモツ……」  若頭の近くに居て顔は見たことが有るけれど名前も知らない人間が例の男のチャックを下げている。  スラックス越しにも天を向いてそそり立っているのを見てはいたんだけど、下着しか履いていないとその大きさには脂汗が出てしまう。  こんなのをお尻に挿れるだなんて……。  栞お姉様のお母様が僕を追い出したいというのは前から察していた。  僕としても「こういう」組織の後継者の柄ではないのも分かっていたし、出来れば大学に行って真面目に勉強をして一般企業に――ああ、でも名前とかを検索でもされたらマトモな企業は雇ってくれないかもだけど――入社して普通の平均的なお給料を貰って働くとか、好きな研勉強をして研究室に残って本の虫になっている方が合ってると思う。  若頭がどうやらリーダーっぽいので、この控室に来てくれたら、そう言ってみようかと思った。  何なら念書でも血判状でも書いても良い。  だからお尻に挿れるのだけは嫌だった。  あんなに大きいのを受け入れた後に二本だとか真珠入りのイカツイのとかを受け入れるなんて血が凍ってしまってまともに頭が働かなくなってしまっている。 「何かさ、お偉いさんの指示で開演時間が遅れるみたいっす!」  いかにもチンピラ風の人がドアをノックなしに開けてそう言った。  この隙に逃げられるかもと思っていたんだけれど、下品なニヤニヤ笑いの男が近付いてくる。しかも、下着からおっきくなったアレを取り出している。  そして僕のお尻を思いっきり広げてきた。  身体中から冷や汗がどっと出てくる。

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