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第15話

 リョウさんは栞お姉様と僕の顔を交互に見て、僅かに不思議そうな表情を浮かべていた。  栞お姉様の「好きな人」らしいけど、詳しい話しはしていないのかも知れない。  お姉様の場合は、実家が実家だけに家族構成とかそういうプライベートな話題は一切マスコミには漏れていない、僕の知る限りだけど。  そして、ネットでググってみたこともあったけど、ウソとかフェイクニュースで溢れているとかいうネットの中でも栞お姉様の実家がいわゆる暴力団の組長だというのは書き込まれてはいない。  多分、知っている人は居るだろうから書き込もうと思えば直ぐに出来る。ただ、そういう書き込みを即座に消してくれる業者も居るみたいなのでお姉様の事務所がそういうのを使っているのかも知れないけど。  だから、お姉様が言わない限りリョウさんも知らないんだろうな……って。 「では、素晴らしい愛の行為の最中では御座いますが、舞台の上で繰り広げられる乱暴さを増した行為を鑑賞しながら行為に耽るというのも一興です。  最低金額は1千万円から。皆様、タブレットに入力頂けると幸いです」  司会者の声に我に返った。  「行為に耽る」って?と思ったけど、客席のあちらこちらでリョウさんと僕がしていたような行為が繰り広げられていた。  中には二本も挿れられて、物凄く感じている人まで居たし。  僕だってお母様の目を盗んで「そういう動画」を――と言ってもそこそこ綺麗なお姉さんが主演で、当然相手は男性のモノだったけれど――見ながら僕のモノを弄って出すということはしたことがある。  ここに居る人達は、同性相手の「そういう」行為が好きな――僕はユリさんとかしか「そういう系の話」をまともに話す人が居ないので、男同士という点について抵抗は元々なかった――人たちで、PCの画面がたまたまショーの舞台に代わっただけで、そして自分の手で弄るよりも本物の行為の方が感じるんだろうな。  僕もリョウさんと初めての行為をしてみて、物凄くヨかったのも確かだったし。 「本当に大丈夫なのか?乱暴にしても」  リョウさんが心配そうに聞いて来てくれたのもとても嬉しかった。  12時過ぎのシンデレラが突然時計を巻き戻された時にはこんな気持ちになっただろうなと思うほどの喜びを感じていることはリョウさんも分からなかったみたいだ。  「このショー限りの王子様」と視線を交わしていると何だか寂しさを感じてしまって、客席の方に顔を向けた。すると舞台の上をチラチラと見ながら、それぞれの「お相手」のお尻の中に入れたり出したりしている人達の視線と目が合ってしまう。  ショーの「主役」として頑張らないといけないんだなと思った。  そして、さっき僕の身体を蛇の舌のような冷たい視線で見ていた人とかは客席に置いてあるタブレットを操作している。  最低が一千万円だとか栞お姉様は言ってたっけ。   そしてお姉様が僕にだけ分かるように言葉を送ってくれていて、それは「出来るだけ稼ぎなさい」だった。  オークション形式なのは知っていたので、お客様の購買意欲を高める必要があるなって思った。 「リョウさんとなら……怖くないから、大丈夫です。それにコツまで教えて下さって有難うございます。僕があのマッチョな人」  相手ではなくて良かったですとは流石に言えなかった。王子様にそんなはしたない言葉をひそひそ話とはいえしたくない。  そして、声を客席の一番奥まで聞こえるように頑張ってみた。 「ああっ……んっ……乳首……を……後ろから……ギュって……摘まんで……指で転がして」  その声が一番遠いところまで届いたかどうかは分からない。けれど、舞台の上の僕とリョウさんを見ながらタブレットを操作する指が早くなっていく人達もかなりいたので、効果は有ったのだろう。  リョウさんの指が僕の、もげそうに硬くなってツキンツキンと疼く乳首を後ろから抱き締めたついでのように指で挟んで転がしてくれた。  乳首でこんなに感じるのはきっとリョウさんの指だからだ。  リョウさんの指が乳首とか乳輪とかをキュッと摘まんでクイクイって捻る度に身体がヒクヒクと揺れる。  それに頭の中もバチバチと紅色の花火が散っているみたいで、物凄くイイ。  そんな火花が散っている脳の一部でダメ出しをする考えが湧き起っていた。  一回目は好評だったみたいだけれど、同じコトをすればお客さんが飽きるかもしれないって。  もっと刺激的なことをしないといけないんだろうな……とは思ったけど、あいにくそんな知識はなかった。  でも、舞台の下の客席部分では色々な恰好で愉しんでいる人達が居る!そっちに何かヒントが有るかもしれないなって乳首の快楽に集中してしまいそうになるのを必死で堪えた。  そしたら、男の人の体に跨って物凄くヨさそうに腰を上下している人を見つけた。  感じる場所――僕はショーが始まるまでは全然知らなかった乳首とかお尻の穴とか――だけを露出させて、他の部分は黒いレースみたいなもので覆っている人が。  ああいう服を着たら産まれたままの姿の僕よりは刺激的に見えるかも知れないなって思った。  ただ、あんな服をどうしたら入手出来るかは分からない。  だったら……。 「あっ……んっ、乳首……気持ちイイっ……。ねぇ……。乱暴に抱いてくれるんでしょ?  だったらさ、ちゃんとした服を着たユキをさ、無理やり脱がせて……。  破いてもイイしっ……ズボンは切ってもいいよっ……。  あの黒いレースの人みたいに……」  ワザと甲高い声を――いや正直にゆうと、半分は本気だったんだけど――出して、タブレットを操作している人の注意を引こうとした。  その方が値段もハネ上がると思ったから。  僕は「そういう動画」を見る時には「恋人同士 いちゃいちゃ」とかで検索していた。けれど「無理やり」系の動画も関連動画で上がって来たりしていて、それなりの再生回数になっていたのを思い出した。  だから、普通の服を着た――多分、今の時間でもお店は開いていると思う、確信はないけど――僕をリョウさんが無理やりってゆうのは良いかもしれないって。  お店が開いてなかったらここに無理やり連れて来られた時に着ていた服を最悪犠牲にしても良いって思った。  ただの部屋着なんだけど、それでも「部屋に入られてゴーカン」とか。  リョウさんの凛々しさを失わない視線をその人達に――二人きりじゃなくって、口と手でも別の男の人の昂ぶったモノを楽しそうに、苦しそうに奉仕していた――向けようと乳首への快楽で震える指でそっと導いた。  リョウさんが「インラン」とか言って呆れてしまわないか心配はしたんだけれど。  だって、その言葉は今の僕にも当てはまっているような気がしたし。

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