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第17話
「左様でございます。当店からの感謝の気持ちとしまして半額にさせて頂きますが……」
え?半額……。僕がこのお店に連れて来てもらったのは10回くらいかな?そしてユリさんの自慢話とかを聞いていたんだけれどもユリさんのショーは大入り満員だとか、物凄く人気が有るとか聞いたことは有る。
でもお父様から見せて貰った売り上げの帳簿を――と言ってもお父様が経営しているわけではない――戸籍を持っているホームレスの人でしかも国会議員の秘書さんまで務めた経歴の有る人が見せてくれた。
そういうモノ凄く頭のキレる人でもそんな境遇に落ちてしまうんだな……って物凄くビックリした。
その人に任せているから――そして昔の人脈って言うのかな?各方面に挨拶に行けるので、銀行とか財務省とかそういうトコにも伝手は持っている――この店は大丈夫なんだけど、帳簿はお父様もしっかりチェックはしているし、ユリさん主役のショーの売り上げもキチンとその帳簿に書かれている。
売り上げは物凄いけど、ユリさんへのご祝儀ってゆうか半額にしたとかいう報告は上がって来ていない。
何かの間違いじゃないかなっても思ったけど、きっと僕じゃなくってリョウさんがあんなに激しく、そしてショー向きに振る舞ってくれたからに違いない。
「二輪挿しというのを試してみたい。それはそんなに良いモノなのか?出来ればあの子と」
お客様の一人がそう言っている。「二輪挿し」っていう単語が分からずにリョウさんに首を傾げて、そして教えて欲しいって目配せをした。
リョウさんはそんなコト知らなくても良いんだか……みたいな苦い笑いを客席に気付かれないように僕へと送ってくれた。
「二輪挿しっていうのは、お尻に二本の――ほらさっきまでユキがオレのを挿れていただろ?その男の象徴を二本纏めて挿入することを指すな」
え?と思う。リョウさんと「そういう行為」をして物凄く気持ちよかったのは事実だけれど、リョウさんのおっきくて長いのを二本なんて僕には絶対に無理だ。
僕がサーッと蒼褪めたのをリョウさんが見ていてくれて、乳首とかを弄ってくれていてとても気持ちが良い。
「ユキのお尻の穴もそうだが、あそこは筋肉なので開こうと思えば楽々出来るし、それにユリ……さんはどうか知らないが、手だけではなくて腕まで挿れることが出来る人間も居るらしいな……」
リョウさんもユリと呼び捨てにしたかったのかなぁ……。何だか変な間が空いたし。
僕みたいな初心者じゃなくって、男女問わず物凄くモテそうなリョウさんだし、それなりの遊びはしてきているんだろう。だから僕なんかじゃ物足りなかったのかも知れないなって。
「ユウジさんが良い……な。だって――」
ユウジさんというのはこの店のスタッフで、ショーにも何度も出ているとユリさんに聞いている。何だかアソコが物凄くカチカチでおっきいし、その上、乱暴にされるとか。
僕は乱暴にされるのは絶対に嫌だったんだけれど、そういうのも個人の自由だし。
二輪挿しとかも僕的には絶対に無理だ。だってリョウさんのおっきいのは大丈夫だったけど、それは栞お姉さまから画像を見せて貰って王子様みたいって密かに憧れていたからだ。
それにユウジさんもリョウさんと同じくらいの大きさを誇っている。
そんな人に挿れられるなんて――しかももう一人いるらしいし――僕のお尻の穴が裂けちゃいそうだし。
ユリさんが何だか誇らしそうに舞台に上がって来た。
ずっとこの店でナンバー1の座をキープしているプライドなのかも知れないな。
ま、僕は憧れの王子様と胡蝶蘭に囲まれたお花畑だけじゃなくてお店の外でも「デート」出来るなんて、シンデレラがお城の外のバルコニーとか噴水の広場にでも王子様に誘われたような気がして物凄く嬉しかったし、それだけで充分だと思ったのであまり深くは考えていなかったんだけど。
「ユキの全ては預かっておきます。しかも詩織莉さんという大切な御方が残られるのですからこのまま逃避行というのはご遠慮ください」
何だか言い聞かせるというよりも脅すような感じで言われた。
そんなの当たり前じゃん!と思った。
栞お姉様のこと――日本を代表する人気女優としてじゃなくって――縁を切ったとはいえ組長の娘だし、今お父様が倒れて組の中で権勢拡大に頑張って「姐御」とか言われている女性が実のお母様だということはこの会場にいる殆んどの人が知っている。
何だかリョウさんだけに言っているらしかったけど、ドスの効いた低い声は僕にも聞こえたので。
僕は会場に居たスタッフのシャツとスラックスまで借りて――何とか表の雑踏に出ても悪目立ちしない程度には――服を着た。
「ココに居る人間でも、両刀遣いは可能なスタッフもいれば、ユウジのように巨根の上にSの気が強いとか色々と。
まあ、その心配はユキと一緒なのでそんなにはしていません。貴方が逃げようと仰っても、ユキが止めるでしょうから」
まだリョウさんにグチグチ言っているのかぁと思ってしまった。何だか物凄い執念だ。
あ!そっか、この人はリョウさんや僕が帰って来なければ売り上げが激減する上に、今まで入札してくれたお客さんにも「ショーが行われませんでした」と謝ってお金を返さないといけないからか、な?
僕たちが舞台を降りて授業員専用の扉の方に歩いて行ってたら、ユリさんが舞台の上に上がって、ユウジさんと今は栞お姉様だけが端然と座っているエリアの隣に居た小父さんが二人揃ってユリさんのパックリと開いたお尻の穴に挿入してる。
ユリさんも物凄く気持ち良さそうで、感極まったような声を上げているのを背後に聞きながら扉を出た。
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