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「んっ……んんんっ」 栗崎の頭を必死に掴みながらトオルが体を震わせる。 栗崎はその様子が可愛くて堪らず、トオルの出したものを最後の一滴まで飲み干していた。 「……っはぁ、はあ」 肩で息をするトオルが気恥ずかしそうな目で見つめてくるので、その頭をゆっくりと撫でてやる。 すると、息を整えながらおずおずと口を開いた。 「……何か、ローションみたいのない?」 「ローション……?」 「うん、潤滑油になるもの……」 栗崎は体を起こすと、キッチンから一本の瓶を持ってきた。 「こんなものしかないが……」 栗崎がトオルの目の前に持ち出したのはオリーブオイルだった。 「ふふっ、……オレも初めてだけど、大丈夫だと思う」 トオルの笑みに栗崎は幾分か安堵し、蓋を開けてオイルを指に絡ませた。 トオルの胸元に唇を押しあてながら、そのトロリとした指先を秘所にあてがう。 「んっ……!」 熱い窄まりに栗崎の指が誘われる様に進み入っていく。 「あ……ああん!」 内壁を栗崎の太い指が擦り上げると、トオルの口元から嬌声が零れ出した。 栗崎はしだいに指を増やしながら蕾を解していく。 「ああっ……!んっ……ふ…」 栗崎の指先がトオルのある一点を刺激すると、トオルの嬌声は数段高くなり、ビクビクと体を震わせた。 「ここがいいのか?」 「あ……ああっ、うん、や、リョウイチっ」 栗崎はトオルの反応を愉しみながら、丁寧な愛撫でトオルの蕾を花開かせる。 「挿れても、いいか……?」 トオルの耳元で囁く。 栗崎の欲望はもうはち切れんばかりに怒張していた。 熱に浮かされたような表情のトオルが栗崎の背中に腕を回し、ただコクリと頷く。 栗崎はトオルに覆い被さり、膝を高く持ち上げた。 熱い芯を窄まりの門前にあてがうと、栗崎はゴクリと音を立てて唾液を呑み込んだ。 トオルの上気した頬を手の甲で一撫ですると、『早く』とねだる様な甘い視線を寄越される。 栗崎はその内部へとゆっくりと腰を落とした。 くち、というねっとりとした音と共に、栗崎の熱塊がトオルの肉を割っていく。 「んっ……っ、ふっ!」 「あっ……!」 大きな声を漏らしたのは栗崎だった。 その強烈なまでの締め付けに、残っていた栗崎の官能の箍がすぐさま外れる。 (っ、これが、男の、トオルの中か……っ!) 吸いついてくるような熱く淫らな内壁は、油断するとすぐさま栗崎の茎を追い出してしまいそうなくらいに絞まる。と思うと、官能的に蠢いたりもする。 「ああんっ……リョウっ」 「くっ……」 栗崎はそんなトオルの内壁を擦り上げながら、奥へ奥へと突き進んでいく。 その度に栗崎の背中を抱き締めたトオルの指先に力がこもる。 (今、トオルと、一つになっている……) その想いがまた栗崎により深い快楽を与えた。 「んんんっ、はああっ……っ」 栗崎の欲望が全て入りきると、トオルが肩で息を吐いた。 「大丈夫か?」 栗崎が心配そうに眉根を寄せ、その顔を見下ろした。 「うん……、リョウイチの、大きくって……」 「じゃあ、止めとくか?」 「……だめ!」 トオルが腕に力を込め、首を大きく横に振った。 その様子がまたいじらしく、栗崎の劣情を煽る。 「じゃあ、動くぞ」 栗崎がゆっくりと抽送を始める。 「あ、ああ…や……っ!」 「くっ……」 栗崎は刺すようなすさまじい快感に唇を噛みしめた。 腕の中で自分が与える刺激に乱れて啼くトオルが、さらに愛おしくなる。 栗崎が堪え切れずに徐々にスピードを速めていくと、二人が繋がった場所から淫らな水音が室内に響き渡った。 「ああ、だめ……っ、や……っんん……!」 だめだと言いながらもトオルの腰は淫らに動き始めていた。 自分の紡ぎ出す律動とトオルから与えられる悦楽が栗崎を内奥から侵食していく。 「んっ……リョウイチ……っ、お願いが、あるんだけど……」 トオルが涙を湛えた瞳で栗崎を見上げた。 「なんだ?」 栗崎は動きを止め、トオルの目の端から零れる涙を親指の腹で拭う。 「最後だけでもいいから、縛って、くれないかな……」 トオルは脱ぎ捨てられた栗崎のスラックスの傍に落ちているベルトを指さした。

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