10 / 11
第10話
「ああっ、あっ、いいっ、リカルドッ……、あ、そこ」
すでに蕩けていた中は敏感で、アキトの弱みを把握しているリカルドに蹂躙されるとアキトは目を潤ませた。
その顔が好きだ。
アキトが深く感じている証拠だ。
「あっ、そこはいや、だ…、ああっ」
「嘘つき、気持ちイイだろ」
つんと尖った乳首は赤く色づき、蜜に濡れた性器がゆらゆら揺れている。
痛いくらいに乳首を弄りながら抜き差しすると、きゅうと締めつけてくる。
「あぁ、やっ、もっと……、いい…触れよ」
動きを遅くして焦らすと、アキトは蕩けた顔でリカルドを見上げて嫌々するように首を振った。
絞るような動きに、リカルドは息をつめて快感をやり過ごす。
もっと泣かせてもっとねだらせたい。
アキトの性器を握って扱きながら、抜く直前まで引いて押し込む。
びくびくと痙攣するようにアキトの体が震えた。
「これ、好きだろ?」
「あー、あっ、好き、きもち、いいっ…」
ミケーレはしどけなく寝そべったまま、グラス片手に二人の激しい交歓を眺めている。
楽しげな顔でワインを飲む様子は映画でも見ているようだ。
切羽詰ったアキトの声が上がって、二人はほぼ同時に終りを迎えた。
リカルドはシーツに両手をついて呼吸を整える。
アキトも大きく胸を喘がせた。
「泣き顔もかわいいね、アキト。やっぱり俺のときよりよさそうだったな」
ミケーレは優しくアキトの頬を撫でた。
「…ああ、すごくよかった」
素直な返事にリカルドはすこし胸がすくような気分を味わう。
「意外と体力ある?」
「料理人だからね」
シェフは結構な肉体労働なのだ。
「じゃあ、休憩したらもう一回したいな」
ミケーレのおねだりにリカルドは渋い顔だ。
「夜はまだ長いよ?」
リカルドの態度から、もうこんなチャンスはないとミケーレは理解している。
「アキトは寝ててもいいよ、俺がとろとろにしてやるから」
「一方的なセックス、好きじゃないんだけど」
すこしくらい乱暴なほうが好みだが奉仕ばかりされるのは好みじゃないアキトが言うと、ミケーレはそれを受け流した。
「言っただろ、今日はみんな東洋の黒薔薇を鑑賞しに来たんだって」
頬に口づけたミケーレが歌うように囁く。
「だから今夜、君はきれいに散るまで俺に鑑賞されるんだよ」
「さすがお貴族様は誘い文句もお上品」
アキトがふざけてぱちぱちと拍手する。
ミケーレはケチのつけようのない王子様の微笑みで応えた。
「お褒めにあずかり恐悦至極。…いいだろ、リカルド」
リカルドは苦い表情になったが、諦めて肩をすくめた。
アキトが嫌がらないなら今さら止めるのは難しい。
それから真夜中まで黒薔薇の鑑賞会は延々と続いた。
ともだちにシェアしよう!