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湧き上がる嫉妬心

カチャリとドアが開き、先生が帰宅する。 俺は小さく「お帰り」と言い、先生を出迎えた。 「ん? 志音どうした?……元気ない」 すぐに俺の様子に気がついた先生はそっと頬に触れてくる。熱の心配をしてるのか、額に手をあて首を傾げた。 「陸也さん……ちょっとこっち来て」 俺はそんな先生の手を取り部屋に入ると、先ほど見つけたアルバムを見せる。 「ごめんね、ベッドの下に落ちてたの見つけちゃって……」 ああやっぱり、気まずそうな顔するんだな。 「……元カレ?」 言いたいことは沢山あるのに、言葉になって出てこない。それは言っちゃいけないことだとわかるから。あれやこれや問い詰めたりするのはガキ臭く思われる。だから俺にはそんなこと出来なかった。 「あ……いや、ごめんな。嫌な思いさせた」 先生はテーブルからアルバムを取ると、そのまま開きもせずゴミ箱へ落とす。 「元カレなんかじゃない。付き合ってない。ん……と、会いたい時に会ってだな……その…… 」 「あぁ、セフレね」 「………… 」 わかるよ。俺と出会う前はちゃんとした付き合いなんかしたことないって言ってたもんね。きっと沢山の人と関係があったんだろう。先生カッコいいもん…… 「この人はさ、俺よりひと回りくらい上だったかな? やたらと写真を撮るのが好きでこうやってアルバムに入れては俺にくれてたんだ……俺はアルバムの存在すら忘れてて、こないだそんなアルバムが何冊か出てきたから処分したんだよ。それがいつの間にか一冊下に落ちてたんだな」 ちゃんと俺にわからないように処分しようとしてくれてたのか。 「でも……最後のはいいの? 捨てちゃっても」 悠さんとの思い出の写真。それは捨てちゃダメなような気がしてそう言った。 「最後の?」 先生は気がつかなかったらしく、もう一度ゴミ箱からアルバムを取り出し最後のページを捲る。そのページに挟まれた写真を見て先生は頬を緩めた。 「懐かしいな。若いなぁ。俺も志音と一緒の高校生だ」 愛おしそうに写真を見つめる。 「悠さんの卒業式だよね? 悠さん高校生の割に大人っぽくて素敵だね……」 俺もこの当時に存在してればよかったのに。先生と肩を並べて一緒に勉強したり遊んだり…… そう考えたら鼻の奥がツンとした。 嫉妬と悔しさがこみ上げてきて泣きそうになる。 「その写真は捨てちゃダメだよ……陸也さんと悠さんの大切な思い出だから」 それだけ言って俺はトイレへ逃げた。 過去の写真に嫉妬して泣くなんて女々しすぎる。早く気持ちを切り替えて先生のところに戻らなきゃ。

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